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コドクの学園  作者: 初雪奏葉
第八章ー覚悟
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第八章ー7

     ◆◇◆



《第八高校、虹沢透香さん、龍海権蔵さん、至急、グラウンドまでお越しください。繰り返します。第八高校――》


 放送用のスピーカーから、茜の声が響く。

「大胆な作戦だよね」

「やっぱりこういうところは樋春さんの仲間なんだなって思うよ」

 黒江と綾乃は、グラウンドで待機する。

 第三高校のグラウンドは、北校舎の北東側、第二体育館の右側に位置している。

 百メートルトラックが数本と、サッカー用のフィールド、さらに野球ができるスペースもある。奥には鉄棒などの体操器具が設置されており、一般的なグラウンドより一回り大きい。

 その広いグラウンドの中央で黒江と綾乃は待機している。

 幸か不幸か、選定式開始時に降っていた土砂降りの雨はあがり、青空が広がっていた。

「来るかな?」

「来るよ。これは、乗らざるを得ない」

 短く言葉を交わし、校舎に目を向ける。

 茜の立てた作戦で、正直、一番驚いたのはこれだった。

 監視カメラで透香たちの位置を捕捉し、不意打ちを仕掛けても、彼らの実力を考えると倒せる保障はない。むしろ、隠れる場所の多い校舎内では、姿を消せる三人目の少女に不意を突かれる可能性が高く、危険と言えた。

 そこで茜は、校内放送を使用し、彼らを誘導する作戦を立てた。

 遮蔽物のない場所なら、校舎内よりも不意を突かれる可能性が低く、なにより、黒江と綾乃にとっては、能力をフルに活用できる利点がある。

 その上、彼らにしてみれば、どこに逃げたか分からない標的が、姿を晒して待っていてくれるのだ。

 罠であったとしてもこの誘いには乗らざるを得ない。

「私はどっちかっていうと、ヒロの方が心配だよ」

「あー、俺も、それは心配かも」

 博也がいる方向――第二体育館と北校舎のちょうど連結部あたり――へ視線を向けると、博也がじっと、息を潜めているのが見える。

 肝となるのは、彼と言っても過言ではない。


『あの少女を止めることができなければ、仮に、透香たちに勝てたとしても、誰かが必ず死にます』


 茜はそう言っていた。

 茜の見解では、少女の能力は視界をいじるタイプのものではなく、こちらの意識を逸らすようなものではないか、とのことだった。

 言われてみて始めて気付いたのだが、視界をいじれるものであった場合、樋春を斬りつけた後、突然、姿を認識できるようになったのはおかしいのだ。

 視界をいじれるのなら、そのまま能力を発動しておけば、樋春が『見えない誰かに襲撃され』倒れたように演出できる。

 見えないままにしておけば、その後の動きも大きく変わっただろうし、見えないだけでもこちらにプレッシャーを与え続けることができる。

 それをしなかったということは、余程の馬鹿か、あるいは、それができない能力ということになる。

 だとすると、少女の能力とは何か?

 自然と答えが導き出せる。

「会長の洞察力も大概だったけど、それ以上かもね」

「そうだね。……上手く封じられると良いけど」

 意識を逸らすような能力であった場合、まず、こちらの注意を透香たちに惹きつける必要がある。

 そのため、こうして誘い出す形を取れば、必ず、透香たちとあの少女は別行動を取るはずなのだ。

 そこを、突く。

 透香が真っ先に博也を狙ってくれたおかげで、博也の能力は明かされていない。樋春の弟子という時点で警戒されるだろうが、相手の動きを止める能力とは思わないだろう。

 茜が監視カメラで少女の位置を特定し、別行動を取っている間に動きを封じてしまえば、博也が意識を逸らさない限り、少女の能力は無に等しくなる。

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