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若き魔界幹部の悩み  作者: 耕眞智裕
気高き偶像青年の悩み
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22 気高き偶像青年の悩み Ⅵ

 ヘイ ガイズ!!

 この世で最も心躍る瞬間はどんな時だと思う?

 俺はやっぱり――――――宿敵が負けを認めた表情をした時かな!!

 アドレナリンもバシャバシャよ。


 つまり、今この瞬間だな!!!



「クククククク」


 女一人を大人数で囲い、宰相は上機嫌で嗤う。


「駄目…… 開かないですわ」


 衆目の中、ヌンティウスは展示ケースを無理やり開けようとするが、重厚な金属で覆われたそれは中々彼女の言う通りにはならない。


「そのような鍵すら開けられぬ者が、何故宝物庫の扉を開けられたのか甚だ疑問だが、それは鉄格子を介して聞くとしよう。お前が何者かもな」


 必死に展示ケースと格闘するヌンティウスをカタルは冷たい目を向けてそう言った。そして宰相に代わり、手を掲げて警備警察たちに射出束縛器を構えさせた。


「乙女にそんなものを向けるなんて最悪ですぅ!!

 私に酷い事をするつもりですか!? 薄い本みたいに!!」


 言葉は軽いが、彼女の行動や表情からは焦りがにじみ出ており、その姿はマレードの嗜虐心を煽る。


(恨むのなら自分の愚かさを恨むのだな)


 マレードは思わず笑みがこぼれるのを必死に抑え、側近の大男に無言で頷くと、カタルは振り上げた手を前に倒し始める。


 絶体絶命の状況にヌンティウスは瞼に力を込める。

 そして乙女が蹂躙されかけたその刹那―――

 周囲を囲う者達が突然の衝撃によって宙に投げ出された。

 無論、マレードもその一人で無残に散った芝生が視界を奪いつつ体に纏わりつき、気が付いたら尻もちをついていた。


「うう……」


 視界が制限される中、周囲から警備警察たちの呻き声が聞こえる。


“カチッ”


 そしてマレードの耳に呻き声に交じって別の音が聞こえた。それはまるで鍵が開くような、そういう音―――


「わーいご対面ですね~

 ……なんですかこれ? パンツ?」


 うっすらとぼやけた視界に二つの人影が入って来る。一つは両手に小さい布っ切れを引っ張りながら首を傾げ、もう一つの影は身体を完全に覆うコートを揺らめかせている。そして彼らの足元には護るべきものを失った哀れな展示ケースが横たわっていた。


「どうやラ私たちハ騙されたみたイ」


「えーっ! 二回も騙したんですか!! マレード様の癖に生意気ですぅ」


 完全に元気を取り戻したヌンティウスの弾む声。それと男女の見分けもつかない加工された奇妙な声が聞こえてきたその時、マレードの視界がクリアになると同時に体が急に鉛のように重くなった。


「これハこれハ。お初にお目にかかりまス。ガランド宰相閣下」


 パンツ―――もとい魔法士の男子用ユニフォームを見ながら怪訝な表情を浮かべるヌンティウスの傍らにいる分厚い白いコートを羽織った男か女か分からない怪人。そいつが俺の名を呼び、上半身だけを動かして軽く挨拶した。


「お前は一体…… それとその面!!」


 体は動かないが、何故か喉と顔の筋肉は自由に動かす事が出来た。そして俺は奴の姿について、最も重要な点に注目した。

 

 すっぽりと頭を覆う形で怪人の顔を隠す黒い仮面。それはまさしく、トキオ合衆国が保有する呪道具であり、何者かによって奪われた宝―――反逆の仮面ゼロであった。


「そうですネ。先ずハ自己紹介かラ。

 私は“プロテスター” この汚れた世界に抗う者でス。

 それトこの仮面ですガ。私は単に力があるのニ飾りの様に扱われルこの子を不憫に思っただケ。力が解放されテきっトこの子も喜んでいまス」


(こいつはくせぇ!! 中二病の臭いがプンプンするぜ)


 自分の事を棚に上げてマレードはプロテスターを名乗る怪人をそう評価し、彼もペシェたちの様に騙されていいように使われているのだと考えた。


「反逆の仮面ゼロだけではないな。この時間が止まったような状況。不可侵舞台クローズド・サークルか……

 君はその女に騙され、いいように使われている。その才能は他に使うべきだ。もう止めよう」


 呪道具不可侵舞台クローズド・サークル―――南の大国フーカ王国が保有する呪道具であり、時を止める力がある。そしてその際、所有者が認めた者だけが、時の流れに反して一部の行動を許可される。つまり今この世界で言葉を交わせるのは、所有者であるプロテスターと、プロテスターによって許可されたマレードのみという事になる。


「そうでス。これこソ日の目を浴びない哀れな呪道具の力なのでス。こんな素晴らしイ力があるのニ使ってあげないのは残酷というもノ。

 けド、この子ノ力は万能ではなイ。私もこの力の支配をうケ、行動を制限されル。動かせるのハ上半身だけサ。盗みに使えないのハ残念だネ」


 右の袖を捲り、プロテスターは人間を模った象形文字が刻まれた金の腕輪をマレードに見せながら上半身を振る。その腕輪こそ、呪道具不可侵舞台クローズド・サークルであった。

 そしてプロテスターが上半身を動かしてコートの隙間に垂れ下がる煙玉や閃光弾を見せた時、マレードは本件におけるこの怪人の役割を理解した。


「お前か。宝物庫の扉を開けたのは」


 展示ケースの簡素な鍵すら開ける事の出来ないヌンティウスが宝物庫の飾り扉を開けられるはずはなく、宝物庫襲撃の際に使用した煙玉を装備したこの不気味な協力者こそが、侵入者であり、盗人だったのは明らかだ。

 そして、それに続く彼らの不可解な行動から、俺達は彼らによっていいように動かされていたのではないかという考えに至る。


「俺達はヌンティウスを追いかけて宝物庫を離れた。まんまと誘導されたという事か」


「フフフ。ご明察でス。あなたたチは実に優秀な傀儡でしたヨ。

 それにしてモ、突然変な女が入ってきた時には肝を冷やしましたヨ」


 簡単な事だ。宝物庫に俺達が突入した時、プロテスターはまだ宝物庫に隠れていた。もしかしたら、簡単に見つかる程度の所に隠れていたかもしれない。

 だがヌンティウスの不快な呼び声によって、俺達はそのチャンスを自分たちの手で握りつぶしてしまった。


「実の事を言うト、私は君たちを過小評価していましタ。本来であれバ、時期を待って脱出を図るとこロでしたが、君たちはその時間さえ与えてくれなかっタ。結果的にこの女に動かされたとしてモ、貴方たちは誇るべきダ。誇らしい傀儡だったヨ。クククク」


 表情が見えなくとも、この者に酷く煽られている事は分かる。きっと仮面の下には胸糞悪いしたり顔があるのだろう。

 だが、俺は一度呼吸を挟んで感情を抑え、再度プロテスターの説得を始めた。


「まぁまぁ、落ち着いて。

 君は俺たちの事を傀儡と言って嘲笑するが、自分も傀儡にされていると思った事は無いか?」


「…………」


「その女―――ヌンティウスは人を人と思わないド外道。関わった者を不幸にする歩く公害……っとまでは言わないが、とんでもない奴なのを確かだ。

 繰り返しになるが、君はその女に騙され、利用されている。

 そうだ! アレを使えば分かるんじゃないか? 君が持っているのだろう? 呪道具成愛の蛇枷エンゲージ・リングを」


 失われた数多くの呪道具の一つであり、カナーン公国の秘宝愛のエンゲージ・リング。二つで一つの愛のエンゲージ・リングは名の通り指輪の形をしており、指にはめた二人の心の内を共有させる。

 ロマンチックな力を持ち、愛の名を持つが、実際の所は知りたくも無い事まで共有する事となり、多くのカップルを破局に導いたという。そして、相手の醜悪な部分を見た事で夫婦が別れることを、誰が呼んだか“成蛇なりだ離婚”と言う様になったそうな。


「なるほド。“ヌンティウスの真意を知れバ、私も縁を切るだろウ”という事ですネ。

 ―――

 ――――――フフフ。

 アハハハハハハハハハ!!!」


 プロテスターはマレードの言葉に対し、空間を突き刺すようなキンキンとした声で笑った。そして、左手の白い手袋を外し、マレードに見えるようにかざす。


「成愛の蛇枷エンゲージ・リング……」


 プロテスターの薬指に嵌められた蛇を模った金の指輪に思わずマレードがそう呟くと、今度は石のように動かなくなったヌンティウスの左手にマレードの視線を誘導するようにプロテスターはその繊細な左手を移動させた。


「っ!!」


 プロテスターの指が示す先には、金の指輪と対になる銀の指輪が輝いていた。それは即ち、プロテスターとヌンティウスが心を共有している事を意味する。


「私は意外と人見知りでネ。故が無けれバこんな女と協力しないサ。

 それト君は私の事ヲ傀儡と言ったガ、それハ酷い勘違いダ。

 傀儡はむしロこの女の方。いヤ、傀儡というよリ、道具と言った方が良いカ。

 折角だかラ、この女の心の中を宰相閣下にお教えしましょウ。

 この女の中にあるのハ、破壊衝動ただそれだケ。物を壊シ。人の関係を壊シ。秩序や倫理を冒涜すル。それだけがヌンティウスといウ女の行動理念。

 私モ多くの狂人に会ってきたガ、これほどの人間は見た事が無かっタ。まさに混じるモノのない純粋な狂人ダ。

 だからこソ利用できル。純粋な人間ほド、有用な道具になり得るのでス」


プロテスターはヌンティウスの左手に触れていた左手を彼女の頬に移し、その固い頬を掴み「ククク」と小さく笑って、自分ではなく、ヌンティウスこそが道具なのだとマレードに示した。


「ヌンティウスと縁を切って、呪道具を返却する気は無いのだな?」


「無論その気はなイ。いずれジーマにあル呪道具も開放して差し上げるヨ」


 俺はこの怪人もヌンティウスと同じ“相容れぬ敵”と理解した。

 そして、呪道具不可侵舞台クローズド・サークルの効力が切れるのを待った。

 時間が停止している事で、二人の狂人はこの場に立てるのであって、それがなくなれば、警備警察の包囲状態に戻る。仮にそれらが破られても、今度は宙を舞うドローンの追跡が待っているのだ。奴らのしている事は所詮、姑息な手段に過ぎないのである。


「君は世界に抗うと言っていたが、何故世界に抗うのか? こんな醜悪な手でそれが叶うのか?」


「あなタみたいな“持てる者”にハ理解できないでしょうネ。この世界は根源的ラジカルな部分で歪んでいル。表面的な修正など意味をなさズ、一度壊すほかなイ」


「そうか…… 理由ややり方はどうあれ、目的はヌンティウスと同じか」


「フフフ。この女は小さく、つまらない事で満足しているみたいだガ、私はもっと大きなことをするつもりダ。フォーゲルヤクトとインゼルプルゼェル以上の事をネ。

 ン? そろそろ時間カ」


 プロテスターがその危険な目的を告げ、マレードを煽ったところで、プロテスターの腕に嵌められた不可侵舞台クローズド・サークルが不気味に光り、カタカタと震え始める。それは貯えられた魔力素が枯渇し始めた証であった。


「写真でしか見た事が無い秘宝たちを一気に見られたのはいい経験だった。それだけは感謝しよう」


 少しずつ、体中の血液の流れが感じられるようになり、マレードはそう言い放ってプロテスターを睨んだ。


 ―――そして時は動き出す。

 周囲を舞う草の欠片は風に従い、警備警察たちの声が空気を震わせ、そして寮舎の割れた窓ガラスが重力に従い地面へと向かう。


 ―――だが庭の中央には誰の姿も無かった。先ほどまでいたはずの二人の人間の姿も、死体の様に横たわっていた展示ケースもそこには最初から無かったかのように……

 いや、そうではない。彼らが立っていたはずの大地そのものが、円形の穴を残して消滅していたのだ。


「特殊魔法・地底のスペシャルマジック・グレートモール……」


 この様な状況を作り出せる手段と言えばまずその魔法が浮かぶ。だが、この場所では魔法を行使する事は出来ない。とすれば―――


「…………ペシェか」


 特殊魔法・地底のスペシャルマジック・グレートモールと類似したタレントを持つ男の嗤い、嘲る姿が俺の脳裏に浮かぶ。そして失意のまま、勝者なきミッションは終了した。








 一夜明け、俺は自分を祝う街中の歓声から離れ、この失敗の総括、そしてその対処をしていた。

 まず初めにやったのは、当然ペシェの事だ。仮面の怪人プロテスターの正体として、彼が疑われるのは当然だろう。

 そこで俺はテルカの開発所に問い合わせ、ペシェの行動記録を要請した。

 そして要請に従って、MC上で送られてきた資料には、区画責任者の名の元に、従業員であるノワール・ペシェの行動記録が記されていた。


「……不審な点は無し」


 彼は極めて仕事熱心だった。それは開発の進捗状況にも如実に表れ、トンネルの開通状況は全体の八割ほど終了していた。そして、疑惑の日のも、その前日数週間も彼は職場を離れる事無く責任を果たしていたと記されていた。

 だがこれだけではペシェの容疑は晴れない。俺は確認の為、直に区画責任者に連絡を取り、彼の行動について問い質した。


“私はいかなる嘘もついてはおりません。ペシェ君は過去一か月以上この地を離れる事はありませんでした。私の立場を賭けてもこれだけは申し上げておきます”


 俺の執拗な追及に、責任者は静かな怒りを込めてそう言った。それはペシェが開発区コミュニティーに家族として認められ、それ相応の仕事をしているという証であった。

 俺は所長の怒りの炎をこれ以上燃え上がらせない様、話を締め、他にとりうる手段を行使した。しかし、道路の通行記録、飛空艇の乗車記録等々、全ての記録が資料の内容と責任者の発言を肯定するものであった。


 基本として、同じタレントが存在するという事は無い。というか、歴史的に同じタレントが同時代に存在した記録が無いのだ。仮にあるとしても、それは今までその様な事が無かったという極めて微小な確率であり、やはりあり得ないと言ってもいい。


「仕方ないか……」


 プロテスターの正体について、「ペシェ以外ありえない」という証拠と「ペシェはありえない」という証拠が並立し、俺は悶々とするが、それを無理やり解決する手段が一つあった。


彼女かみに相談するとしよう」


 神頼みというのは、負けを意味し、マレードはそれを選択したくなかった。だが、プロテスターが危険な思想を持っている以上、野放しに出来ず、すがる他なかったのである。


 そして、暗くなった空を窓を通して一瞥し、マレードは数日籠った自室を後にした。




 複雑な気分のマレードに対し、彼と協力したジレットは彼が求めるものを手に入れる事に成功していた。

 親友であるエスセブを苦しみから解き放ち、加えて彼が本来受けるべき罰も帳消しとなった。


「エスセブを処罰するなら、この件が表沙汰になるでしょう。ただ、この件そのものが嘘であるなら処罰する理由も無いわけですが」


 トキオ大統領と話を通せる立場を利用し、ジレットは大胆にも彼を脅した。彼が言う“この件”とは国宝である呪道具が奪われたという国の恥部であり、その事実を隠したい大統領はエスセブの行動を無視する他なかった。


「彼が話した事なのですが、魔界もこの件を知っているらしく、彼は魔界の目を逸らす為にこの様な手段をとっていたと。そしてこの件の中心人物で、呪道具を収集している者はヌンテゥス・デイという女―――」


「ヌンテゥス…… その件は実に不快な虚偽だが、その者について聞きたい」


「勿論でございます大統領閣下。僕とエスセブが知る全てをお話ししましょう」


 ジレットが大統領に語った魔界についての部分は、魔界に危害を加えさせないための嘘であった。魔界が攻撃され、呪道具が失われたという情報が漏れだすと、国民から呪道具の公開を求められるのは明かであり、それを拒否すれば野党に攻撃の税量を与え、危うい選挙戦を戦う事になる大統領の立場をジレットは利用した。

加えてジレットはヌンティウスの悪逆非道を針小棒大に話し、大統領に彼女を敵として認識させた。






かくして、ヌンティウスは大陸最大の大国を敵に回したわけであるが、当人は知ってか知らずか、キト法国首都ギオンにある高級旅館にて呑気にも植木鉢から育ったトマトを眺めていた。


「ふふんふーん。だいぶおっきくなりましたね~」


 消える事のない魔法の炎に照らされた真っ赤なトマトを嬉しそうな顔で眺めながら、剪定鋏を近づける。


「チョキン☆」


 彼女の声と共に、ハサミの刃はトマトのヘタ上部を切断し、真っ赤な果実が左手の掌にごろりと落ちた。


「あぁ~快感ですぅ。 やっぱり育ち肥えたモノを切り落とすのは最高ですね」


「悪趣味だナ。ヌンティウス。お前にとっテそれはその果実に限った事では無いのだろウ?」


 ヌンティウスの行動に、彼女の仲間である不気味な怪人は呪道具の手入れをしながらそう言って、ウンザリとした態度を見せた。


「悪趣味だなんてひどいですね。積み木を崩す時の快感は人類皆共通ですよ」


「お前の場合、それで済まなイのが悪趣味なんだヨ。この国もそうするつもりなののだろウ?」


 プロテスターの言葉を耳に入れつつ、ヌンティウスは手にしたトマトを丸齧りし、血のように漏れ出す果汁を口元から垂らした。


「ふふふふ。当たり前じゃないですか。キトという国はいわば肥え太った豚。これほどの御馳走を前に舌なめずりしていろと貴方は言うのですか? それにこの国の歪みの一部は貴方がこの国の呪道具を奪った事が原因でしょう?」


 丁寧に畳まれた紙ナプキンで口元を拭き、ヌンティウスはそう言うと嬉しそうな顔でプロテスターにゆらりと近づいた。


「原因? 私が手を下さずとモこの国は既に詰んでいタ。私はたダ、この砂上の楼閣に少しの振動を与えただけケ」


「ふーん。それって単なる責任逃れですよねー。

 でもまぁ、この国が既に終わっているというのは同感。私達は何も悪くありませーん」


「言っている事ガ支離滅裂ダ」


 子供のようにはしゃぐいい大人にプロテスターは仮面の下で眉をひそめ、呆れながらそう言った。だがこれは別に今日に限った事ではなく、ヌンティウスが見せる姿は常に好奇心旺盛な子供の様であった。


「そう言えバあいつはどうすル?」


「あいつ? ああ、エスセブさんの事ですかぁ? それはもう“ポイッ”ですよ。

 私たちの行動がマレード様に感知されていたのは、どこかから情報が漏洩していたという事です。私達でないとしたら、エスセブさん周辺で漏れたと考えるのが普通でしょう。あの人はもう使えません」


 子供の様でありながら、大人の冷静さを持つ。プロテスターにはどちらの姿が彼女の本当の姿か分からない。


「ふふふ」


 そして障子を開け、高い位置より獲物となるギオンの灯りを見下しながら、ヌンティウスは微笑み、舌なめずりした。

 


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