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若き魔界幹部の悩み  作者: 耕眞智裕
清き人形少女の悩み
19/69

9 救国のヴィーナス Ⅱ

「……という感じでやろうかと思います」


「ふむ……」


 エルフランさんが作成した資料は俺の想像を超えたものであった。彼は本気でテルカ村を一大テーマパーク城下町にするつもりらしい。


(素晴らしい。でもなんでこの人はこの辺鄙な村にここまでしてくれるのか……)


「エルフランさん。俺が言い出した事ですし、こんな事を言うのは変かもしれませんが……」


「どうぞ、疑問や変な所があれば仰って下さい。答えられる限りの事は答えますよ」


「どうしてここまでしてくれるのでしょうか? 言いたくないですが、こんな村に投資しても利益は出ないと思いますよ?」


 疑問は言葉となって自然にあらわれた。


「そうだね。私はあの村に可能性を感じているが、それだけではない。

 うーん。まぁ、君とは長く付き合う事になるし、話しておこうか。少し私の身の上話を聞いてくれるかい?」


 エルフランさんは俺の目をじっと見て、まるで覚悟を問うかのように俺に選択を迫った。これは“信用”の選択だ。彼は俺を信用して自分の事を話す事を決意したのであろう。ならば、単純なYES OR NO の二択ではなく、俺が彼を信用するか否かを問うものであると捉えるべきであった。


「はい。お聞かせください」


 俺は息を飲み、彼を信頼して話を聞くことにした。


「ふふふ、そんなに畏まる事はない。ただ、ある馬鹿な男の話さ。

 私はハデス・ゲートを管轄する領域守護者の家で生まれ、領主、そして魔界の幹部となる事を約束されていた。いや、そういう道しかなかったと言うべきかな。

 だけど、私はそれが嫌だった。ハデス・ゲートは高齢化が進み、発展は期待できず、また、勇者たちの猛攻によって魔界も栄光を失っていたから…… 私はこんな小さい山の大将で収まる人間ではないと思っていたんだ。

 魔王様が遊園地をこの地に作ると仰った時の、うちのジジババや親父が目の輝きを見て私は一人嗤っていたのさ」


 意気揚々と遊園地の事を語り、あの地を憂いでいた人の言葉と思えなかった。そして、彼の気持ちは俺もなんとなくわかる。実際、天才である俺にとって、ジーマ帝国はあまりに小さいと思っていた事は否定できない。井の中の蛙だった。


「だから抜け出した。ここに未来は無いと判断し、故郷を捨て、家を捨て、ほかの出稼ぎ労働者に紛れて表の世界へと……

 ラージロープ商国は才能があれば出身、民族を問わず夢を掴む事ができる。私は大きな世界に胸を膨らませながらかの地で商売を始めた。そして紆余曲折を経て成功した」


 俺はエルフランさんの話を聞いて、あの度し難い者達―――祖国を捨ててスータマに逃げ出したあの者達の顔が浮かんだ。そして、それによって俺の顔は自然と歪む。これはエルフランさんへの軽蔑に他ならなかった。


「だけど……」


「だけど?」


「だけど、封印が弱まった魔界にビジネスで帰った時、私は衝撃を受けた。表の世界が日々発展を遂げる中、魔界は何も変わっていなかった。いや、それどころか私が家を出た時より寂れていた。増えたものといったらゲートすぐにある夢の亡骸だけ……

 私は成功した。財を手に入れた。名誉も、信用に足る仲間たちも…… にも拘らず、何かが私を責め、罵倒していた。

 その正体は直ぐに分かった。久しぶりに会った父と母がやせ細っているのを見て魂で理解した。彼らは決して私を非難しなかったが、私は懺悔した。目の前にいるのは私が見ないようにしていた現実、成功のために犠牲にしたものだった」


 「彼は違う」俺のエルフランさんに対する感情は反転した。人を犠牲に、足蹴にした成功は成功者に選択を迫る。彼らを意識的にせよ、無意識にせよ無視してないものとするか、それともそれは成功の為の当然の犠牲と考えるか。もちろん成功には犠牲がつきものだ。だが、その犠牲を憂う事が出来るかどうかが重要なのだ。それを無くして人の上に立った人間は信頼すべき人すら人と思わないだろう。


「その時思ったのさ。この人たちの為に私は何が出来るのかなってね。そして、私は父の跡を継いで魔界幹部となり、成功によって得た資産の一部を魔界の発展に当て、援助し続けている。これは贖罪であり、感謝だった。

 だからさ。私は見たいのさ。あの場所に、皆が目を輝かせて追った夢が実現するのをさ」


「わかりました。エルフランリゾートのお力をお借りします。必ずやあの地を笑顔と歓声の溢れる地とします」


「これは私の我儘だ。すまないね。君と君の国を巻き込んで」


 その言葉の後、エルフランは頭を下げて、用意されたコーヒーを口にした。それに合わせ、マレードも黒い液体を口にすると、彼を信頼し、計画の全てを話す決心を固めた。これは国家プロジェクトで無暗に他人に話すべき事柄ではないが、エルフランを協力者と認め、共に成功を勝ち取ろうという気持ちになったのだ。


「エルフランさん。これはwin-winの事業なのです。魔界の為だけではなく、ジーマの為でもある…… つまり、これは私の我儘とも言えます。

 だけど、これは両者に必ず光明をもたらす事を確信しています。この計画、名付けて『ヴィーナス計画』は……」


「ヴィーナス……美と愛の神ですね」


「ええ、そして魔界に光を与える女神となります。そして、ヴィーナスには同一視されたアフロディテという女神もいます。この計画の女神は二人いるのです」


「二人といいますと?」


 マレードは自分が名付けたこの中二臭い計画を意気揚々と語り始めた。この男、暴走列車の様に一度走り出すと中々止まれないのである。


「一人は我が国の美しき姫君フィーナ・フォン・デルタ様! そしてもう一人は……」


 躊躇など無かった。マレードは計画の全てを細かく、情熱的に信用に足ると判断した同士に語った。そして、その中から課題となる問題点も浮き彫りにされていった。例えば……


「工期四ヵ月…… おおよそ現実的な数字ではないですね。最低一年以上は欲しい所です」


「完成でなくていいんです。最低でも開園できる程度の設備が整えば」


 これは妥協できなかった。この計画の二人目のヴィーナスの効果には賞味期限があったのである。それに加え、1021年度魅力のある国ランキングの審査に間に合わせたいという密かな思惑があったが、先のものに比べればどうでもよい事であった。


「うーん……」


「建設機材や魔術建設士は我が国で手配します。何十人でも…… 何百人でも…… まって、何百人は無理です」


 腕を組んで考え込むエルフランをマレードは必至で説得する。ある程度利益が生じるという自信があり、膨大な出費は先行投資として納得できる。故に、彼が恐れているのは計画の失敗と、計画が中途半端に画竜点睛を欠いて終わる事であった。


「約束は出来ませんよ。出来て園周辺の宿泊施設と飲食店店舗くらいが限界である事を理解しておいてください。それと、飲食店誘致はそちらにお任せします。そのほうがいいでしょう?」


 疲れが浮かんでいるが、魔界の『アスタロト』さんの時と違い、目の前にいる『エルフラン』さんは商人の面構えだ。だが、今この時はむしろ計画の協力者として話を進めているような気がしてならない。彼の第一目標は利益ではなく、俺と同じく、計画の成功であるという事が分かるのだ。


「えぇ、助かります。地域の企業を使った方が国民の理解も得られますし、更なる国からの支援も得られるかと思います」


 マレードは強力な味方を得たことに安堵し、深呼吸して笑顔を見せた。それをエルフランは意外そうな顔を見せた後、吹き出して声を出して笑う。その笑いは蔑みなどではない、気持ちの良い笑いであった。


「あっはははは。はは…… いや、失礼。私は少し君を、いや、ジーマ宰相を勘違いしていたようだ」


「勘違い?」


「そう。勘違いです。宰相といえば政治において君主に次ぐ権力者。しかも、その地位は選挙によるものでは無い。まさに独裁。

 そんなやんごとなき貴方が国民の理解だとか、支援を得るだとか、そういう言葉が出るなんて思いませんでした」


 宰相とは君主を補佐し、国務を総理する者。彼がそう思うのを無理はない。君主の漫画執筆活動、略してマン活の為に作られた役職だと誰が思うであろうか。


「この国は特別なんです。俺は天才だが大した人間じゃない」


「ふはは。気に入りました。私もこの国が好きになりそうです。これからも御贔屓にしてくださいね。宰相閣下」


 アスタロトはウィンクと共にそう言うと、書類の入った封筒をテーブルにおいて部屋を出ていった。それに対し、マレードは彼の後姿を笑顔で見送った。二人の間に別れの言葉は無く、視線を合わせてその代わりとした。


 この日、マレードは物事が二、三日分動いた事に満足し、邪魔者も入らない一人の邸宅で満悦の表情を浮かべながら眠りについた。




……翌日



「おはよう諸君!」


「おはようございます宰相閣下!」


「ん? あれ? 君は新人かい?」


「い、いえ閣下。本来ここにあるべき者が風邪の為、急遽代わりに皇室庁から参りました」


「そうですか…… 彼女にお大事にと言っておいて下さい」


 いつも通りにマレードは宰相府庁舎のエントランスで挨拶を交わす。そこで、受付の女性が風邪を引いたという事を知り、代わりに来た別の女性に言付けを頼んだ。

 そしてそれが終わると、眠そうな秘書を連れ執務室へ風を切って向かった。


(いい気分だ。計画は実に順風満帆。このままシリアスに、サラリーマン向けのビジネス小説の様に話を進めていこう。レッツサクセス)


 今日のマレードの機嫌は最高であった。思い通りの事が運ぶのは誰にとっても清々しい事であろう。

 ……だが、彼は重要な事を忘れていた。そして、それが発覚するのはお昼時、職員達が食堂で食器を鳴らしながら談笑している時であった。


「そう言えば聞いた?」


「え? 何々?」


「不審者の話。今日この建物の中にいるらしいよ。みんな見たって」


「えー、こわーい。それどんな奴なの?」


「なんかねー。ボロボロのコート着た長身の男らしいよ」


 その様な会話が耳に入った時、俺は全てを理解した。そして、あのままエルフランさんを扉の外に出した事を後悔した。

 そう、あの方向音痴は未だこの建物の中を彷徨っているのだ。

 俺は真相を確かめるため、エントランスに向かうと、名簿と夜間警報装置の確認を受付嬢に要請した。本来、職員退舎後に魔力素を動力にした感知装置が働いて、建物に人が残っているか判別できるようになっているのである。

 

「あれー、おかしいなぁ…… あ、宰相閣下。名簿とあと、不思議なんですけど、夜間警報装置が動いていないみたいで……」


「それは警報が鳴らないという事ですか?」


「いえ、魔力素の欠乏が原因みたいです。でも、供給経路に何も問題はないみたいなんですよねぇ」


 代理の受付嬢は不慣れな動作で名簿を見つけ、マレードに見せた。そして、不思議そうな顔をしながら夜間警報装置の不具合について説明すると、首を傾げながら彼の目を見つめた。これは愛のアプローチではなく、「これからどうするか判断せよ」というメッセージである。


「まず、館内放送で職員に不審者を見つけたら保護してくれと伝えてくれ。それと技師を呼んで原因を探ろう」


「了解しました閣下」


「これで万事解決するだろう」俺はそう思っていた。だが、現実は甘く、まるで不要な時には嫌なほど目に付く癖に、必要な時になかなか見つからない探し物の様に、噂になるほど人目に触れた男はこれ以降ぱったりと姿を見せなくなった。そして、警報装置の件も、魔力素の供給が止まったという事は判明したが、魔力素の供給が止まった原因については全く分からなかった。


(いったいどこに行ったのだろうか?)


 心配でマレードは仕事が進まない…… 今この時も人知れず彷徨っているのだ。一応職員に保護するように要請したが、突然現れた幽霊のような男に職員が危害を加えないとは言い切れない。加えて、この建物の中には無許可で入室しただけで犯罪に問われる部屋がいくつかある。


「よし、警察を呼ぼう」


 不審者との関係が関係だけに、マレードは警察が介入する事を避けていたが、エルフラン保護の為、円滑な仕事の為に警察を呼ぶことにした。


 ……そして数分後、今マレードの前には敬礼する軍服の様な制服に身を包んだ大男が立っていた。筋肉隆々な体に鋭い目つき。まるで未来からきた人型機械の様な姿は、何もしなくともそれそのものが相手に強烈な威圧を与えていた。


「ご苦労様、憲兵総監どの」


 マレードは苦笑いして男に挨拶した。


「はっ、宰相閣下のお呼びとあらば例え火の中水の中あの子のスカートの中でも、瞬きの速さで参上いたします」


(いや、ここに来るのにも数分かかったけどね……)


「いや、しかし何故憲兵総監どの自らがここにいらしたのでしょうか? 私はただ人探しを……」


「閣下の要請とあらば、このジーノ・フォン・カタル自ら参上するのは当然の事であります!」


(はぁ……)





 名門カタル家次期当主ジーノ・フォン・カタル24歳。俺並の異常出世を遂げたこの男はかつて病弱であった。

 俺が子供のころは良くカタル家の邸宅に遊びに行ったものだ。ジーノの部屋には外の世界に踏み出せない彼の為に用意された古今東西の書物が溢れ、そこでの読書は時間を忘れた。そして、本の平原に咲く一凛の美花が目を癒したのも忘れられない。

 美花の名はジーノ。流れるような銀髪、雪の様な白い肌。そして、男の俺が頬を赤らめる程の美しく整った顔立ちと人形のように透き通った青い瞳。彼は完璧であった。完璧で“あった”のだ。


「マレ兄さん。僕にもっとお話しして。この窓から見える世界の先の事を。文字では分からない世界の事を」


 甘美で蕩けそうな声色で放たれた言葉をよく聞いた。ジーノは俺に外の話をせがみ、俺は彼の芸術的な笑顔を見る為に嬉々として彼の望む話をした。

 しかし、ある日をきっかけに彼は笑顔を見せなくなった。その日から病弱な体と向き合う事になり、未来に絶望したのである。そう、その日、医者から余命一年を宣告されたのである。


「僕はもう駄目かもしれない。マレ兄さん……今までありがとう」


 彼が俺にそう告げた時、ベッドの脇に積まれていた本はきれいに片付けられ、死に向かう準備が着々と進められているのを感じた。

 だが、ジーノは死への覚悟を決められず、この世への未練が雫となって彼の瞳から溢れていた。当時10歳の少年だ。覚悟をしろという方が無理がある。


「ジーノ…… 君は…… 君は生きなきゃだめだ。君はこの国の宝だ。俺は君がこんなところでいなくなるのは絶対に嫌だ。強くなってこの世界に食らいついてほしい!」


 安い励ましなどではない、俺の心内にあった言葉。それが悔しさに震える唇から零れた。俺は彼の美しさを尊いものであると思っていたし、性格の善良さにも惹かれていた。それは恋といっても良かったのかもしれない。


「マレ兄さん…… うん、僕頑張るよ! 運命に負けるもんか!」


 俺の言葉は彼を奮起させ、最後の力を振り絞って運命に抗った。そして、彼はそれに勝利し未来を手にしたのだ。

 ―――美しさを犠牲にして―――

 次に会った時、彼は今目の前にいるような筋肉の塊となっていた。俺は最初その大男がジーノであると分からなかった。それ程までに変化は大きかったのである。

 あぁ、付け加えると、勿論、俺は彼の生存を喜んだし、神とやらに感謝もした。だが、同時にその美しさを剥奪した神に唾を吐きたくもなった。


 そして、彼は大量の本で培われた持ち前の知識と、新たに得た筋肉でエリート街道を駆け上がり、家柄も利用して今の地位に就いたのだ。





「うーん。今回は君が出るまでも無いと思うよ。相手は敵性勢力ではないし」


「ここは国の政治の中枢。閣下はジーマ最大重要人物が一人。この私が出ずして誰が出るのでしょうか?」


 ジーノは先に自分が言った言葉の内容を少し変えて、繰り返し発言した。その様子にマレードも折れ、彼にエルフラン捜索を任せる事にした。いや、せざるを得なかった。


「施設内で行方不明となったのはエルフランリゾート会長のエルフラン氏だ。彼は我が国の事業に参加する事になっている。憲兵総監。この事はくれぐれも内密に願う」


「はっ、御意にございます閣下!」


 ジーノはいちいち声が大きく、部屋に充満する全ての空気を震わせる。壺でもあったら割れてしまいそうだ。


「それと、分かっていると思うが危害を加えてはならないぞ。あとあと、彼は神出鬼没にして蜃気楼の様な男だ。心してかかるように」


「勿論であります閣下! ここには憲兵隊精鋭の30名が集合しております! 鼠一匹取り逃す事はないでしょう」


「え? 30人!?」


 憲兵隊30人は強盗や立てこもり事件並の動員数だ。この数字には流石に俺も驚いた。だが、これならすぐに発見できるだろう。

 

「よし。任せたぞ」


 俺は彼らの働きに期待し、捜索開始を伝えた。そして、その言葉を受けると、ジーノは表情一つ変えずにトランシーバーで仲間に指示を伝え、自らも敬礼の後、捜索のために部屋から出ていった。威圧の塊のような大男が去り、部屋の空気がいつものものに変わると、俺は少し安堵した。

 だが、我が国が誇る精鋭憲兵隊をもってしても、エルフランさんの人知を超えた方向音痴には手を焼いた。あれから一時間を経過したが、不審者の不の字も見つからないのである。しかし、副産物的な奇妙なものの発見が憲兵隊を通し、執務室にもたらされた。


「……なにこれ?」


 執務室の近くにある給湯室。そこに隠されているように穴が見つかったのである。


「綺麗な穴だ。ささくれも凸凹もない」


 マレードは不思議な穴を指でなぞりながら、恍惚の表情でその出来に感嘆した。穴の大きさは人がギリギリ通れる一辺50センチの正方形。それがスロープの様に下に続いていた。


「この先はどこに続いている?」


「調査の結果、地下水道に続いているようです」


(あっ……)


 誰でも考える事だが、施設内にいないとすれば、彼はここから外に出ていった可能性が高い。そして、その予測が正しかったという証明が憲兵隊の一人から告げられた。曰く「マンホールから頭を出した不審な男を発見。男は『私は迷っていない。ただ、気分転換をしていただけ』と意味不明な事を言っており、現在事情を聞いている」との事だ。

 俺はその男がエルフランさんだと確信し、憲兵隊に飛行場まで連れていくよう指示を出した。無論、彼にはこの穴を作った容疑があり、憲兵は不満の表情を見せたが、我々の計画は一刻たりとも無駄には出来ぬ状態にあり、宰相の権力で無理やり彼を帰した。


「彼はこの穴の作成に関与していない。これは俺が保証する。諸君は調査を続行し、真の犯人を突き止めてもらいたい」


 俺はそう言って憲兵たちにこの場を任せると執務室へ戻った。エルフランさんの安全が確認できた事で安心し、集中して仕事に取り掛かれると思ったからだ。

 今の俺にとって計画のキーマンである彼の事が最も重要であり、彼の事が解決した事で全て終わった気になっていた。この時は知る由もなかった…… あの穴の裏には、魔界人もビックリな陰謀があった事を……


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