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桜酒  作者: 臥待 月
4/4

第四話

「なんだかもぞもぞ動いているし

 少し温かいんだよ」


男の言葉に衛兵たちはたじろいで

後ずさりをした。


郁子から提灯を取ると藤子は

男が下ろしたものを照らした。


提灯の灯りで浮かび上がったのは

少女の顔だった。


頭から足まで灯りを移動させると

火事から逃げてきたような

裸足で服はあちこち焼け焦げ

やけどもあった。


「子供じゃないか」


次の瞬間、少女を覗き込んでいた藤子の

体が2,3度痙攣のように震えると

音も立てずに倒れた。


ゆっくりと倒れたので

提灯は地面に落ちるまでに

男が受け取っていた。


藤子は気を失っていた。


男は提灯を郁子に渡すと

「そいつはあんたたちに任せる。」

と藤子を抱き上げて庵に戻った。


庵に戻り藤子を寝かせると

藤子が目覚めるまで男は

傍らについていた。


「大丈夫か?」


気がついた藤子に男は声をかけた。


「うなされていたよ。

 恐い夢でも見たか?」


「ええ・・・何か言ってた?」


男は眼を伏せて首を横に振った。


「いえ・・・」


藤子は手を伸ばした。


男はその手に自らの顔を乗せた。


「どうしました?」


藤子は男の長い髪を指に絡めた。


「お前に身請け話をしていた頃を思い出していた。

 

 なつかしい」と笑った。


「あの時はオレが床の中でしたね。」と男も笑った。

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