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第一話
荒涼とした大地。
草木は焼けたのか腐ったのか。
かすかな痕跡を残した
寂しい大地に男は少女を抱えていた、
露になった素肌も
愛くるしい顔も血と泥で汚れていた。
少し前に男の元に駆け寄る少女の
背後に数本の矢が二人に向かって
放たれた。
男にしがみつく少女に背中に
その矢が突き刺さる。
その場に少女が崩れた。
少女の白い細い指が
男の頬の涙に触れた。
「ごめんなさい。
あなたは生きて・・ね。」
それだけ言うと少女の手が
男の頬から離れて地面に着いた。
口元に微笑みと涙を残したまま。
男は空を見上げて慟哭した。
空に向けて手を突き上げたところで
男は目が覚めた。
体を起こすことなく深いため息をついて
ぼんやりと天井を見ると違和感を覚えた。
「春秋楼じゃないんだ。」
男は昨夜までの記憶を手繰り寄せた。