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第6話 聖女、リーダーを陥落させる

「ナンダキサマハ……」

「ソイツヲワタセ!」

「シゴトノジャマヲスルナ」

「ジャマスルヤツハシネ」


 四体のスケルトンリーダーが私を取り囲む。私はゆっくりと深呼吸する。今私の格好は聖女ではない。ならば演じ切るまで。


「あら、あなた達もこの果実に埋もれたいのかしら? 大人しくしてくれたなら、考えてあげてもい・い・わ・よ♡?」


 うわっ、何やってるんだろう、私。もう恥ずかしくてお嫁に行けないです……。

 この衣装、谷間の部分が一部剥き出しになっている。布地の隙間から見えるサキュバスの豊満な果実。スケルトンリーダー達にはそう見えただろう。仕事をしていたスケルトン達も手を止め、行く末を見守っている。


「ちょ、あんた達は手を休めないで仕事を続けなさい!」


 グロリアがスケルトン達へ声をかけ、スケルトン達は横目で私を見つつ、魔力炉の動力棒を回し始める。


「クケケケケ……サキュバスナラワレガクッテヤル」

「オカスオカス!」

「チョウドハラヘッタトコロダ」

「オカシテコロス……ケッテイ!」


 鞭を持ったスケルトン達が少しずつ距離を詰める。この子達は相手の強さを量る事が出来ないのだろうか? スケルトンリーダーはDランクか多く見積もってもCランクだ。私は頑張って愉悦を籠めた笑みを浮かべてみる。


「うふふふ……いいわ。私のスキルに呑まれなさい!」


 刹那、私の全身から光が発せられる。私がブラックを助けた際、トロールへ放った〝聖女の閃光(ディーヴァレイ)〟。今回は少々効果を弄ってある。今彼等の脳内は、全身をマッサージされた時と同じ位の快感が駆け巡っている筈だ。それにしてもこういう言い回しは疲れる。


「ナンダコレハーーーー」

「ニャーーゴロゴローー」

「キ、キモチイイ」

「ホワーーーーー」


 スケルトンリーダー達が鞭を投げ捨て、ゴロゴロし始める。旗から見れば、サキュバスが淫靡な妖気(オーラ)でスケルトンリーダーを蹂躙したかのように見えるだろう。スケルトン達は生唾を飲んでその光景を見つめている。


「ほへーーーーほへほへーールーシア殿(・・・・・)。何やってるほへーー」

「あら、ブラック(・・・・)。こんな所に居たのね!」


 私がブラックへ話しかける様子を見て、スケルトン達がざわつき始める。グロリアも一階へと飛び降りる。


「……なるほどね、トロールを手懐けたそのスキル。かなり使えるわね」

「ほへーー、流石です、ルーシア様」


 グロリアとブラックと親しそうに話している私を見て、ごろごろしていたスケルトンリーダーの一体が、話しかけて来た。


「ブラックカチョウ(・・・・)……ソノサキュバスサマハイッタイ……ゴロゴロ」

「え? 課長? ブラック貴方、課長なの?」


 スケルトンリーダーの発言に驚く私。つまりブラックは、スケルトンリーダーより上位という事になる。そんなに強く見えないのに……。


「ほへーー、一応小生、この子達を束ねるカチョウという者をやっておりますほへーー」

「まぁ、ブラックは私が幼い頃拾ってあげたスケルトンだからね。隷属契約した際、スケルトンジェネラル(・・・・・)に進化したという訳」


 彼は課長の意味を果たして分かっているのだろうか? あ、そうか、ジェネラルだから、こんな流暢に会話が出来るのか。……って。


「スケルトンジェネラル!? ブラック、Cランク魔物(モンスター)だったの?」

「ほへ? Cランク? 人間の国で付けられるランクの事でしょうか? 小生、進化の際、頭脳は発達したのですが、戦闘はからっきしダメほへよ」

「同じスケルトンジェネラルでもこんなに個体値が違う事があるのね」


 私の国で研究発表したなら、新発見として表彰されるレベルかもしれない。騒ぎが落ち着いたところで、グロリアが皆を注目させる。


「スケルトン達、聞きなさい。今日から私達の仲間として迎え入れた上級悪魔(・・・・)のルーシアよ。当面は、私達の健康管理をしてもらうわ。新人だけど、あんた達よりずっと上位なんだからちゃんと礼儀を弁えなさい」

「お前達はルーシア様と呼ぶほへーーーー!」


 グロリアとブラックの言葉に部屋中のスケルトンが呼応する。


「コケケケケ」

「クケケケケ」

「……ルーシアサマコケ……」

「サキュバスメロン……コケ」

 

 あ、そっか。普通のスケルトンは喋れないのね。あれ? でもサキュバスメロンって聞こえたような?


「嗚呼、ルーシア、貴女も私と契約した事で念じる事で魔物との意思伝達が可能の筈よ?」

「あ、それで今言葉が聞こえたような気がしたんですね。あの、グロリアさん、健康管理って?」


 魔物との意思伝達。会話出来ない魔物との意思疎通が出来るという事になるのね。それにしても、いつの間にか私の仕事が決まっている気がする。


(まぁ、あんたの魔法やさっきのスキル、健康管理に持って来いでしょ? 今は倒れたスケルトン達を〝闇堕ち温泉〟へぶち込んだりはしているけど、最近みんな言う事聞かなくなってるのよね。だからルーシア、貴女に手伝って貰おうと思って)

(分かりました! そう言う事なら私、頑張ります!)


 早速グロリアが思念で会話を送って来たため、返事をする私。



(メロンサキュバスサマーーワレヲオカシテェーー)

(ペロペロシタイ)

(アノイフクノシタニアクマノカジツガ……)

(ハタラキタクナイデゴザル)


 ……今、なんか、スケルトン達の聞いてはいけないような心の中が大量に聞こえて来たような気がするけど……きっと、気のせいだよね、はははは。


 果実が強調されたサキュバスのレオタードを見つめ、私は溜息を吐くのであった。


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