第24話 聖女、従業員(骨)を特濃ミルクで饗す♡
大魔王エクストリーム社史上初となる『はよカエルデー』。この日は魔力炉を担当しているスケルトン達限定で行ったが、これが業務効率化へと繋がっていったなら、次第に他部署へ波及していく筈だ。俗に言う試作運転というものだ。
初めは戸惑っていたスケルトン達も、私がスカウトしたモフモフ軍団と入れ替わるようにして、無事定時退社を果たす事となる。魔族の国の城下町で遊んでもよし、マネ泉で疲れを癒してもよし、恐らく人生……否、スケルトン生初となる余暇を過ごすスケルトン達。
晩御飯は〝何の肉か分からない肉〟ではなく、食堂にて提供される獣人族お手製の料理の数々。
今日は初〝はよカエルデー〟実行日という事で、祝宴と称してカエル肉以外の家畜肉を使ったロースト、ビックダックのオムレツ、季節野菜と燻製肉のチャーハン、栄養満点スペシャルグリーンスープなど、バイキング形式で提供する事となった。
「ほへー-、ほへほへーー。ルーシア様。小生、幸せ過ぎて、昇天してしまいますーー」
「喜んで貰えてよかったわブラック」
空洞の瞳の奥にハートマークを浮かべ微笑むブラック。昇天出来ない骨が天にも昇りそうな表情をしている。
「さぁーーお骨の皆様ぁああああ、ごゆっくり楽しんでねぇーー」
「コケケケケ……(シンデルノニシヌーー)」
「こうやって見るとお骨ちゃん可愛いわねぇーー」
「コケケーーーー!(バニーフェロモンウマイ)」
「スケルトンさん、たんと食べて下さいーー」
「ココケケケケーー(ルルタソカワユスペロペロ)」
ランチタイムの給仕係をやっていた猫耳メイド達に加え、祝宴という事で、私と共に勇者パーティを退けたあの兎人族三姉妹、ララ、リリ、ルルがスケルトン達を饗していた。心中が読める私としては、あのスケルトン達、あのままで大丈夫か? と苦笑するしかなかった。
「どう~~? ルーシア! 庶民の味を堪能しに来てあげたわよ?」
そこへ、物凄い煽り文句で上流階級の舌を持つ美少女魔王様がやって来る。突然の魔王の登場に、慌てて立ち上がり敬礼するスケルトン達。
「グロリア、みんな驚いてるじゃないですか! スケルトンさん達は業務時間外なんですから驚かせちゃ駄目ですよ」
「嗚呼、そうだったわね、業務時間外。今日は無礼講よ、みんなせっかくの貴重な時間、楽しみなさい」
スケルトンが歓喜の音を鳴らし(骨がコキコキ言ってるだけ)、食事に被りつく。皆、宴を楽しんでいるようだ。
「魔王様、初めまして。獣人族の村出身、兎人族三姉妹の長女ララです。この度は雇っていただきまして、ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
「ええ、こちらこそよろしくね。セクシーな子と可愛い子は私としては大歓迎だからね」
紅色の瞳を輝かせたセクシーバニーのララが女魔王と握手を交わす。
「魔王様にセクシーと仰っていただき大変光栄です!」
「これから貴女達三姉妹には、ルーシアの仕事を手伝って貰うわ。仕事振りが良ければ社員登用もあるから頑張ってね!」
「はい、ありがとうございます!」
グロリアとララの様子を私が笑顔で見つめていると、横で悶える桃尻バニーが現れた。
「魔王様もルーシア様もぉ~~♡ 凛々しくて美しいわぁ~~♡ 私立っていられないのぉおお!」
「うちの姉がすいません、魔王様」
臀部をフリフリさせつつ悶える次女リリと、姉の無礼を謝罪するしっかり者で可愛らしい兎ちゃんのルル。特徴的な三姉妹の様子に思わず苦笑するグロリア。
「面白い子達をスカウトして来たわねルーシア。今後の活躍も、期待しているわよ」
「ありがとうございます、グロリア」
私達がそんなやり取りをしていると、猫耳メイド達が、メインディッシュを運んでいた。魔王城の上級階級が嗜む至極の逸品、サタナフィールドに生息するエビルダックの丸焼きだ。巨大な丸焼きの登場に、会場が息を呑む。
「ちょっと、あれ? 貴重なエビルダックじゃないの! ルーシアどうしたの、あれ?」
「ふふふ、今朝タロウ達に狩って来て貰って来たんですよ。それだけじゃないですよ?」
続けて給仕係のリーダーを務める猫耳メイドのビビビが大鍋を抱えてバイキングの料理が並ぶ一角へと置く。刹那、ビビビから発せられた言葉に、食堂で料理を堪能していたスケルトン達に衝撃が走る。
「本日搾りたてのミルクで朝からルーシア様が煮込んだ手作りのサキュバスクリームシチューですよ? 皆さん、順番に並んで。ご堪能下さいね♡」
(ウオオオオオオオオ)
(ナマシボリサキュバスミルクゥウウウウ)
(ルーシアサマルーシアサマ)
(コンナノショウテンシテシマウワ)
んん? オカシイ……早朝グロリアの侍女である灰色の猫耳侍女メーティに案内してもらい、魔族の国で飼っているミノタウロスのミノちゃんの特濃ミルクを絞って来ただけなんだけどなぁ……。何かスケルトン達が勘違いしているような……。
私がそう思っていると、横から腕をツンツンされる。そこには……頬を赤らめている美少女魔王様の姿。あれ? 何かハァハァ言ってません?
「ねぇねぇルーシア。貴女の特濃ミルク……私も食べたいわ♡」
(ちょっと、こんなところで発情スイッチ入れないで下さいグロリア)
この後、魔王様を含め、給仕係の猫耳メイド達や兎人族三姉妹も交え、高級料理のエビルダックと私が創ったクリームシチューを皆で堪能するのであった。




