お前もか
本当は今すぐサンダルを脱いでお邪魔したい。しかしそれはできない、なぜなら私は重度の絨毯アレルギーだからだ。触れてしまうと、「一定時間股間が勃たなくなる(女性の場合は一定時間股間の穴が塞がる)」「発話全てに濁音がつく」のいずれかの症状が出てしまう。
時間は刻々と過ぎて行く。私はどうすればいいんだ。「誰もいないから遊びに来ない?」と誘われた時に、床が絨毯でないか確認し忘れたこと、暑いからとサンダルを履いて来たこと。後悔が止まらない。
周囲が騒ぎ始めた。
「どうしたの?上がっていいのよ?」彼女が顔を赤らめながら促す。私は決めた。付き合って1ヶ月、ようやくこの時が来た。何としても今日、彼女と1つになりたい。意を決してサンダルを脱ぎ、裸足で踏み出す。そして彼女を優しく後ろから抱きしめた。
「××、ずぎだ、あいじでる」
彼女は私の発話に戸惑いながらも、髪をほどき、靴下を脱いでから、私に身を委ねて来た。
「わだじもよ、あいじでる」
ベットが軋む音は、夜が明けるまで止むことはなかった。