Ⅱ 情報整理と決意
そんなこんなで幼児生活をすることはや半年、いろいろと情報を得られてきたのでまとめようと思う。
第1にここがどこかだが、ここは異世界で決定だ。
西洋風の建物が多いことから中世ヨーロッパあたりにタイムスリップしたという説も浮かんだが後述する理由により否定された。
西洋風異世界、なかなか良い具合である。
第2に自分のことだが、名をカイル。
母を含めた様々な人から呼ばれていたので恐らくは確定だ。
そして家柄だがそこそこ高貴な身分なのだろうと思う。
理由としてはまず家がでかい。全部を見たわけではないのだが、今いる自室を見るだけでも生前俺が住んでいたアパートの部屋よりでかい。
後はメイドが居たり鎧を着た騎士風の男が居たりなどなど、まあ子供にもわかるレベルで金持ちなのには間違いない。
そして第3、これがもっとも重要なことである。
俺は見てしまったのだ。
自室の窓から見える庭の一角で、体の半分はありそうな杖を構えた人達が、その杖から、火を放つのを!これだけでは最新型の火炎放射器じゃね、と難癖をつけてくるものもいることだろう。
しかーし、次の瞬間驚くべき光景を目にしたのである!
その杖を構えた人達が再び杖を振ると、目の前の土が盛り上がり勢いよく前に噴出したのだ!
これすなわち魔法!そう、この世界には、魔法、が、ある、のだ!!
その時の俺の興奮はすさまじく、世話役のメイドが慌てて駆け寄ってきたほどだ。
その晩は案の定興奮で寝付けなかった。
以上がこの半年でわかったことのまとめである。
量としては大したことないが、異世界そして魔法の存在が明らかになったことは、今後生きる上での大きな要素となる。
ああ魔法。
どんな魔法があるのかなぁ。
もしかして固有の魔法、いわゆるチート魔法を持ってたりして!
いや持ってるだろうなぁ。
なんたって異世界転生だしなぁ。
そんな当てのない妄想ばかりが膨らんでゆく。その妄想を実現するためにも一刻でも早く言語を習得しさまざまな知識を得ようと一人静かに決意するのであった。