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天道虫と秋刀魚

作者: 羽生河四ノ

勿論、結婚式の定番ソングを聴いて考えました。

 商店街で買い物をしていると、魚屋に秋刀魚が売られていた。

 「お、秋!」

 そう思った。あと、

 「秋口さんとこで、この事を書かない手はない!」とかも。


 んで、


 不思議なことだとは思うんだけど、我が家には縁側がある。

 縁側、

 うん。ヒラメじゃなくて。

 縁側。

 で、

 縁側があるということは庭なども多少なりあるということに他ならない。

 

 だもんで去年ゾンアマで七輪を購入しており、それで有事に備えていたのだ。

 んで、更にこれまた以前、練炭もホーマックで買ってたのがあった。

 

 その為、私はそれらのアーティファクトを駆使して買ってきた秋刀魚を焼くことにした。


 ヴァルキリーだってこれだけあったら秋刀魚を焼くと思う。


 上級配列変換すると思う。


 それに仮にもブログというものにこの出来事を書こうと思うなら、それくらいの自助努力はしないといけない。


 ウィキによればブログというのは何かしら有益な事を書かないといけないらしい。


 その意味で言えば秋口さんところはひどい。


 絶歌くらいひどい。


 悪魔の行いである。


 鬼畜の所業である。


 だから、この辺で一発秋刀魚を七輪で焼いてみることにした。まあ、ようつべでもユーチューバーが『やってみた』系の動画を上げるでしょう?私としてもそういう感覚。

 あ、

 無論、写真はアップしないけど。

 だって写真は炎上する可能性を秘めている。あと著作権とかもあるかもしれないし、少し前のバカッターとかだって写真を上げることで多くが炎上していたではないか?それに秋刀魚側からリベンジポルノとか言われて訴えられても困るし。


 文字だけだったら、いざとなったら『これはフィクションです』って書いたらいいんだし。


 夏に使っていた『酒は飲んでも飲まれるな』うちわを使って網の上で焼かれている秋刀魚を仰ぐと、ほのかに秋刀魚のあの塩かけたら旨い感じの匂いが漂ってきた。


 「あー!」

 その匂いに私はもう我慢できなくなり冷蔵庫に走り、冷えたビールを取り出し即開けて、飲んだ。


 「あー!」

 縁側で七輪で秋刀魚を焼きながらビールを飲む。


 秋だ。


 もう、それはまるでアサヒビールのCMみたいだった。


 いいね。


 フェイスブックだったら『いいね』が死ぬほど付くような感じだった。






 

 「おいしくなあれおいしくなあれ」

 藤岡弘先生の真似をしながら、私がじっくりと集中して秋刀魚を焼いていると、


 「お前ええ!」

 といって妻が二階から降りてきて、勢いそのままに私の居る縁側に突っ込んできた。


 「何か?」

 私がビール片手に妻を確認すると、


 その妻は間髪入れずに私の服を剥ぎ取った。


 「うぎゃあ!」

 私は叫んだ。


 私の上半身は突然に、この秋のほんのり涼しげな外気にさらされた。さらされまくった。惜しげもなく。

 なんだこれ?

 自宅の庭でなんだこれは?なんか・・・なんだろ・・・変態じゃないか今私は・・・庭変態じゃないか、庭完全変態じゃないか・・・。


 はっ!


 「な、何するだ!」

 驚いた私が叫ぶと、


 「あなたって、お酒飲むと直ぐに顔赤くなるわよね」

 と、私の上半身露出症のことなど全く無視して言った。え?何?プレイ?これ、そういう?私は秋口の庭で上半身露出しているのに?無視プレイ?虫プレイ?


 私は庭で究極完全変態しているのに?


 「で、知っているのかな?あなたって顔が赤くなって、上半身に黒いなんか斑点が浮き上がってくるのよね」


 「は?」

 なにそれ?知らないんですけど?え?ちょっと何?


 「ほら、ここ、これ、黒い斑点七つ」


 「・・・おお!」

 私は叫んだ。本当にそうだった。黒い斑点が七つ。なにこれ?何?なんか病気?え?何ちょっと?何?


 「顔赤くって、黒い斑点七つって・・・お前てんとう虫かよ?」

 妻は言った。私の斑点など一切気にしないで。なんかの病気かも知れないのに、そんなの一切関係なく。笑って。深刻ななにかかも知れないのに。


 「ナナホシテントウかよ?」

 それ、言葉責め。完全に言葉責め。完全変態に対しての完全言葉責め。


 「・・・」


 「うおあ!サンマだ!!」

 妻はその時初めて七輪の上に乗ったサンマに対してコメントをした。その時にはもう、私の事などにはすっかり興味が無くなっているみたいだった。


 それから妻は、私の、上半身裸の私の、完全変態私の手に持っているビールを見て、


 「私も飲む!」

 そう言って冷蔵庫に向かった。


 私は、秋口、自分の家とは言え、庭で、外で、上半身裸で、ビールをもったまま、自分の体の黒い七星を見て、不安な気持ちのまま、棒立ちになっていた。


 はあっ!


 「ねえ?これなに?いつから、知っている?」

 三途の川くらいまで行っていた自己を取り戻して、私は妻に対して言った。


 「しっかし、縁側でサンマ焼いてビールって、なんか金麦のCMっぽくねえ?」

 妻は金麦を飲みつつ言った。嬉しそうに言った。嬉しそうだった。


 無視っ!?


 「ちがくて、これ、この黒い七星、いつから?知らない?ねえ、君、なんか知らない?」


 「私も一匹頂きますわね」


 「はあ・・・いや、そうじゃなくてさ」


 「内蔵はあげる」


 「ねえ!」



まえがきで書いたのは嘘です。聴いたことありません。すいません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とっても秋刀魚が食べたくなる話。炭と七輪と、秋刀魚の魅力に溢れています。ビール片手に最高でしょー。 エンガワと縁側をカケているのも好きだし、秋口高瀬と秋口をカケているのも然り気なくシャレ…
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