†出逢い~斉藤鋼欣視点1st~†
斎藤鋼欣視点のお話です。
チビルーナとチビ鋼欣ですよ☆
俺の名前は斉藤鋼欣。
音楽専門の高校に通っていて、将来声優を目指している。
あと、自慢話に聞こえるかもしれないが剣道を習っていて、全国大会で優勝するぐらい強い。
だからなのかは知らないが、何故か俺は女子達にモテる……らしい。
しかし、俺には小学生の頃から好きな人がいる。
名前はルーナ・セレーネ。
少しウェーブのかかった白銀の髪を腰まで伸ばしていて、左目が紅く右目が蒼い。
ルーは自分の容姿を気に入ってないらしいが、白銀の髪は真珠のようで、左目は鮮やかなルビーに右目は目が冴えるようなサファイアみたいだと俺は思っている。まるで宝石箱だ。
昔は金髪碧眼だったらしいが、アルビノというやつで今のような容姿になったと聞いている。
アルビノは身体中の色彩が薄くなる障害だ。
そのせいかルーは雪のような白い肌をしていて、 その白い肌が薄桃色の唇と綺麗に合わさって、まるで綺麗な人形のようだ。
ルーと初めて逢ったのは小学3年生の時。
その日は雪が降り積もっていて、街中が綺麗な白銀の世界だった。
そんな白銀の世界から導かれるように、ルーは転校生として俺のクラスにやってきた。
ルーが教室に入ってきた瞬間、教室がまるで時が止まったように静止した。
他のクラスメイトは見たことのない真っ白で、紅と蒼の瞳を持つルーに好奇の視線を向けていた。
でも、俺はただ単純に、純粋に、綺麗で宝石みたいな子だと思って、ルーに一目惚れをしたんだ。
そんな色々な視線を向けられたルーは、少し怯えた目をしていた。
「それじゃあ、自己紹介して?」
担任の先生がそうルーに促す。
「ル、ルーナ……、セレーネ、……です。
よろしく…お願い……、します…。」
ルーは少し怯えて震えた声でそう言った。
怯えて震えた声だったけど、その声はとても優しく綺麗な音色のような声だった。
「じゃあ……、席は斎藤君のお隣ね。」
そう担任の先生が言った瞬間、俺は心の中で歓喜したのを今でも覚えている。
俺が手を振ると、ルーは少し俯きながら早足で俺の隣の席に来て座った。
「俺、鋼欣っていうんだっ!
これからよろしくなっ!!」
俺がそう言って手を差し出すと、ルーはびっくりしたような顔をして、訳が分からないという顔で俺の手を首を傾げながら宝石のような目で見ていた。
サラリと白銀の髪が揺れる。
────か、可愛い!!人形みたいだ!!
「あ、握手だよっ、握手!!」
惚けていたのを悟られないように、俺は慌てて更に手を差し出す。
「……よろ、しく?」
ルーは戸惑いながらそう言って、恐る恐る俺の手に自分の手を重ねた。
───ルーの手は、柔らかくて少し冷たかった。
♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬
休み時間になると、ルーの前に他のクラスメイトが集まって質問を続けている。
ルーは辿々しく質問に答えていた。
───どこに住んでるの?
───お父さんとお母さんはどんな人?
誰かがそうルーに問いかける。
その質問を聞いたルーは、一瞬だけ怯えて辛そうな顔をして、こう言った。
「海の近くの……孤児院に住んでるの…。
お父さんとお母さんは……、
小さい頃に………死んだの。」
ルーは、手を強く握りながら俯いてそう答える。
その時、丁度チャイムが鳴って他のクラスメイトはそれぞれ散っていった。
その後ルーは、ずっと暗い表情で静かに授業を受けている。
そして、それから休み時間になっても誰もルーの所に来ることはなかった…。
♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬
下校時間になって、みんなそれぞれ友達同士で帰って行く。
俺はルーの目の前に行くと、「一緒に帰ろうっ!!」と誘った。
ルーはまた訳が分からないという顔をして、俺を見ている。
「俺の家お前の住んでる所の近くなんだ!!」
実際にそうだったし、俺は絶対にルーと帰ると決めていた。
「………いいの?」
ルーは少し怯えた声でそう問いかける。
「…?いいからっ!帰ろうぜっ!!」
何でそう質問するのか分からなかったが、俺はそう言ってルーの手を握って外に走り出した。
「あっ………!!」
ルーは慌てて走り出す。
外は雪が降っていて、白銀の世界が広がっていた。
「傘持ってる?」
ルーに問いかけると、ふるふると首を振る。
────おぉっ!!相合い傘だ♪
俺は嬉しいのを悟られないように傘を差して、手を繋いだままルーを招き入れた。
ルーは、少し戸惑っていたけど大人しくしている。
それからは、何が好きとか嫌いとか、得意、不得意とか何気ない会話をしながら歩いていた。
両親の話は、聞いてはいけない気がして聞かないようにする。
雪が降る白銀の世界にいるルーは、とても綺麗で可愛かった。
でも、何故かどこか悲しげで消えてしまいそうで、俺は手を少し強く握る。
そうしてルーの住んでる孤児院に辿り着いた。
「じゃあなっ!また明日!バイバイっ!!」
手を離してルーと別れるのは少し残念だったけど、俺はルーにまた明日と手を振る。
「ばい…、ばい…?」
ルーは戸惑いながらも、小さく手を振り返した。
「おうっ!!」
俺は嬉しくて手を振りながらそう言って、名残惜しく家に帰る。
明日は何の話をしようか。
何して遊ぼうかと、俺は明日がとても楽しみで仕方がなかった。
俺は、これからルーと過ごす学校生活を楽しみにしながら眠りにつく。
でも、俺はそれから3日間風邪をひいて学校を休むしかなかった。
───その間、ルーが虐めに遭って心を閉ざしかけていることを知らずに……。
鋼欣「ルーナ!!雪だるま作ろうっ!!」
ルーナ「お家…、帰らないの?……怒られない?」
鋼欣「まだ明るいから大丈夫!ほら、行こう!!」
ルーナ「あっ………ま、待って……!!」
鋼欣「ほらっ、ここから一緒に転そう!」
ルーナ「う……、うんっ」
鋼欣「せーのっ、で持ち上げるんだよ?」
ルーナ「……分かった。」
鋼欣「よしっ、せーのっ!!」
鋼欣&ルーナ「「出来た!!」」
鋼欣「後は顔とか手を作って完成だな♪」
ルーナ「うんっ……!」
鋼欣「顔も手も付けたのに、何か物足りない?」
ルーナ「私の…、帽子…被せる……。」
鋼欣「おぉっ!!これで完成だな♪」
ルーナ「うんっ……!」
鋼欣「もう、暗いし帰るか…。」
ルーナ「……うん。……くしゅんっ!」
鋼欣「……俺の帽子貸すよ!」
ルーナ「でも……、そしたら、斉藤…、君がっ、
風邪……ひいちゃうっ……!」
鋼欣「俺は大丈夫!!学校とかで返してくれれば
いいから、なっ?」
ルーナ「あっ……、ありが、とう……/////」
鋼欣「お、おうっ!!さ、帰ろうっ/////」
ルーナ「うんっ…!!」
───こうして、チビ鋼欣は風邪をひくのでした★