†闇の森†
久し振りの投稿です。
遅れてすみません……orz
スマホが寿命尽きかけてます。
三年も持つと限界なのですかね~
昨日新しいスマホに変えようとしたのですが、色々あって出来ませんでした。
愚弟のせいです!!
今日は森の探索のお話です。
迷宮まで描きたかったのですが、スマホがバチッと逝きそうなので森のお話で止めときます。
誤字脱字あったらごめんなさいorz
そして、今から新しいスマホに変えてきます!!
朝の9時にディラン達は屋敷の前にいた。
「それじゃあ、私達は出掛けてくるわね?」
ルイーゼは、エリーゼとカタリナを伴ってディラン達に笑顔を向ける。
「ふむ。気を付けてな?」
「行ってらっしゃい~。」
「土産は食い物で!!」
ディラン達3人もルイーゼ達にそれぞれ見送りの言葉をかけた。
「ふわぁ~……。行ってきますの。」
「行ってきます。
はぁ……、兄さんのお土産はないわ。」
「何でだよ!?」
カイルとカタリナの兄妹は言い争いを始めている。
「エリィ、先に馬車で休んでて良いのよ?」
「そうしますの……。」
エリーゼは、言い争いをしている兄妹をいつものことだと気にせずに、欠伸をしながら1人馬車へ乗り込んだ。
「分かってるとは思うけど……、気を付けてね?」
ルイーゼはそう言って、自分の夫と息子に笑顔を向ける。
しかし、その瞳は不安と恐怖に揺れていた。
「ふむ。分かっている。」
「大丈夫だよ~。安心して良いからさ~。」
ディランは真剣な表情で頷き、ウィルはへらへらと笑ってわざとふざけているように呟く。
「ウィルは不安だわ……?」(黒笑
「ひふぁい……!!」(涙目
ルイーゼはニコニコと笑って、ウィルの頬を抓っていた。
「とにかく!!夕食までには帰ること!!
それから、みんなでご飯食べましょう?
もちろん、ルーナちゃんと黒狼ちゃんともね?」
ルイーゼは子供に言い聞かせるようにそう言って、ウィルの頬から手を放す。
「ふむ。必ず帰る。」
「イテテ……。分かってるよ……。」(涙目
ディランはルイーゼを安心させるように優しく微笑んで、ウィルは涙目で頬をさすりながら拗ねたように言った。
「それじゃあ、また、ね?」
ルイーゼは満足そうな顔で馬車へと乗り込む。
「はぁ……。ほら、お前ももう行けよ。」
カイルは疲れたように溜め息を吐きながら、何故か拗ねているカタリナにそう言った。
「分かってるわよ……。
必ず、ディラン様達と一緒に帰ってこないと……、駄目なんだからね!?」
カタリナは俯いてカイルの服の裾を弱々しく握り締めながら、不安そうに小さく叫ぶ。
「分かってるって。
あいつも必ず捕まえてきてやる。
そしたら、もう俺達は過去に囚われたりしねぇ。
だから、お前はちゃんとルイーゼ様達を守れ。
それが、今のお前の任務だからな。」
カイルは力強くそう言って、カタリナの頭を優しくポンポンと軽く叩いた。
「うん……。行ってらっしゃい。」
「おう!!気を付けてな?」
「兄さんも気を付けて。
お土産はいつもの買ってくるから……。」
「あぁ。頼んだぜ。」
カイルはニカッと笑ってディランとウィルの方へ向かう。
「約束なんだから………。お兄ちゃん。」
カタリナは、右耳を飾っている深緑色のイヤリングを握りしめながら誰にも聞こえないように小さく呟いて、ディランとウィルに一礼してから御者台に上がって馬の手綱を握り街へと向かった。
「さて……、行くぞ。」
「面倒だなぁ……。」
「絶対に捕まえてやる!!」
ディランは静かに低い声でそう言って、ウィルは無表情で小さく吐き捨てる。
カイルは懐から取り出した深緑色のイヤリングを握り締めて、誰かに誓うように小さく呟いていた。
そして、3人は何処かへと向かう。
そこでは、醜い欲望に塗れた陰謀が罠を仕掛けて3人を待ち受けているとは知らずに……。
♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬
朝の6時半頃、ルーナ達を乗せた馬車は静かな街を早々と駆け抜けていた。
────揺れる!!ガタガタしてる!!面白い♪
ルーナはガタガタと激しく揺れ動く馬車を楽しんでいる。
「何か楽しそうですね……?」
エルザは、楽しそうに早く通り過ぎる街を眺めるルーナを少し青白い顔で見ていた。
「はい♪何かのアトラクションみたいです!!」
「あとらくしょん………?」
「楽しいってことです!!」
「そ、そうですか……。」
エルザはどこか疲れたようにガクッと頭を垂れた。
「エルザさん、大丈夫なのですか……?」
ルーナは心配そうにエルザに問いかける。
黒狼は無表情でエルザを横目で見ていた。
「大丈夫です。なんか疲れただけです。」
「それなら良いですけど……。」
「………………。」
────バカなのか……、鈍感なのか……。
2人の様子を黙って見ていたマジスタは、再び激しく揺れる馬車を楽しんでいるルーナを呆れた目で見ていた。
「あっ……。エルザさん、聞きたいのとがあるのですが?」
ルーナは何かを思い出したように、エルザへ問いかける。
「はい。何でしょうか?」
エルザはいつも通りの笑顔に切り替えて対応する。
「他にも誰か来るのですか?」
「はい。
研究者の方が数人とSランクの冒険者が1人同行します。
研究者の方達には、迷宮の調査をお願いします。
古代の歴史や禁術と禁呪がないかを調べてもらうのです。
新しい魔法も発見出来るかもしれませんね。
冒険者の方には、森と迷宮で遭遇した魔物のみ討伐をお願いします。
その際に、ギルドマスターが今回の迷宮はどの程度のRANKが必要かを判断してもらうのです。
ちなみに、私は回復魔法を主に担当します。
他にも雷魔法を上級までは鍛えているので、戦うこともあるかもしれませんね。
この説明で大丈夫でしょうか?」
エルザは途切れることなくスラスラと説明をした。
「はい。分かりました。ありがとうございます。
エルザさんは戦うことも出来るのですね!!
とても凄いです!!」
ルーナは頭を下げてお礼を言った後、エルザを尊敬の眼差しで見つめて褒めた。
もっとも、ルーナはフードを深く被っているためにエルザはその眼差しに気付かない。
「ルーナ君は律儀ですね。
もっと軽く接しても良いのですよ?
それに……、達人級の水魔法を使えるルーナ君に比べれば、私なんて大したことないですよ?」
エルザは少し悲しそうにそう言った。
「僕は、お礼はちゃんとしないとって教えられていますから。
エルザさんは凄いですよ!!
上級の魔法だってとても凄いものなんですよね?
それだけエルザさんは努力したってことなんですから、エルザさんは凄いんです!!」
────親しき仲にも礼儀ありっておばあちゃんが言ってたなぁ……。
それと、僕のは魔法じゃないしね。
ルーナはそんなことを思い出して、懐かしそうに微笑みながら素直にエルザを褒めていた。
エルザはルーナの言葉に、キョトンとしてルーナを見つめて嬉しそうに笑う。
「……ふふ。ルーナ君は良い子ですね。
大体の人は、自分より下の人を褒めたりしません。
寧ろ馬鹿にして調子に乗るのですから。」
エルザは少し怒りながらルーナに話す。
ルーナはその言葉に納得のいかない顔をして口を開いた。
「そんな阿呆はいつか痛い目を見るんです!!
それで、いつか馬鹿にした人に追い越されて悔しい思いをすればいいんです!!」
ルーナは少し黒い感情を混ぜながらそう断言する。
その瞬間に、今まで黙っていたマジスタが堪えきれないという風に笑い出した。
「ははっ!!
ルーナは面白いことを言う。
お前はいつか大物になるな。俺が保証してやる。」
「はい。ルーナ君は大物になりますね♪」
エルザもクスクスと面白そうに笑っていた。
「わ、笑わないで下さい……!!
ぼ、僕は大物になんてなりませんよ……?//////」
ルーナは2人に笑われて、恥ずかしそうに黒狼に抱き付いて小さな声で呟く。
「………………。」
────ルーナは、既に大物だがな……。
黒狼はそんなことを思いながら、ルーナの頭を撫でていた。
ルーナは嬉しそうに黒狼にすり寄っている。
「ところで……、ルーナ君と黒狼さんは兄弟なんですよね?」
エルザは少し引きつった笑顔で問いかけた。
「はい……?兄妹ですよ?」
「随分と、仲が良いのですね……。」
「はい♪とても仲良しですよ♡」
「……………………。」
エルザは引きつった笑顔のまま、目の前の2人を見つめる。
エルザとマジスタの目の前ではルーナと黒狼が仲良く座っていた。
それはいつものことなのだが、ルーナは黒狼の膝の上にまるで人形のように座らされていたのだ。
黒狼は頬杖をつき無表情で外を眺めながら、片手はルーナの腰に回してしっかりと抱き締めている。
────兄弟ってこんなものなの!?
黒狼さんは25歳で、ルーナ君は16歳……。
危ない気がする!!
と、特殊な性癖でも持ってるとか??
エルザは未だにルーナを男の子と勘違いして、脳内で色々暴走していた。
「……………………。」
────兄妹だが、エルザは兄弟と勘違いしてるのだろうな。
まぁ……、兄妹というのも嘘だろうが。
マジスタは、隣でん~と唸って考え込んでいるエルザを横目で面白そうに見ながらそう考えていた。
その時、馬車が急停止する。
「ふぇあっ!?」
「きゃあっ!?」
ルーナは前に倒れ込みそうになったが、黒狼に抱き止められて無事だった。
エルザは後ろに仰け反って、後頭部を強く打ち悶えている。
「着いたようだな………。」
マジスタは何も見なかったというように言う。
「ビックリした………。黒狼、ありがとう!!」
「この馬車は速すぎだ……。」
ルーナは黒狼に抱き付いてお礼を言い、黒狼は不機嫌そうに小さく呟いた。
「────っ!?ま、マスター!!
どうして!!助けてくれないのですか!?
こうなること絶対分かっていましたよね!?
マスターは無事みたいですし!?」(涙目
エルザは涙目で後頭部をさすりながら、マジスタに文句をぶつける。
「あの2人みたいにしてほしかったのか?」
マジスタは、疲れたようにイチャイチャ?してるルーナと黒狼を指差しながら問いかけた。
「……ああいう風にとは言ってません。」
「シンに何か言われるだろう。俺が。」
「人助けだから大丈夫でしょう……。」
「シンは怒るとヤバい。俺が死ぬ。」
「ギルドマスターでしょう……?」
「キレたシンに誰が勝てるというのだ……?」
「……………………。」
────へたれ!!弱虫マスター!!
「何か悪口考えただろう?」(怒
「何のことでしょうか?」(ニコッ
エルザとマジスタはニコニコと笑い合いながら話している。
「…………?あの、降りないのですか?」
────楽しいことでも話しているのかな?
2人ともニコニコしてるし。
ルーナは2人が少し諍いを起こしていることに気付いてなかった。
「さて……、打ち合わせしてくるか。」
「ちゃんと覚えていますか?もうお年になられてますし♪」
「そこまで老いてねぇ……。」(怒
「それでは、行ってらっしゃいませ♪」
「チッ………!!」
マジスタは舌打ちをしながら降りていく。
「……………?」
────あれ?何か恐い?気のせい?
ルーナは少し怯えたように2人を見ていた。
「さぁ!!私達も行きましょう?
Sランクの冒険者にはそうそう会えませんからね。
挨拶してきましょう!!」
エルザはいつも通りの笑顔に戻って、ルーナの手を取り馬車を降りていく。
「ちょっ!?ちょっと待って下さい!?」
ルーナは慌てて黒狼の膝の上から降りて、転びそうになりながらもエルザについていった。
「はぁ………。何故、人間は戯れたがるのか。」
1人馬車に残された黒狼は溜め息を吐いて小さく悪態をつき、面倒そうにルーナの後を追いかける。
「ストルディーさん!!お久しぶりです!!」
「ん?よぉ。エルザの嬢ちゃんじゃねぇか。
シンとは結婚したのか?
それとも……、子供の1人や2人いるのかねぇ?」
エルザは1人の屈強な男に声をかけ、ストルディーと呼ばれた男はニヤニヤと笑いながらエルザをからかい始めた。
「な、な、何を言うんですか!?
わ、私達はまだ結婚してませんよ!?
こ、子供なんて………!?//////」
エルザは林檎みたいな真っ赤な顔を両手で覆い羞恥に悶えている。
「おうおう。相変わらずの反応だなぁw
シンは幸せだなぁ……?
ギルドで一番美人のエルザの嬢ちゃんを嫁に貰えたんだから。」
「だ、だからぁ!!私達は結婚してません!!/////」
「……………………。」
ルーナは2人が話している隙に、後ろから不機嫌な顔をしたまま歩いている黒狼の後ろに怯えた様子でしがみつく。
「どうしたのだ?」
「し、知らない人がいっぱい……!!」
「………店の者には普通に接していただろう。」
「だって……、ギルドの時みたいに馬鹿にされたらどうしようかなって。」
「そんなことはさせない……。」
「うぅ~……。ありがとう♪」
「で?後ろの2人は誰だ?」
エルザをからかって遊んでいたストルディーは、黒狼に撫でられて嬉しそうにしているルーナと、ルーナを見て猫と小さく呟いて微笑んでいる黒狼に気付きエルザへと問いかけた。
「ふぇ?////あっ………。紹介しますね!!
後ろの方が今回の新迷宮を発見したルーナ君です。
もう1人はその兄の黒狼さんです。」
────また……、兄弟でイチャイチャしてる!!
「よ、よろしくお願いします……。」
「ふん……。」
紹介されたことに気付いたルーナは怯えたように挨拶をし、黒狼は興味がないというように目も合わせない。
ストルディーは、その失礼な態度に嫌がるどころか面白そうにな顔をしていた。
「ほう。あの森を抜けた冒険者ねぇ?
あの森はかなり広いし魔物がうようよして誰も近付かねぇ。
その上、どの程度のRANKの魔物がいるのかも不明らしい。
もしかしたら……、新種の強い魔物がいるかもしれねぇって噂もあるしなぁ?
そんな森を抜けたってことは、それなりにお前等は強いってことだよなぁ?」
ストルディーは探るように2人を見ている。
「あぅ……。ぼ、僕たちはまだクエストも、受けたことのない……、初心者、です。」
ルーナは、恐る恐る正直にそう告げた。
「あぁ!?そんな初心者なのに、危険なあの森に入ったのかよ!?」
ストルディーはさすがに2人が初心者だとは思っていなくて大声で叫んで驚く。
「ひぃうっ!?ご、ごめんなさいっ!?」(泣
「…………………。」(怒
「あっ……、いや……。」
ルーナはストルディーに怒鳴られたと思い怯えて黒狼の後ろに隠れ、黒狼はルーナを怖がらせたストルディーを睨みつける。
ストルディーはその様子に慌てていた。
「ストルディーさん!!
ルーナ君が怖がっているじゃないですか!!」
「いや……、怖がらせるつもりはなかったんだが。
驚かせちまって、すまねぇ。」
エルザは怒ってストルディーに注意し、ストルディーはばつが悪そうに頭を掻きながら謝る。
「だ、大丈夫です……。ぼ、僕が人見知りなだけですから。」
「ふん………。」
ルーナは素直に謝ったストルディーを見て、悪い人ではないと判断しそう言った。
黒狼は不機嫌そうにストルディーを見る。
「良かったですね?ルーナ君が優しくて?
ごめんなさいね?この人は見た目が恐いのです。
こう見えても、ストルディーさんはSランクの冒険者で一応有名な方なんですよ?
見た目はアレですが、悪い人ではないはずなので怖がらないで安心して下さい。」
「えっと……?そ、そうなんですか。
ストルディーさんは……、凄いのですね?」
────エルザさん、何か怒ってる??
エルザは笑顔でストルディーを紹介して、ルーナは何故か怒ってるエルザに戸惑っていた。
「エルザの嬢ちゃんよ……。
それフォローになってねぇよ。
そこの白い奴も疑問系で凄いと言われてもなぁ?」
ストルディーはどこか脱力したように話す。
「あら?そうですか?」(ニコッ
「はぁ……。相変わらずの性格だなぁ。
まぁ、どうでもいいけどよ?
エルザの嬢ちゃんは、そこの白い奴のことを君付けで呼んでいるが……、そいつ絶対女だろ?」
ストルディーは隠れているルーナを指差してそうエルザに告げた。
エルザは引きつった笑顔を浮かべる。
「えっ……?
だってルーナ君は、自分のことを僕って言ってるんですよ?男の子ですよね?」
エルザは引きつった笑顔のままでルーナにそう問いかけた。
「僕は……、その……、男の子、じゃないです。」
ルーナはエルザの笑顔に恐怖を感じて、途切れ途切れに小さく呟く。
エルザは引きつった笑顔から、信じられないという顔に変わっていた。
「ほらな!!」
ストルディーはニヤニヤしながら自慢するように誇らしげな声で叫ぶ。
「嘘でしょう!?ずっと男の子だと思っていたのに!?
どうして!!僕って言っているのですか!?」
「その……、女だって舐められるのが嫌だから?」
「まぁ、調子に乗る阿呆はそうだなぁ……。」
「フードを脱いで見せて下さい!!」
「そ、それは駄目です!!」
ルーナは必死にフードを握り締めながら、黒狼の後ろに隠れていた。
エルザは、どうやってフードを脱がそうかとルーナを睨んでいる。
「さっそく、仲良くなったみたいだな?行くぞ。
ギルドカード準備しとけ。」
その時、タイミング良くマジスタが声をかけた。
「分かりました……。
空気の読めないおじさん……!!」
「あぁ!?」
「あら?何でしょうか?」
「このっ………!!」
どこか機嫌の悪いエルザはマジスタに八つ当たりをする。
「エルザさんは……、怒らせちゃダメ。」
ルーナはそう呟いて震えていた。
────そういえばギルドカードをまだ“隠蔽”してない。
ルーナはそう思ってギルドカードを取り出し、名前と年齢、レベルと種族、犯罪履歴以外の全てを隠蔽する。
「よし。これでいいや。
黒狼は“隠蔽”とか大丈夫?」
「あぁ……。」
「そっか。それじゃあ、行こう!!」
ルーナと黒狼は手を繋ながら馬車へ戻り、研究者達とストルディーを新たに連れて迷宮へと向かった。
♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬♪♬
街から約3時間かけてルーナ達は森の前に集まっていた。
「10分後に出発する!!
準備するものは今のうちに全て確認しておけ!!」
マジスタは集まっている者達にそう叫ぶ。
そして、エルザとストルディーと共に何かを話し合っていた。
「何を話してるんだろう……?」
「さぁな……。」
ルーナと黒狼は話し合っている3人を見つめる。
その時2人の後ろから気の弱そうな男の声がした。
「あ、あの~。ちょっと……、いいですか?」
「ひゃうっ!?な、何でしょうか!?」
ルーナはいきなり近くから声をかけられて驚き、慌てて黒狼の後ろに逃げ込み返事をする。
「……………?」
黒狼はルーナを少し心配そうに見ながら、声をかけてきた小柄な男を首を傾げて見ていた。
「うわぁっ!?お、驚かせるつもりはなかったんですけど!!す、すみませんでした!?」
男はルーナの様子に驚き、訳が分からないままに謝罪する。
「大丈夫です!!ぼ、僕が人見知りなだけですから!!
あ、謝らないで下さい!!ごめんなさい……。」
「まぁ……、ルーナが臆病なだけだ。
特に気にすることはない……。」
「うぅ~……。黒狼、意地悪っ!!」
「なら、その人見知りを治せ。」
「黒狼だって……、あまり話さないじゃないか!!」
「俺は人見知りではない。」
「うぅ~………。」
ルーナは申し訳無さそうに謝り、黒狼はぶっきらぼうに男に気にするなと話した。
「そ、そうですか?
えっと、僕は研究者でティミドゥスといいます。
ティミと呼んで構いません。
今日はよろしくお願いします。
それで……、お聞きしたいことがあるのですが。」
ティミドゥスは少し言い争っているルーナと黒狼にそう挨拶をして、少し躊躇うように質問をして良いかと2人を見る。
「ぼ、僕はルーナといいます。
こちらこそ……、よろしくお願いします。
答えられることなら……、答えますよ?」
「……黒狼だ。」
ルーナは慌てて自分も名乗りティミドゥスの質問を待った。
黒狼は面倒そうに名前だけを言って、あとはルーナに任せるというように黙り込む。
「ありがとうございます!!
えっと、お二人は迷宮に入ったと聞きました。
それで、少しでも良いので迷宮について聞きたいんです。」
ティミドゥスはそう言って、羽ペンとメモ帳のような物を取り出した。
「わ、分かりました。」
ルーナはティミドゥスに迷宮には罠が多数あることや地下50階まであることなどを丁寧に説明する。
「ふむふむ……。ありがとうございます!!
地下50まであるのか!!これは色々発見出来るかも!!」
ティミドゥスは何かを期待するように、キラキラと目を輝かせて嬉しそうにしていた。
そして、少し不安そうな顔で次の質問をする。
「えっと……、ま、魔物とかは?」
「僕はガークにしか遭いませんでしたけど、一応他にも色んな魔物はいると思います。」
「が、ガーク!?ききき、危険じゃないですか!?」
ティミドゥスはルーナの言葉にとても怯えたように叫んだ。
説明をしたルーナは青ざめたティミドゥスを見て逆に慌てている。
「だ、大丈夫ですよ!?
ぼ、僕にだって倒せたんですから!!
それに、Sランクの冒険者さんだって同行してますからね!!」
「ガークをですか!?お二人だけで!?」
「……ルーナ1人だ。」
「1人で!?そ、それなら……、安心出来ますね!!」
ティミドゥスはルーナが1人でガークを倒したことに驚きながらも安心する。
「そ、そうですよ!!安心して下さい!!」
「はい!!よろしくお願いします!!
これで、失礼しますね。」
ティミドゥスはそう言って頭を下げ、他の研究者達の所へ戻っていった。
「はぁ……。もう!!僕が1人で倒したって言わなくていいのにっ!!」
ルーナは疲れたように溜め息を吐いて、頬を膨らませて黒狼に文句をぶつける。
「事実だろうが?」
「だって!!なんか驚かれるんだもんっ!!」
「それはガークは人間にとって脅威だからな。」
「だから……、うにゃっ!?」
「もう、出発みたいだ。行くぞ。」
「にぃ~っ!!」
黒狼はおかしそうに笑って、頬を膨らませて文句を言うルーナの頬を摘まんで軽く横に引っ張りながら呟いた。
ルーナは抗議するように叫んでいる。
「それでは出発するぞ!!
ルーナと黒狼、ストルディーの3人は前だ。
後ろは俺とエルザが歩く。
研究者達は真ん中にいろ!!呉々も離れるな!!
では、出発する!!」
マジスタがそう叫び他の者達はそれぞれ動いた。
ルーナと黒狼も2人を待っているストルディーの所へ向かう。
「うぅ~……。黒狼は意地悪っ!!」
「ルーナは面白いからな。」
「うぅ~………!!」
「よぉ?何か機嫌悪いみたいだなぁ?
よろしく頼むぜ?白黒兄妹!!」
ストルディーは不機嫌そうに唸っているルーナを不思議そうに見ながら、楽しそうに笑っていた。
「白黒兄妹……?」
「お前等のことだよw」
「ふん……。」
ルーナは首を傾げて、黒狼は興味がないというようにルーナを抱き寄せる。
ルーナは黒狼の手を握っていつでも出発出来るという仕草をしていた。
「仲良しなことで……。そんじゃ、行くか。」
ストルディーは少し2人を呆れた目で見て、進むように目で促す。
ルーナと黒狼は案内をするため列の先頭に立ち、迷宮を目指して森の中へと入っていった。
────相変わらず赤が多いなぁ……。
弓矢を出しておいて、いつでも討伐出来るようにしなきゃ。
ルーナはマップに表示される大量の赤を見て、弓矢を持ち物から出現させる。
「うぉっ!?白は空間魔法使えるのか!!
ちっこいのに大したものだなぁ!!」
「あ、ありがとうございます?
僕は……、ルーナなんですけど?」
────白って犬みたいじゃないか……。
それに、ちっこい……。
ストルディーさんというか、この世界の人が身長高すぎるだけなんだからね!!
鋼欣は日本人にしては身長ある方だったけど……。
ぼ、僕って小さいのかなぁ……?
ルーナはストルディーの言葉に落ち込んでいた。
黒狼は沈んでいるルーナを見て、元凶であろうストルディーを睨みつけている。
ストルディーはその視線に気付かない振りをして、ルーナに色々話しかけていた。
「良いじゃねぇか。白いし。」
「黒狼は……?」
「黒だろう!!」
「チッ………!!」
黒狼はイライラして舌打ちをする。
ルーナは少しビクッと震えていた。
ストルディーはその様子を見て、ニヤリと人の悪そうな笑みを浮かべている。
その時マップでストルディーの横に赤が近付いた。
「あっ……!!」
「ん?いってぇ!?」
ルーナが赤に気付いて声をあげたとき、ストルディーは何か茶色いものに蹴られる。
「ウサギ?可愛い♡おいでおいで♪」
ストルディーの頭を蹴ったのは、地球のウサギと変わりない茶色の可愛らしいウサギだった。
ルーナは蹴られたストルディーに目もくれず、ウサギを呼んでいる。
そして、ついでに鑑定をしていた。
───────────────────────
魔物名:跳び蹴りウサギ
Rank:討伐対象外
形態:ウサギ 反応:人懐っこい。悪戯好き
知能:中 出現数:単独
遭遇場所:森や草原など。
特徴:普通のウサギよりやや大きい。
白、黒、茶色で性格が違う。
白は誰にでも懐き、芸などを覚えて人を喜ば
せることが好き。
芸が失敗すると、近くにいるものを蹴り飛ば
して八つ当たりをする。
黒は警戒してあまり懐かない。
懐かせることが出来ると、アイテムなどを拾
って持ってくる。
機嫌が悪いと跳び蹴りしてくる。
茶色は特に女の子に懐く。
気に入った人間に何かあると、その元凶を蹴
り飛ばす。
何もなくても跳び蹴りして喜ぶ悪戯好き。
───────────────────────
「……可愛すぎる!!」
ルーナは鑑定の結果を見て、目の前の跳び蹴りウサギを見つめている。
跳び蹴りウサギは丸い尻尾をふりふりと振りながらルーナに近付いて「抱っこ!!」とおねだりするように立った。
「可愛い♡人形みたい♡ふわふわ♡」
ルーナはぬいぐるみを抱き締めるように跳び蹴りウサギを抱えて頬ずりをしている。
「このウサギ!!」
ストルディーは顔をひきつらせて跳び蹴りを睨んでいた。
跳び蹴りウサギは怒っているストルディーを見て、嘲笑しているような表情をし片足を伸ばして蹴る仕草をしている。
「この……!?」
「ウサギちゃんを虐めちゃ駄目です!!」
「俺は蹴られたんだよ!!」
「駄目なものは駄目なのです!!
それに、討伐してはいけない動物です!!」
「チッ!!」
ルーナとストルディーは言い争いながら、森の中を進んでいた。
他の者達は蹴られたストルディーを見て笑い、跳び蹴りウサギをぬいぐるみのように抱えて嬉しそうに頬ずりしているルーナを見て微笑んでいる。
数人は茶色い跳び蹴りウサギを見て、ルーナは女の子なのか?と首を傾げていた。
「ルーナ、そのウサギはどうするのだ?」
黒狼は嬉しそうにしているルーナを見て、微笑みながら問いかける。
「このまま懐いてくれるなら家族になりたいな♡」
『きゅうっ♡』
「おぉ!!鳴き声も可愛いね♡
白と黒もいるならみんな懐いてくれないかなぁ♪」
「……あまり増やすなよ?」
「えへへ~♪黒狼も抱っこする?」
ルーナはそう言って、跳び蹴りウサギを黒狼に向けて持ち上げた。
『きゅうっ♪』
跳び蹴りウサギはルーナと仲良しな黒狼を見て、気に入ったというように鳴く。
黒狼は黙ったまま跳び蹴りウサギを抱き頭を撫でていた。
跳び蹴りウサギは気持ちよさそうに目を細めて黒狼にすり寄っている。
────狼とウサギ……。とってもいいな♪
黒狼が子犬なったら、ウサギちゃんはどんな反応をするのかなぁ?
ルーナはワクワクと楽しそうにしていた。
「なぁ、白?
迷わず進んではいるけどよ?大丈夫なのか?」
ストルディーは、迷わずに道無き道を進むルーナに不思議そうに問いかける。
「大丈夫ですよ?ちゃんと迷宮に向かってます。」
ルーナはさっきのストルディーとの言い合いで慣れたのか、ストルディーには人見知りをしなくなっていた。
「へぇ~……?なら、良いけどよ。」
「……………?」
────こんな広くて魔物がうじゃうじゃいる森を迷わずにねぇ?
それに、さっきの跳び蹴りウサギの時も俺の方を見てなかったはずなのに気付きやがった。
危険察知のスキル持ちなら魔物の位置が分かるが、あれは敵意か殺意を感じ取る能力だ。
跳び蹴りウサギみたいな普通の動物には反応しねぇはず。
気配察知のスキルを持っていたとしても、白のは何かが違うしな。
考え込んでいたストルディーは、ルーナを見て面白そうに笑っている。
ルーナはそのことには気付かずに、黒狼に楽しそうに話しかけていた。
「名前は~、ブラウンかな♪」
「ぶらうん?」
「茶色って意味だよ♪」
『きゅうっ♡』
「気に入ったみたいだな……。」
「良かった!!よろしくね?ブラウン♡」
『きゅうっ♪』
ブラウンと名付けられた跳び蹴りウサギは、黒狼に抱き抱えられながら元気に返事をする。
ルーナは嬉しそうに微笑んでいた。
しかし、目の前に複数の赤が表示されすぐに強張った表示に変わる。
「何か来ます!!」
ルーナは緊張した声音で叫んだ。
「何で分かる?」
ストルディーも危険察知のスキルで気付いていたが探るようにルーナに問いかける。
「……秘密です。」
ルーナは目を逸らしてそう答えた。
ストルディーはニヤリと笑って魔物がいる方へと目を向ける。
「それなら……、仕方がねぇな。」
「……………。」
黒狼はニヤリと笑うストルディーを警戒するように見ていた。
そして、ルーナ達の頭上に大きな猿のような魔物が現れる。
その魔物の大きな爪は巨大な鎌のように妖しく光っていた。
「あぁ~。俺は降りたら殺るぜ。
今は2人に任せる。」
ストルディーは高い木の上の魔物を見てそう呟く。
そして、ルーナと黒狼の力を試すように2人を見つめた。
「分かりました!!」
「ふん……。この程度1人で充分だ。」
ルーナは弓を構えながら魔物を鑑定で視る。
黒狼はブラウンを降ろして詠唱を始めた。
ブラウンは大人しく降りて、後ろに下がって2人を見守る。
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魔物名:鎌猿
Rank:単独C 3人以上のパーティーでD
形態:猿 反応:凶暴
知能:中 出現数:複数
遭遇場所:森林
特徴:手に大きな鎌のような爪を3本持っている。
体長1メートル以上の大きな猿。
子供並の知能があるため、複数の群れで行動
して獲物を狩る。
体が一番大きな者がボスとなる。
ボスを討伐すれば退散することがある。
鎌のような爪は触れるだけで大きく皮膚が裂 けるので要注意。
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鎌猿は大勢の人間がいることに戸惑っているのか、警戒して降りてこない。
────ボスを倒せば良いんだけど……。
30匹は軽くいるし、みんな大きい気がする。
矢は10本しか無いし、普通の矢だとあの鎌でバラバラに裂かれるなぁ。
矢は言霊を使うしかないか……。
矢は雷が良いよね。
「“雷矢”」
色々考えたルーナは弓を構えて狙いを定め雷の矢を出現させた。
そして、一匹の鎌猿の額に向けて矢を放つ。
風属性の弓の効果で風を纏った雷矢は、素早く鎌猿の額に突き刺さり命を奪った。
────Giiy!?
矢を受けた鎌猿は、何が起きたのか分からないままに地へと落ちていく。
「ごめんね……。」
ルーナは苦しげに小さく呟いて次の狙いを定めた。
鎌猿達は攻撃を受けて怒りだし、数匹が地面へ降りてくる。
そして、鎌のような爪を構えて突進してきた。
しかし、その鎌猿達は黒狼の闇魔法によって一気に絶命する。
「 Ego tenebris et arescet inimici responsio meis optatis.“Tabitudinem”!!
(闇よ、我が願いに応え敵を枯らせ。
“タヴィドゥニィム”)!!」
その詠唱を終えた瞬間に、地面に降り立った鎌猿達は闇の煙に包まれ一瞬でミイラと化した。
他の者達はその光景を見て息を飲む。
「ははっ!!すげぇじゃねぇか!!白黒兄妹!!
俺の出番はねぇなぁ……。」
────雷の矢は見たことねぇな。
そんな魔法は無かったはず。
新しい魔法ってことか。
これは、後ろの研究者共が五月蠅くなるな。
黒の方も……、闇魔法とは珍しいものを。
それに聞いたことのねぇ言葉だ。
この兄妹はただ者じゃねぇ!!
ストルディーは普通でない2人を見て、楽しそうな顔をしていた。
そうして、次々と鎌猿達は絶命していき数匹は退散して辺りは静かになる。
「終わった……。」
「ふん……。」
ルーナは疲れたように呟き、黒狼はつまらないというように鎌猿達の亡骸を見つめていた。
「お疲れさん!!大丈夫か?」
ストルディーはニヤニヤと笑いながら労いの言葉をかける。
そして、ティミドゥスもどこか興奮したように2人に声をかけていた。
「ルーナさんも黒狼さんも凄いです!!
とっても、お聞きしたいことがあるのですが!?」
「へいへい。聞きたいことがあるのは分かる。
だが、今は迷宮が先だ。」
興奮しているティミドゥスをストルディーが手で制して今やるべきことを話す。
「あっ……。す、すみません!!」
「別に謝るなよ。
それが研究者の性ってもんだろ?」
「あははは………。」
慌てて謝るティミドゥスにストルディーは気にしてないという風にそう言った。
ティミドゥスは少し照れたように頬を掻きながらヘラヘラと笑う。
「えっと、この猿達は僕が仕舞っときますね。」
「あぁ。まぁ、お前等だけの手柄だと思うがな。」
「ごめんね……。“収納”」
ルーナは誰にも聞こえないように悲しげに呟き、鎌猿達の亡骸を持ち物に仕舞った。
黒狼以外の者達は、一瞬で鎌猿達の亡骸が消えたことに驚く。
「白はすげぇなぁ………。」
────空間魔法にしては何か違うな。
確か習得するのには結構苦労するが、詠唱は必要ないはず。
でも、白は確かに何かを呟いた。
そして、空間魔法に仕舞える量は魔力に比例する。
白は一気に20匹以上の鎌猿を仕舞いやがった。
一体、どれだけ魔力を持っているのかねぇ……?
弓矢の腕も相当なものだったしな。
ストルディーはルーナについて益々(ますます)気になることが増えて興味深そうな顔をしていた。
「ふぅ……。それじゃあ、行こうか。」
「ルーナ、疲れてないか?」
「大丈夫だよ?ブラウンで癒されるから♡」
黒狼は魔物にも優しすぎるルーナを気遣うが、ルーナは心配させないというように近くに寄っていたブラウンを抱えて元気に振る舞う。
しかし、無理をしているのは黒狼とブラウンには分かっていた。
黒狼は黙ってルーナの頭を撫で、ブラウンは小さく鳴いてルーナに鼻をこすりつけている。
「えへへ……。ありがとう。」
ルーナは申し訳無さそうにお礼を言った。
そして迷宮に向けて再び森の中を進む。
────迷宮までもう目の前だ。
石造りの建物見えてるしね。
鎌猿を討伐して出発してから10分くらいして、ようやく迷宮が見えていた。
しかし、その前に1つの赤が表示される。
────もう迷宮が見えているのに、道を変えたら怪しまれるよね……。向かうしかないか。
「あの……。迷宮の前に何かいます。」
ルーナはストルディーにそう報告する。
「じゃ、今度は俺が行く。
足音を立てないように俺の後から来いよ。」
ストルディーはそう言って剣を構えながら、ゆっくりと迷宮の方へ進んでいった。
そして、迷宮の前にいる何かを見て驚いた声で小さく叫ぶ。
「───っ!?何だ!!あれは!?」
「どうしたのですか……?」
ルーナはストルディーの様子に不安を感じながら、そっと迷宮の前にいるものを見た。
「…………!!」
それを見た瞬間、ルーナはその生き物に目を奪われ絶句する。
そこには……、白く輝く体を持ち蒼のサファイアのような美しい角を持った馬が悠然と立っていた。
その幻想的に美しい馬の瞳も蒼く澄んでいる。
「………ユニコーン?」
ルーナは無意識にそう呟いていた。
────これが、深い憎しみと悲しみを抱えた美しいユニコーンとの出逢いとなる。
商人についての説明です。
大商人……雑貨、魔法具、日用品、食品など色々な 物を数多く売っている。
様々な場所に店舗を持つ。
人によっては1つの巨大な店舗に纏める ことがある。
品物の仕入れは雇っている人達に任せる ため、基本年中無休である。
貴族と同様な扱いを受けることがある。
商人……個人で1つの店舗を持っている。
大商人のように種類が違う物を売ることは ない。
人を雇うことは少ない。
時々店を閉めて、世界中を旅しながら品物 を仕入れている。
売人……店を持たずに屋台やテントなどで物や食べ 物を売っている人達。
基本的に街の広場で商売をしている。
祭りなどがあると様々な場所で商売を始め 大食い大会やコンテストなどで競い合う。
闇商人……違法なものを売っている商人のこと。
物によれば死刑もある。