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白銀の歌姫による異世界EXAUDI  作者: Chernyy kot
‡Primus autem motus‡
23/44

†忘却の古代迷路4th~新しい家族~†

これで古代迷宮のお話は終わりです。

そして、今回は久々に話が長いです。

疲れました。燃え尽きました。

もふもふがほしい…………!!

誤字脱字あったらごめんなさいorz

 「~~~~~~♪」

僕は凄そうな武器を手に入れて機嫌が良く、鼻歌を歌いながら出口に進んでいた。

出口はもうすぐそこだ。

この先の角を曲がれば、外に出られる!!

「やっと、出g………ふにゃ!?」

──────ボフッ

僕は角を曲がった瞬間、何か柔らかいもふもふしたものにぶつかった。

「うぅ~………?何かな?これ?柔らかいしもふもふしてて気持ちいい……。それに暖かい……?」

僕の目の前には、真っ黒な何かがあった。

あれ…?出口はこの先だよね?

何かが道を塞いでるのかな…?

でも、マップには赤いマーク出てないし……。

「???」

僕は訳が分からないままに、その真っ黒なもふもふしたものを触っていた。

もふもふ~♪気持ちいいなぁ♡

そのもふもふの感触を楽しみながら……。

「………………いい加減にしろ。人間。俺は人形ではないぞ。」

すると、僕の頭上から低くてどこか戸惑うような声が降ってきた。

「ふぇあ!?ご、ごめんなさい!?」

僕は驚いて、後ろに下がりながら反射的に謝った。

すると、その真っ黒なもふもふしたものも後ろにゆっくりと下がっていた。

ど、どうしよう?

てか生き物だったの!?喋ったし!?

それにマップには何も出ていないのに!?

僕は混乱して立ち尽くしていた。

「何をしている。人間。こっちに来い。別に襲いはしない。」

ほ、本当かな?

でも…、出口はこの先だし。

さっきは触ってたり抱き付いたりしても襲わなかったから……、大丈夫かな?

僕は少し不安になりながら、僕を呼ぶその声の方へ向かった。

すると、かなり広い場所に出る。

ガークと戦った所より広いな……。

僕はそんなことを思いながら、広場の中央の方へ顔を向けた。

そこには、とても大きい真っ黒な狼が黄金色の目で僕を見つめていた。

その真っ黒な狼を見た瞬間、僕は静止した。

その狼は背中に5人は乗れそうな程大きくて、凄く柔らかそうな綺麗な黒い毛に覆われている。

もふもふはその綺麗な黒い毛なんだろう…。

僕を見つめるその黄金色の瞳は、吸い込まれるような綺麗な光を放っていた。

そして、思わず僕はこう叫んだ。

「か、恰好良い!!!」

凄く恰好良い!!!また、もふもふしたい!!!

僕はそんなことしか思い付かなかった。

「…………………………はっ?」

真っ黒な狼は、僕の言葉を聞いた瞬間に訳が分からないというような声をあげた。

「え、えっと……?こ、こんにはじゃなくて…、こんばんは?は、初めまして??」

僕はまた混乱して、自分でもよく分からないことを言っていた。

「……………………。」

真っ黒な狼は沈黙している。

うっ……。ど、どうしよう!?

僕は余計に慌てていた。

「……人間。俺が怖くないのか?」

混乱している僕に、真っ黒な狼は問いかけてきた。

「こ、怖いですか?怖くはないですよ?とっても恰好良くて、もふもふしたいです!!」

僕は思わず願望を口に出してしまった…。

「……………もふもふ?」

真っ黒な狼は首を傾げていた。

「あっ……。何でもないです!!ご、ごめんなさい!?

はうぅぅぅ~………////////」

僕は恥ずかしさに地面にしゃがみ込んだ。

な、何言ってんの!?僕!?

は、恥ずかしいよぉ…………。

もう…、泣きそう………。

僕の思考は色々滅茶苦茶だった。

「……………おい、人間。これから言う俺の問いに答えろ。」

真っ黒な狼は、どこか呆れたような声で言った。

「うぅ~……?は、はい…。」(涙目

僕はどこか自暴自棄になっていた……。

「人間。お前は何故この俺の迷宮にいる?」

真っ黒な狼は、そう問いかけてきた。

何故って……、迷子だよね……。

「え、えっと…。森の中を歩いていたら、この迷宮を見つけて扉の文字を読んだら……、閉じこめられました?」

僕は疑問系で答える。

「森…?外は森になっているのか?」

真っ黒な狼は、どうやら外が大きな森に囲まれていることを知らないようだ。

「そうですけど……?」

僕は戸惑いながら答える。

「ふん……。何千年と眠っている間に森が出来ていたのか……。」

えっ……。な、何千年?眠っていた?

どこかの眠り姫みたいな?あれは100年だっけ…?

僕はどうでも良いことを考える。

「人間。お前は何を望む?」

真っ黒な狼は、更に質問を続ける。

「………望む?」

僕は質問の意味が分からなかった。

「この迷宮の主は俺だ。お前は罠を回避し、ガークを倒した。迷宮を攻略した者には望みを叶えてやるのが決まりだ。今はどうか知らないがな。」

へぇ~。ゲームをクリアしたから何かご褒美を貰えるって感じかな?

うぅ~……。望みね~?取り敢えず、外に出ることだよね?あとは…もふもふしたいけど。

そんなに欲張っちゃったら、駄目だよね……。

さっきはなんか嫌そうだったし……。

「え、えっと…。外に出たいです。」

僕は正直に答えた。

すると、真っ黒な狼は黄金色の綺麗な目を見開いてこう問いかけてきた。

「外?そんなことを望むのか?」

真っ黒な狼は、とても信じられないという風にそう言った。

「は、はい…。一応他にもありますけど……。」

僕は小さく答える。

「他の望みとはなんだ?」

えっ……。言っちゃって良いのかな?

お、怒らないかな?

僕は少し迷ったけど、正直に答えようと決める。

「えっと……。その……。あなたに触れてもふもふしたいです……?」

僕は消え入りそうな声で答える。

「………そんな望みで良いのか?普通は財宝を出せだの、一生俺に(しもべ)となれと傲慢で自分勝手な望みを言うものだ。人間は。」

真っ黒な狼は前半は不思議そうに、後半は吐き捨てるように言った。

あ~…。そういうのもありなのか。

でも…、財宝は別に興味ないし。

おばあちゃんとおじいちゃんが、お金はありすぎると怖いってよく言ってたし。

それに…(しもべ)って、絶対嫌だ。

他人の(狼だけど…)人生を支配するなんて、そんなの許せないもんね!!

僕だったら〆ちゃうんだからぁ!!

でも…、友達とか家族になってくれたりしたら、嬉しいなぁ…。そしたら、もふもふ出来るかな?

僕はそんなことを思いながら、真っ黒な狼の言葉を否定する。

「財宝は興味ないです。あと、(しもべ)とかも絶対嫌です!と、友達とか家族になってくれたら…、嬉しいとは思いますけど……。」

僕は前半ははっきりと、後半は消え入りそうな声で答えた。

「友達…?家族…?この俺にか?」

真っ黒な狼は、信じられないという風に、でもどこか望むような声でそう言った。

「あぅ……。別に嫌なら良いです!!外に出られたら良いです!!」

僕は慌てて答えた。

人間嫌いみたいだし…。友達とか無理だよね。

僕は少し寂しくなった。

やっぱり1人は辛い。

だから、友達とか家族が出来て一緒に旅をしてくれたらと叶いもしない願いを考えてしまった。

「…………………。」

何も言わなくなった僕を、真っ黒な狼は黙って見つめていた。

その綺麗な黄金色の瞳は、どこか悲しげに、そして懐かしむように揺れている。

「何故、俺にそう望む?

かつての人間は…、俺のことを化け物と悪魔と罵り畏れていた。

一時は仲良くなったとは思ったが…、俺の力を自分の欲望のために使おうとした。

それが叶わぬと悟れば、俺を殺そうとした。

そして、俺は…、信じて好いていた人間達に裏切られた。

だから、俺は人間に絶望し憎み殺した!!皆殺しにして全てを壊した!!

そんな壊れた俺に…、お前は…、友達になれと家族になれと…、本当に望むのか…?」

真っ黒な狼は、怒り、憎しみ、絶望、悲しみを吐き出しながら僕に弱々しく問いかける。

それは…、質問ではなく、この哀れな狼の罪の告白だった。

そして…、僕に、友達に家族になってくれるのかという…、淡く儚い願いでもあった。

僕はしばらく何も言えなかった。

この哀れな狼は、かつての…、鋼欣(こうき)に出逢う前の僕に少しだけ似ていた…。

そして、僕は自然と口を動かしていた。

「あなたは…、少しだけ昔の僕と似ている。」

「俺とお前が…?」

狼はどこか怒ったように答える。

それでも、僕は言葉を続ける。

人に見られるのが怖くて被っていた、フードを脱ぎながら……。

フードを脱いだ僕を見て、狼は驚いたように黄金色の綺麗な目を見開いた。

その反応を見て、僕は少しだけ悲しくなる。

「僕……、おかしいでしょ?

髪の色も普通の人とは違うし、目の色も普通じゃないからね……。

だからね?僕も化け物とか悪魔とか色々罵られていたんだよ?

両親が幼い頃に亡くなっていたから、化け物だから悪魔だから捨てられたんだっても言われたの…。

確かに…、あなたとは違う。

僕は人を殺した苦しみを悲しみを知らないから。

でもね?1人は辛いの…。悲しいの…。怖いの…。

だからっ!!僕はあなたを裏切らない!!

僕はあなたを罵ったり畏れない!!

だから……、嫌でないのなら…。

僕と…、友達に、家族になって……?

僕とずっと一緒にいて…、ずっとそばにいて…、僕を1人にしないで…?

僕もあなたのそばにいるから…!!

あなたを1人にしないから…!!」

いつの間にか、僕は泣いていた。

悲しくて、哀しくて、辛くて泣いていた…。

「…………………。」

真っ黒な狼は何も言わない。

けれど、どこか泣いているように見えた。

そして、真っ黒な狼は静かに話しかける。

「本当に…、お前は俺を拒まないのか?

畏れないのか?そばにいるのか?

お前は…、本当に…、俺の友達に家族になると言うのか…?」

哀しい真っ黒な狼は、悲しげに縋るように僕に問いかける。

「うんっ!!僕はあなたと友達に家族になりたい!!」

僕は笑顔でそう言った。

真っ黒な狼は黙って僕を見つめている。

そして、静かに口を開いた。

「ならば……、俺はお前と共にいよう。

お前と共にいると誓おう。

だから……、お前も俺のそばにいると約束してくれるのか?」

真っ黒な狼は、懇願するように問いかける。

「うんっ!!約束する!!」

そう言うと、“契約を開始しました”と頭の中に流れてきた。

そっか……。“契約”になるんだ。

確か……血を少し飲ませるんだよね。

「あの……。僕と“契約”してくれますか?」

僕は少し不安になって問いかける。

「けいやく……?」

真っ黒な狼は首を傾げた。

「えっと…。僕のスキルに“契約”っていうものがあるんです。それを行うと相手の居場所が離れていても分かったり、テレパシー…頭の中で話すことが出来るんです。」

僕はそう説明した。

「そんなスキルがあるのか…。良いだろう。

その“契約”とやらをしてやろう。」

真っ黒な狼は、承諾してくれた。

「ありがとうございます!!えっと…、僕の血を少し飲んで下さい。そうすれば“契約”が出来ます。」

そう言いながら、僕は手を“風刃”で少しだけ斬りつけた。

い、痛い!!

僕は痛みを我慢しながら手を差し出した。

すると、真っ黒な狼は少し申し訳無さそうに顔を近付けてきた。

「……分かった。」

そう小さく呟いて、真っ黒な狼は血を舐めた。

すると、まだ残っていた血が淡く輝いて、鮮やかな2つの指輪に変わった。

「これを嵌めれば良いのかな…?でも…、あなたは嵌められないよね……?」

僕は困惑していた。

「それなら問題ない。」

真っ黒な狼は、そう言うと何かを呟いた。

その瞬間、真っ黒な狼は輝きだし消えた。

その代わりにそこには、腰まで届く闇より深い黒色の髪をした、黄金色の目を持つ青年がいた。

その青年はとても綺麗だった。

その綺麗な青年は静かにそこに立って、僕を見つめている。

………………裸で。

「き………!!」

「き?」

「きゃああああああああああああああああ!?

今すぐ!!元に戻るか!!服を!!着てぇ!!!!!」

僕は赤面しながら悲鳴をあげ、後ろを向いた。

な、何で裸なの!?

僕、色々もう駄目だよ!?

僕が何かに思考を支配されている時、後ろから声が聞こえてきた。

「すまなかった…。久しく人間に会うからあまり考えていなかった。もう元に戻ったぞ?」

振り向くと、申し訳無さそうに座っている元に戻った真っ黒な狼がいた。

「だ、大丈夫ですよ!?僕は別に!!な、何も見ていないから!?」

僕は色々滅茶苦茶になっている…。

「でも…、どうしようかな?街に行って服を買って戻るしかないかな…?」

僕が考えていると、真っ黒な狼が話しかけてきた。

「その必要はない。そんなことよりいい加減手の傷を治せ。」

「ふぇ?あっ…。忘れてた。“治療”」

僕は手の傷を治した。

必要ないって…、また裸にならないよね!?

「ふん……。本当に不思議な力を使う。」

聞こえてきた声は、何故か下からして声が高くなっていた。

「……………?」

僕が下を向くと、真っ黒な子犬がいた。

「どうした?」

真っ黒な子犬は可愛らしく首を傾げる。

「か、可愛い!!」

僕は子犬を抱き締める。

「可愛い!!もふもふ♡」

「おい!!やめろ!!俺は人形でも犬でもないぞ!!」

子犬はジタバタと暴れる。

「えへへへ~可愛いな♡/////」

「……………………。」

子犬はどうやら諦めたみたいだ。

もふもふ~♪やわらかい♡

僕がスリスリしていると、子犬は怒ったように話しかけてきた。

「おいっ!!この馬鹿人間!!いい加減にしろ!!外に出るんだろうが!!」

「馬鹿人間って酷いよ……。僕はルーナだよ?あなたの名前は?」

僕は名前を聞いていなかったと、今気付いて問いかけた。

「俺に名はない。ルーナが付ければいい。」

ちゃんと名前で呼んでくれた♪嬉しいな♪

うぅ~……。黒い狼だから“黒狼(こくろう)”で良いかな?そのままだから嫌かな?

「黒狼は…駄目かな?」

「こくろう……。それでいい。俺は黒狼だ。」

どうやら、気に入ったらしい。

それにしても可愛いな♡

「ルーナ、すぐに出るのか?」

黒狼が問いかける。

「うぅ~……。もう遅いし明日にしようかな。」

時間はもう22時を過ぎていた。

「そうか。ならば、ルーナは寝ろ。ガークとも戦って今も血を流してフラフラだしな。」

黒狼はいつの間にか元の大きさに戻っていた。

可愛かったのに…。これはこれで格好良いけど。

「俺も寝るから。ルーナも早く寝るんだな。」

黒狼はそう言って、地面で丸くなった。

「はーい♪」

僕はそう返事をして黒狼に抱き付いた。

もふもふ~♪

「おい……。何をしている。」

黒狼は呆れていた。

「えへへへ~。一緒に寝たいの。暖かいし。もふもふで気持ちいいから♡」

「勝手にしろ。」

黒狼は諦めて目を閉じた。

「えへへへ~。これからよろしくね?僕の友達で家族の黒狼……。」

僕はそう言いながら、ギュッと抱き締めた。

そうして、僕は深い眠りにつく。

「あぁ……。ルーナは俺の友達で家族だ。」

どこか遠くで黒狼がそう言ったような気がした。


 ────そうして、ルーナと黒狼は出逢い共に長い旅に出る。

ルーナ「んにゃ~………。もふもふ………。」

黒狼「猫か。寝ててももふもふと言うのか……。」

ルーナ「うぅ~………。こく…ろう……。」

黒狼「……………(本当に警戒しないで馬鹿だ。)」

ルーナ「……………………。」(ギュッ

黒狼「ルーナは暖かいのだな。体も心も。ルーナなら……、きっと俺は信じられるだろう…。」(ペロッ

ルーナ「うぅ~……………。」

黒狼「おやすみ…。良い夢を。俺も久しく良い夢が見られそうだ……。」



メア「ルーナが舐められた……!!」(殺意

アラン「僕のルーナに!!許さん!!」(殺意

ルリア「落ち着きなさい!!新しい家族じゃない。

私ももふもふしたいわ~♡」


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