言われてみれば、おそらくここが分かれ道。
『365、365‥‥ ない。』
高校の入学発表の日、俺、【西ヶ谷 蒼斗】の番号はなかった。
おい、これが受験失敗者の心情かよ。
よく、アニメやドラマで受験受験者を馬鹿にしてきたが、自分がその立場に立つと何だ、そのー‥‥、要するに受験番号の書いてあるあの板みてーなものを、全力で殴りたい気分だ。
こんな最悪の気分の中で気は向かないが、番号がなかったと家で待つ母親に電話する。
『母さん、ごめん‥‥ 俺、史城高校ダメだったわ。』
すると、母さんは俺が落ちるのを分かっていたようにこう言った。
「あー、やっぱりね。 母さん、あんたが史城高校落ちる夢五日連続で見てたのよ。」
『って、五日連続ってどういうことだよ!?!? 俺、どんだけ史城高校に嫌われてんだよ!』
「まぁ、ダメだったものはしょうがないじゃない。
諦めて、隣桜高校に入学するのね。」
『はぁ‥‥ 隣桜か。』
こうして、俺は四月から隣桜高校に入学することになった。
アニメやドラマみたいに、素敵な出会いがあるといいが、おそらくそんな出会いはないだろう。
そんなことを考えながら、史城高校を後にした。