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「どうですかね、タタラくん?」

「はいっ! いきなりしぬのはいたいのでいやです!」


 と、タタラが言う事も一理ある。

 死ぬ……と、言うかダメージを食らう瞬間が分かるのと分からないのでは偉い差だ。実は、一度俺もタタラが原因で死んでいる。

 階段から落ちたタタラに引っ張られ、俺の頭も、ぱかっ、と逝ったのだ。部屋で弾丸を造っていた俺は、突然の痛みが理解出来ず、めちゃくちゃ慌ててマッポーめいた悲鳴をあげたのだ。実際イタイ。

 そんな分けで、他の子神持ち――例えばひびのんがやっている様に、子神であるタタラを迷宮に連れて行こうと考えている。

 そうすれば、何の覚悟も無い状態での不意打ちの痛みは防げるだろう。

 俺が戦っていれば、俺が死ぬ可能性が有る。ソレが分かるだけでも救いには成るだろう。


 が。


 ここで一点問題が発生する。

 タタラの足である。

 言いたかないが、言ってしまえば――


「お前、めっちゃ足手纏いになるよな」

「そこはわれ、ゆうきでおぎなうよ!」


 ――新たな勇者の誕生だッ!


「いや、無理ですからね?」

「えー……」

「唸るな」


 不満そうに。

 兄上的には早く勇気ではどうにもならない事が有る事を理解して欲しいです。そう、こういう場合頼りになるのは――


 金である。


 嫌な話だが、コレ、真理なのよね。

 金で幸せは買えないかもしれないが、問題は結構解決するもんである。

 タタラが足手纏いならば、タタラの足を用意してやれば良い。タタラを運び、タタラを守るモノを用意してしまえば良い。


 そう。異世界モノで御馴染の――奴隷さんである。


 どこの世界でも大体同じな不思議制度、犯罪奴隷とか、借金奴隷とか愛の奴隷とかあるアレである。ジャップの常識で普通に接しただけなのに、惚れられちゃってどうしよう! ボクハソンナキナカッタノニナー! な、アレである。つまり俺も昨日までの俺にサヨナラする時が来たのである。魔法使いの資格を失うのは勿体無いが、そこは、ソレ。ここから俺のハーレムストーリーが始まるのだッッ――!


「と、言う分けで奴隷商を紹介して下さいな、五十嵐さん」

「無いわよ。奴隷制度」


 完。


 大人の話なので、タタラをおやっさんに預けて一人で迷宮管理組合へ。そこで期待にはち切れんばかりの胸を宥めながら、美人受付嬢に聞いたところ……二秒でストーリーが終わった。


「ナンデ! 五十嵐=サン、ナンデ!?」

「分かってると思うけど、この世界、現代日本人が結構な数流れて来てるのよ。それで、現代日本は奴隷制を取って居ませんし、マイナスの物であると教育しています。そう言う分けです」

「そんな! じゃあ俺の童貞はどうすれば良いんですかっ!?」

「……色町を紹介しましょうか?」

「違う! 間違えた! 別に良いです! 忘れて下さい!」

「えぇ、そうさせて貰うわ」


 閑話休題。


「えー……それじゃ俺はどうやって真の絆(笑)を築けば良いんですかー?」

「(笑)って……」

「(笑)でしょ?」


 それとも(偽)とか(仮)とか(催眠)ですか?


「……まぁ、そうね。(笑)ね」


 欠伸をしながら五十嵐さん。

 幾ら優しくしようが、命を救おうが俺には金で買った相手との間に真の絆とやらを造れる甲斐性は有りません。大体、有り得ない。ちょっと命を救った位で、優しくしたくらいで『ハグしてホールドしてもう一度好きって聞かせて欲しいっ♡』には成らない。常識的に考えて。


「……○○Bも十年後位には浮気して、玄関にまっぱで出て、色んなとこから叩かれてブラウザゲームの声優やるメンバーが出るのかな?」

「うるさい。黙れ。死ね」

「はい、ごめんなさい」


 ちゃんと謝っているので、許してほしい。色んな意味で。

 本当に許してほしい。

本当に許してほしい。

ダメなら消しますよー。

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