幕間・狩猟神と契約したので日記をつけてみる その3
自分の中では大好評! 月一、もしくは話の区切りで投下予定の幕間!
……一時間で書けるから大好きです。
○月×日
日記を読み返していたら発覚した新事実。
日記へのピヨ麿の登場回数が多い。
……まさか。
ドキがムネムネする。
……まさか、これが――
胸やけか。
昨日から揚げ食べてとんかつ食べてチキンカツ貪ったのが拙かったらしい。
気持ち悪い。
が、ピヨ麿の登場回数が多いのは事実であり、それがムカつくことに変わりはないので、今後、ピヨ麿を日記に出すのは止めておこう。
○月×日
ネタが無い。
ピヨ麿がどれだけネタ人間か分かる。イロモノめ。
○月×日
迷宮に行く。
虎っぽい《竜》の集落に辿り着いた。
こいつらはヒトに近い形をしてるので、出来ればやり合いたくない。
そんな分けでUターン決めようと思ったら……同類、現地人の混合パーティが子供の虎を苛めていた。
むかついたので、そげぶ。
三人の信号機がぎゃあぎゃあ喚いている。
攻撃も飛んでくる。
当たりはせんッ! 当たりはせんぞぉッ!
それを見ていた三匹の飼い主の一言。
「やー……結構良いけど、ヒーロー型だね。良いや、放置」
わけわかめ。
○月×日
協会で見知らぬお姉さんに声を掛けられる。
薄手のドレスが似合うナイスバディだ。
何でも同類で、この都市の酒場で歌っているらしい。
どうやら、私と契約を結び、私の武勇伝を歌にしたいらしい。
何故そんな事を?
「私と私の神様の能力は戦闘向きじゃないの。だけど、私はあの子の為に信仰を集めたい。だから、誰かの武勇伝を広める事にしたのよ。伝説を造るのは貴女で、英雄を造るのが私の仕事ってわけ」
目からハッピーターン。
英雄を造る……そう言う方法もあるのか……。
と、ここまで書いて、昨日のわけわかめな言葉の意味が少し分かった。
私はロリババァの欲する英雄とは違ったらしい。
言葉から察するに、ロリババァの探しているのはヒロイン型なのだろう。
○月×日
サバ味噌食べたい。
○月×日
トランスフォームしたアルテに斧を持たしてみる。
通りかかったヒトツメ亀の甲羅を割らせてみる。
血が出た。死んだ。アルテが泣き出した。
おい、狩猟神、おい。
○月×日
このままでは狩猟神としてのアルテがヤバい。
得物を狩ると泣き出す狩猟神とか信仰がヤバい。
仕方が無いので、我が家に伝わる鍛錬方法を実施。
朝食抜いて、迷宮奥地に行きます。
捨てます。
以上。
○月×日
みーみー。
アルテが泣いている可哀想だが、放置。
お腹がすいたのか、泣き声が弱くなってきた。
そのタイミングで足の骨を折ったウサギを投げてやる。
アルテは少し迷ったが、その辺の木の実と草を食べる事にしたらしい。
ウサギにも分けていた。
○月×日
今日も今日とてアルテとウサギのごはんは山の幸。
○月×日
アルテとウサギのごはんが周囲一帯から消え失せる。
どうやら夜の内に、誰かがこの辺りの山の幸を狩りつくしたらしい。
ヒドイハナシダナー。
木苺うまうま。
○月×日
絶食、三日目。
ウサギとアルテが動かなくなった。
死に近づき、アルテとのリンクが発動。私のお腹もヤバい。
だが、ここでモノを食べたらアルテが復活してしまうので、私も絶食。
アルテが命を賭けるのだ。私も賭けよう。
○月×日
アルテが泣いている。
泣きながら口の周りを血で染めている。
アルテは、今日、ウサギを食べた。
可愛がり、苦楽を共にしたウサギを食べた。
泣きながら、それでも食べた。
――空腹に耐えかねて。
そんな理由で。自身の餓えを満たす為だけに食べた。
それでいい。
餓えは辛い。生きる為には食べなければならない。
自分勝手であろうと、生きる為には食べなければならないのだ。
それが、生きる。
それが、食べる。
それが――『狩る』と言う事。
世界より命を『借り』受ける行為。
満たされた餓えに満足を。
餓えを満たしてくれた命に、感謝を。
この日、アルテは狩猟神にちょっとだけ近づいた。
○月×日
サバ味噌うまうま。
やぁ、先週の日曜日はすまなかった。間違えたんだ許してやって欲しい。あと、これは幕間だから次でもまだ迷宮行かない事を許してほしい。
あと、何か、今週ポイントが結構増えたんですが、どこかで紹介とかされたんだろうか? 晒しじゃないと嬉しい。沢山の人に読んで貰えて嬉しい。
しばらく更新亀ですが今後もよろしくです。