幕間・狩猟神と契約したので日記をつけてみる その2
前回が好評かかどうかは知らない。
文字数が稼げるから僕は大好きさ!
○月×日
ピヨ麿・オブ・デッド。
今日、ピヨ麿が死んだ。
あんなに良い奴だったのに。
ガードレールに花添えて『お前、好きだったよな……オザキ』とやろうと思ったが、止める。よく考えたらチェッ○ーズだったから。鋭角的な心臓のララバイだったから。今の子は知らない。
私? モノマネ大賞で覚えた。
調子に乗って熱唱。『Hey!』でアルテがびくってなった。可愛い。
あと、やっぱピヨ麿はダメな部類の生き物だ。確定。
○月×日
最終回でも無いのにピヨ麿が帰って来た。
エーテル適正が戦士型ではないと聞いて本当にダメな生き物だと思う。
○月×日
ピヨ麿をみんなで追い出す。
卒業式風にやったのにピヨ麿は不満そうだ。
だから私の案を採用して『お前の席ねーから』にすれば良かったんだ。
○月×日
迷宮に行くのにメンバーを募集する。
第一条件は地図が読める事。
一人目。
金髪イケメンの同類。スキルが魔剣生成らしい。思わず優しくなりそうになったが、心を鬼にして試験。
斬ってみろ、魔剣使い! 斬ってみろ!
と、挑発。太刀筋しょぼ過ぎ。却下。
魔剣ブレード(笑)と呼んであげよう。
日本語に訳すと、魔剣刀。まけんとう。まけんとう! おいどんはまけんとう!
方言か。
後、ニコポ、ナデポはフィクションだから。この財布はその授業料だから。カツアゲじゃないから。
……カツアゲした金でかつ丼食ったんだ。ぽよよ~ん。
言ってみただけです。
二人目。
黒髪和装の大和撫子系ガンナー。
……ガンナー?
話を聞くと、本当はサムライになりたかったのだが適正がなくて諦めたらしい。
意気投合し、女子トーク。このままパーティ結成か! と思われたが、ならず。
月見うどんの玉子を真っ先に崩す様な雑な奴とパーティが組めるか! アレは最後に、ちゅるんとやるモノだと言うに……。
三人目……は来ない。
ちょうど通りかかったのか、蜥蜴人間と歩いているピヨ麿を発見。
こっちゃ来い。手招きする。
ファック。中指お空に、びしっ、てやられる。
追い掛け回した。
○月×日
ドンキーギルドと言うものがあるらしい。
コングか? コングなのか、おう?
と、思っていたら、小型のロバの事らしい。
ではロバの獣種のギルドか? ……と、思ったが、これも違うらしい。
ドンキ―と言う荷運び様のロバに因んだ迷宮探索者のサポート専門家達のギルドとの事。荷運び、《竜》の解体、調理に応急処置なんでもござれのスーパー集団らしい。無論、地図も読める。素敵。
さっそく行こうと思ったら、見知らぬ女の子に袖を引かれる。
頬のタトゥーが可愛らしい子犬の様な女の子だった。曰く、彼女は地図が読めるとの事。
即契約。
何を隠そう、彼女こそが人間形態のアルテだった。
待て。
○月×日
ふて寝。
わけがわからないよ!
○月×日
どうやらアルテは獣種らしい。
子供神様は全員、人間種以外だと説明された。
な、なんだってー。
○月×日
ピヨ麿と遊ぶ。
ネッシーは存在するんだよ!
――なんだってーっ!
宇宙人は存在するんだよ!
――なんだってーっ!
実は、カレーにご飯は合わないと思ってる。
――ナンだってーっ!
実は、私は男なんだ!
――うん。それは知ってる。
追い掛け回した。
○月×日
昨日追い掛け回したピヨ麿にごはんに誘われる。
何だ? 私の事が好きなのか? と、思っていたらそうではないらしい。
何でも、魔剣ブレード(笑)のおごりらしい。
――タッパーもったか、タッパー?
――よし、タタラ肉行け! 高い肉行け!
おかわりいただけただろうか。
ピヨ麿はガチで遠慮していない。
組合で鑑定をやっていると言う美人な同類が引いている。
フラグクラッシャー・ピヨと呼ぼう。
そして、魔剣ブレード(笑)はパーティ……と言うかギルドを造る気らしい。ただし美少女に限る。何でも『僕の魔剣でヒトを守りたいんだ!』との事。ただし美少女に限る。
魔剣ブレード(笑)の女性陣に向ける目がやばい。幾ら強くてもアレは無いし、魔剣ブレード(笑)は弱いので致命的だ。
「良し! やる気のあるヒトは明日、ギルドの前に来てくれ!」
魔剣ブレード(笑)の絶叫。
お財布さんなのでみんな拍手。
ピヨ麿に明日行くのか質問。
誘われていないのに行くわけないだろ?
ごもっともです。
○月×日
朝。
パートナーの神様とギルドの前でガ○ナ立ちしてる魔剣ブレード(笑)を発見。
元気そうだ。
昼。
壁にもたれて立ってる魔剣ブレード(笑)を発見。
そわそわしてる。
夜。
膝を抱えて体育座りしてる魔剣ブレード(笑)を……発見してしまった。
魔剣さんは、道行くヒトを、泣きそうな眼で、見て――
ま、魔剣ブレードぉぉぉぉおおおぉぉっ!
切ない。
やばいくらいに切ない。
あまりの切なさにアルテと視線で会議。
一瞬で結論。駆け寄ろう。関わりたくないが可哀想すぎる。……と、思ったら――
「ひ、ひびのぉぉぉぉん! ご、ごめん! ひびのん、ごめん! あの、ちょっとお爺ちゃんの三回忌で! それで遅れたんだ、ごめん!」
ピヨ麿が行った。
駄目な生き物だし、言い訳に無理があるが、ピヨ麿は良い奴だ。
○月×日
ピヨ麿、本屋で赤い本片手に
「ザ○ル!」
未だ諦めていないらしい。
昨日の評価は取り消しだ。