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 戦士ギルドには託児所――の様なものが有る。

 所属する戦士の子供、或いは幼い兄弟が一室に集まって適当に遊んでいる内に自然発生するモノなので、毎度、決まった位置には無いので、父兄にその場所は分からないが、子供達は前日の約束か、或いは本能的なモノでその場所を引き当てる。

 発生するのは主に二カ所。

 宿舎の中庭か、宿舎のロビー。

 前者は外で遊ぶ男の子を主体としたアウトドア志向の子が、後者は女の子や、幼い子などが集まる。

 そして、その日、事件が起きたのは――後者、室内の託児所だった。

 赤かった。

 血の赤に濡れていた。

 泣き叫ぶ子供達の中心に、頭から血を流す男の子と、全身から血を流す女の子が居た。


 男の子の名前はタタラ。

 女の子の名前はミツキ。


 同時刻に頭を吹き飛ばされたソウジに、鎧の中で肉塊となったカツヨシ。彼等二人と契約した小さな神だった。


□■□■□


 ――フロイライン。


 ドイツ語で令嬢。

 百目キャタピーの糸で造られたふわふわのドレスを纏い、戦場にて優雅に槍を操る彼女の事をいつしか周りはそう呼ぶ様になっていた。

 戦士が身に着けるのはエーテルを《付加》する事によりありとあらゆる恩恵が得られる刻印を刻まれた鎧。

 その常識を覆し、動き易さを重点に置いたドレスを纏い戦場で踊る黒髪の彼女は、成程、確かにフロイラインだろう。

 足下に転がっている《竜》の死骸に目を瞑れば。


 ――麗しのフロイライン。

 ――黒髪のフロイライン。

 ――当たらずのフロイライン。


 僅か一カ月で二つ名を与えられるまでになった彼女には、兎に角、攻撃が当たらない。


 故に、フロイライン。


 戦場に立ってもドレスを汚さないお嬢様と言う分けだ。

 だから、残念な事に彼女の動作は別段洗練されていない。


「――」


 朝食とも昼食とも取れない時間帯にホットドックを咥え、更には片手も使う事無く、むぐむぐと咀嚼している今の姿が良い例だ。

 更に、そのおこぼれを狙って白い仔犬が足下に待機してるのも良い証拠になるかもしれない。白い彼女は知っているのだ。彼女の相棒が絶対に食べ物を零すと言う事を。


「……ふぁに?」


 年の頃は十代中盤、日本で言えば中学生位。フロイラインの二つ名に違わぬ愛らしい容姿を際立たせるツインテールを揺らしながら、全ての要素を台無しにしそうな残念っぷりを披露するように盛大に食べこぼしをしながら彼女は、突然ロビーに響き渡った悲鳴に軽く小首を傾げた。


「行くー?」


 何かな? とでも言いたげにぴくぴくと耳を動かす足下の仔犬に間延びしたような問。

 それに、仔犬が『わん!』と返事をした事により、彼女は一つの作戦に携わる事に成った。


□■□■□


 戦士ギルドの中で二柱の神が血の海に沈んでから数時間後。


「……片桐ソウジ、新田カツヨシ。両名は死亡したと判断します」


 暁ツバキの静かな声がドライアドに続くドアの前にぽつりと落ちた。


 短い! 続きは今日上げれる――かは分からない。水曜も怪しい。土曜に成るかもしれません。

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