seventeen.
奇跡の兵器
彼の悪人としての心は40歳がピークだった
自分に不可能はないとイヴを設計し、自分の足で材料を取りに行き、全てを一から作り上げた
だからこそ、イヴやアダムはちょっと悪戯好きな子になった
男の足で取りに行ける鉱物や材料の場所などはたかが知れている
少し不純物を含んだ鉱石や材料なども妥協して使っていた
男の設計は完璧だった
しかし、如何せん綺麗すぎたのだ
山の空気、水、大地、木、動物、食べ物、男の周りにあるものすべてが綺麗であった
そして、その山の全ては男を愛していた
神に愛された男……それは彼の全てを愛す世界であった
そんな男一人の邪な気持ちなど、いとも簡単にかき消されてしまう
男の気持ちと命令に世界の気持ちが反発して出来上がったのがイヴとアダムの悪戯
一度と言わず二度までも失敗をした男は少なからず心が折れた
これはチャンスだと自分を奮い立たせた
作成に集中したいと思い、アダムに材料を収集させた
男が生み出したアダムも無条件に全て受け入れられた
そして、誰もなかなか行けないような深い森の中に入り、持ち前の身体能力で崖を身一つで下り、深い湖の奥底を潜り、洞窟の奥を進み……
そうして集められた材料は美しかった
燃えるように赤く透明な大きな石、ガラスのように透明で光に当てると薄紫になる石
銀色に鈍く光り、叩くとリィィィィンと澄んだ音のする石
さまざまな鉱石や材料を持ってくる
行けばいくほどに純度も高く美しいものを採ってくる
純度の高ければ高い程に男の心と命令に反発する
そして、カインとアズラはいい子になった
男の心はさらに折れる
前回以上に奮い立たせてまた挑む
今度はカインも加わって、以前以上に状態の良い材料が手に入る
出来上がったアズラへの命令は世界に受け入れられた
良い子がさらに良い子へと、空気も土も草も木も動物も人間も、全てに
何が男をそこまでさせるのか、誰にもわからない
ただ言えることは、生まれた時からの夢だったということ
エデンをつくったとき、僅かな希望のみが男を動かしていた
辛い、苦しい、何故出来ないのか、止めてしまいたい、何故だ、どうしてだ
答えの出ない考えに頭を悩ませ、自身の精神を追い詰めた
それでも男は不眠不休で動き続けるのだ
自分の体が持たないことにも気づき始めていた
咳をするたびに血が出る、息が出来ない
動くたびに体が悲鳴を上げる、体が苦しい、心も苦しい
悲しい