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fifteen.
エデンは皆をまとめた
エデンが一番完璧な人間に近かったから
たまに村におりて手伝いをしたり、男の布団を変えたり
みんなの衣服を作ったり、叱ったり、笑ったり、ときには泣いたり
それでも男は目を覚まさないし
エデンもほかの子に何かを言うこともなかった
皆はいつもの通りに動いていた
村からの手紙は封を開けられることもなく
男の机に溜まっていった
「マスター……」
時折、小さく男を呼ぶ声がする
男がいる部屋の前で小さく蹲っているのだ
彼女たちは理解しているのだ
彼らは知らぬふりをしているのだ
みな、命令されて動くロボット
感情などあるはずのないロボット
それでも、男に褒められれば暖かい気持ちになるし
頭を撫でられれば嬉しかった
ただ、寂しいのだ
エデンはそんな様子を見てひとり涙する
エデンは知っていた
何故、男が世界征服に失敗したかを
エデンは知っていた
何故、善人ばかり作ってしまうのかを
男の心とシンクロをしたエデンは全てを知っていた
男の知恵も全てエデンが受け継いだ
けれどもエデンは今までと変わりのない生活を送る
その体が朽ち果てるまで
全員がそうするだろう