本音を言ったらツッコミたい。だけど、ツッコミ入れたら負けなんです
目の前に金髪、碧眼の中学1年くらいの女の子が現れた。
その子は言った。
確かに言った。
「私の名前は赤ずきん!!」
俺、神谷紡は思ってしまった。
この子はイタい子だと。
「ねぇ、聞いてる。私は仕事の遅い男は嫌いよ」
「す、すまん。もう一度、言ってもらっていいか」
「ふん、仕方ないわね」
一度、わざとらしくせき込み、一気に息を吸い込み、なぜか早口で
「私の名前は赤ずきん。世界平和のために面倒くさいけど絵本の世界から来てやったわ。そこの小悪党どもを倒すためにあなたが必要らしいから手伝いなさい」
あれ、おかしいぞ?先ほど聞いた内容にはなかったものが色々と増えてるぞ。
「まぁ、とりあえず交番に行くか?」
「バカにすんな!!ボケぇ」
「ぐふっ」
そこはダメだよ。弁慶さんが泣いちゃうところダヨ。なんか、デジャブ感。
「し、しかし、お前、赤ずきんって絵本のキャラだろ」
「現実見なさいよ」
お前にだけは言われたくない一言だな。
「現に目の前の二足歩行で歩くバカみたいな駄犬(笑)は私の絵本から出たのよ。それぐらいわかるでしょ」
「まじっすか」
「マジもマジ。超マジ」
「ぐがががぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁ」
自称赤ずきんに蹴り飛ばされていたオオカミがいきなり大声をあげた。
「俺を無視して話を進めるなぁ」
「おだまり」
バァーン!!
赤ずきんがどこからともなく取り出した火縄銃が火を噴いた。
「駄犬(笑)ごときが何を言ってるの。いい加減学習したらどう?」
「きゃぁうーん」
オオカミが子犬の如く恐縮してしまった。まさに恐れ縮んだよ。
「早く絵本に戻りなさい。でなきゃ・・・」
「く、くそ。いでよ、悪の手下ども」
『ひぃー』
仮面をつけた黒いボディースーツを着た人たち(?)がどこからともなく現れた。
その叫びは色々とダメだろ。いろんなところから怒られるぞ。
「ふん、今に見てろ」
そんな負け台詞を叫びながら、オオカミは逃げて行った。
「ちっ。逃げられたか」
舌打ちをしながら赤ずきんは火縄銃を頭巾の中にしまった。まさかのその頭巾は四次元ポ○ット!!
「まぁいいわ。すぐに殺すだけだから。あ、あんた、そいつらやっといて」
「はぁ!?」
ついつい叫んじまったよ。意味が分かれねぇよ
「お前、俺を助けに来たんじゃないのかよ」
「そんな雑魚、あんたで十分よ。神埼紡せんせい」
「なんで・・・・・その名前を?」
「さぁ?知りたかったらそいつらやってみなさいよ」
「・・・・わかったよ。やればいいんだろ」
俺は学ランを脱ぎ捨て、ファイティングポーズをとった。
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けっこう手下どもは弱かった。