赤の頭巾をかぶったあなたは・・・まさか!?
おはようございます。
神谷紡です。得盆高校三年生になりました。ですが、特になにがあるってわけでもなくただ平凡を楽しんでいます。
「おはようございます、兄貴。今日も早いっすね」
「おう、おはよう・・・て、また待ってたのか牧原」
俺の後輩で、二年の牧原連人。毎朝、朝刊が来るよりも早くに俺の家の前で見張り(?)をしてくれてるらしい(半分以上はストーカーに近いぜ)。こいつが俺のことを兄貴と呼ぶことにも一応、理由があるんだが・・・
「いい加減、その兄貴ってやつよさないか」
「なに言ってるんですか!!あの日から兄貴は兄貴っすよ」
満面の笑顔で言われちまった。
大した理由じゃあないんだ。簡単な話、不良に絡まれていたところをたまたま通りかかった俺が牧原を助けてやったってことだけだ。
もっと詳しく話すと、入学したての一年は良く我が高校の不良方々に目をつけられる。その筆頭が牧原だった。地毛で金髪らしい牧原は格好の餌だと思われたらしい。
まぁ、絡まれてるやつを見て、そのままスル―なんて後味が悪すぎる。だから、助けてやっただけ。
怪我なんてしないさ。基本的に我が高校の不良様は名前だけだ。軽く肩を叩いたら「覚えてろ~」って言って逃げていったよ。
「兄貴はいやですか」
「まぁ、牧原がそれでいいなら呼び方なんてなんでもいいが・・・さすがに兄貴は気恥ずかしいな」
「・・・・・・・・・ぐすんっ」
うわぁ、目がうるうる。なんか俺がいじめてるみたい。
「見て、あの子泣いてるわ」
「本当、カツアゲかしら」
「こわいわねぇ」
俺のご近所の評判がぁあぁぁぁぁぁああぁぁぁああぁぁぁぁああぁぁぁ
「あ、兄貴で構わないから、泣くな」
「本当っすか!!」
わぁ~、うれしそう。
そのまま、俺らは校舎に向かって与太話をしながら歩いて行った。
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「じゃ、兄貴。俺はこっちなんで」
「ああ、勉強に励めよ」
「はい!!」
良い返事だ。素晴らしいね。
そんなことを考えていると俺のうしろからとてつもない衝撃が体(主に腰)を襲う。
「朝から下僕を従えてさすがだなア・ニ・キ」
「…………………気のせいか」
「って、おい!!」
俺の腰付近に抱きついてぎゃぁぎゃぁ騒ぐ小人がうるさい。この小人は園児まち。とにかく小さい。俺が178㎝に対してこの小人は140ぎり足りずだ。
「お~い。無視すんなよ」
「………さぁ、教室に行くか」
「……………………ぐすんっ」
お前もか!!俺の周りにはこんなやつばっかだな。
「見て、あんな小さな子を泣かしているわ」
「カツアゲかしら」
「「こわいねぇ」」
俺の校内評価がぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
「お、おう、園児。いたのか。おはよう」
「おう、おはよう!!えへへ」
「小さくて気付かなかった」
「黙れぇい」
「………………………………………………」
そこは弁慶も泣いちゃうとこだぞ。本気で蹴っちゃいかんぜよ。ぐすん。
「ふん」
「ああ、もう神谷君。ダメじゃないですか、まちちゃん泣かしちゃ」
座り込んで弁慶の泣き所をさすっていると上から声が。その方向を見てみると眼鏡をつけた知り合いがこちらを見てた。
俺のクラスの委員長さまこと平和島綾。
「なんだよ。その言い方だと俺が悪いみたいじゃないか」
「違うかしら」
うっ。この人に勝てる気がしない。なんかうしろに仏が見える気がしてならない。
「そんなことよりも早く教室に行かないと遅刻してしまうわ」
「早く行こうが遅く行こうが余裕だろ」
「そんなことを言って遅行は許しません。何事にも余裕を持つことは大切よ」
どうも、この委員長さまは俺のことを不良か何かと勘違いしているらしい。というか、基本的に学校全般的に不良と勘違いされているらしい。
確かに遅刻やら欠席は多いし、交友関係が広いというわけではないが・・・そんなにダメに見えるか?
「ほら、行きましょ」
「へいへい」
俺はそのまま教室に向かった。