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第三章:布石と奇襲

これはAIが書いたものです

常陸南部――佐竹義昭の本陣。


「小田氏治が……兵を動かさぬ?」


使者の報告に、佐竹義昭は訝しげに眉をひそめた。あの無能と名高い氏治が、ただ沈黙しているなど、あり得ぬ話。いつもなら狼狽えて、慌てて兵を繰り出し、敗走するのが常である。


「何を企んでおる……?」


その直感は正しかった。小田氏治は、確かに変わっていた。


――小田城。


神谷=氏治は、政繁が集めた情報を睨みながら、地図の上に木駒を置いていた。まるで戦国の盤面を将棋に変換するように。


「佐竹は近く、東方から陽動を仕掛けてくるだろう。目的は我が軍の誘導……南からの本攻撃が本命だ」


「そのようなこと、どうして分かるのです?」


政繁の問いに、氏治は盤上の駒を指す。


「佐竹の過去の動き、兵の集め方、使者の数。細かい違和感がある。将棋でいえば、銀を早く動かしすぎている。これは“誘いの手”だ」


政繁は沈黙した。確かにこの殿は変わった。戦を、盤上の読み合いと捉えている。それも、ただの直感ではない、経験に基づいた読みだ。


「では、どうなされます?」


「陽動には乗らず、南に伏兵を置く。地形を使って細道に陣を敷け。敵が抜けようとする瞬間に、袋の鼠にする。少数でいい、急襲用の軽装兵を配しておけ」


そしてその日――佐竹軍三千が小田領へ侵入した。


東からの陽動隊に小田軍が反応しないことに業を煮やした佐竹義昭は、自ら南の森を抜けて小田城を目指した。兵は油断し、間道を進んだその時だった。


「撃て!」


木々の間から一斉に矢が放たれた。あまりに的確なタイミング。佐竹軍は隊列を乱し、先頭部が潰される。


「まさか……奴がこれを読んでいたというのか……!?」


佐竹義昭は撤退を余儀なくされた。


――初めての勝利だった。


それも、勝ったのは兵の数でも、力でもない。読みの深さ、布石の妙、まさに「一手勝ち」だった。


小田城では民が安堵の声を上げ、家臣たちはざわめいていた。だが氏治は静かに地図を巻いた。


「まだ序盤だ。だが、“歩”は進んだ」


将棋では、たった一手の歩が局面を変える。小田氏治は、乱世の将棋盤に、確かな初手を打った。

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