第十二章:玉動くとき、天下揺らぐ
これはAIが書いたものです
将棋の「玉」は基本、動かさぬもの。
戦の大将もまた、最後の最後まで動かぬが定石。
だが時に、盤面を覆すには――“玉”自らが歩を踏み出さねばならぬ。
関東制圧の兆しを見せる小田氏治に、ひとつの報が届いた。
「北条、動く。宇都宮へ密使を派遣し、小田包囲の策を持ちかけた模様」
政繁の声が重い。
「北条氏政……とうとう腹を括ったか。結城が我らに与した今、関東で最も脅威になるのは、やはり奴らだな」
そして、敵は二手を打った。
一つは、古河公方・足利義氏を担ぎ出し、小田家の“正統性”に傷をつける策。
もう一つは、小田領内の反小田勢力――とりわけ那須、壬生、さらには一部の寺社勢力を焚き付け、内乱を誘発する火種。
「外から挟み、内から燃やす……二正面作戦か。厄介だな」
誰もが警戒し、小田本陣の守りを固めようとした。
だが、氏治は違った。
「……逆だ。玉は動く。俺が動いて、奴らの“虚”を突く」
「殿自ら!? それは危険すぎます!」
井口周斎が叫んだ。だが氏治は譲らない。
「盤面を見ろ。今、敵の注意は領内の混乱に向いている。そこに、小田の“本陣”が突っ込んでくるなど、誰も読まん。奇襲は“常道”ではないときにこそ効くんだ」
かくして、小田氏治自らが出陣。
わずか三百の“黒備え”のみを連れ、敵中に切り込む策をとった。
行き先は――宇都宮領・西方城。
そこには、北条と通じた宇都宮家の重臣・芳賀高武が籠もっていた。
「敵に悟られるな。今夜が勝負だ」
黒備えが霧の中を進む。
夜の城を囲み、火矢が放たれ、あっという間に堀が越えられた。
氏治は先陣に立ち、自ら槍を振るう。
かつて“敗戦公方”とあざけられたその男が、今や戦場のど真ん中で血に濡れていた。
「玉が、動いている――ッ!」
味方も敵も、息を呑む。
明け方、西方城は陥落。
芳賀高武は討たれ、北条との“連絡線”は断たれた。
報を聞いた北条氏政は、椀を落としたという。
「氏治……小田の玉が、自ら動いた、だと……?」
その日より――関東の将たちは、はっきりと理解した。
小田氏治はもう、“笑いもの”ではない。
むしろ、もっとも恐るべき――**“読めぬ手”**を打つ男だと。




