第十章:王手飛車取り
これはAIが書いたものです
将棋における「王手飛車取り」。
それは、王に王手をかけながら、同時に飛車という大駒を奪う――
二つの要を一手で制す、もっとも痛烈な一撃だ。
小田氏治は、次の一手として“佐竹家の飛車”を奪う策に動いた。
狙うは、佐竹の中核にして名将、真壁久幹。
佐竹の西翼を担う剛腕の武将にして、関東の諸将からも一目置かれる“飛車”である。
そして、もう一方の“王”は、佐竹義重その人。
義重は弟・義久の敗戦に怒り狂い、次なる進軍の準備を進めていた。
だが――氏治はそこに、一手を打つ。
「政繁。真壁殿に、密使を送れ」
「敵将に……ですか?」
「そうだ。真壁久幹は、元々、義重とは距離を置いていたはず。だが忠義ゆえに従っている。そこに、ほころびはある」
「ならば……何をもって、懐柔を?」
氏治は、微笑んだ。
「“未来”だよ。真壁殿に問え。――このまま佐竹に従い、滅びを共にするか。あるいは、小田とともに“関東を分ける”か」
政繁が問うた。
「まさか、領地を差し出すおつもりですか?」
「違う。“関東連合”を組む。主従ではない。利で結ぶ。今は“小田家”という枠に、全てを詰め込む気はない」
それは、戦国では異端の思想だった。
だが、元将棋名人の魂は語る。
――将棋において、大駒を取りたければ、まず“王”を揺らせ。
――その動きの中に、飛車は引きずられる。
やがて、返答があった。
密使が持ち帰った真壁久幹の文には、ただ一言。
《応ず。されど、佐竹の“王”に一矢報いる策、求む》
氏治は、にやりと笑った。
「よし……“王手飛車取り”の形が、見えたな」
――そして、戦の火蓋が切られた。
小田軍はわざと小規模の軍で佐竹領・江戸崎城を包囲。
義重はそれを見て、「小田、再び油断したな」と怒りのままに出陣。
だが、それこそが罠だった。
義重の本隊が動いた瞬間――
真壁久幹が、佐竹本拠・太田城の兵糧庫を押さえ、軍を反転。
その上で、小田軍本隊が側面から義重を包囲する。
「王手、飛車取り――見事に決まったな、佐竹殿」
混乱の中、義重は深手を負って退却。
真壁久幹は、戦場の只中で小田の旗を掲げた。
この戦――のちに「江戸崎の逆鉾」と呼ばれ、
“笑い者”と侮られた小田氏治が、ついに関東の大勢力・佐竹家を傾かせた日として記されることとなる。
そして――
「これで、飛車は我がもの。次は……桂馬か。奇襲を狙える“跳ね駒”の用意がいるな」
盤面を前に、氏治は次の策を練り始めていた。




