4:伝書鳩
・前回のあらすじです。
『町に着いたユノが、その雰囲気に不信感をおぼえる』
横道に入ったところにある宿屋【カッレ】にユノは部屋をとった。
寝具とクローゼット。小さなテーブルのある一室だ。
風呂とトイレは一階にある共用のを使う。
「ふー」
鞄を肩からはずし、ユノは床に置いた。
旅の服も、上衣のジャケットをぬいで、洋箪笥にかける。
かんかん。
朱色の窓を、硬いものがたたいた。
(鳩だ)
白くて、ほかの同種のものよりひとまわり大きい。ペンドラゴン国第一王女の愛鳥。
(イリス。って言ったっけ)
首輪の赤い宝石をみてユノは思った。硝子をくちばしでつつくその鳥は、王女アテナ・レイ・ペンドラゴンの飼育するペットだった。伝書鳩のまねごともしているらしい。
窓をユノは開けた。
押し開いたところから、白い鳥――イリスがさっとなかに入る。
寝台のうえにイリスは降りた。
ほそい肢に丸めた紙がくくってある。
おとなしく止まっているイリスにユノは近づいた。膝を折ってしゃがみこみ、顔の高さを合わせる。
「どうしたのイリス。ボクに手紙?」
いい予感はしなかった。アテナ王女の飛ばした書簡ということは、ペンドラゴン王家からの【依頼】と考えるのが自然だ。
(これはアテナ姫からか……。アルトリウス王からか。どっちにしても、ボクになにをしてほしいんだろう?)
不信を覚えながらも、ユノは鳥のあしからひもをほどく。
巻いてある紙をひろげる。
差出人はアルトリウス・ペンドラゴン国王だった。
かさり。
ユノはイリスからはずした手紙を読んだ。
まえまでは、妖精や冒険者ギルドを介しての依頼だったが、簡便な伝達の手段を手にいれた今、アルトリウスも「それらをはさむ必要は無し」と判断したのだろう。
ペンドラゴン国王の認めた内容を、何度もユノは確かめた。




