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シンギュラーコード  作者: 甘糖牛
第三章
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若手交流会

 新装備を買い揃えたロアは、交流会に参加するため壁近くのエリアにまで来ていた。

 格好は新しく買った戦闘服だ。パーティーという話だったが、服装は自由と言われていたので、特に着飾る必要はないと思い普段通りの格好で来た。

 事前に通知されたビルの一つに入り、受けた案内に従って上階に進む。普段とは縁遠い高級感漂う施設内であるが、サルラードシティにてリシェルたちと似たような場所を訪れた。だから内心に多少の気後れを感じる程度で、動揺を表に出さずに済んだ。

 改めて招待者としての身元確認を行い、会場内に入った。


『思ってたより人が多そうだな』


 まだ開始予定時刻には達していないのに、既に相当数の人数が会場内に見られた。数にしてざっと百人以上の人間がこの場に存在している。数十人程度の集まりを予想してので、これにはロアも少々驚かされた。


『というか、普通に大人も混じってるな』


 若い探索者だけを集めているかと思ったら、明らかに年齢を重ねた見た目の者たちも混ざっている。探索者なのかと思ったが、見た限り戦う人種には見えない。ただその振る舞いといい格好といい、彼らも正式なパーティーの参加者なのだろうと判断した。


「あ」


 一通りぐるりと見渡していると、その中に見知った顔を発見した。


『あいつもいるんだな』


 それはミナストラマに来てから都合二度遭遇することになった例の少女だった。当然というべきか、その姿格好は以前会った時とは異なる。武器は持ってないし、モンスターなんかも連れていない。彼女は周囲にいる人間と親しげに雑談してる様子だった。

 ロアが少女の方を向いていると、彼女の顔の向きが変わった際ふいに目があった。会場内で唯一知っている顔であるので、せっかくだから手でも振ろうかと考えていたら、すぐに目をそらされた。

 別に親しいわけではないためショックはないが、ロアは苦笑して上げかけた手を下ろした。


「ちょっと。突っ立ってないでそこどいてよね」

「ん? ああ、悪い」


 入り口前で固まっていたら唐突に背後から声をかけられた。ロアがその場から退くと同時に振り返れば、そこには水色のドレスに身を包んだ少女が不機嫌な様子で立っていた。

 彼女はロアの様子を見て胡乱げな顔をしたのち、「ふん」と鼻を鳴らして横を通り過ぎていった。それからロアも続くような形で中に入った。


 会場内では交流会の参加者がそれぞれ自由に振舞っている。顔見知りや親しい者と固まる者たちもいれば、積極的に他者へ挨拶に回る者たちもいる。振舞われる色鮮やかな料理を楽しむ姿も見受けられる。

 独り身な上にこの手の催しの勝手が分からないロアは、すでに交流会が始まってるのかいないのか。それすら不明な状態のまま、壁際で所在なさげに立っていた。

 人の観察にも飽きて、盛り付けた料理を静かに頬張っていると、近寄ってきた一人に話しかけられた。


「端っこでポツンとしてないで、お前もあっちに混ざったらどうだ?」


 声に反応して顔を向けてみれば、そこには自分よりも少し年上くらいの青年がいた。

 ロアは口の中の食べ物を飲み込んでから口を開いた。


「混ざったらって言われても、他の人のこと知らないし」

「こういうのはとりあえず偉そうな大人に挨拶するか、人が固まってるところで適当にそば耳たててればいいんだよ。そういう言い方するってことは、やっぱ新しい顔だよな。他所からの移住者か?」

「うん、少し前にここに来た」


 青年は愛想よく笑うと、右手を差し出して自己紹介をした。


「俺の名前はオッゾ。アケイロン所属のDDランクだ」

「俺はロアだ。ランクは同じくDDだ」


 出された手を握り返してロアも名乗り返した。


「おー、やっぱそうか。やけにこなれてるというか、ふてぶてしさからそうだと思ったんだよ」


 そんな雰囲気を出してるつもりはなかったが、他者からはそう見えたのだと思い気にしないことにした。


「ところで、アケイロンってなんだ?」

「そういや、こっちに来てまだ日が浅いんだったか。アケイロンは探索者チームの名前だよ。この交流会にもここから結構な人数が参加してる。自慢するわけじゃないが、ウェイドアでもかなり大きなチームだ」


 そう言いつつも、それを話すときの彼の様子は少し得意げだった。

 ロアが「ふーん 」と相槌を打っていると、会場の一部がにわかに騒めき立った。そちらに目を向けてみれば、前方に設置された壇上に何人かの人間が立ち並ぶのが見える。音響機器を通じて拡声した声が伝わってくる。


「──ここで、ウェイドアシティ協会支部、探索者活動推進委員会のトマス・ロッドウィル氏から、ご挨拶をいただきたいと思います」


 少しだけ場内の雰囲気が変わったので、ロアは壇上で注目を集める人物についてオッゾに聞いてみた。


「あれは誰なんだ?」

「見たまんま。協会のお偉いさんだよ。俺も詳しいことは知らんけど」


 なんだかすごい人物かと思ったら、随分と雑な答えが返ってきた。長くこの都市に住んでいる者でもそんな程度の認識かと思い、ロアは関心を向けつつもぼんやりとした気持ちで話を聞いた。

 そうして主催者側の挨拶も終わり、歓談の声はより賑やかさを増していく。ドリンクや料理を片手に、同年代の少年少女が交流する様子がそこかしこで見られる。

 その中で不思議に感じる光景があった。まだ十代の子供の探索者を相手に、上等なスーツを着こなした大人が礼儀正しく接している。教えられた交流会の目的を考えれば、それは奇妙な光景だった。


「気になってたんだけど、どうして大人が普通に混ざってるんだ? 交流会って若い探索者の集まりじゃないのか?」

「そういうのも知らないのか。あの大人たちは探索者じゃなくて、主に壁内外の有力者や企業の人たちなんかだよ」


 交流会にはウェイドアシティの有力者や企業の人間も列席している。将来が有望視される探索者は、いずれ都市の中枢に関わり大きな影響力を築くことになる。また企業にとって、若く優秀な探索者は将来の優良な顧客となり得る。交流会は、都市の未来を担う者たちの交友関係を深めるための場にもなっている。


「まあ、流石にそこまで偉い人は来ないけどな。個人商人とか中小規模の企業とか、自前で高ランク探索者を抱えられないような、そこそこのとこが多い感じだ。企業の立場からしたら未来の上級探索者に顔を覚えてもらいたい。俺たちの立場からしても、目をかけてもらえるのは励みになるし、出世したら贔屓にしてもらえる。互いに将来的な投資の意味合いが大きいよ」


 言い終わり、オッゾは器用にグラスと食器を持ち替えて喉を潤した。

 ロアはその話を感心しながら聞いていた。


「流石に詳しいんだな」

「かれこれ三回目だしな、このパーティー。嫌でも知るようになるもんさ」

「三回? 交流会って何回も参加するものなのか?」

「ここの参加資格は若くて優秀な探索者だからな。要件さえ満たしてたら個人が何回参加したって問題ない。中には全く参加しない奴や一度来たらそれっきりって奴もいるけど、毎年新しい顔が増えたり減ったりするし、参加して損はない感じだ。高級なタダ飯だって食えるし」


 そう言って、オッゾは皿に盛りつけられた料理を口に運んでいた。「そんなもんか」と思いつつ、ロアも同じようにして残りの分を食べきった。

 ロアが舌の上で料理を味わっていると、その様子を横から覗いていたオッゾが興味深そうに聞く。


「あんま美味しくなさそうだな。ここの料理を目当てに来る奴もそこそこいるのに。舌に合わなかったか?」

「いや、普通に美味しいよ。けど前に食べた原材料の料理と比べたら、驚くほどじゃないかな。毎日食べれるなら喜んで食べたいけど」


 普段食べてい物よりは美味しいが、既知の範疇を出る味ではない。味覚を犯して舌をとろけさせるような、筆舌に尽くしがたい美味には及ばない。あの味を知らなければもっと素直な気持ちで楽しめたかもしれないと、ロアは贅沢を覚えたことになんとも言えない気分になった。


「お前、生の料理を食べたことあるのか?」

「うん、まあ」

「どんな味だった?」


 相手の予想外の食いつきに、ロアは若干顔を引いて答える。


「どんな味だったって、すごい美味しかったけど」

「ここと比べてもか?」

「そうだな。ここと比べてもすっと美味しかったな」

「マジかぁ……いいなぁ」


 やたら羨ましがるオッゾの反応を見て、ロアは不思議そうにする。


「いいなぁって、お前も中級なんだろ? 確かに原材料の料理はすごい高いけど、食べようと思えば食べられるじゃないか?」

「そりゃいつかは食べてみたいとは思ってるけどさ。一食にあんな高い金払うくらいならもっと色んなことに使いたいよ」

「それは、確かに。俺も奢ってもらっただけで、自分で金出したことはなかった」


 オッゾの言にロアは同意を示す。原材料の料理は得られる満足感は非常に高いが、それ以上に価格帯が高すぎる。自分の金で行くかと問われたらほぼ間違いなくノーである。懐事情に全く釣り合っていない。一食に何十、何百万と使うくらいなら、その分を装備を買う費用に回したり、いざという時のために貯蓄したりする方が有意義である。食事に金を費やしたせいで困窮探索者になどなったら、馬鹿らしくて笑い飛ばす気にもなれない。

 身の丈にあった金使いを心がけるロアに、周囲に視線を移したオッゾが言う。


「だから俺は別に上級は目指してないけど、CCとかCCCとか、中級上位くらいにはなりたいと思ってる。そこまでランクを上げれば、よほど生活レベルを上げない限り悠々自適な暮らしができるだろうし、たまの贅沢に高級店に行く余裕はあるだろうからさ」

「そうか」


 オッゾの将来設計に相槌を打ちながら、ロアも会場内に視線をやった。

 そこでは前途ある若者たちが、楽しそうに自身の未来を語り合っていた。


『こうしてみると、探索者の世界も結構華やかなもんだな』


 ロアにとって探索者の世界というのは、殺し殺されの血なまぐさいものだった。死にかけたことは一度や二度じゃないし、同業者に命を命を狙われることもあった。モンスターはもちろん、人を殺めることすらしてきた。探索者とはそんな、殺戮の先に成り立っている世界だと認識していた。

 それが、この場では立派な成功者として扱われている。探索者になる前では顔すら合わせられないような大人たちと、対等に目線を合わせて会話をできている。殺すことで得た強さと、築き上げたランクの高さが、他者からの敬意と賞賛を浴びる対象となっている。


『どこの世界も、表面上は綺麗に繕うものですよ』

『辛辣だな』


 一方で、この光景は多くの運や実力に恵まれない者たちを下敷きにして成り立っている。一部の強者を生み出すために、多数の弱者と犠牲者を積み上げている。そして、それを意図して作り出しているのは、きっとこの場を用意し盛り上げている支配する側の者たちだ。

 以前リシェルと話した内容を思い出して、ロアは苦笑する。何はともあれ、自分はこの施策による恩恵を受けてしまっている。血で築かれた利益を享受している。ならばきっと、どんな理不尽があったとして、何かを言う筋合いはないのかもしれない。

 社会の成員として、探索者の一人として、自身も大きな流れに囚われる個人でしかないことを自覚した。



 オッゾと共に新しく料理を取りに行くついでに、ロアは彼から色々と教えてもらう。


「あそこで固まってるのが俺たちアケイロンの連中だ。中心にいるイケメンがハルト。この世代の中じゃ間違いなくトップの探索者だ。んであっちがオーダライン。古豪って言い方は変かもしれんが、昔は結構有名だったらしい」


 オーダラインと呼ばれた者たちの中には、あの少女が混ざっていた。強力なモンスターを従えていることから、当初はかなり強力な探索者だと思っていたが、先日の一件とオッゾの言い方からして、それほど強いチームではないのかもしれないとロアは判断する。


「あそこでスカしてるのがスネイカーズの奴らだ。ぶっちゃけあんま評判は良くない上に、俺たちアケイロンともソリが合わない連中だ。関わるなら最低限にした方がいい。それであれがエリスライト。女主体のチームだが実力はここウェイドアでも指折りだ。トップは引退済みだが、元Aランクのやり手で、現リーダーもBBBの猛者だ。美人が多いからってコナかけると、火傷するだけじゃすまないぞ」

「ふーん」


 教えられた内容を、ロアは並べられた料理を皿に盛りながら適当に聞いていた。

 淡白な反応を見せられ、オッゾは呆れ気味に息を吐いた。


「こういう話、あんま興味なさそうだな」

「興味ないっていうか、まあうん、興味ないのかも」


 はぐらかすことでもないかと思い、ロアは正直に答える。

 自分の身を守るために、他人の情報を事前にある程度取り入れたいという思いはある。しかし、第三者の意見だけを聞いて、先入観を持ちたくはない。ロア個人の意見としては、実際に本人と接してみるまでは、他者の評価は話半分で聞くつもりであった。

 オッゾと雑談しながら会場内を歩いていると、ロアは他の参加者とぶつかりそうになった。手に持つ皿を傾けないよう器用に避けつつ、謝罪の言葉を口にする。


「あ、悪い」

「……チッ、気をつけ」


 ぶつかりかけた人物は悪態をつこうとして、去ろうとするロアの背中を「待て」と呼び止めた。


「お前、ロアか?」

「ん?」


 自分の名前を呼ばれたことで、ロアは反射的に振り返る。

 そして、振り返った先にいた人物を目にして、その表情を驚きで染めた。


「ダン……」


 そこには、ロアにとって忘れたくても忘れようがない顔があった。

 ネイガルシティの路地裏で苦楽を共にし、成り上がることを夢として、未来を語り合った者たち。大きくなり、ただの子供ではいられなくなったことで、最終的に決別することになった者たち。

 自分が裏切り、自分を置き去りにして先へ進んだ幼馴染みの一人が、そこにはいた。


「なんでお前が……」

「それはこっちのセリフだ。お前こそなんでここに……というより、なんでここにいられる?」


 ロアは動揺を必死に取り繕って、疑問に対する返答を口にした。


「俺は……あの後も探索者を続けて、それで、中級探索者になって、ここまできた」

「……お前が中級探索者?」


 言われた内容を理解できないと、ダンは困惑を顔に刻み込んだ。


「本当にロアなの?」


 流れを遮り、一人の少女が前に歩み出てくる。記憶にある姿とは随分変わっているが、当時の面影がある顔を見て、ロアはすぐに目の前の少女の名前も思い出した。


「ウェナ」

「うん、久しぶりだね」


 ウェナと呼ばれた彼女は、意外な再会を喜ぶように笑みを浮かべて応じた。

 まだ完全には眼前の事態に対応しきれなかったロアは、次に何を言うべきか分からず沈黙した。悩んでいるうちに、彼らの連れの一人が何事かと首を突っ込んできた。


「どうしたよダン、ウェナ。そいつ知り合いなのか?」


 その距離感は仲間と呼べるほどに親しげで、かつてはその場所に自分がいたことをロアは思い出させられた。

 今一度目つきを細めたダンは、それを最後に視線を切り、なんでもないとかぶりを振る。


「いや、どうやら人違いだったようだ」


 そう言って背中を向けた。冷淡な態度を取られても、ロアは何かを言うことはしなかった。

 身内の無作法にウェナが困ったように笑い、ロアの方へと近寄った。


「連絡先の交換だけでもしよ。これまでに何があったか、お互いのこと色々と話したいから」


 ロアは彼女と手早く連絡先の交換を済ませて、軽く手を振りながら去るウェナの姿を見送った。


「今のってスネイカーズの連中だろ。お前の知り合いなのか?」

「……昔のな」


 会話が終わったタイミング見計らい、オッゾが横合いから疑問をぶつけた。相手の雰囲気から、ただならない関係であると察した彼は、これ以上踏み込むのは野暮になると思い好奇心を抑えた。


「なるほどなぁ。因縁浅からぬ仲ってとこか。外の世界もなかなか面白い縁に満ちてるなぁ」


 唐突に発せられた覚えのない声をロアの耳が捉える。ロアがそちらへ振り向くと、そこには料理を山盛りに積み上げた青年が立っていた。

 青年はニッと笑みを浮かべてロアの方を見る。


「盗み聞きはマナーが悪いって思ったけどよ。こんなところで堂々と話してるんだから聞かれても問題ないよな。あったところでもう聞いちまったし、忘れろって言われても無理な話だけどな」


 困惑するロアをよそに、彼は手に持つ食器を咥えて空いた右手を差し出した。


「俺はナックル。よろしくな」

「あっ、ああ。俺はロアだ。よろしく?」


 気後れしつつも、ロアはなんとか反応して出された手を握り返す。握手した手のひらからは予想しない力強さが返ってきた。


「へー、やっぱりか」


 ナックルの両の目がロアの顔を捉える。瞳の奥には野生を感じさせるギラつきが見えた。


「お前、あんとき店の前にいた奴だろ?」

「……あんとき? どの時だ?」

「ガランってジジイがやってる落書き塗れの飯屋だよ」

「ガラン……? ああ、あれか」


 ロアは少し考えて、先日訪れた店のことを言ってるのだと理解する。同時に目の前の人物についても思い当たる。店でいざこざを起こしていた者の顔と、目の前の人物の顔が一致した。


「一目見てわかったぜ。こいつはつええってな。もしかしたらと思ったが、やっぱりここに来てたか。俺は強い奴が好きだ。だからお前のことも気に入った」

「そうなんだ」


 気に入ったと言われたロアであるが、そもそも初対面なので相手のこともろくに知らない。どんな反応をしていいのか分からず、無難な返事だけを口にした。


「機会があったら喧嘩でもしようぜ」


 言いたいことを言い終わると、ナックルと名乗る青年は目の前から去っていった。

 やりとりを近くで見守っていたオッゾが、再び言葉を発する。


「ナックルか。あいつもこのパーティーは初参加だな。けど名前だけはそこそこ売れてる。噂によれば、自分から無法都市出身だって名乗ってるとか聞いたな」


 ロアも無法都市については知っている。連合に加盟していない都市のことである。

 そんな所からも探索者になりに来る者がいるのかと不思議に思う。


「普通は余計なトラブルが舞い込むから、無法都市出身者は自分の出身を隠そうとするもんなんだけどな。ぶっちゃけかなりの変わり者だよ。お前も変な奴に目をつけられたな」

「別に殺しにくるわけじゃないし、気にしないよ」


 思いがけない話にびっくりさせられたが、考えれば互いに自己紹介をしただけの関係である。パーティーの趣旨を思えば異常なことではない。時間が経ったおかげでロアは常の平静さを取り戻していた。

 ここまでの会話から、相手の性格をある程度把握したオッゾが呆れ気味に言った。


「お前も相当な変わり者なのかもな」


 それになんとも言えず、ロアは苦笑した。

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