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99話 超家族会議、無事閉幕

 家族会議という名の別物が続いてるけど、ほんとやばいわ。

 みんな完全にキレてるみたいで、神聖王国を滅ぼす一辺倒になってきてる。というより反対意見が一切出てないんだけど!? いつもは抑える側のお父様までやる気満々とか、ちょっと想定外すぎるよ。


 でも、ここまで怒ってくれるとちょっと嬉しいかな。

 だけど同時に、このままじゃ本当にまずいのもわかる。なんとかしないと。


「えっと、わたしたちのために怒ってくれるのは嬉しいんだけど、そのせいでお母様たちが恨まれたり、変な罵り受けるのは嫌。だから滅ぼすとかはやめてもらいたいかなぁって」


 もしも行動に移したら、絶対に大量虐殺の汚名がついちゃうからね。それはわたしが嫌だから絶対に止める!


「ユキちゃんがそう言うならしょうがないかしら。お母さんは汚名とか気にしないんだけど、ユキちゃんの方が気にしそうだものね」

「たしかに、ユキさんが気に病む方が問題です。しかし娘に抑えられるというのは、なかなか面白い体験ですね」

「鎮める立場の父上まで乗り気だったしなぁ。ほんと父上と母上は、家族や身内が関わる問題には過激な対応ばかりになって困るな」

「それ、リョウ様もですよ? というよりここに居る全員が、ですけどね」


 うん、お姉さまの一言が真実を物語っているね。

 わたしもそうだけど、ここにいる全員って家族や身内のことをほんと大事にしてる。だからか、敵に対しては容赦なく徹底的って感じなんだよねぇ。

 それに、もしも身内と世界どっちを取れと言われたら、迷うことなく身内を選ぶ面子でもある。国王やギルドマスターがそれでいいのかって気もするけど。





「じゃぁ滅ぼすのは無しとして、それ以外の対策ね」

「ユキちゃんの話だと、専用の兵器があるのよね。まずはその兵器に対する防御策を設けることかしら。ユキちゃん、私にできるだけ詳しく兵器のこと教えてくれるかな?」

「はーい。えっと形は――」


 ママ様に細かく説明していく。

 せっかくなので幻術を使って細部まで再現して説明。というかわたし、ここまで幻術を簡単に使えたかな? しかも今って体がよく動かないから口に術札くわえて一回発動させただけなんだけど……。

 もしかしたら未来で得た力の制御方法とかを今のわたしが取り込んだのかもしれない。これは未来からのちょっとした贈り物って考えておこう。


「なるほど、対象の力を激しく奪った後、解除不可能な封印をする兵器、ってことね。となると、これは防ぐよりも相手に跳ね返す方がいいかもしれないわ。おそらく対象に効果が無かった場合、その結果を情報として蓄積し自動修正する進化型の兵器だから」

「それじゃ反射用の結界をタツミさんに作ってもらいましょう。カタリナちゃんはユキちゃんたちの魔道具が結界に耐えられるように改修、最後に私が結界を魔道具に仕込むわ」

「念のため、もう二つほど対策をとっておきましょう。隔離と封印結界を応用し、もしも攻撃を受けても封印されないようにします。さらに相手の兵器を封印する仕掛けも付与し、再攻撃が不可能な状態にします」


 な、なんかすごいことになってきたよ。

 古代エルフの超技術をすべて管理しているママ様、術でも精霊でもなんでもござれなお母様、惑星を覆う巨大な結界すら簡単に作れるお父様、この3人が居たらできない物ってほんとない感じだねぇ。


 しかしあの兵器、誰がどうやって作ったんだろ? 古代エルフ関係ならママ様が知ってるはずなんだけど違ったからなぁ。気になるけど答えは出ないね。


「あとは今日ユキちゃんたちが戦う予定だったゴミ虫の身辺調査くらいかしら。と言っても既に終わってるのだけど。シズク、軽く説明してちょうだい」

「畏まりました。まずは皆様のお手元にある資料をご覧ください」


 ……マジ? ありえないほどの短時間で、どうやって資料化できるまで調べたのよってのと、どうやって気が付く前に資料を配布したのよという二段構え。うちのメイド長、いろいろとはんぱないです。


 そんなシズクさんからの説明を聞いたけど、想像以上に小物だった。


 出身は神聖王国で貴族のお坊ちゃん、アルネイアへの留学は見栄を張るためだとか。それと一応勇者らしい、ほんとどこにでもわいてくるな勇者!

 剣術が得意なようだけど能力は鉄級冒険者未満、魔法や術の才能もないようで、正直って超雑魚。

 顔はイケメン? たぶんイケメン? まぁそこそこみたいなので女性受けはいいみたい。それとお坊ちゃんなので、お金もいっぱいあるから取り巻きもそこそこいる、と。


 わたしの嫌いなタイプの雑魚だけど、おそらくこいつが原因なんだよなぁ。雑魚に振り回されたとか、ちょっと複雑だわ。


「さてユキちゃん、最悪な未来を回避するためには二つ手段があります」

「二つ、ですか?」

「一つ目は事故に見せかけてこのゴミ虫を掃除すること。でもユキちゃんのことだから、これは選びたくないのよね?」

「ですです。未来は未来だけど、今は犯罪者じゃないですし。それに殺しちゃったら周りの取り巻きさんたちが悲しむんじゃないかなぁって」

「なら二つ目、まぁこっちの方が圧倒的に楽なんだけどね。それは相手を傷つけることなく、圧倒的な力を見せつけることよ」


 お母様が言うには、未来はこのお坊ちゃんとわたしたちが直接戦ったのがすべての原因になったとみて間違いないみたい。

 確かに未来のわたしたち、仲間の前でカッコつけてたお坊ちゃんに対し、数秒でフルボッコにして泣きながら命乞いさせるまで追い込んだからなぁ。そうなると、あの未来はやりすぎた結果の自業自得になるのかな。


 そんな最悪な未来を回避するため、圧倒的な力を見せつける方向に変える、というわけですか。

 う~ん、そうなると


「わたしなら精霊神衣、エレンなら天竜装を顕現させた状態で、中級層の1階からボスのいる階に向けて全力の一撃を放ち粉砕する、ってとこでしょうか」

「そのとおりよ。超級層だと二人が協力しないと難しいと思うけど、中級層だったら一人でもできるはずよ。それにダンジョン自体は修復されるから、たとえ塵にしても問題ないからね」


 お母様の太鼓判なので、これは絶対にできるってことだね。

 細かい作戦というか手順というべきか、同時に攻略でなく順番で攻略に変更する必要があるけど。


 わたしたちがダンジョンをも破壊できるという圧倒的な力を見せつければ、恨みではなく完全な恐怖心を与えることができる。

 もしかしたら圧倒的な力を見たことで憧れになるかもしれないけど、そうなったら復習になる確率はさらに下がるのでよし。


 問題はその提案を向こうが飲むかだけど、そこは交渉して何とかかな。

 いざとなれば、わたしたちよりクリアまでの時間が早かったら魔道具あげるとか言って、物で釣っちゃえばいいか。物が駄目だったら最終手段、負けたらあいつの女になるとでも言えばいいし。なる気は皆無だけど!


 うん、なんとかなりそうだね!





 方針が決まったあとはみんなで朝ご飯。

 偉い人が多いからか、若干エレンとレイジが『自分たちもここに居ていいんですか?』って感じに恐縮してて申し訳ないけど。


 でもねぇ、こういった光景にそろそろ慣れてもらいたいかなぁ。

 うちに居たときにも同じような面子でのお食事会もあったし、おそらくこの先もちょくちょくあるんだよ? わたしと付き合うっていうのはそういうことなんだよ?


 というかお母様、自分で食べれますよ? とってもらわなくても、あむあむ。あ、次はそっちのソーセージをお願いしたいです!

 って、マテマテ。体もだいぶ動くようになったのに、まだお母様に抱かれている状態なのは良いんですかね?

 それどころか両隣にはママ様とお姉様が座って、いつも以上にわたしを可愛がりすぎてるのは気のせいですかね? 嫌じゃないんだけど、ひっじょーに恥ずかしいんですけど……。

 まぁこの面子の前じゃ見栄も何も要らないからいいんだけどさぁ。


「ところでユキ、すごく気になってるんだが」

「なんですかリオンお兄様。もしかして彼氏ができたか、とかですか~? もちろんそんなのは居ませんよー」

「もしもユキの彼氏などとほざく不届き者が居たら、私自ら成敗してやるがな!」


 いや、そんなことを堂々と宣言されましても。

 わたしの身内、とゆーか男衆は、典型的だけどわたしに男ができるのがすっごく嫌みたいなんだよねぇ。友達ならいいけど、彼氏は絶対にダメって感じだし。

 だけど彼女、つまり同性ならいいという偏りっぷり。男心ってよくわかりません、前世男だったけど。


「気になっているのは、ユキの尻尾は〝5本〟だったか?」

「はい?」


 真面目な顔して何を言うかと思ったら、ダンジョンに行き過ぎてわたしのこと忘れたのかしら? こんなんじゃティアちゃんも苦労してそうだねぇ。


「何を言ってるんですか? わたしの尻尾はこのように1本、2本、3本、4本!? え? ちょ、まっ、えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 おかしい、超おかしい、なんでわたしの尻尾増えてるの!? 寝る前までちゃんと3本だったのに、今は5本になってるとか、ほんとなにこれ!?

 しかも未来のわたしも3本のままだったのに、一体どういうことなのよマジ。

突然の尻尾増量タイム

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