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88話 試験を受ける前のちょっとしたお勉強

 ノエルにちょっとしたお仕置きはしたけど、他にトラブルはなく無事に冒険科に到着。誰かに絡まれるとかもなくてよかった。


 だけど


「あ、あの先輩、すごい不安なんですが」

「我慢してください。手持ちにあったのがその下着なので」

「でもー」


 ノエルが履いているのはアリサが普段つけているもの。まぁノエルが替えの下着持ってきてなかったからなんだけど。

 でもノエルが不安がるのもわかるよ。だってアリサの下着ってちょっと大人向けなんだもの。というか紐で結ぶやつだし……。

 対するノエルは普通のショーツタイプ、そりゃ慣れない下着を履いたらそうもなるよね。


「変にいじってほどけるなんて事が無いようにしなさいよ。エレンに派遣してるとはいえ、うちのメイドが人様の前で下着が脱げるとかありえないからね」

「うぅ、せんぱ~い、お嬢様が厳しいです~」

「厳しいというか、脱げたら人としてダメでしょうに……」


 やはりノエルはどこか抜けてる。まぁそこがこの子の魅力ではあるんだけど、ちょっと心配にはなるわ。エレンにこの子の扱い方、詳しく教えたほうがいいかもしれない。





 そんなこんなで冒険科の試験会場を確認する。

 ふむふむ、冒険科の受講試験は簡単な能力測定だけみたい。召喚された低級の魔物を倒せれば合格、負ければ不合格という単純なのもいいね。


 他の学科と違うのは、ここはパーティであっても全員が倒せなければ合格にならないということ。後衛職であっても最低限の強さは必要ってことだね。


 とりあえず


「ノエル、間違っても近接はしないように。わたしの勘だけど、近接仕掛けるときにおそらく蹴りを入れようとするでしょ? その際に絶対に脱げると思うからダメだよ」

「お嬢様の言う通りですね。ノエルのドジっぷりはいつも見てますから」

「うっ、言い返せない。でもわかりました!」


 ラッキースケベなシーンは絶対に阻止します!

 というか、うちのメイドが有象無象の前でそんな痴態を見せるとか、我が家の恥どころではなく死刑宣告なようなものだから絶対に阻止。


「それにしても禿げ、ではなくて頭部のさびしい方が居ませんわね」

「何も言いなおさなくても……。だけど確かに居ないねぇ」


 先生は幾人かいるけど髪がふさふさだったり、女性だったり、スケルトンだったり、ってスケルトン!?

 たしか魔物って稀に〝ロード〟という存在に進化することがあるんだっけ。あのスケルトンはロードに進化してるんだねぇ、ここで見るとは思わなかったけど。


 ロードへの進化条件は不明で、元転移者とか転生者だとかいろいろ言われてるけど、いまだに解明されていない種族進化の一つ。

 それとロードとなった魔物はわたしたちと同じように、ロードという一つの種族として扱われる。これはロードになると明確な意識があり、心も存在するから。


 存在が変わるからか、ロードに進化した魔物は天魔に進化した種族と同等以上の力を得ている。敵になったらちょっとまずい存在になるともいえる。


 外見にも変化が起こる。

 スケルトンの場合、ロードになると骨格がオリハルコン製になる。もっともオリハルコンは基礎であって、さらに強い素材に成長することもある。

 ここにいるスケルトンの先生は成長していて、オリハルコンとアダマンタイトが混ざった状態だね。なかなか強そうだわ。





 冒険科も人気なようで、わたしたちも番が来るまでじっくり待つことに。

 ちょくちょく声をかけてくるバカがいるけど、アリサとレイジの威圧の前に退散してくから被害なし。というかノエルも頑張りなさいよ……。


 せっかくなので、試験を受けている生徒の能力を確認したけど、まぁ微妙だね。

 まさか召喚陣から現れる低級の魔物にすら四苦八苦してる人がいっぱいとか、ちょっと情けない気がするよ。


 四苦八苦しても時間内に倒せればいい。だけど倒せず、不合格になる人が多い。

 時間切れどころか低級のスライムやゴブリンに負けるのまで居るのがヤバい。群れできたら問題だけど、1対1だったら負ける要素はほぼないんだけどなぁ。


 実際、貴族なんかはちょっと強い武器でごり押してる。

 だけど貴族がどうして冒険科に入りたいのかは不明なんだけど。何かしらの利点でもあるのかな?


「おや? ユキ様、アレに見覚えないかな?」


 そんな中、レイジが何かを発見したみたい。どらどら


「アレってもしかして」

「僕の記憶が確かなら、アレって〝銃〟だよね。というか〝ライフル〟って言った方がいいかな」


 レイジが言うように、そこにはライフルを構えた生徒がいた。


 重火器も転生者が持ち込んだ技術なのか存在はしている。火薬だけでなく魔力を使う魔銃なんかも作られてるんだっけ。

 だけど強い魔法や術には遠く及ばないから、銃は補助武器って使い方をする人が多い。


「魔力を込めてる感じがないから、火薬を使った銃みたいだね。弾丸のほうに魔力を事前に込めておく種類かな?」

「そうなるとますます珍しいね。僕が知る限り、こっちの世界だと銃自体不人気なのに、さらに骨董品ともいえる火薬を使った銃を使うなんて相当な物好きだよ」

「だねぇ。銃が不人気なのは主に使用しているのがあの傭兵帝国だからってのもあるけど」


 傭兵帝国は異世界からの勇者召喚を何度も行ってるけど、召喚した勇者のすべてが魔力を持っているとは限らない。むしろ魔力を持たない勇者のほうが多い。

 召喚された勇者が魔力を持っていなかった場合、どういうわけかその子供まで魔力を持たないことが多い。なんでそうなるのかは不明、解決策も当然無い。

 そのせいか、古くから魔力が無い勇者を大量に召喚している傭兵帝国では、国民の半数以上は魔力を持たない人になってるとかなんとか。


 そんな傭兵帝国では魔力を持たない人も戦力として活用するため、魔力に頼らない兵器の開発を積極的に行ってる。その考えはどうなんだろって思うけど。


 そもそも戦力を高めるために異世界から人を召喚してるけど、そのせいで魔力無しの人まで大量に増えるっていう悪循環なんだよね。

 召喚するのを辞めて他国との争いを控えればいいのに、それをしないでどんどん召喚、どんどん兵器開発してるんだもん、敵が多くなるのは当たり前だよ。

 で、敵が多いから戦力強化でまた召喚して、魔力持ちが少ないからさらに兵器開発という、ほんと救えない国。


「ということは、あの方は傭兵敵国の方ですの? それにしては」

「うん、あの人は違うね。あの人は神聖王国の騎士か兵士だね」

「それはどうしてですの?」


 疑問に思ったのか、エレンがちょっと首をかしげてこっち見てくる。ちょっとあざとい感じがする可愛さですね!

 って、ちっがーう! いかん、真面目モードのわたしが一瞬吹っ飛んでたわ。

 アリサとエレンに対してちょっとゆるゆるになってるからか、気を抜いたらコロッといきそうでちょっと困る……いや困らないのか? まぁいいや。


「えっと、傭兵帝国だと首に隷属の証としての刺青が必ずあるの。ぱっと見はチョーカーみたいだけど、実は刺青ってやつね。だから傭兵帝国でないのは確実」


 奴隷の首輪じゃなく、跡が残る刺青ってのが更に胸糞悪いけど。


「次に神聖王国の場合、衣服や靴が独特なの。聖結晶っていう特殊な鉱石を練りこんだものを使っているんだ」

「鉱石ですの? でもわたくしが見る限り、不自然なところはないような」

「聖結晶を溶かしてできた液体を混ぜてるからね。見た目は普通なんだけど、歩く時の足元よーく見て」

「足元……あら? 何か一瞬光ったような」


 エレンが気付いたように、銃を構えていた青年がその場から少し動いた際、足元がわずかに光る。意識して見なければわからないほどの光なので、普通は気付かれないかすかなもの。この光が聖結晶を練りこんだ素材を使った道具の特徴。


 聖結晶の正体は魔吸石という、周囲の魔素を吸収する特殊な鉱石が変化した物。

 吸収した魔素は魔力に変換され、魔吸石はやがて天然の魔石〝聖結晶〟に変化する。聖結晶になると魔素の吸収能力がさらに高くなる。


 そしてこの性質は溶かして練りこんだ素材でも働く。一瞬光るのは周囲の魔素を吸収して魔力に変換したときの反作用。

 変換された魔力は装備者へ還元されるので、大気中の魔素からの魔力回復を促進する仕掛けになっている。

 だけど副作用や変換効率の問題があるから、うちの国だとずいぶん昔に廃止された技術なんだよなぁ。安全性に欠けるものは絶対にダメって方針だし。


 そんな魔吸石が変化してできる魔石は多種多様、同じ聖結晶でもいろんな物が存在する。これは周囲の魔素によって性質が変化するという特異性があるから。

 火の魔素が多ければ赤くなり、水の魔素であれば青くなるという、同じ結晶でも環境によっていろいろ変化する。

 あとは天魔の魔石同様の透明なものが作られることがある。属性も汚れもない純粋な魔素が必要という、難易度が非常に高いものだけど。


 透明な聖結晶は珍しいこともあり、神聖王国では〝神聖結晶〟と呼んでる。うちの国とかは珍しいけど所詮は聖結晶なので、透明であっても〝聖結晶〟って呼んでるんだよね。

 そんな神聖結晶を神聖王国では魔石を抜き出した人に埋め込むんだっけ。だけど神聖結晶の数自体少ないから、選ばれた人のみ行ってるとか。それで強くなるのかはわからないけど。


「なるほどですわ。それにしてもユキさんはよく知ってますのね」

「ほら、わたしがあの国に対していろいろやったって噂あったでしょ? あれって噂じゃなく真実もあるの」


 噂の方が若干マシな部分もあるんだよなぁ、ほんと反省です。


「自分のやったことの後処理とか気になって調べたんだけど、そのついでで神聖王国ならではの知識や技術とかも盗み、じゃなくて調べたの」

「ただ調べるだけではなく技術も奪い取るとか、さすがですわねぇ。敵に対して容赦ない、とも受け取れますわね」


 エレンの言うとおりだけど、それってわたしだけじゃないんだけどね~。うちの家族はみんな敵には容赦ないのだ!

科学兵器よりも魔法兵器の方が強い世界

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