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81話 試験を受けてみましょう

 お昼も食べたので、〝精霊〟と〝機工〟の学科を見に行く。

 まずは近い所にある〝機工〟の方。どんな感じなのかちょっとワクワク。


「機工って言うんだからロボットとかあるのかな~」

「ロボットというのは、ゴーレムみたいなものです?」

「そそ。あとは人が乗り込んで動かす奴だね。まぁどっちも微妙な立ち位置なんだけど」


 この世界の機械って魔法や術の前じゃほんと無力だからなぁ。

 魔力や精霊力を使った攻撃を防ぐことが難しく、結界などの防御を破ることが難しいし。しかもコストもかかりすぎるんだよねぇ。


 ただ、魔法や術を基にした魔科学や、精霊を基にした精霊科学で同様の物を作ったらそうはいかない。

 魔力や精霊力を用いた攻撃への対策がばっちりできるし、結界などを破壊や無力化することもできる。しかもコストを削減できる。


 もっとも、天魔が持つ術装が相手じゃどうにもできない。術装と他の兵器って次元が違いすぎるんだよねぇ。

 もしも術装の完全な量産ができる国が現れたら、間違いなくこの世界の覇者になれるくらい強力な物でもあるし。


「それにしても人が多いね。機工科って人気あるのかな?」

「やっぱり男のロマンじゃないかな? 僕もロボットとか聞いちゃうとワクワクするし」


 男のロマン、すっごいわかるわ。カッコ良ければさらにいいよね!

 まぁそんな考えの人が多いのか、見学しようとしてる人も実際に学科に通ってる人も、男の人が多いかな。男7割女3割って感じ。

 そのせいかな、ちょっとわたしたちって目立ってるね。なんとなく狼の群れに裸で飛び込むような感じに思えるんだけど、大丈夫かな……。





「へー、機械を動かすための基礎知識も教えてくれるんだね」

「科学以外にも製図などの工作関連もですわね。なかなか面白そうですわ」


 授業風景を見学したけど、予想以上にしっかりしてる。基礎もしっかり教えてるのは好印象。物を作るだけでなく、制御するための技術も学べるのいいね。

 なにより古代エルフとはまた違う技術だし、学ぶのは良いかもしれないなぁ。


「この〝ぷろぐらみんぐ〟という物、珍しいですわね。見たことのない言葉を使っていますわ」

「転生者からの知識だね。わたしたちの使う言語とは違う言語を基礎にしてるよ」

「僕はこの世界でC言語とかを見るとは思わなかったよ……」


 そう、まさかまさかのプログラミング教室まで開かれていたというね。開発言語もいろいろあるからより取り見取り。

 ただまぁぶっちゃけ、覚える意味があまりないんだよなぁ。


 この世界の魔科学や精霊科学、古代エルフの技術って術に近い言語で動かしてるから、正直言って使いどころが無い。

 しかも機械自体あまり存在しないから、修理したり改良することが稀。


 だからといって興味が薄れたわけじゃない。知識というのは決して無駄にならないし、なにより完全な機械のロボットを作ってみたい!


「せっかくだし、受講の試験受けてみる?」

「ですわね。わたくしもロボットを作ってみたいですわ」


 エレンも乗り気だったので、機工科の受講試験を受けることに決定。

 試験といっても難しい物ではなく、むしろ全問不正確でも構わないみたい。受講後にどのレベルの講師の下で学ぶかの下調べのような物ね。


 ちょっと変わってるのは、一人で受けるかパーティで受講するか、ということ。

 パーティで受講する場合、パーティの誰かが授業についていけないなくても、それをカバーするのは講師ではなくパーティメンバーとなる。特別授業とかが無いわけですね。


 だけど受講試験や進級試験を、個人ではなくパーティで受けることができる。パーティ全員の知識を用いて解答できるのは強いね。

 メリットもあるし、わたしたちはパーティで受講試験を受ける。まぁメリットが無くても選んでた気がするけど。





「――というわけで、ここの解答はこうなるわけ」

「なるほどですわ。それにしてもさすがですわね、他の方たちはまだ終わってないのに、もう終わりましたわ」

「知っている内容だったからね。それに今説明したように、結構簡単な問題でもあったし」


 専門技術っぽいのが無くてよかったわ。さすがに専門的なのはわたしも知らないからなぁ。


 工作の方はちょっとした模型組み立てるようなもので簡単だった。科学知識も前世で言うところの小学校の理科レベルだったのもあるね。


 どっちも簡単だったので、エレンに細かく説明しながら解答する余裕もあった。エレンの好奇心はこういう所でも全開だったからねぇ。

 アリサはわたしといつも一緒なのである程度は知っていたし、レイジは地球で教わったこと。おかげでエレンの好奇心に全員が全力で応えることができました!


 それにしても人が多いなぁ。機械とかって珍しいからか、興味本位で受けたって人が多いのかも? それかロマンを求めての人かな。


「さってと、結果が出るのは明日のようだし、精霊魔術が学べるっていう精霊科も行ってみようか」

「ですね。駄狐のお勧めというのは気に食わないですが」

「ほんと平常運転というかなんというか……」


 心底嫌な顔するとか、そうとうだよね……。









「うげー、なにこれー? バカじゃないのマジ」

「お嬢様、あまりそのような言葉を使うのは……」

「でも言いたくなる気持ちもわかりますわ、ほんと異常ですもの」

「これはちょっと多すぎるよね……」


 精霊科の見学をしに来たけど、人がほんと多すぎる。というか多すぎて、なんか喧嘩まで発生してるよ。


 機工科も人が多かったけど、そんなの目じゃないくらい人が多い。ぱっと見、数千人単位の人が居るみたい。

 しかもほぼすべて新入生であって、授業を受けている生徒ではないというのがなんとも。


「うーん、ここまで人が多いんじゃ見学できるのは相当先になりそう。いっそのこと見学はあきらめて試験だけ受けておく?」

「ですわね。見学もしようとしたら今日が終わってしまいますわ」


 見学も試験も順番待ちらしく、長蛇の列だからなぁ。人気なのはわかるんだけどホント異常。ひょっとして講師がエルフなのかな? エルフって超人気だし。

 なによりエルフは魔法や魔術、さらに精霊に関して詳しく扱いも上手な種族。学園長がエルフだったし、講師がエルフ説は濃厚。


 ここまで人が押し寄せてるということは、普通のエルフじゃない可能性がある。

 失敗したなぁ、カイルにどんな人が講師なのか聞いておくべきだったわ。気になって受講しないという選択肢が無くなりそうだよ。





 1時間近く待ってようやく試験会場に入れた。ずっと並んでたせいでちょっと疲れたよ。


 試験会場にはざっと見て300人くらいはいるみたい。

 新入生以外にも今年からこの学科を受けようとする在校生、それと貴族さんの従者もいるね。従者の中には家庭教師をしていたのか、すっごい頭のよさそうな人もいる。

 んーむ、そこまでして受かりたいのかって見るべきか、そこまでしないと受からない難問ばかりと見るべきか……。


 ちょっと不安になりつつも待つこと更に30分、ようやく試験用紙が配られた。ほんと待つだけでわたしはぐったりです。


「えーっとなになに『初級のフレイムアローの魔法陣を完成させよ』だって。1問目からちょっとだけ難易度高いね」

「ですわね。これは魔法を使えない者だったら答えようがありませんわ」


 どうやら魔法や術の知識が一定以上ないと受講できないみたいね。機工科みたく初心者向けもあるんだろうけど。

 問題の内容は魔法陣の生成方法、魔法や術の発動方法、術式の組み立て方、魔力に関する基礎知識とかだね。精霊に関する基礎知識もあるね。


 あとは特別な生徒を集める用かな? かじった程度じゃどうにもできない問題がちらほらある。

 特に精霊術に関しては無理でしょ。精霊から直接学ぶ術なので、特定の文献を読めば使えるってものじゃないし。


 まぁ見た感じ、わたしに解けない問題は1問も無さそう。これは英才教育の成果と、すべての精霊と友達になっているからだね!

 わたしが全部答えてもいいけど、せっかくだし三人に任せてみようかな?


「とりあえず三人で考えてみて、間違いとか解らないところをわたしが指摘するにしてみようか。精霊術はちんぷんかんぷんだろうから、答えとして予想した内容を書いてみてね」

「そうしますわ。この分野はユキさんの十八番ですもの、安心できますわ」

「だね。僕たちじゃ解らないとこがあってもカバーしてもらえるのは強いよ」

「私もある程度学んでいるので補助に回りますね。もっともお嬢様には遠く及ばないので、難問個所は私も躓きそうですが」


 なんかヨイショされる感じでむず痒いけど我慢。事実ではあるけど、やっぱドストレートに言われるのは慣れません。


 さってと、この試験を通して三人がどの程度知識あるのか、ちょーっと調べさせてもらいましょー。

ちなみに能力測定と違って規格外なことはしてません

一応真面目に試験を受けています

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