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78話 ちょっと不真面目な測定ですよ

 能力測定だけど、身体測定も入ってるんだね。身長体重とかいろいろ計ったわ。

 ただそこで分かったけど


「むぅ、身長があまり伸びてない」

「そういえばユキさんは身長が少し低いですわね。わたくしも低い方ですけど」

「お母様もあまり身長高くないから、遺伝でわたしもそうなのかもしれない。ちょっと残念」


 って言ったけど、本当の理由はわかってるんだ。

 これ、魔石のせいなんだよね。魔石の修復に莫大な魔力を使ってるから、その影響が体の成長に出ちゃってる。


 修行を頑張ってる効果もあり、わたしの限界値はこの2年で大幅に伸びている。限界値が伸びたということは、魔石も相応に大きくなる。ということは、わたしの小さくなった魔石の修復完了までの期間もさらに伸びる。

 修復までの時間が伸びただけならよかったんだけど、今まで修復に充てていた魔力量では修復どころか魔石の維持すら困難になっちゃったのがねぇ。


 となると足りない分の魔力をどこかから補うわけだけど、それが体の成長に使う魔力だったと。

 これはわたしが選んだのではなく、魔石が勝手に選んだ結果。わたしが他の魔力にしたいと思ってもこればかりはどうにもならないのが厄介。


 この感じだと、おそらく成長しきってもお母様よりも身長が低くなるなぁ。良くて150ぎりぎり、悪ければ140センチにすら届かない気がするわ。

 まぁ身長の伸びの鈍化以外は出てないから、むしろこの結果は良い方かも。身長の分ちょっと体重も軽いけど、内臓器官や体つきなんかは大丈夫そうだし。それに小さいのは戦いでのメリットになることもあるしね。


 あとはこれが魔石のせいだってことは絶対にバレないようにしないと。このことがバレたら、アリサがすっごい落ち込むのが目に見えてるから。





 身体測定も終わったので次の能力測定の場所へ向かう。

 測定するのは〝武力〟〝技力〟〝魔力〟の三つ。


 〝武力〟は武器や素手などの攻撃力全般

 〝技力〟は武技や術技といった技の使い方

 〝魔力〟は魔法や術式の威力や構築速度


 得意不得意関係なく、戦闘に関係する能力を測定するわけだね。

 あくまで測定なだけで、これが評価に影響するのはないようだけど。


 でもバカはどこにでもいるわけで。武力測定のところ騒がしいなぁと思って声を拾ったら、案の定バカが居たわ。

 ちょっといい結果が出たからか、やけに自慢げに語ってるわ。


「やっぱあーいう奴の前で、圧倒的な力の差ってのを見せたいよね」

「お嬢様、また何か悪いこと考えてませんか?」

「そんなことないよー。ただ目の前で、こんな非力な女子3名、男子1名が圧倒的な力を見せつけたら、あのバカはどう反応するのかな~って」

「あーあの、ユキ様? 一応僕も男なので、その非力って言われるとちょっと傷付くよ?」

「でもさぁ、あそこのゴリラと比べたら、ね?」


 レイジが程よい筋肉でなかなか良い体つきなのはわかってるんだ。

 対する自慢してるバカは気持ち悪いほどのムキムキ。なんですかあの筋肉、太い丸太ってレベル超えてるよ。しっかも筋肉ぴくぴくさせてるし。

 そもそもあれは〝ただの筋肉〟だからなぁ。レイジみたいに魔力と筋力が良い感じに合わさっていれば評価は変わるんだけど。


 さてと、あえてあのバカが居る受付に行きましょうかね。





「はい、次はあなたたち4人ね。それじゃ順番にこの〝測定くん〟に攻撃していってください」


 ほほー、用意された測定用のゴーレムに対し攻撃をするだけで数値化してくれるみたい。結構凄い技術だね。この国のエルフさんが設計したのかな?

 ぱっと見だけど、使われている術式は古代エルフの物に近い。ママ様の作るものとは違うから、おそらく別の系統だね。

 でもこれだったら、そんじょそこらの攻撃じゃ壊れないはず。まぁわたしたちが加減無しでいったら無理っぽいけど。


「せっかくだから、壊れるぎりぎり狙ってみようか」

「いいですわね。ではわたくしから、いきますわ!」


 エレンは素手で行くみたい。

 測定くんに対し超強烈な連打を浴びせてるけど、うん、測定くん壊れないね。衝撃波が起って周りの人がちらほら吹っ飛んでるけど耐えてる。あのバカも速攻で吹っ飛ばされたね。


 おや? 測定している先生たちがあんぐりしてるわ。恐らく連打が早すぎて腕が見えてないのに驚愕しつつ、相当ヤバい数値も出てる合わせ技って感じかな。

 でもね、あれは全力じゃないですよ? エレンの全力だったらもっとすごいんですよ?





「そ、そこまでで大丈夫です。つ、次の方に代わってください」

「むぅ、手を抜きすぎたからか、壊せませんでしたわ。もう少し力を込めれば壊せたかもしれないですわね」


 あーあ、余計なこと言っちゃったよ。先生たち真っ青になったし。今の状態が全力じゃないってなったら、そりゃ青くなるわ。


「それじゃ次は僕がやるね。せっかくだからこの〝聖剣〟を使おうかな」


 そう言ってレイジのやつ〝置いてあった木製の靴ベラ〟を持って構えたわ。こいつも悪ノリしまくりだな!

 そしてレイジは普通の靴ベラを剣に見立てて測定くんを何度も切りつける。普通に考えたら子供のお遊び。でも使う人が変わればただの靴ベラ、というか木の棒でも武器になるわけで。実際、測定くんの周囲には剣で斬ったような跡がいくつもできてるしね。


 先生たちまた青くなってるけど、これもレイジの本気じゃないよ?





「え、えっと、もう十分です。つ、次の人に代わってください」

「〝聖剣〟でも無理だったか。少し手を抜きすぎかも」


 まーた余計な事を。いやまぁ初めから靴ベラ構えた時点で手抜きなのバレてたかな?


「次は私ですね。私は真面目に木刀を使いますね」


 そう言ってアリサはポーチから木刀を取り出したけど、ほんと真面目だね。術装と同じ大きさの木刀出すんだもの、やる気だわこれ。

 そしてアリサは木刀を正眼に構えて集中してる。これはちょっとヤバいな、被害抑えるように結界張っておこう。


「いきます!」


 掛け声とともに木刀を振り下ろしたけど、うん、結界張っておいて良かった。ズッドーンっていうとんでもない爆発音した後、どでかいクレーターができたし。あれだけ集中していればこうもなる。

 でもスゴイナ測定くん、全身にひびが入ってるけど耐えてるよ。ちょっと惚れたよ。


「まだ残ってますね。ではもう一撃」

「だ、大丈夫です! 測定は終わったので次の人に代わってください!」


 まぁそうなるよね。止めなかったらどうなるかって考えちゃうよね。

 でもね、アリサも全然本気じゃないんですよ?





「えっと、君はこっちの測定くんを使ってもらえるかな。向こうの測定くんは修理が必要になったからね」

「はーい。さってと、わたしはどうやろうかな~」


 全身にひびが入った状態じゃしょうがないよね。

 しかし思ったよりも測定くん、耐久力あるなぁ。ぎりぎりはほんと難しいけど、ここまで来たんだから達成しないと! 三人の想い、決して無駄にしないわ!


「せんせー、遠距離攻撃でも良いんですか?」

「あぁそれは構わないけど、弓でも使うかい?」

「いえ、コレを使おうかと」


 足元にあった普通の石を拾ってみせる。うん、何言ってるんだこいつって顔されたわ。

 でもね、わたしとさっきの三人が同じグループなの、忘れてませんかね?


「ま、まぁいいだろう、じゃぁ始めてくれ」

「んじゃいっきまーす、ていっ!」


 そう言って石を思いっきり投げつける。あ、ちょっと力込めすぎたかも。石が光速を超えるとんでもない速度で測定くんにぶつかったと同時に、巨大な爆発が起きたわ。

 予定では石を貫通させてドヤりたかったのに、石をコーティングした魔力と摩擦熱、それと当たった衝撃により測定君の動力炉が臨界状態になったようで、ちょっとした殲滅兵器並みの爆発が起っちゃった。


 うん、この状況はまずい。ここはひとまず


「失敗しちゃった、てへ」


 あざとく笑ってちょっとうやむやに……できなかった。

 先生の一部は白目向いてるし、周りの生徒には気絶したりこの世の終わりと叫んでたり、失禁してるのもいる。完全にやらかしたわぁ。

 まぁアリサたちと一部の先生は悶えてるけど。


 でもでも、ギリギリに近い感じで測定くんを倒すことができたし、良しとしましょう!


 ……というかこれ、絶対にわたしたち再測定になるでしょ。

 普通の人ならどのような攻撃であっても、何らかの基準を元にした値が測定できる仕掛けがあったんだとは思う。

 でもわたしたちは普通じゃない化け物集団だからねぇ。1割の力で1回殴るなど、行動を統一しないと絶対に測れないと思うなぁ。

ちなみに

・真面目に測定を受ける=測定不可でヤバイ

・適当に測定を受ける =測定不可でヤバイ

という、どっちで受けても問題児パーティになります

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― 新着の感想 ―
[良い点]  哀れ測定くん、君のことは多分忘れない。
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