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41話 王城で待ち合わせですよ

 ついにやってきた旅行! もといアルネイア王国でのお披露目の出席。ついにこの時が来たって感じでちょっとドキドキワクワク。

 まずは王城に転移して、そのあと飛空艦に乗るんだっけ。


 しっかし


「ねーアリサ、この格好ってちょっと派手じゃない?」

「今回は王家からの依頼という、遊びでなくてお仕事ですから。正装に準ずるものになるのはしょうがないかと」

「んー、ならわたしもアリサみたいにメイド服がいい!」

「残念ですがお嬢様はメイドになれないので」

「ぶー」


 だってこのドレス、リボンがいっぱい付いてるんだよ、フリルもいっぱい付いてるだよ、金の刺しゅうまでいっぱいあるんだよ、ボタンの類は全部宝石という容赦なしなんだよ。こういうの、まさに貴族のお嬢様って感じで苦手なんだよね。

 しかもスカートは地面に着くくらい長いから動きにくいし、ちょっとヒールが高い靴も履いてるから歩きにくい。薄ピンクのドレスとか、わたし好みの色ではあるんだけどなぁ。


「そんな可愛くふくれてもだめです。サユリ様たちが待っているので行きましょう」

「絶対どこかで着替えてやる」

「残念ですけどそれは無理です。お嬢様のお荷物はすべて私が持っておくようにと言われていますので。もちろん術札もです」

「むぅ、先手を打たれていたなんて」


 はぁ、諦めるしかないのね。まさかお披露目が終わるまでずっとこの様な服だけとか? だとしたらヤダなぁ。





 アリサと一緒にうちにある転移門の前までくると、お母様とシズクさんがもう居たわ。

 シズクさんはメイド服だけど、お母様はわたしと同じようなドレスだね。やっぱお母様が着るとエロカッコよくなるなぁ。遺伝的にはわたしも同じような体型になるはず! 将来に期待しよう。


「ふふっ、ユキちゃんが可愛いお姫様になったわね」

「少し不本意ですけど、そうなっちゃいました。でも動きにくいのです。何度も転びそうになって、そのたびにアリサに抱き着くくらいですよ」

「あらまぁ、だからアリサちゃんはお顔真っ赤なのね。でもそうねぇ、そろそろドレス姿での本格的な訓練も始めようかしら。今後はドレスで戦うことも増えるはずだからね」


 おっと、何やらお母様が意味深なことを口にしましたよ。でもドレスで戦うねぇ、それだったら


「普段使っている魔衣を着ちゃえば」

「魔衣もドレス姿にできるように教えるから安心してね」

「あ、はい」


 逃げ道はないようだね……。

 でもそんな状況が増えるのかなぁ。もしやアルネイアは魑魅魍魎が跋扈するとんでもない空間にある国とか? う~ん想像つかないや。





 雑談もそこそこに、うちにある転移門をくぐる。

 すると目の前に広がるのは、花壇や噴水がなどがきれいに整えられた王城の中庭。


 普通に考えたら王城への直通とか防犯上すっごい危険なんだけど、これはわたしの家族と王家の人しか起動できない特殊な転移門。

 利用できる人が制限されているため、危険どころか世界で一番安全な転移門だったりする。


「よくぞまいられたサユリ殿、そしてユキよ」


 そう言って迎えてくれたのは、豪華な服を着た人族のダンディなイケメン、お父様の親友でもある国王レオパルド。


「今回はごめんなさいね。サユリさんにまた迷惑かける形になっちゃって」


 申し訳なさそうな顔をしている美人は、お母様の親友の王妃カタリナ。しかもエルフの女王でもあるすっごい人。

 この二人のおかげか、王家の人ってみんなイケメンか美人なんだよねぇ。さらに才能豊かで強いという完璧な家系、この王家レベル高すぎだわ。


「気にしなくていいのよ。こっちもいつかは対処しないといけないと思ってた件だから」

「そう言ってくれると助かりますわ。ユキちゃんも突然でごめんなさいね」

「いえ、わたしは気にしてないので大丈夫です王妃様」


 スカートをちょっと掴んでからお辞儀してっと。ちゃんとできてるかな? どうもこういう貴族的な挨拶は慣れないわ。


「あら、護衛がいるけど普段通りでいいわよ。私たちもその方がうれしいから」

「は~い。それじゃいつも通りに、えっと、今日はパパ様とママ様も一緒に行けるんですか?」

「残念だけど私たちはお仕事で無理なんです。シエラは一緒に行けるから安心してね」


 予想はしてたけどやっぱり二人は無理なのかぁ、残念。

 でもお姉様は大丈夫なんだね、よかったよかった。


 しっかし今更だけど、王様と王妃様をパパ様ママ様呼びするのって結構すごいことだよね。家族ぐるみの特権恐るべしってとこだわ。


「むぅ、一緒に行けないのはすっごい残念です。あれ? そうなるとパパ様、今日の飛空艦ってどれになるんですか? パパ様とママ様が一緒じゃないってことは、いつも借りている業者さんは使わないんですよね?」

「ふっふっふ、今回は王家専用の飛空艦であるぞ。ユキたちには快適で安全な空旅を約束しよう」

「おおー、すごい期待しちゃう。ありがとうございま~す」


 王家専用艦かぁ、楽しみだなー。それに専用ってことはやっぱり角があって赤く……は違うね、うん。





 お姉様はすでに飛空艦発着場に居るとのことなので全員で移動。

 そしてわたしはパパ様とママ様と手を繋いで歩くという、これじゃ知らない人が見たら間違って王女様だと思われちゃうわ。


 雑談しながら歩くこと数分、王城に隣接している発着場に到着。

 発着場には何台もの飛空艦がずらっと配置されている。いつ見ても壮観な景色だなぁ。


「見るがいいユキ、あれが王家専用飛空艦であり、我が国の最新鋭艦だ」


 パパ様が指した先を見たら、今まで見たことが無い大きさの飛空艦がドーンと構えてた。


「ほえー、すっごーく大きいです! あと真っ白でなんかかっこいいです!」

「そうだろそうだろう」


 パパ様すっごい笑顔になってる、相当自慢の飛空艦なんですね。

 ただ、大きさがヤバイんですけど。長さだけで1キロメートル以上ある感じで、ほんとにこんなの飛ぶの? ってくらいすっごく大きい。


「あれも私が設計したのよ。古代エルフの技術を集め、さらに発展させた物ね」

「ママ様が考えたんですか! でもなんであんなにも大きい風船つけてるんです? 無くても回転翼とか付ければ飛ばせそうなのに」

「あれは浮遊させるためでもあるけど、あの中に高純度の魔素を充填していて、飛空艦の燃料庫も兼ねているの。そして特殊な術式を組み込んだ巨大な砲塔でもあるのよ」

「一台三役ってことなんですね。すごいなぁ」


 これはデザインと機能を両立させたって感じかな。砲弾型のバルーンの下に船がぶら下がってるような見た目は、これぞファンタジー世界の物って感じだね。

 既存の飛空艦はプロペラのいっぱい付いた空飛ぶ戦艦みたいなのとか、船のような形ではなくミサイルみたいなのもあるけど、わたしもこういうデザインの方が好きだわ。


 飛空艦を見ていたら甲板に誰か出てきたみたい。あれはお姉様かな?

 何するんだろって思ってたら、甲板と地上を繋ぐ光の階段が出てきたんですけど!? すごいファンタジー、これぞ術や魔法がある世界って感じの演出です。


「ようこそおいでくださいました。ここからは、私シエラが皆様をご案内いたします」


 降りてきたお姉様がスカートをつまんでお辞儀。さすが王女様、絵になるなぁ。わたしがやるなんちゃって挨拶とはほんと違うね!


「荷物などは親衛隊の者が運びます。艦内には王家専属のメイドたちがおりますので、皆様はどうぞおくつろぎくださいませ。シズクさんとアリサちゃんも、うちのメイドを使ってくださいね」


 お姉様の挨拶が済むと、王家で雇っているメイドさんがずらっと並んでお辞儀してきた。いつ見ても洗練されててカッコいいねぇ。


「ありがとうシエラちゃん。それじゃさっそく乗りましょうか。レオパルド君、カタリナちゃん、少しの間シエラちゃんとこの飛空艦、借りていくわね」

「うむ、遠慮なくこき使ってくれ」

「飛空艦の詳細はシエラに教えてあるので、何か疑問があったら遠慮なくシエラに聞いてくださいね。国家機密もあるけれど、サユリさんたちには機密にする意味も必要もないからね」


 にこやかにお母様たちが話してるけど、国家機密でも関係なしですか。すごいというより、そこまで行くと逆に恐ろしいわ……。

 まぁ余計なこと考えないで空の旅をたのしもーっと。

補足:

イメージはファンタジーなゲームに出てくる、飛行船のような構造のアレです。

それと一応戦艦に属している乗り物なので〝艦〟にしてます。

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