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4話 エンカウントは突然です

 季節は春、部屋の中もぽかぽか陽気、読書がすごいはかどるね!

 しっかし怒涛の転生劇からもう4年経ってるんだよねぇ、早いものだわ。


「世界には只人、獣人、妖人、エルフ、ドワーフなど多種多様な種族がある。それぞれには特徴があり……ってまたやっちゃってる」


 どうしても黙読できない悪い癖が出るわ。言語覚えようと必死になっていたせいかな? ずっと声に出して読んでいたからなぁ。

 しかしこの只人さん作成世界まるごと図鑑、只人さん視点で全部書かれてる感じだね。それともエルフさんみたいに客観的な視点で書いているほうが珍しいとか?


「え~っとキツネキツネ、あったあった」


 この本だとわたしたちの種族ってどう書かれているんだろ。他の種族の人から見る狐族のイメージに興味あるから、どうしても新しい図鑑が手に入ると真っ先に調べちゃう。


「狐族は獣人の中でも非常に弱い種族である。比較的高い魔力量であっても只人族に劣る……か、ふぅーん」


 只人さんが知っている知識ってのはわかるけど、もにょもにょするなぁこういうの見ると。作者にお母様紹介したいくらいだね。他種族どころか世界最強なのを見せつけたいわ!

 あれ? これ〝天魔狐〟のこと書いてないや。てかなんだろこの〝神聖狐〟って。う~ん、そもそもなんかいろいろ違うなぁ。


「たーしかここにエルフさんの図鑑が~あったあった」


 本棚からエルフさんが作った世界まるごと図鑑を引っ張り出すけど、う~ん、分厚いし装飾もいっぱいだから重い! 腕がプルプルしちゃう! 落とさないように慎重に取り出してっと。

 さてさて只人さんのと比較してみましょう。エルフさんのにも同じような内容を見た記憶があるけど、どこだったかな。


 パラパラ


 ぺらぺら


「あーなるほど、只人族は〝天魔〟のことをわざわざ〝神聖〟って言ってるのか。神様大好きだねぇ」


 どういうわけか只人さんたちって神様信仰がすごい。それ自体は悪くないけど、わたしたちの言う天魔とかにまで勝手に神付けのに変名するのはどうなんだろ。

 謎が解けたところで只人さん作成の図鑑を読み進めて……って、あらら。


「やっぱ書いてあるわ。こういうところは只人さんの図鑑でも共通してるなぁ」


 図鑑や辞典に書かれる狐族の定番

  一 狐族の毛は魔力触媒に、血肉を得たものは不老不死や巨大な力を得ることができる。

  二 狐族の容姿は非常に整っていることもあり、愛玩目的で所有するものが多い。

  三 狐族はその有用性から乱獲され絶滅寸前となった。


 客観的に書いてるけど、事実は乱獲して絶滅寸前にした大元は神様信仰の只人族の国ってのがね。どこの世界でもほんとなぁ。しかも禁止された今でもまだ裏でやってるとかなんとか。わたし、神様信仰の国の只人さんとはお友達になれないかも。


「でもなぁ」


 立ち上がって鏡の前に移動し、映し出される自分の姿を確認する。お母様譲りの金髪碧眼、さらに自画自賛できる可愛さ。そして狐の耳! 狐の尻尾! もふもふ! 愛玩目的言われるもわかるわ。おまけで魔法の素材としても有用でしょ。多方面から狙われるの、嫌なことだけど納得だね。


 そういえばお母様もだけど、わたしの髪って魔力が高いからかキラキラ光ってるのよね。ほかの狐族もこうなのかな?


「ん~、これ以上読むと萎えてくる気がする。よっしここはお父様に質問しちゃうぞタイムにしよう」


 気が滅入りそうなときは別のことをする。前世でもそうだったけど嫌なことはさっさと忘れるのが一番です。





 部屋から出て廊下を歩くと毎度思う、ほんとうちって広すぎる。神社と併設しているのもあるけど、超豪邸よね。比較対象に思い出すのは前世の東京ドームだけど、余裕でそれ以上ありそう。メイドさんとかお弟子さんとか、住んでる人もいっぱいいるから当然なのかもだけど。


 少し歩いたところで発見!


「シズクさ~ん」

「あらお嬢様ってまた走ってきて、危ないですよ」


 猫族メイドのシズクさんにダイブ。シズクさん笑顔で難なくキャッチ、さすがお母様の一番弟子、余裕ですね。


「ほんとサユリ様の小さい頃に似てわんぱくですねぇ。それでご用は何でしょうか」

「ちょっとお父様に聞きたいことあったんだけど、今どこにいるかわかる?」

「タツミ様でしたら離れの結界塔にいると思いますよ。国王様ご依頼の新型結界の開発をしておられるかと」


 さすがうちのメイド長、スケジュール帳とか無くてもさらっと把握してらっしゃる。しかし容姿端麗で天魔に進化している超強い猫族をメイドにしているとかほんとね。うちと王家くらいじゃないかしら、そんなとんでもない人達が大勢いるところって。


「ありがと~。そういえばシズクさん、ティアちゃんは次いつ帰ってくるの?」

「娘は来月までは王都の方に滞在予定ですので、それ以降ですね。なんでもまた王子様と一緒に遠征に行くためとか」


 苦笑いをするシズクさん。王子、また冒険者ギルドでとんでもない依頼受けたのかい。確かに王子も強いしティアちゃんも天魔猫に進化してるから大丈夫だろうけど。


「相変わらずだなぁ。とりあえずお父様のところ行ってみるね、ありがと~」

「あっ、お嬢様、お屋敷から出るのであれば尻尾は隠しておいてください。今日は儀式と参拝のために他国の方が大勢みえてますので」

「りょうかーい。いってきま~す」


 狐族自体が少ないのに加え、尻尾が複数なのは相当珍しいからしょうがないか。そういえばお母様みたいに9本揃うのにはあと何千年かかるんだろ? 早く揃ってもらいたいなぁ。


 それにしてもうちの環境って異常だなぁ。


 まず国王様と王妃様はうちの両親と親友で、さらにわたしの事を娘の様に扱ってくれてるでしょ。

 王女様はうちのお兄様とラブラブで、しかもわたしのお姉様的な人でしょ。

 そして王子様はお兄様と親友、わたしにとってもお兄様的な人。さらにシズクさんの娘であるティアちゃんとラブラブ。


 うん、まとめるとうちと王家ずぶずぶなのがよくわかるわ。


 なによりお母様は〝最強の剣〟の二つ名が付いているくらいこの国、というかこの世界で最強の力持ってるでしょ。

 お父様も〝最強の盾〟っていうの二つ名持ち。国防の要である防御結界の管理や改良が主だけど、この国で唯一お母様の全力をぎりぎり防げる存在。


 ほんと、わたしってとんでもないスペックを持った両親のもとに生まれたものだねぇ。





 歩きながらネックレスについてる宝石に魔力を流す。魔力を受け術が発動すると3本あった尻尾が1本に。これは外見の偽装ができる便利アイテム。

 ほんと便利だなぁこれ。緊急時の防御術とかも自動発動できるし、さすがお母様作成のアーティファクト。

 あーでもイヤリングタイプもいいなぁ。ちょっと大人な女性っぽくなれそう、まだ4歳だけど。


 そういえば転生後に自分の体じっくり調べて驚いたけど、わたしって狐耳と人耳の両方あるんだよねぇ。片方しかない獣人が多いのに両方は珍しいとかなんとか。まぁお母様やシズクさんとかはわたしと同じで両方あるから特に気にしないけど。


 でも両方あっても凄い聴力があるわけでもなく、ちょっと耳が良いかな程度の効果しかないのは少し残念かな。女の子としては種類が多い人耳用のアクセサリも付けれるという凄いメリットがあるからいいけど。





 メイドさんやお弟子さんに挨拶しながらしばらく歩くと、入り口あたりにたくさんの人が見えてきた。

 お参りする人たちかな? 外国からの観光ツアーって感じもするからただの見学かも? 邪魔にならないように歩いてっと。あ、同い年くらいの男の子や女の子もいる。只人族っぽいけど。


 そんな風に観察してたら


「そこのお嬢さん、ちょっといいかな」

「ほい?」


 女の子を連れたちょっと豪華そうな服を着た男に声かけられたんですけど。なんで他の巫女さんじゃなく私なのかな?


「突然ですまない、僕はサレスト。勇者さ!」


 キラッ☆っていう効果音がしそうな感じにスマイルされました。


 やーめーてー、ここで唐突に勇者とかやーめーてー。前世のせいでちょっと苦手意識のある勇者にはかかわりたくないのに、何でこうなったの。

できるだけ毎日投稿の予定です。

3000文字前後を目標にやっていきます。

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