368話 頑張った成果はありました!
「つっかれた~」
「すごい人でしたしねぇ」
お母様たちが手伝ってくれたので、なんとかかんとか終了できた。ほんとーに人多すぎだったよ。
終わった瞬間、一気に疲れとかが来ちゃったみたいで、その反動でわたしとアリサはペタンと床に座り込んじゃったわ。
「ふふっ、お疲れ様ね」
「はい、かなーりお疲れ様になっちゃってます」
「あらあら。確かに見知らぬ人が多かったから、そうなっちゃうのも無理ないかしらねぇ」
そう、お母様が言うように、知らない人がいろいろ聞いてくる状態だったから、どうしても疲れちゃうのです。
そもそもわたしって多少緩和されてはいるけど、いまだにけっこー人見知りだしぃ、普段は知らない人との会話はアリサが間に入ってくれるのでほとんど回避しちゃってたしぃ。
なので、どーにも慣れません! 慣らそうって気もあまり無いけど。
「人が多かった分、マサムネ君たちには感謝ねぇ」
「いやいや気にする必要はないでござるよ。下心が強い者も少ないでござるしな」
「それでも心配になるのは分かるでしょ?」
「確かにでござるな」
お母様とマサムネおじちゃんを含めた仲の良い人たちと少し話してるけど、確かにそうね。
わたしとアリサだけだったら、下心全開できてそうだなぁって人はちらほら居た。だけどマサムネおじちゃん達が威圧というか、場をわきまえろ的な感じを出していたので回避できた様子。
なにより! あのくまモドキに舐められなかったという一番大事なことが! ほんとこれ、すっごくありがたかったです。
「それにしても、ユキちゃんとアリサちゃんのおかげで、想像以上の成果になったわねぇ」
「そんなにですか?」
「そんなになのよ~。シズク、まとめ終わったかしら」
「はい、二重での確認も終わりました。こちらが今回の成果となります」
そう言ってシズクさんが先のてんやわんやでどうなったかの結果一覧を出してくれたけど、ほほう?
「これ見る限り、新規のお客様が超大量って事ですか?」
「その通りです。国交樹立を目指している方や交友を持とうと考えられている方も大勢でしたが、それ以上に今まであまり交友の無かった方々が数多く、その全ての方が小麦を含めた生産品の輸出入を正式稼働するため、次回の会談を望むという結果になっています」
「全員が? 交友無かった人なのに?」
「全員です。ここまでなるとは思ってもいませんでしたが……」
シズクさんの言葉にうんうんってお母様も頷くけど、相当って事かぁ。
「でも、そんなに需要ってあるもんなんです? 今日の小麦だって物は良いけど全員欲しがるかなぁって物ですし」
「そこはね、他の国、もしくは世界って言った方が良いかしら。そういった場所では、私達の食べている食品や普段利用する道具類に比べると質がとても悪く、生産量もとても低いといった劣悪なところが多いのよ」
「うへぇ、マジですか」
わたしたちの住んでいる国はもちろんだけど、同じ結界の仕切り内にある国々は多少質や量の差はあるけれど、劣悪ってほど酷いところは一切ない。あの大嫌いな神聖王国ですらそこまで酷くない。
だけど、仕切りの外には劣悪な国が存在している、と。
う~む、わたしの住んでいる環境が豊かなのは分かってはいたけど、そんなに差があるとは思ってもいなかったわ。
「そういった人達からするとね、今回の話はとてもありがたい事なのよ」
「あー、それって足りない物を思ったより安く仕入れることができそうだからですか?」
「そういう事よ~」
「な~るほど」
すっごい納得。
さっきのてんやわんやの時、出した小麦よりも質の低い物とか安い物、小麦以外の食料品で安い物とかをけっこう聞かれていたけど、そういう事ね。
超広大な農場とかがいっぱいあるので大量生産も価格低下も余裕だけど、他の世界だとなかなか難しいってことも分かったわ。まぁあたりまえなんだけど、やっぱり自分の環境がそうでないと、なっかなか気が付かないものだねぇ。
「しかしじゃ、なぜサユリは同じことを今までしなかったのかの?」
「……母さん、痛いところをつくわねぇ」
「くっくっく、母親の意地じゃからの!」
「意地って、意味が分からないわよ、もぉ」
おやおやぁ? お祖母様がイタズラっぽい顔でお母様にツッコんでるけど、気になっちゃうね。
でも確かに、今回はたーまたまわたしとアリサがやったけど、今までもできたよね、こんな感じのてんやわんや。
「母さんも分かっているでしょ、私の対人感情」
「なんじゃ、まだ改善できておらぬのか」
「そうねぇ、ユキちゃんが生まれてからは多少緩和されたけど、まだまだ厳しいわねぇ」
「まだ厳しいとは、これは厄介じゃのぉ」
ふ~む、お母様たちが少し複雑な顔しちゃってるけど、これってあれだよね、お母様は敵になりそうな人とか仲良くできなそうな人に対してかなーり冷たくなるあれだよね。
その関係で、ひょっとしたら商談に必至なだけで実は無害だって人とかでも警戒心か何かが大きく働いて、良好な関係とか作る前にサヨウナラになる確率が高いので控えてたって事だね。
でも、今回はわたしとアリサが主導だったので、意識はわたし達を守るとか補佐するとかが大きくなるので大丈夫だったと。なるほどねぇ。
「ユキちゃんも受け継いじゃったから、少し厄介ではあるのだけれど」
「なんじゃと!?」
「あら、言ってなかったかしら?」
「聞いておらんかったぞ!?」
「あらまぁ、ごめんなさいね?」
お母様、それお祖母様に言ってなかったんですかぁ。お祖母様、けっこうショック! って顔しちゃってますよ?
でもまぁ
「だいじょーぶです。わたし、お母様程では無いけど結構バッサリ好き嫌いでちゃったり、けっこうな人見知りとか出ちゃったりしてますけど、ど何とかやっていけてますので!」
「それは大丈夫と言って良いんじゃろか?」
「ふふっ、確かにそうねぇ」
まぁ、うん、大丈夫では無いのは確かだけど、大丈夫に何とかしてるので、気にしないで行きましょー。
そんなこんなでてんやわんや祭りは終わり、仲の良い人たちも各自やる事というか商談とかがあるのでチラホラばらけていく。マサムネおじちゃんと娘ちゃんは既に終わってるようなので、引き続き居てくれるみたい。娘ちゃんはクッキーをいっぱい食べてますねぇ。相当気にいったみたいで良いね!
「ところでサユリ殿、ユキ嬢とアリサ嬢よりも遅かったでござるが、何かあったのではござらぬか?」
「あぁ、そういえばすっかり忘れていたわ」
「面倒になったからのぉ。そういう所はまだまだ子供っぽい感じで」
「ちょっと母さん! それは言わない約束でしょ!」
「くっくっく。サユリよ、お前は本当にユキの前では完璧な母親を演じておるんじゃのぉ」
おやまぁお母様とお祖母様がイチャイチャしちゃってるわ。
でもね、わたし、知ってますよ? お母様はわたしよりも大人な感じだしエロカッコイイのがだいぶ出てるけど、それと同じくらいけっこう子供っぽくて可愛い面がいっぱいだって事を知ってるんですよー? というか見ています!
「ええっと、警告されたのよ、アレに」
「警告でござるか? 妙でござるなぁ」
「妙ってどーいう事なんですか?」
アレっての来るときに居たあの連中なのは分かるけど、妙ってのは?
「サユリ殿達とあ奴らとの仲はあまり良くないのでござってな、敵対とまではいかないでござるが、話し合ったりはほぼ無い関係でござるよ」
「私程では無いけどそれなりの力は持っているのと、立場とか名誉を重んじるのもあってか騒ぎを起こすほどにはならないのだけれどね。ただ」
「隙があれば狙ってくるような連中なのでござるよ」
「ほへー」
簡単にまとめると、力がある厄介な敵、みたいな感じかしら。
だとすると
「普通なら警告しないって事なんです?」
「その通りよ。むしろこちらが被害に遭ったら、それをついて重症化させるような感じかしらねぇ。世間体などから非難されない程度にはだけれど」
「うげぇ、何か厄介な存在」
「そうねぇ。なのに今回、警告というよりは注意を促してきたのよ。これから何が起こってどうなるか、そしてどのように対処すべきか、とね」
そうお母様がなんとも面倒というか厄介だなぁって顔しながら言ってるけど、なるほどそういう事ですか。
おそらくその内容、わたしも巻き込まれるとかなんだろうなぁ。
で、そうなるのは嫌だけど対策しようにもできないからどうしようとか、面倒とか、色々ごっちゃになって、もう忘れたいになってるわけですね。なっとくなっとく。
だとしたら~
「帰っちゃいましょー!」
「そうね、そうしましょうか」
「そうときまればー」
「ちょいちょいちょい! さすがにそれは無理じゃろうて」
「「……やっぱり?」」
わたしとお母様、お祖母様に即玉砕されちゃった感あるわぁ。
「思考まで似たり寄ったりになっとるのぉ」
「それはまぁ親子だものね~」
「ね~」
「やれやれ。そのテンションがこの先も維持してくれたら良いんじゃが、どうなるかのぉ」
おっとぉ?
わたしとお母様がイチャイチャしていたら、お祖母様からなんとも気になる発言が!?
いやまぁ、うん、何か起こるのはもうだいーぶ分かってます。分かりたくない気もしてきたけど分かってます。
ほんとどーなる事やら、この妙な会議というか懇親会というかは。
母狐はやっぱりかわいい系




