365話 ごっちゃごちゃー
気配を消していた変態のせいでちょっと嫌な感じになりそうだけど、さてさて。
「偶然、では無く待ち伏せていたようね。はぁ、本当に嫌になるわ」
「どうされますか?」
「そうねぇ……」
お母様とシズクさんが話し合ってるけど、なんていうか、徹底的に嫌な奴に対する反応だわね。そうとうだなぁ。
「ユキちゃん、お母さん達はちょ~っとあそこのゴミを処分する必要があるから、先にアリサちゃんと一緒に向こうに見える大広間で待っていてくれるかしら」
「わたしとアリサだけですか?」
「そうよ~。ルナール君は勉強のため、お母さん達と一緒に残ってもらうになるわ」
「な~るほど。わかりました~」
従者の仕事じゃないけれど、何らかの指導をするって事だね。
わたしたち方は、おそらくあそこの変態さんと接触させたくないって意味が相当あるようで、先に行っていてもらおうって事と。ほんと納得です。
納得もしているので、手を振ってからアリサと一緒にトコトコと。
……がんばれよ、ルナール君。移動し始めた直後、お母様が気配を消していた変態さん達に向けてすっごい殺気を放つの感じちゃったから、相当ビビってそうだなぁと思っちゃったもの。わたしも傍に居たらびっくりしちゃうくらいだし。
「……そうとうですね」
「そうとうだねぇ……」
二人そろってちょっと苦笑いしちゃうわ。お母様、あの変態さん達をほんとーに嫌ってるんだなぁ。
トコトコと少し歩くと、かなーり広々な大広間に到着。ほんと広い、というか広すぎる!
ぱっと見た感じ運動会ができるスタジアムが2個くらい入る広さで、高さも50キロくらいあるかしら? デカ過ぎでしょ。
そしてその広さを活かすというか無駄使いするように色々な物が展示されているのだけれど、う~ん……。
「なんていうか、美的感覚が最悪!」
「ごちゃごちゃしていますよね」
「しかもさぁ、なーんなんですかね、あの辺りとか!」
バシッと指差した先には、どうやら何かを生産するっぽい機械がガッシャンガッシャンと音をたてながら動いてる。
この施設に元からあった機械ではないようで、発表会なのか数人が説明っぽい事もしてるわ。
でもさぁ
「そのすぐそばにはちょっと高そうな彫刻とか絵画とか、こう、美術品ってのが並んでいるのに、そこでガッシャンガッシャンとか意味が分かんないわ」
「あそこに置くしかなかたっのかもしれませんよ?」
「それはあるかもしれないけどさぁ。でもさぁ、それだったら見た目をもっと綺麗にしようって思わない?」
「確かに……」
そう、いかにも機械ですって感じがする金属剥き出しの物体なんだもの。
まだ外装として綺麗な板を貼っておくとか、金属に色を塗って綺麗にするとかあるだろうに、そういうの一切無い。初期の試作品の展示会なのかいっとも思っちゃうわ。
「さらにさぁ、その反対側には軽食っぽいのがずらーっと並ぶとか、配置マジでバカでしょって思っちゃうわ」
普通なら食べ物系は食べ物だけのコーナーを作り、機械なら機械だけのコーナーってやるだろうに、そういった仕分けが一切無いんだもの。
「誰がどこを使うという決まりが無いのかもしれませんねぇ」
「あーそれってあれかな、早い者勝ちで場所をとるみたいなの」
「そんな感じがしますよね」
「確かに!」
ここで展示すればみんなに見てもらえる! みたいな感じで置いていったとかありそうだなぁ。
「別の世界の人がその展示に惹かれたら、新たな転移門を作って国交樹立へ~とか、そういう意味合いがあるのかもねぇ」
「かもしれませんね。そして、おそらくそのような展示があっても利点が薄い私たちの世界は」
「参加する利点がそこにも無いので、さらに参加したくないってなるわけだねぇ」
もしもうちの国だけでなく仲の良い国の利点になるのなら、わたしのお母様は友達思いのお母様だもの、嫌な理由があっても仲の良い人のため積極的に参加するよ。
でもそういうのが無いってことは、現状の参加者に対してはそういったことをする意味が一切ないってことなんだよね。
でもまぁそれもそうか。
この会ってここ数年で始まったでなくずっと前からだよね。となると、当然良い人悪い人みたいなのもできってるわけで。
新規参画する世界の人も居るだろうけど、わざわざこっちから行く必要が無いくらい安定してるだろうから、新規参加者側から話しかけてきたら相手するよって程度だろうなぁ。
やれやれ、なんか政治っぽい感じがして嫌ですね、こういうの。
とりあえずガッシャンガッシャン動く機械にはそこまで興味がわかないので、いくつか軽食として置いてあるお菓子を取ってトコトコと。
入り口からチラッと見えていたから少し気になってたけど、うへぇ、マジかぁ。
「室内牧場になるのかなぁ、あれ」
「そんな感じですね、あれ」
視線の先には、ロープみたいなのでぐるーっと囲われている草原っぽい風景で、その中には動物が何匹かいる状態。
たしかにこの広間ってすごく大きいけど、牧場っぽいのを配置する奴がいるとは思わなかったよ。
「内部に入っている人は居ないようですけど、見学されている人はそれなりに居ますね」
「だね。ロープで作られた簡易的な柵でも大丈夫って事は、おそらく中に入っても危険は無いんだろうけど」
「それでも入りたいかと言われると、微妙なところですよねぇ」
「だよねぇ」
たしかに綺麗な草原を目指した感じがする牧場なんだけど、なんでここに作ったとか、その草木は大丈夫なのかとか、そもそもなんで牧場なのよなどのツッコミがもりだくさんだもの。
とはいえ気になってはきてるので、もうちょっと近づいて……お? おお?
「アレはちょっと気になるなぁ」
「アレっていますと……あー、アレは確かに」
牧場の中には見たことが無い動物も居るけど、その中ですっごく気になる子が!
「真っ白だよね」
「真っ白ですねぇ」
「モコモコだよね」
「モコモコしてますねぇ」
「かわいいよね!」
「かわいいですねぇ」
結構惹かれちゃう感じの、白くて毛がモフモフして、割と大きくてふっくらしているクマっぽい子がデーンと座ってるんだもの。
「いいなぁ、あのくまさん」
「おとなしいみたいですね。同じ容姿をした熊が数匹いますが、争う事も一切無くのんびりしてますし」
「日向ぼっこみたいな感じで、良いなぁ」
ポケーって感じに座ってる子が多いんだもの。
う~ん、ちょっと触ってみたくなったわ。
「お嬢様、どうやらご飯をあげることができるみたいですよ」
「おぉー、それは良いね」
アリサがこの牧場っぽい展示の説明資料みたいなのをササッと取ってきてくれたようで、何が大丈夫で何がダメってのを説明してくれたわ。
その内容から、まず牧場の中に入っても大丈夫、クマにお菓子をあげても大丈夫、ってのが書かれてたわけで。
よく見ると、何人かは手招きしてくまを近づけ、お菓子をあげようとしてるわ。なるほど、あーやれば良いのか。
「それじゃアリサ」
「やってみるんですね?」
「そゆことー。ではでは」
右手にお菓子を! 左手で手招きを!
すると目線の先に居たくまが気付いたようで、ノシノシと近寄ってきたわ。
……ヤバいわ! ノシノシ歩く様がかわいくて、ちょっと抱きつきたいわ! モフモフしたいわ!
そんな気持ちが強く出ちゃったせいか、ロープの柵から手を出しておいでおいでと。
その効果でもあったのか、クマが少し速くなったような気がしつつ更に近づいてくる。あともうちょっとで~
「すぐに手を引っ込めるでござる!」
「ふぁい!?」
急にちょっとダンディな感じの声が聞こえてきたので、手をスッとひっこめたけど、はて?
声がした方を見ると、あらまぁ。
「マサムネおじちゃん!?」
「うむ、1ヵ月ぶりでござるな」
そこにはござる口調でダンディなオジサマであるマサムネおじちゃんが居たわけで。
マサムネおじちゃんはござる口調なのと、武士って感じの格好をしている阿修羅族の人。結構なダンディでカッコいいおじさまです。
役職は国の長だけど、他世界ではあるけどうちの国との国交もあるかなーりすごい国の長。他世界ってのが少し大変だけど、メイの住んでいる世界よりかは近いようで、結構昔に国交樹立したんだったかな。
国の長という立場ではあるけど昔から仲良くしている人でもある。うちにも2~3ヶ月にいっぺんは来てくれてるね。
そんなおじちゃんの種族は阿修羅族という、わたしたちの世界にも少し居る強い種族。
阿修羅族は、背中に4本の腕を生やし背丈が結構大きな種族。おじちゃんも3メートルくらいの大きさです。
そして、おじちゃんはお母様と同門というか、お祖母様がお師匠様だったらしく、うちで使う術技とかも使える結構強い人。6腕状態での術技とか、お母様でも対応するのが結構大変とかなんとか。
「急に手を引っ込めロッテ、どういう事なの?」
「それはアレでござるよ」
「アレって……うっわぁ……」
「あれはちょっとダメですね……」
「ダメだよね……かわいくない!」
わたしとアリサがドン引きしちゃったのは、おじちゃんが指した先で他の人が、クマの口から伸びる8本の舌がウネウネ―ってして、それで舐めまわされるという地獄絵図。
しかもクマの顔が、こう、いやらしい変態おやじみたいな顔つきになって、もうダメです!
「あのくまさん、やっぱ要らないわ……」
「あれじゃ飼うのは厳しいですもんねぇ……」
ウネウネして不気味な舌と、いやらしい顔は無理ですダメです却下です!
あのくまを生んだ人、なんで不気味な要素つけたのよぉぉぉぉぉ!!!
不気味要素がある熊は避けたい狐娘




