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364話 あまり技術はすごくないかな

少し長いです

説明回に近いかも

 月にきちゃうとか結構すごい状態だけど、ほんと、なんていうか


「昔の人ってすごいなぁ」

「ほう、ユキはそう思ったんじゃな」

「え? だってお祖母様、月にくるとか、わたしが調べた限り誰もできてなかったはずなんですけど、それが違ったって事なんじゃ?」


 興味もあったので小さい時から世界各地の過去の文献とか技術的資料をずらーっと見てきたけど、宇宙に出ようと実験したってのはいくつもあったけど出れたっていう記載は一個も無かったんだよね。


「星が大きすぎるから宇宙に出るまでの時間がトンデモナイのと、大気の層が厚すぎて障壁にもなってるだけでなく、さらには結界とかもあるのでほぼ不可能って結論ばかりでしたし」

「確かに今の大きさじゃ無理じゃのぉ」

「ですよね? だったら」

「じゃがのぉ」


 お祖母様がちょっと苦笑いしちゃってるけど、なんだろ?


「ここを建設した者たちの技術もそうでもなさそうなんじゃよなぁ」

「え? だって」

「そう慌てなくても良いぞ。そうじゃな、まずはここの説明をしておくかの」

「まだまだいっぱい何かあるって事ですか?」

「そういうことじゃ」


 ほほー。これはちょっと期待しちゃってもいいかな?


「最初にじゃが、この施設の空気などを生み出している装置は何で動いてると思うかの?」

「えーっと、普通に考えたら魔力か精霊力を使った魔道具だと思うんですけど」

「効率だけでなく安定性からもそうじゃのぉ。じゃが、この場では」

「あー、そっか、魔道具とかが使えないんですよね?」


 最初に部屋にあった明かり用の魔道具すらダメだったもんね。


「とゆーことは、この世界で使える超特殊な魔道具が!」

「残念ながらそれは無いんじゃなぁ」

「えー……」


 うん、一気にわたしの気持ちがガクッと下がっちゃったよ。

 あったら良いなぁって少し思っていただけではあるけど、でもでも、こう、未知の技術が詰まった魔道具とかを見てみたかったのです。


「ここはの、すべて電気で動いているんじゃ」

「え? 電気って、あのバチバチってするあの電気?」

「なのじゃよ」

「うへぇ……」


 電気を使った機械って、わたしたちの世界じゃ特定環境で使われる程度で結構廃れてるのに、ここでは現役って事かいな。


「発電方法じゃが、あそこに見える三角形の建物、あれを使っているのじゃ」

「あの真っ黒で三角柱のですか?」


 お祖母様が指差してくれた先に、黒くて三角柱の建物が複数個、壊れているのもあるようだけど並んで配置されてる。


「あれはの、太陽の光を電気に変換するための装置なのじゃ」

「うへ、まさかの太陽光発電ですか!?」


 太陽光発電とか、わたしたちからすると発電能力もすっごく低いダメダメ方法だっていうのに、ここではそれも現役かいな。


「あとは……おーこっちじゃこっち」


 お祖母様がぐるっと周囲を見た後、なんか床が赤っぽく光っている部分に行き手招きしてるわ。

 太陽光発電でちょっとダメダメ感が増えてるけど、とりあえずトコトコと。


「おっ、おぉ~」


 ちょっと驚いたのが、そこは床が透明で地下部分が見える状態になっていた。

 しかも赤っぽいのは光源装置か何かで光ってるかと思ったけど、そうではなく赤くてドロドロしたもの、おそらく溶岩が流れているのが見え、それが発する熱光線みたいなのが赤く照らしてるみたい。

 やっばいなぁ、ダメダメ感強かったけど、それがまたぐるんと期待感の方に傾いちゃったわ。


「この溶岩の熱を使っての発電もしておるのじゃ」

「まさかの地下熱発電みたいなのですか!?」

「そんな感じじゃの」


 なんというか、今のわたしからするとすごく原始的な方法で発電ですか。


「発電に苦労してる感じです」

「うむ、その通りじゃ。その電力を使い、ここの空気や重力、あとは工作機械を動かしたり極小特殊機械を生産したりしてるんじゃよ」

「極小特殊機械? それってなんなんですか?」


 すっごく小さい機械なのかしら?


「それはの、大きくても1センチ、小さい物は1ナノという小ささで動く機械なんじゃ。ナノマシンって言っておる者もおるのぉ」

「おぉー、それはちょっとすごそう」


 ちょっとすすんだ技術っぽい単語が出てきましたよ!


「うむ、正常に動けばすごいの」

「……はい? 正常に、って?」

「実はのぉ、大昔のバカどもが改善のためか開設のためか設定をいじった際に、設定の基幹部分を一部破損させて不安定にしただけでなく電力生成を行う機械をぶっ壊したようで電力不足気味となり、ここにある多くの機械が正常に動作しない状態になっておるのじゃ」

「ダメダメじゃん!」

「さらにの、それを直そうにも基幹部分を制御する機械に少しでも触れようとしたら消滅するような危険な状態での、もうどうにもならないのじゃ」

「うへぇ……大昔の人ほんとーにバカすぎ」


 研究者魂あるのは分かるけど、壊しちゃだめだよ壊しちゃ。

 お祖母様の説明から、たぶんお祖母様も見たことが無いすっごく昔の人がそういうことしちゃったって事なんだろうけど、ほんとにほんとーにバカですね。


「例えばこの床や途中の壁など、透明になっているところがあったじゃろ」

「ありました!」

「それもの、意図的に透明にしたとかではなく、施設の維持のために修復していった結果がそれなんじゃよ」

「え……それってつまり、本当は色を付ける予定が、色をつけるって動作が抜けてるって事ですか!?」

「そういう事なんじゃよ」

「うっはぁ、ほんとーにとんでもないバカ」


 修復ですら完璧にできない、それどころか透明のままでも問題と判断できない指示系統や判定機能など、昔の人どういう壊しかたしたのよ……。





 それはさておき


「えっと、電気使ってるから技術はそこまででもない、ってだけじゃないんですよね?」

「うむ。簡単に言うとじゃな、ここにはこの施設を建造した際に使ったと思われる機械もいくつかあったのじゃよ」

「おぉー。なんかすごそうな機械とかですか?」

「いんやぁ、その逆じゃ」

「えぇー……」


 苦笑いしながらきっぱり否定されちゃったけど、ここまでくると呆れるどころかちょっとそんなぁって思っちゃったよ。


「確かにの、小型の惑星からであれば宇宙に出ることもできる燃焼装置と、このような施設を建造する事はできるじゃろうっていう巨大な機械はあったのじゃよ」

「あー、なんかその先が想像できてきちゃいました」

「うむうむ、たぶんあっとるぞい。そう、わしらが住む星から宇宙に出ることは絶対にできないであろう技術と、巨大なくせにこの程度の施設しか作れん情けない機械しかなかったわけじゃよ」

「うっわぁ……さんざんな状態」


 褒めるところ一切なしの完全否定とか、昔の人泣いちゃうね。


「じゃがの、どういうわけかここへ繋がる転移門の起動鍵が世界中にちりばめられてるわけじゃ」

「たしかに! でもなんでです?」

「それは正直わからんのじゃ」


 あらま、お手上げって感じだね。お母様の方も見るけど、同じみたい。


「まぁあくまで推測なのじゃが、二つあるのじゃ」

「ふたつも!?」

「うむ。最初の予測じゃが、この施設ができた当時はわしらの住む星も小さかった、という推測じゃ」

「あー、たしかにわたしたちの住む星って年々大きくなってるんですよね」


 年々ぐぐぐっと大きくなり続けていて、いったいどこまで大きくなるんですかっていう星なんだよねぇ。しかも大きくなればなるほど安定するというか、魔素や霊素も豊富で鉱物とかも盛りだくさんになるなど、良い事ばかりなお星さま。

 大昔はドカッと大きくなったこともあるようだけど、ここ数万年は緩やかとかって記載もあったな。


「小さければ可能じゃからの」

「でも、そのくらい小さい時ってなると」

「とんでもないくらい昔なんじゃよなぁ。正直、推測とは言ったがほぼ外れじゃろうな」


 ほぼ外れ、ね。

 たしかにそのくらい昔ってなると、おとぎ話とか伝承で宇宙に行けましたとかってのが少しはありそうな気はするけど、そういうのも一切無いんだよねぇ。

 今よりも技術が進んでない時代なんだから、宇宙に行けたとかはトンd目おない偉業なはずなのに一切無いとか、それは無かった事ですねっていう逆の結論が出てきちゃうわ。


「となるともういっこの方ですか?」

「うむ。そっちじゃが、ここは取り込まれた世界の一つなんじゃ、という推測じゃな」

「あー、そっちの方がすっごく納得です」


 そう、わたしたちの住む世界、とゆーか星って、他の世界を取り込んで合体しちゃってるみたいなんだよね。結界で仕切られてるのもその関係のひとつだったし。

 となれば、ここを作った人たちは、元の世界で宇宙に行ったり来たりができていたけど、こっちの世界に取り込まれたら無理になりました、とかなわけだね。


 そう考えると、転移門の鍵も納得だね。

 おそらく元の世界で複数の国に鍵を配っていたんだろうけど、こっちの世界に吸収された際に国というか世界が分散する形になって、その結果が転移門の鍵が世界中に分散するようになっちゃったとかだね。





 いろいろ分かってきたけど、ちょっと残念感もある結果だったわ。

 古代の超技術! とか、未知の機械がもりだくさん! とかが無いっぽいんだもの。


「まぁそんな感じもあってじゃな、ここは価値がほとんどない場所なんじゃよ」

「わくわくする物が無さそうですもんね」

「そうなるんじゃよなぁ。じゃがまぁ結界に阻まれた複数の世界が集える場所としては活用できそうじゃから、そう使っていきましょうとわしの祖父母世代が決めた様じゃよ」

「うっは、お祖母様のさらに祖父母様とか、まーたとんでもない昔!」


 会ったことが無いし会うこともできるって感じが一切無いので、おそらくその人たちは不老不死では無かったんだろうけど、それでも長寿だったろうから相当昔だよね。


「その結果、ここを活用し全員で会議しましょうとずっと続いてるわけじゃ」

「な~るほど。伝統ですね!」

「私はその伝統、無くしてもらいたいのだけれどねぇ」

「お母様がズバッと否定!?」


 しかも本気で無くしたいって感じだもの、相当ですよこれは。


「相変わらずじゃのぉ」

「だって母さんも知っているでしょ? はぁ……ユキちゃんにもそのあたりの説明をしないとダメかしらねぇ」

「そりゃそうじゃろなぁ。親子そろって3代同じような境遇になるかもしれんからのぉ」

「ちょっ!? 二人がなんか深刻な感じ出してるんですけど!?」


 月に来てすごいなーからの技術ダメダメでのなんだかなーになった後、不穏というか不安たっぷりになる発言とか、ちょっと怖いんですけど!?


「お嬢様、残念ですが諦めてください」

「ちょっ、シズクさんまで!?」


 なんてこった、シズクさんがすっごく「可哀そうですけど諦めてください」って感じなんですけど!?

 こりゃぁ相当面倒というか、厄介なことなんですかね。

 むぅ……しょうがない、覚悟を決めますかー。


「お嬢様、気持ちはすっごくわかりますけど、私に抱き着くのはどうなんですか?」

「癒しのためです!」

「躊躇せずキッパリ言っちゃいますか!?」

「言っちゃうし抱きついちゃうよ~」


 はい、わたしの精神的安定というか気分維持というか逃げというかのため、アリサにベッタリ。

 だって、もっとこう、楽しい話にしてくださいよ! ってのが出てきちゃうわけでして。


「あっ、ルナール君は抱きついちゃだめだからね。アリサはわたしのだから」

「いやいや待ってくれ! 抱きついたいとか思ってないから!」

「えー? だってわたしが抱きついた後、ジトーって見てきたじゃん?」


 さっきまでは普通だったけど、急になぬっ! って感じ出したものねぇ。


「普通に驚いただけだよ」

「ほんとにー?」

「本当だよ。だって」

「だって?」

「人に見られていても関係なしに抱き着くとか、ちょっと凄いなって」

『え!?』


 ルナール君以外、全員で「うそっ!?」って感じに驚いちゃったけど、周りをちら……あっ、居るわ、人が……。


「長話し過ぎたのぉ」

「しかもアレって、はぁ……。だから嫌なのよ」


 お祖母様はしくじったーって感じだけど、お母様は目に入った人に対してすっごく嫌そうな感じ。

 あれらはお母様が嫌いな人たちって事ですか。

 とゆーか、みんな気が付かなかったとか、どんだけ存在消して行動してたんだ……変態ですか?

 ルナール君も周囲をチラッと見て気づいたようだし、なんとも厄介そうだわぁ。


 むぅ、とりあえず癒しのため、もうちょっと抱きついてよう。

 ぎゅーっと

メイドちゃんに抱き着くのは癒し

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