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359話 模擬戦でもさっくりなんです

少し長いです

 お母様からちょっと想定外な指示受けちゃったけど、実際に試してみましょーか。

 っと、どうやらルナール君もお母様から何か指示受けたみたいね。わたしの後に呼ばれて話してたけど、お母様はニコニコに対しルナール君はギョッとした顔になったもの。隣で聞いていたお祖母様も「マジか!?」って顔してたし、なに言われたのかしら?


 そんなルナール君も準備ができたようで、わたしと対峙する位置に来たけど……苦笑いしてるね。


「それじゃぁはじめようと思うけど、最初に謝っておくよ」

「謝るとは?」

「それが、最初から全力で行けって言われてね。その、全力だと」

「あー、なーるほど。メイの6割くらいの力がある状態でくるって事は、わたしじゃどうにもならないんじゃないかって予想だね」

「申し訳ないけどそう思ってるんだ。ただ、ぼくと違ってユキ君は潜在能力も凄いだろうから、もしかしたらぼくの方が圧倒される気もするんだよね」

「ほっほ~」


 これは直感とかでそういう結論が出てきたんだろうね。分析とかでなく感での答えではあるけど、どうなるかな~?

 でも、そこまで考えてるけど怯えるとか逃避とか一切無いという事は、けっこうな自信があるってのも確かなわけね。そして、メイの6割というのは嘘じゃなくマジっぽいわけだね。


「いやぁ、これは面白くなりそうねルナール君!」

「始まってすらいないのにその余裕、やっぱり違うなぁ」


 あらま、感心するような顔しながら妙に納得って感じだしてるね。ふ~む、これは想像以上にわたし達一家ってすごいって事になるかなぁ。

 まぁいいや、ちょっとのびーっとして模擬戦できるよう頭を切り替えてっと。


「それじゃ、始めようか」

「いいよー」

「な、なんか緊張感ない返答だね」


 おっと、苦笑いされちゃったわ。

 だけどこれがわたしだからねぇ。緊張感全開での模擬戦とかやりたくないのです。





 始める言ってから、ルナール君は軽鎧の胸元にある宝石っぽい物に手を当てたわ。魔石かしら?


「戦闘形態、起動」

『了解、戦闘形態を起動します』

「え!?」


 ルナール君の声に応答してか、その魔石っぽいのから声が聞こえてきたわ。なかなかのイケメンボイスですね。

 そして、その応答とともに着ている軽鎧が光り、呪文のようなものが浮かび出したわ。なるほど、アレは魔道具の一つで音声認識によって戦闘用の術式とかが起動するってわけね。

 しかも武器まで顕現するようで、両手に光とともにランスが出てきたわ。

 円錐状のいかにもなランスだけど、手持ち部分にチラッと引き金の様なのが見えたな。何らかの機能が追加されてそうだね。


「ちょっと驚いたけど、いろんな機能が入ってる魔道具ってわけだね」

「そうなるね。君たちが使っている魔道具の音声認識に近いかな」

「なるほどねぇ」


 たしかにわたし達が普段使う魔道具にも音声認識機能あるからなぁ。それを武具用の魔道具にまで応用するのも確かになっとくね。

 でもなぁ、イケメンボイスってのがなぁ。わたしなら可愛い少女の声とか、カッコいいおねーさんな声とかにするんだけど!


 それはさておき、魔道具のせいかイマイチ能力の上昇とかが分からないわね。結構上がってはいるんだろうけど、それを隠す機能もあるってことだろうなぁ。

 まぁいいや、それじゃこっちもやりますか。

 術札をサッと取り出し、術式をサラサラっと。


「ではでは~、術式展開、顕現せよ、魔晶精霊衣!」


 術札を掲げてサクッと起動!

 よしよし、光に包まれて衣装が変化。ただ、やっぱ慣れてない影響が出ちゃってるねぇ。今着ているゴスロリ風な服でなく巫女服型の衣装になってしまったわ。慣れたら今着ている服の外観のままにできるのかしら?


「っと、こっちも準備できって、なんかあんぐりしてない?」

「いやいやだって、ユキ君、なんで尻尾が9本になっているんだい!?」

「あー、やっぱそこ気になっちゃうかぁ」


 顕現終わったので、衣装の状態確認しながら尻尾をフリフリなんかしちゃってるけど、一切聞いてなかったようですっごいびっくりって状態みたいね。

 とゆーかチラッと見ると、お祖母様もかなーり驚いてるわ。お母様に「ちょ、ちょっと!? どうなっているんじゃ!?」って、だいーぶ大きな声で聞いてるもの。まぁお母様はちょっとイタズラしてみましたって感じでニコニコしてるけど。

 これはあれだなぁ、お祖母様に魔晶精霊衣のこと、言ってなかったわけだね。


 あとは案の定というか予想できていたけど、シズクさんが魔道具使って映像撮影しているのと、アリサが同じく魔道具使って写真をパシャパシャ激写しているのがね。

 絶対に模擬戦の内容から反省会しましょうとかそういう理由でなく、わたしを激写して写真集とかに追加しましょうって方だよね。わかってたけど!





「ま、まぁ気を取り直して、こちらから攻めさせてもらうよ」

「どんとこーい」

「本当に締まらない感じだね……」


 うん、ランスを構えたルナール君に対し、腰に手を当ててドヤァって感じにふんぞり返っちゃったからね。結構なめた感じです。

 でもしょうがないのです。お母様がルナール君相手でも余裕っぽい感じを言ってくれたのと、魔晶精霊衣の効果からだいーぶ魔力と精霊力が上がっちゃったので、これ絶対に負けないんじゃない? って気がどんどん出ちゃうんだもの。注意はしてるけど、余裕かなぁという感じもしてるし。


「では、牽制として……」

「ほほぅ?」


 右手のランスをこっちに向けたけど、はて?

 距離は結構あるから突撃してくるとかランスを投げるとかしないとダメだとは思うんだけど。


「まずは……フレイムランス、ショット!」


 そう叫ぶと同時にカチッていう小さな音がしたら


「うわっと!?」


 慌てて体をひねって回避したけど、ランスの先端から急に火の銃弾みたいなのが飛んできたよ。しかも結構な速度で気が付くのがもう0.5秒遅かったら掠ってたわ。

 どうやらあのランス、銃弾を発射する機能があるみたいね。


「続けて行くけど、どこまでもつかな?」

「ちょぉ!?」


 今度は左手のランスを向けて、またズドンと。さっきは火の弾だったけど、今度は水の弾だわ。これはいろんな属性の弾を撃ってくると見た方がよさそう。

 でも速度は同じなので、またまた体を動かして回避……ってぇ!?


「ほらほらほら!」

「連射もできるとか、想像はできていたけど、直面すると結構ヤバいわ!」


 左のランスから弾を撃ったら次は右のランスから、そしてまた左のランスと、どんどん撃ってきてナカナカ大変です。しかも直線だけでなく、ときおり急に曲る弾もあるのでしっかり見て回避しないと危ない危ない。

 さらにだんだんと速度が上がるだけでなく、ドババババーって感じに薙ぎ払ってきたり弾が挟みこむ様に向かってきたりと攻撃手段も多種多様なので、ちょっと体をずらすだけでなく右や左や上とかにぴょんぴょん跳ねて回避もしないとダメな状態に。けっこー忙しいです!

 そのせいか、だんだんと魔晶精霊衣に付いている鈴がチリンチリンって鳴りだしちゃったよ。本来なら鳴らないよう綺麗に回避しなきゃいけないのに、まだまだ鍛錬が足りないなぁ。


「ふぃ~、ともかく頑張って避けないと掠っちゃいそうだわ」

「いやいやこれでも掠る事すらないとか、とんでもないね。だったらこれはどうかな!」


 今度はガコンって少し大きな音を鳴らした後、両方のランスを向けてドカンと撃ってきたけど、はて?

 弾自体はさっきとかわら、うわうわうわぁ!? 途中までは直進する弾だったのに、急に分裂して散弾銃みたいにドババババーって迫ってきたわ。

 まずいな、このままだとあと0.7秒後に回避が間に合わずに掠っちゃう事態に。それはなんとなく負けた感が強くて嫌なので、ここは全部消し飛ばしちゃいましょう!


 ではでは、右手に魔力をドカッと集め、左手には精霊力をドカッと集める。

 あとはその二つの力を両手で挟むように混ぜ混ぜして~、両手を左右に広げるようにして一気に展開! ここまで0.6秒、やれやれ着弾までギリギリになっちゃったわ。

 でも間に合ったのは確かなわけで、周囲に展開された魔力と精霊力による簡易結界というか障壁というか、それが撃たれた弾を全部バシュバシュバシュって音を立てながら消し飛ばしていく。破られたらすぐさま回避できるようにしてたけど、どうやらそこまでの威力は無かったみたいね。


「ふぃ~」

「は、はは、嘘だろ……」

「おっと? 結構驚いてるねぇ、お祖母様もだけど」


 お祖母様が大声でお母様に「九尾になっているのもそうじゃが、あの魔力と精霊力の高さは何なのじゃ!? 聞いておらんぞ!?」って問い詰めちゃってるわ。お母様、ほんとーに情報与えていなかったのね……。

 だけど、ふ~む、確かにお祖母様の気持ちも分かるわ。

 今のわたしって時間経過それほどでもないのに、前回使った時よりもだいーぶ能力が上がってるもの。とゆーか上がり過ぎ?

 でもお母様は止めるとかの様子は無い、むしろ満足って顔してるから問題無いんだろうけど、ちょっと気になるわね。あとで聞いてみよーっと。





 さてと、遠距離攻撃は全部回避できたし、時間も結構良い感じに経ったので、そろそろ反撃しちゃおうかな?

 だとすると、ん~


「接近してドーンかな」

「なるほど。だったらぼくも受けて立とうか!」

「お? やるきですねぇ」


 両手のランスを構えなおして、かかってきなさーいって感じになってるけど、攻めてはこないのかしら?

 う~む、確かにこれは実戦ではなく模擬戦ではあるんだけど、それでも状況次第で遠距離と近距離を混ぜて、なおかつ攻撃しますよって宣言しないでガンガン攻めた方が良いのに、なんでだろ?

 もしかして、ルナール君の欠点とかなのかしら? 状況判断能力があまりないとか、後手に回る行動ばかりしちゃってるとかの。


 まぁいいや。ルナール君の事を考えるのはいったん止めて、一気にやっちゃいましょー。考え過ぎたせいで行動がイマイチになったとか、そういうのはダメダメだもの。

 ではでは、ピョンピョンっとその場で少し跳ねてから~


「いっきます!」


 タンッと床を蹴って突撃!

 チリンって鈴が鳴り切る前に、一瞬でルナール君の懐に移動。


「速いが、これなら反応できる!」

「ま、そうだよね~」


 ルナール君がランスを近接形態にでもしてたようで、光を纏った状態でわたしを挟み込む感じに交差させてきたけど、あっまいなぁ。

 挟みこみが完了する前に、ひょいっと後ろに下がってそれを回避。わたしを挟み込むならもっと速くしないとダメなのです!


 下がったことでランスはわたしを挟めないままガッシーンって音をして重なり合ったけど、こういうとこもちょっとダメダメですね。ランスの破損は無いだろうけど、重ならないように途中で止めるなり、突き刺しに変えるなど別の動作に移らないと。

 別の行動に移れなかったので、わたしの手の届く範囲に重なり合うランスがある状態に。

 ではでは、グッと右拳を少し下げ、そのまま瞬時に魔力を固めた巨大な手も発生させる。なんちゃってマジックハンドです。

 あとは~


「掴んで引っ張る!」

「なっ!?」


 右拳をルナール君に向け、今作った魔力の手でランスをガシッと掴む。掴んだら右拳をひっこめて、ランスをもぎ取るように引っ張り出す!

 想定外の行動すぎたのか、ランスから手を離さなかったけどルナール君がよろけてこっちに倒れこむ形に。

 ここまで来たら後は簡単です。今度は左手に精霊力をグッと貯めながら体を少し落とし、そのままスッと距離を縮めて~


「かちあげちゃう!」


 ルナール君の顎を下から上にかちあげる形に~左手で掌打!


「ぬごぉっ!?!?」


 うん、ただの掌打のつもりが精霊力貯めすぎてたようで、ドッゴーンって凄い音出ちゃったわ。

 おかげでルナール君をちょっと打ち上げるだけの予定が、天井近くにまでバッゴーンて打ち上げること……あっ、天井とぶつかったわ。

 こ、これは、ちょーっとやりすぎちゃったかも……。


「あらあら、加減に失敗しちゃってるわねぇ」

「加減って、ちょ、サユリよ、どうなっておるんじゃぁぁぁぁぁぁ!?」

「どうなってって、ユキちゃんが少し強すぎただけかしら?」

「強くなったのは良い、大いに良い事じゃ。じゃが、ルナールを圧勝とか意味が分からんのじゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 うへぇ、お母様は少し苦笑いしてるのと、お祖母様はこの状況意味わかりませんって感じに慌てていて、何とも言えない状況です。

 そんな二人と違い、シズクさんとアリサは撮影の方をガッツリやり切ったようで、すごい満足感出してるのもまたナントモカントモ。

 まぁ二人、とゆーかおそらくお母様も含めて三人にとって、重要なのは模擬戦よりもわたしの撮影だよね? ってなるのはわかっていたけどさ……。

圧勝されたルナール君ですが、実は雑魚ではなくこそこ強い人

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