表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
358/362

358話 報告からの訓練?

少し長いです

 少し呆気に取られていたルナール君だけど、落ち着いたようで調査内容の報告をしてくれたわ。

 偵察とか苦手なんだそうだけど、結構調べてくれたみたいね。結構重要なとこが分かったもの。


「つまり、転生しなくても転生と同様の現象を起こし、準勇者として能力を与えることができる国なわけね」

「ということじゃな。そんな能力を付与できる者、まぁそ奴も勇者みたいじゃが。そ奴の力を受けた準勇者が大勢いる国が、今回の会合に参加するわけなんじゃよ」


 そう、そんなちょっとトンデモナイ能力持ちが居る国という超重要情報が手に入ったからね。

 そういえばそんな能力、こないだミスト君が話してくれたわね。となるとその関係の国って事かぁ。


「なるほどねぇ。でも母さん、そんな厄介というか危険な者がいる国が急に現れるとか、どういう事なのかしら?」

「それなんじゃがなぁ、今回はわしの想定では無かった事なんじゃよ」

「あらあら、それは厄介ね」


 ふ~む? お母様とお祖母様がなんとも微妙な表情してるけど、想定じゃなかったってどんなんだろ?


「えっと、急に国が出てくるって異常なんですか?」

「そういえばユキちゃんは結界についての詳細知らなかったわねぇ」

「知らなかったです! わたしが教えてもらったのは、いろんな世界が簡単に交わらないように結界で隔離されていて、混ざっても大丈夫って時になったら結界が消えるって事と、その結界の管理みたいなのをお祖母様がしているってことですね」

「うむうむ、その認識であっとるぞい。今回の想定ではないというのはじゃな、その結界が解けるまではまだまだ先、それこそ何兆年も先という観測じゃった国なのじゃよ」

「うへぇ、何兆年ですか」


 期間がとんでもなくてちょっとびっくり。でもまぁ割と納得している部分でもあるけど。

 そもそも交わらないようにってのは結界で隔離されているのは別世界なわけで、時間間隔だけでなく大気成分やら重力やらがこの世界と違ってる場合もある。

 なので、この世界に合わせた環境へと時間をかけて調整する作用のため、結界で一定期間隔離状態になっているとかなんとか。

 あとは力のある国や魔物が居る世界が大量に合わさったら、この世界の均衡が大幅に崩れて争いごとだらけになる可能性もあるので、その辺りが大丈夫になるよう交わるのをあえて遅らせたり、時期をずらしたりしていると。メイの居る世界もこっちの関係で結界が解けてないんだったかな。


「転移門を使っての移動なら分かるけれど、今回はそうではないって事なのよね?」

「じゃな。ルナールに調べてもらったからわかった事じゃが、どうにも結界に穴をあけおったようなのじゃよ」

「え? 世界の結界って穴が開くんですか?」

「みたいでのぉ。正直、わしもちょっとびっくりしてるのじゃ」


 おっとぉ、お祖母様も世界の結界に穴が開くなんて想像してなかったわけですね。

 でもそれもそうか。簡単に破れるならもっと世界がポンポン出てるけどそういうのは一切ない。それに、破る事ができるなら転移門をがんばって作り維持しようなんてしないものね。


「どうやってなのかは不明じゃが、おそらく勇者の力か神とかぬかしておる糞共の力じゃろうなぁ」

「あっ、お祖母様も神って存在、嫌いなんですね」

「うむ、戦っておったからの! サユリに仕えてる精霊神とは違い、人の神やら戦の神やらとふざけた存在ばかりでのぉ。信仰によって力を与えるだけでなく、転生者が生まれる直前に割り込んで細工をする厄介な存在じゃ。しかもその多くが神と自称しておるだけで、元はただの転生者じゃ」

「やっぱりそういう系統なんですねぇ」


 うんうんって納得しちゃうけど、やっぱそういう存在なんだね。

 もしかしたら精霊神みたいに他の世界には良い神様ってのも居るのかもしれないけど、この世界の自称神は転生者が基本なのでろくでもないっと。


「まぁそんな想定外じゃが、穴自体は小さいようで異世界の者が大量に押しかけてくるとかはまだ無いようじゃ。じゃが、さっき話しておった転生させて能力を配布するような国が開けた穴でのぉ」

「その国が侵略ではないけれど、こちら側に勢力を伸ばしてきているわけね」

「なのじゃよ。でまぁそんな存在じゃから、今後こちら側で厄介事を多く作られたらかなわんので、今回の定例会合に参加してもらうって流れになってるわけじゃな」

「なるほどねぇ。はぁ……ただですら面倒な会合だってのに」


 うん、お母様がすっごい嫌そうな顔してますね。

 これは厄介な存在が今回参加しますよってのが原因でなく、本当にその会合に参加する気が無いって方だね。仲の良い人がいないのか、嫌な人が多すぎてなのかはわかんないけど。





 ちょっとモヤモヤな雰囲気になってきたので、ここは雰囲気をガラッと変えた方が良い気がするわ。

 とゆーことで


「ルナール君って結構強いんですか?」

「あら、気になっちゃったのかしら」

「すこーし。だって情報収集とかダメとか言ってた割に、結構しっかりと偵察してたようですし。となるとそれ以外、特に強さとかも相当なのかな~って」


 そう、けっこう客観的というか、そういう面で気になっただけなのです。

 だからアリサ、ジトーって見てきてるけどそう警戒しないで? ルナール君に対して恋愛度が発生とかグイっと上がるとか一切無いから!


「そう言われると少し気になるわね。母さん、ルナール君はどのくらい成長したのかしら」

「そうじゃなぁ。こないだ……と言ってもこっちだと2ヵ月前くらいかの、その時にメイと模擬戦をさせたことがあるぞい」

「あったねぇ。突然の事でびっくりしたけど、彼女はぼくが有用な人物かの判定をしたかったみたいだね」


 ルナール君が苦笑いしながらそんなこと言ってるけど、確かにメイならそういうのでやりそうだなぁ。

 メイは立場もあるからか、わたし以上に足手まといになる人とかを嫌ってる雰囲気があるもの。王女様の立場だと大変だなぁとも思っちゃってる部分だけど。


「確か封印の関係で全力の6割と言ってたかの。その状態のメイと模擬戦をし、ルナールは圧倒したんじゃよ!」

「あら、それはちょっと凄いわね。メイちゃんの6割となると〝通常時のユキちゃん〟よりも強いということになるわね」

「そうじゃろそうじゃろ~。これもわしが行っている訓練のおかげじゃな!」


 お祖母様が笑いながら答えてるけど、そんなにすごい訓練なのかしら? ちょっと気になるねぇ。

 それと同時に、ルナール君が「いや、ギリギリ勝たせてもらっただけなんだけど」と、苦笑いしながら小声で言ってたのがナントモカントモ。


 でもそっかぁ、メイの6割かぁ。結構やりますね。

 それと、たしかにお母様が言うように〝通常時のわたし〟つまり魔衣や精霊衣の状態だと勝てませんね。ただ、天衣や精霊神衣に魔晶精霊衣だと互角かなぁ。


「ねぇユキちゃん、せっかくだからルナール君と模擬戦、やってみない?」

「気になるのでちょっとやってみたいです!」

「うんうん、そうよね。という事なのだけれど、ルナール君、どうかしら?」

「模擬戦ですか。う~ん……」

「悩むでない、良い機会じゃしせっかくだからドーンとやってみるのじゃ。まぁメイとの模擬戦とは違い、すこーし手加減せんと駄目かもしれんがの」

「ぼくが手加減を、ですか。あまりそうはならないと思うけど……まぁ受けますよ」

「決まりね。それじゃ訓練場に案内するわね」


 と、話が決まったので訓練場に移動することになったけど、手加減ねぇ。

 お母様は特に何も言わないのでわたしも黙ってるけど、手加減要らないと思うんだけどなぁ。

 これはやっぱり、お祖母様はわたしの全力をちゃんと把握できてないって事なんだろうね。お母様が報告してないって可能性もあるけど、弱い状態しか知らなければそうなっちゃうかなぁ。





 そんなこんなでうちの地下にある訓練場に到着っと。

 うちの人限定の訓練場なので、お母様が全力で術式ドーンしようとも絶対に壊れないすごく丈夫な訓練場。

 そして、もしも致命傷を負ってもすぐさま回復して治せる特殊な装置もバッチリ完備。お母様との訓練時に、わたしが無茶して瀕死になっても大丈夫な安心構造です。


「ユキちゃん、ちょっと良いかしら」

「は~い」


 到着したのでさっそく舞台に上がろうかなってしてたら、お母様に呼ばれたのでトコトコと。


「少し重要なことをこれから言うわね」

「重要なんですか?」

「重要ね。これはユキちゃんのお祖母ちゃんの理解度を高めるためだからね」

「あー……」


 お母様、お祖母様に対して拗ねてるというか、ちょっとムッとしてるんですね。

 これはアレかなぁ、さっきの手加減発言のせいかしら。


「まず、最初から魔晶精霊衣を使いなさい」

「様子見とか無しですか?」

「無しよ。それと最初の数分間、たぶん3分くらいかしら、その間は防御と回避に徹しなさい」

「それって力が敵わないからですか?」


 わたしが使う魔晶精霊衣は即時超強化でなく、時間をかけて能力が上がっていく状態だからね。

 なので3分時間を稼ぐという事にな


「ふふっ、違うわよ」

「え? だって」

「えぇ、強化時間を待たないという事は速攻で終わらせる事ができるのに、なんで伸ばすのかって事になっちゃうわよね」

「なっちゃいます!」


 速攻で終わらせることできるの? って疑問も出てるけど、理由が知りたいのです。


「それはね、ルナール君のプライドとでもいうかしら、彼の全力をしっかり見てあげた方が良い訳なのよ」

「防御や回避することがですか?」

「えぇそうよ。彼としてはユキちゃんに勝つことは目的ではないの」

「それって負けても良いって考えになっちゃうんですけど」

「その考えは確かにあるわねぇ。彼としては私達一家にどこまで迫れるか見たいという意識なのよ。それだけ私達一家は他者からすると上位な存在に見えちゃってるのだけどね」

「ほへぇ」


 単純に上位の存在であるわたし達の力と比較してみたいとかそういうのなわけですか。


「あぁそれと、月華はダメよ」

「ダメなんですか?」

「今のユキちゃんが月華を使っちゃうと、たぶん彼は動けなくなっちゃうからねぇ」

「動けなくなる?」


 頭の上にはてなマークが出ちゃうくらい謎ってなるんだけど、どういう事なんですかね?


「あらあら、ユキちゃん自身が気付いてないみたいねぇ」

「はい、まーったくわかりません!」

「ふふっ。月華がダメなのはね、魔晶精霊衣との相乗効果で今までの何十倍も強化されちゃうのと、それに合わせてさらにユキちゃんが強化されちゃうのよ」

「あー、それって月華による強化のアレですよね」


 わたしの使う月華はお母様の月花同様、顕現するだけでもかなーり身体能力や魔力や精霊力が強化されるからなぁ。わりとチートな術装です。


「それだけ強化されちゃうと、魔力と精霊力の圧だけで圧倒しちゃうのよ」

「そんなになんですか? 実感まったくないんですけど」

「そのくらいになっちゃってるのよ。これは私の失敗ねぇ。ユキちゃんの訓練は主に私とシズクが相手になっているから、そういった圧は跳ねのけちゃってるもの」

「たしかに!」


 月華と魔晶精霊衣での組み合わせ訓練、お母様とシズクさん相手でしか使ってなかったわ。

 アリサ達の訓練だけでなく、エレンとレイジとの全力模擬戦でも使ってなかったからなぁ。まぁ魔晶精霊衣が使えるようになってから日が経ってないから当然かもだけど。


「でもお母様、月華も使わないでも圧勝できちゃうんですか?」

「できちゃうわねぇ。それだけ魔晶精霊を顕現したユキちゃんは強いという事なのよ」

「そんなになんですかぁ」


 お母様がそういうって事はそうなんだろうけど、想定外ですね。

 あーでも、メイがこないだ魔晶精霊使っての状態を見たとき、けっこう驚いたというかキラキラした反応してたけど、その辺りもあるのかしら? あの子、わたしとの力の差は拮抗すると良いなぁって考え持ってるし。

 もっとも、わたしはそこまで戦闘大好き狐娘ちゃんじゃないから、拮抗しなくてもとか考えちゃってたりもするけど、それは内緒です。

模擬戦を開始する前に既に勝敗が決まっちゃってる状態

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ