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345話 離れはいっぱいあります

 ルミィたちが精霊力を自由自在に使えるようになるのはまだまだ先みたいね。

 見た感じから、精霊の召喚までは10日くらいでできるとは思うけど、その先の悪魔用対策も考えると数ヶ月かしら?

 それまでは他国への移動とかが難しい状態だけど当人たちは不満とか一切ないようだし、そもそも現在は他国への移動自体自粛というか制限もあるので、特に問題にはならなそうね。


 そんな事を振り返りつつ、敷地内にある屋敷の離れにトコトコと。


「今日もいっぱい人が来ているんだっけ?」

「ですねぇ。他国への移動が制限されたので、レグラスに滞在していた一部の貴族や高位の冒険者が利用しに来ていますよ」

「行くところが制限されたから、余計にうちに来る理由ができちゃったって事かぁ」


 アリサとそんな話をしていて思うのは、ほーんとうちって来客用の設備も盛りだくさんだよね。

 うちの人以外の来客は、母屋とそこに付随する施設への立ち入りには制限があり、いくつかの条件が無いと許可できないって状態になっているからなぁ。まぁ家に他人をズカズカ入れませんってのに近いのだけれど。

 そのため、少し制限をゆるくした来客専用の施設を離れとしていくつか設けてるわけだけど、興味がある人が多いようで、ちょっとした観光施設並みの来客数にいつもなっている。うちの重要度というか存在感がすごいからだなぁ。


「離れでもそれなりに審査あるっていうのに、ほんとみんな頑張るなぁ」

「それだけ魅力的という事ですね。それに審査と言いましても、そこまで厳しい内容ではありませんし」

「そういえばそうだったね。悪いことしちゃいけません! ってくらいの内容だっけ?」

「ですね。あとは知人紹介で来られてる方も多いですし」

「そういうのもあったねぇ。ちょっと上の離れが使えるみたいな条件も付いてるんだっけ」


 大丈夫ってお墨付きをもらった人は、敷地内にあるちょっと良い人用の離れが使える権利を獲得できちゃう。さらに評価が上がればもう一段上の離れに……と、ちょっとした仕組みもあったりする。

 最後は母屋の施設使える権利だけど、これを達成した人はまだ居ないんだったかな。

 まぁ母屋ってわたしが生活している場でもあるから、そもそも入れる人って最初から決まっているような状態だし。見ず知らずの人が入れるようになるとか、かなーり無理よね。


「ただ、そういうのもあってか、お嬢様と懇意になりたいという愚者が多いのですよねぇ」

「愚者って、まーたすごいこと言っちゃうなぁ」


 アリサが割と真面目な顔して俗物とか言っちゃってたけど、ほーんとこの子は年々わたしに対する保護欲がましましになる影響が出ちゃってるね。

 まぁシズクさんの方針もあるだろうし、わたしと仲が良い子に対する対応も問題無いので気にしてないのだけれど。


「まぁそれって、わたしと仲良くなれば母屋の施設がいきなり使えるって考えてるのもあるんだろうね」

「間違いなくですね。それ以上の下心を持つ愚者も多いのですけど」

「それはまぁ、ねぇ……」


 分かってはいることだけど、こうハッキリ言われちゃうと苦笑いしちゃうわ。

 わたしってば自他ともに認めるほど可愛いからね! 身長は伸びてないけど、発育の方も文句なしだからね!

 それに立場とか権限も色々あるし、お金もたくさん持ってるという、そりゃ欲しがる人も多いだろうなぁっていう存在だもの。


「お母様も言ってたけど、おそらくそういう下心満載な存在って一生来るのが確定してるのが厄介だね」

「ですねぇ。サユリ様へも相当のようですから」

「それね」


 うんうんって頷いちゃうけど、人妻であるお母様に対しても未だにそういう輩が多いってのがまたナントモカントモだわ。

 そりゃぁ年齢は結構すごいのに全然衰えず、外見も10代半ばくらいのすっごく若い状態だから、色恋沙汰にもっていきたいってのがぽこじゃが居るのも分かるんだけど。





 話をしながら離れに到着っと。

 外見はうちの敷地内なので神社に付随する和風な建物になっている。利用者も多いので結構な大きさにしている事もあり、なんかの神殿っぽくも見えるわ。


 訪問してきて今から離れに入ろうって人がちらほら居るけど、特に挨拶とかはしないでそのまま中にすいすいっと。

 知り合いとかではないので挨拶必須でもないし、そもそも挨拶をこっちがしたら自分も自分もって感じに人がドンドン膨れていき、対応するのにもてんてこまいになっちゃうもの。

 なにより、見ず知らずの人と話すのはちょっと苦手……というより嫌。わたしの人見知りは未だに治りません。


 さてさて、内部には……ほぅ、ソコソコ人が居るね。受付の所に4パーティかな? 並んでいるわ。

 無視して並ばずに割り込むことも出来るけど、急ぎではないのでわたし達も並びましょー。

 そのためには~


「すこーし認識をごまかす術式を使っておこうか。わたしが居るとなるとちょーっとばかり面倒になりそうだし」

「完全に消すで無くて良いのですか?」

「さすがにそこまでしなくても大丈夫だと思うよ」


 アリサが少し心配そうに聞いてきたけど、軽い術式だけで十分なのかっていう確認だわね。

 たしかに軽いのだと見破ることはわりと簡単だけど、ここはダンジョンとか戦場ではなく、平和な町の一角だからね。そんな場所でもバッチリ確認する人なんてあまりいないのです。


「ではでは術式展開っと」


 サクッと軽い認識のごまかし術を起動する。これで周囲には女の子2人が居るとしか思われません。

 まぁうちの従者さんには効かない術ではあるのだけれど。


「それにしても、人気あるのは模擬戦用の部屋みたいだね」

「そのようですね。次いでトレーニング部屋のようですけど」


 二人で受付上部にあるこの建物内の使用状況が分かる掲示板を見ているけど、模擬戦用が8割くらい埋まっていて、運動とかのトレーニング用のは4割、そのほかは1割程度だわ。

 娯楽とか治療用の離れもあるから、そういうの希望の人はそっちに行っていそうなのもあるので分かるけど、ここまでクッキリ差が出ていたとはねぇ。


「これってやっぱり、ダンジョンで訓練するのと違い安全性が高く、設備も充実しているからかな?」

「みたいですね。先頭の会話内容がまさにそのような感じですし」

「ほほー。わたし、全然聞いてなかったよ」


 どうにも興味ない相手の場合、ちょっとした情報収集をしようって気すら起きにくいからか、こういう風に聞き耳を立てるとかあまりしないんだよねぇ。

 逆に気になる子に対しては結構じっくりやっちゃうけど。もしかしたらわたし、ストーカー気質があるんじゃ? ってちょっと考えちゃう怖さもあるけど。





 そんなこんなで前の人たちが全員終わったようで、受付に到着っと。


「やっほー」

「「いらっしゃいませ、お嬢様!」」

「うんうん、元気があってよろしい」


 受付の二人がそろって歓迎の意を示しちゃったね。

 ただね、その反応はちょっと問題ありなのよ? ほら、わたし達の後ろにいた人が「なんだなんだ?」って感じに気にしだしちゃったよ。


「まぁいいや。今日はナナとネネが担当なんだね」


 うちで雇うことになったナナとネネの姉妹だけど、普段だけでなくこういった業務でもできるだけ一緒に配置してるとかシズクさんから聞いていたな。

 姉妹の仲が良いのはもちろんあるけど、姉であるナナの頑張りを見てネネもさらに頑張るという良い連鎖が起きやすいからとかなんとか、


「です。今日はちょっとお客さんが多くて大変ですけど」

「でもがんばれる範囲でっす!」

「なるほどなるほど。うん、見た感じ無理はしてなさそうね」


 仕事だから頑張りまくりますってのはダメだから、その辺りのチェックは入念に行うのです。

 もっともわたしがしっかり見なくとも、うちの教育や方針でしっかりやっているのと、各先輩従者さんもその辺りをきっいり教えてくれてるので大丈夫なわけだけど。


「それにしてもナナとネネ、その後ろにある大量の包みはどうしたのですか?」

「これはですね先輩、私とネネへの貢ぎ物みたいなものでして」

「びっくりする量ですけど、そうなんですよぉ」

「あー……納得しました」


 うん、アリサが少し呆れながらも納得したけど、確かにそういうのってよくあるんだよなぁ。

 うちの従者さんって能力はもちろんのこと、外見や性格もひっじょーによいので、ファンみたいなのが簡単にできちゃう。

 そのせいで、こういった外の人と関わりができる担当時には、ナナとネネみたいにファンからの贈り物が結構出てきちゃうとかなんとか。


「受付担当も大変なのですね」

「そういえばアリサは受付担当したことないんだっけ?」

「ですね。私はお嬢様の専属メイドですので、そういった配置にはなれないとシズク様に教えてもらったこともありますよ」

「なーるほど。たしかにわたし優先するには担当できないねぇ」


 4人でうんうんっと頷いちゃうけど、優先度はどうしてもあるからしょうがないよね。

 何においてもわたし優先がみたいなのがあるのはもちろんだけど、そもそもアリサ自身そういった担当なんかしてないで、わたしにベッタリしていたいって考えあるからねぇ。

 仕事内容としては受付とかの担当の方が楽ではあるけど、アリサにとって楽とかはどうでもよく、わたしを優先するのが一番って考えてるのもあるし。


「ほんとかわいい子ですね」

「お、お嬢様!?」


 容赦なくアリサに抱きつき、ちょっと頬をすりすりと。

 不意打ち気味もあってか少し慌てちゃって、可愛いですね!


「おぉー、お嬢様と先輩のいちゃつきが始まりましたね」

「癒されちゃうよね~」

「ちょ、ちょっと、ナナとネネものほほんとしないでください!?」


 アリサがさらにワタワタしちゃうけど、そう、ナナとネネも決して止めないのだ!

 だってみんな公認の関係だからね。むしろ、もっとやっちゃいなさいって言ってる気がするわ。特にお母様が言ってる気がするわ。


 まぁ、後ろの人たちンの視線がちょーっと気になってきたので、これ以上は控えましょー。さすがに知らぬ人たちに見せつけたいとは思えないし。

 そ・れ・に~


「もっと過激なイチャイチャは夜だもんね」

「お嬢様!?」

「むっふっふー」


 うん、顔真っ赤にしちゃってかわいいですね~。

 まぁ過激言っても、寝間着姿で抱き着くだけなんですけどね……今のところは。

ガッツリとしたエロはまだ抵抗があるお年頃

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