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342話 うちでやっているのは塾みたいなもの

実は、専属メイドなので教師はやりたくないと思っているメイドちゃん

 お母様が言っていた厄介そうなネタは今すぐどうこうは無いそうなので、お母様にお任せしてっと。

 どれも厄介というかわたし絡みになりそうなので、お母様が対応悩むのもある意味納得しちゃったけど。


 そのまま少しお母様と雑談した後、当初の目的に向かってトコトコと。

 今日の目的、それは!


「ではでは、いつものようにバシッと授業参観しちゃうよ~」


 そう、うちで勉強している子の様子を見に行くことなのだ。

 うちの屋敷で働いている従者の人やその子供に孫といった家族はもちろんのこと、国内だけでなく他国から推薦のあった人に対して、普通の学校とかでは学べないような特別な教育をしている。学校ではなく塾の立ち位置でやっているそうではあるけど。

 もともとは従者教育のためだったようだけど質の高さや教育後の成果などから、うちの人だけでなくいろいろな人も受け入れるようになったとかなんとか。


「私としては、お嬢様が不特定多数な者の授業を見学されるのは、あまり良しとは思えないんですけどねぇ」

「そうなの?」


 アリサが苦笑いしながらそんなこと言ってきたけど、どういう事かな?


「従者の家族を含む親類の方でしたら注視するところは無いのですけど、推薦で来ている方はどうしても目的が邪と言いますか、野心みたいなのがありますから」

「野心って、すっごいこと言っちゃうね」

「言っちゃいますよ。だってお嬢様が見学したときの反応、わかっているでしょ?」

「あー……」


 ちょっと納得。

 わたしが授業参観したとき、ちょっとイイカッコしようというのが強く出過ぎて授業がごちゃごちゃしたり収拾つかなくなったり、逆に緊張しすぎてダメダメになる子も結構いるんだよなぁ。

 わたしの立場がそれだけすごいというか、扱いがトンデモナイって事なんだろうけど、複雑になっちゃうね。


 でもなぁ、アリサがちょっと嫌だなぁって思ってそうな原因は


「わたしに触れようとか、ちょっと交友関係作ろうとして寄ってくる奴が居るから嫌だもんねぇ」

「そ、それは」

「否定できる~?」

「でき……ませんね。えぇそうです、私はお嬢様に寄ってくるゴミがすごく嫌なんですよ!」

「ゴミって、なかなか言うなぁ」


 プンプンって感じに言い切って、うん、可愛いですね!

 でもまぁアリサの気持ちもよーくわかる。

 うちの親類や従者関連の人たちは全然大丈夫だけど、推薦枠の人って良い人ばかりとは言い切れないからね。能力とかが良くても、わたしという特異な存在が登場するとダメになるみたいなのはあるわけだし。

 だからか、主催者ともいえるお母様もだんだんと嫌になってきたようで、年々推薦枠の人数が減っていってるもの。もともとうちの人たちだけの勉強会だったからなおさらだね。


「アリサの気持ちとかはわかるんだけどねぇ」

「でしたら」

「でもほら、わたしだよ?」

「そうなんですよね、お嬢様なんですよねぇ……」

「ちょっと? すごく呆れてるんだけど?」


 すっごいため息つきながらも一応納得してるようだけど、そう、わたしは何事にも興味津々なのです。

 わたしたちとは違う人たち、特に好意の無い存在とかヨワヨワな存在とかがうちの授業を受けた場合、どのように変化していくかっていう興味が当然沸いちゃっているのです。研究者目線な感情がドカーンと出ちゃうのです。

 そんなわたしのちょっとした趣味を、当然アリサもバッチリわかっているはずなわけで。


「まぁお母様にダメって言われたらやめるけど、今のところは言われてないからね」

「まだ制御できる程度ですからねぇ」

「さすがに過激なことする人は出てこないとは思うけどね」

「だといいのですけど……」

「もー、心配性だなぁ」


 ちょっとぷくーっとしていたアリサのほっぺをツンツンしながら、いつも通りに明るい対応をしちゃうわたし。

 だって、授業しているのがうちだものね。

 もしもが起こりそうな場合、どこからともなくシズクさんを筆頭にうちの従者さんが集合して完全阻止とか絶対にしてくれるわ。なので大丈夫なのです。


 だけどあれね、アリサのこれは


「わたしが取られちゃうんじゃっていう心配からだね~」

「そ、それは、えっと」

「わかってるって」


 図星だったようで少しワタワタしたアリサにギューッと抱きつき!

 アリサってば結構心配症だからねぇ。少し悪い方向に考えすぎるとも思えるけど……性格かな?

 もっともアリサの場合、取られそうになったら強引に割り込んで阻止するって行動も見せるはずだから、こういった考えを強制に変えようとかは絶対にしません。そうでなくても正確強制変更とかはやらないけど。





 そんな話をしながら、まずは最初の勉強部屋を見学よー。

 ではでは、容赦なくガラガラッと扉を開けて~


「わたしが来ました!」


 ドバーンといっさい隠さずに挨拶しながら突入!

 うん、あとでアリサに何か言われそうな気がするけど、気にしません。


「あらお嬢様、本日は特別教室からの見学ですか?」

「そだよー」


 そう言って授業内容を表示している画面を生徒に見せながらもわたしに会釈してくれるシズクさん。ほほう、今日の特別教室の教師はシズクさんですか。

 いつも通りのメイド服を着ながらだけど、何ともできる女教師感があってカッコイイです!


 うちでやっている勉強の教室はいくつかあり、大雑把ではあるけどうけている人の立場で分かれている。わかりやすいのは推薦枠の人は推薦枠の人用の教室で、従者や家族、親類とは同じ教室にはならない。

 これは勉強する内容が違うってのもあるけれど、立場とか世間体とか色々あるからそうなったとか。

 まぁ立場とか関係なく全員一緒とか、相当な混沌部屋となるので当然ですね。


「マスター!」


 そう言いながら手をブンブンと振るう子、わたしの眷属になっちゃったルミィです。うん、手を振る様もかわいくて良いですね。わたしも当然手を振っちゃう。

 そう、今回の特別教室はルミィたち向こうの世界から来た人用の教室。言語関係とか発声方法、その他もろもろもあるから当然です。


 手を振りながら軽~く生徒を確認。

 ふむふむ、ルミィのお母さんを含む数人が居ないようね。王城の方で今後の相談とか決めごとがあるって前言ってたから、そっちに行ってるわけだねぇ。

 授業なんて受けません! って人たちじゃないのはすっごくわかってるので、特別何かをするとかもないね。


 それにしても


「今日はルミィたちの授業、シズクさんが対応だったんだね」

「その通りです。昨日はサユリ様が担当されていましたよ」

「おぉ! とゆーことは、ルミィたちが優秀って事だね」


 うんうんって思いっきり頷いちゃう。

 こっちの知識とか技能とかを教えているそうだけど、お母様が直で教えるってのはなかなかすごいこと。

 これがルミィだけだったらわたし関連だからっていう特別感からではあるけど、他の人たちに対してもだからみんな優秀で好意的な対象って事だものね。


「発声方法や文字の認識に関しても魔道具の軽い補助程度になっていますので、近いうちに魔道具無しでの生活も可能になりそうです」

「わーお、それもかなりすごいわ」


 たしかにさっきのルミィも以前あった精霊との会話みたいな感じでなく、ちゃんと声に出していたものね。

 あとは魅了とかの能力だけど、そっちも制御でき始めてそうだわ。これは相当優秀ですねぇ。


 実際のところ、どっちも魔道具使えば言語や発生、魅了とか全てまるっとどうにかなるんだけど、魔道具が壊れたとか使え鳴いて状況を念のため考えるとね。

 道具に頼らなくてもできるって状態、結構大事です。


「当初の予想よりもだいぶ前倒しできていますので、さらに上の講座にも早くに入れるかと」

「となると……あれをやっちゃうんだね?」

「やってしまいますね。丁度お嬢様が今居られますし、軽く始めてみましょうか」

「おー!」


 わたしとシズクさんでけってーいっと。

 うん、ルミィたちだけでなくアリサもなんのこと? って顔してるね。確かに授業関係はまだアリサの担当には入っていないから、わからないのはしょうがないね。

 もっともー、すぐにわかっちゃうからご期待だよー。

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