340話 普通の報告会?
少し長いです
あらかた終わったのでお母様とフローラさんに報告っと。ん~む、結構報告する内容あるなぁ……少し長めにいろいろ説明になっちゃいそう。
案の定、繋がったら色々質問されてしまうことに。まぁ一番は、わたしに怪我がないかとか体調はどうかだったけど。
報告後、今度は捕虜の移送やら傭兵帝国とのやり取りなどが発生するとのことなので、特別製な携帯型転移門をポーチから取り出して設置。サクッと設定したら起動し、レグラスの王城との転移門を作成する。さすがわたし、手慣れたものです。
少し待つと、レグラスの大臣さんや親衛隊の人達がぞろぞろと転移してきたわ。傭兵帝国が関係するからか、結構すごい構成だなぁ。
とはいえ後の事はこの人達にお任せできるので、わたし達は逆に転移門を使ってレグラスの王城へ。本当は駄物を置いていきたかったけど状況が状況なので、しぶしぶ王城に連れて行く。
王城に着いたらこっちにも居る他の大臣さんたちにいろいろ説明をし、情報の連携や引継ぎを終わらせてっと。
やれやれ、引継ぎとかだけとはいえ事務作業は大変だわ。
そんなこんながあったけど、わたし達はレグラスの王城で現在も待機中。
必要に応じてまた傭兵帝国の方に行ったり、回収した道具や素材などに関しての確認作業のお手伝いをしたりと、いろいろやる事があるのでしょうがないね。
なのでアリサ達もレグラスの王城に来てもらう手配をしたけど、すぐには合流できないそうで。他国への転移門の使用許可が下りにくく、しかも長い順番待ちになってるそうで。それだけ今回の事件って大変でヤバかったって事なんだろなぁ。
そんな事を考えてたら
「ねーねー、おねーちゃん」
「な~に?」
隣を歩いていたメイが何か興味あったらしく、声を掛けてきたわ。
お母様に呼ばれたので王城の廊下をテクテクと歩いていただけではあるけど、何か珍しい物でもあったのかな?
「おねーちゃんってこの国のお姫様じゃないんだよね?」
「お姫様じゃ無いねぇ。お父様とお母様がすごいって家の娘ではあるけど」
「なるほどなるほど。家の影響がすっごいからなんだね、おねーちゃんに対するこの反応」
「このって、あー……なるほど」
メイが指差してハッキリわかったけど、王城勤めのメイドさんや執事さん、それに巡回中の騎士さんとかが、わたしに対してお姫様的な扱いというか、割とヨイショしちゃってるからねぇ。
「おねーちゃんの立場は一応聞いてはいたけど、ここまでハッキリとは思わなかったよ!」
「結構すごいからねぇ。ちなみに今は王城内だからこの程度だけど、市街地に出るともっとすごいことになるよ」
「もっとなの!?」
「もっとだねぇ。何かあったらすぐに駆けつけることができるよう、親衛隊の上位の人達がバッチリ警護していたり、市民が一目でも見たくなるのかゾロゾロと集まってきたり、お店だとオマケとか割引とかの特典満載になったりするんだよ」
「うっわぁ……想像しただけでもちょっと凄いね」
メイが驚きというか少し引いてる感じだけど、ほんとそうなんです。
それだけうちの国ってわたし、というよりわたしの家に対する信仰心みたいなのがすっごいわけで。普通はありえないよなぁっとしみじみと。
「だけど、なんかそれってあれだよね」
「あれって?」
「お姫様じゃなく、アイドルみたい!」
「あー……確かに」
言われて納得、すごい納得。
まぁ偉い人扱いされるよりかはいいんだけど、アイドル扱いもまたナントモカントモ恥ずかしいです。もっとも、生まれてからずっとなのでなれちゃってるけど!
「それはさておき、お母様の用事ってなんだろね」
「呼ばれたのは、あたしとおねーちゃんだけなんだよね?」
「だね。駄物も居たんなら褒章関係とかの話だとは思たけど、わたしとメイだけってのが少し気になっちゃうわ」
わたしとメイだけにしたという事は、他の人に知られたくない事だろうからなぁ。
まぁいつものおやつ時間とかでもそういう場合もあるけど、レグラスの王城でってなると違いそうだもの。
トコトコ歩くこと数分、指示のあった部屋に到着。
ではでは扉をトントンッと叩いてから
「お母様~、きました~」
扉を開けてメイと一緒に中にっと。
「あらあら、少し早かったわね。急いじゃったのかしら?」
「ん~、そこまで急いではいないです、たぶん」
「ふふっ、ならいいわ」
お母様とシズクさんが机の上にお菓子とかを並べていたので、ほんとーに少しだけ早かったみたいだね。
とりあえず並べるのをてつだ
「お嬢様とメイ様はこちらの席にどうぞ」
「あー、これは手伝うなってことだね?」
「その通りです」
うん、シズクさんにバシッと言い切られちゃったわ。
「今は私達だけなので強制はしないのですが、お嬢様はもう少しお立場を意識していただければ」
「あらシズク、それはきっと無理よ。ユキちゃんの場合、立場とか関係なく好きな人のお手伝いはしたくなる優しい子だもの」
「分かってはいるのですけどね……。もっともサユリ様も似た様なお考えをしていますので、お仕えする私も大変な時が多く」
「あらあら、このままだと私まで小言を言われちゃいそうね」
そうお母様とシズクさんがキャッキャしてるけど、うん、いつも通りだね! ほんと仲が良いなぁ。
それはさておき、手伝うのは無理なのでちょこんと椅子に腰掛ける。
そして机の上に並べられていくお菓子をじーっと観察。おぉー、今日はカステラ祭りですね! プレーンにチョコに抹茶などのいったいろんな味のカステラだけでなく、果物とクリームを挟んだケーキみたいのもあるね!
この光景を見ちゃうと、本題は別にあるんだろうけどわたしの頭の中は完全におやつの時間状態になっちゃうわぁ。
どんどん並べられていくカステラ軍団に少しうっとりしていたら、お母様が対面の席に座ったわ。どうやらお話の始まりみたいね。
「さてと、おやつの前に二人には少し確認したいことがあるのよ」
「確認ですか?」
シズクさんが紅茶を淹れていってくれるので、それをちょびっと飲んで少し頭を切り替える。さすがにカステラばんざーい状態じゃだめだもの。
「今回、二人は悪魔化した存在と戦ったのよね」
「ですね。2体と戦ったことになるかな?」
「あたしはおねーちゃんのサポートしただけだよ! あたしは正直、ちょーっと足手まといだったしぃ」
「ふふっ、その様子だとメイちゃんは悪魔と戦うのが初めてだったわけね」
「うん! デーモンとかの敵は戦ったことあるけど、悪魔って存在は見るのも初めてだったよ!」
メイがカステラを掲げながら答えたけど、確かに普通はそうよね。そもそも悪魔と戦うことが日常茶飯事になってたら駄目だし。
「そうねぇ、私達もこの時代に悪魔化した存在が出るとは思ってもいなかったから、メイちゃんのお母さん達も対悪魔の訓練とかは予定していなかったはずなのよねぇ」
「たしかに一切なかったよ!」
「こちらもお嬢様が悪魔化した存在と相対してから、お嬢様の訓練だけでなく各方面への準備と対策を開始しましたものね」
「そうなのよねぇ。その準備と対策もまだまだの状況なわけだし」
そう、いつぞやの時にわたしが悪魔化した存在が居ましたって報告してからなので、だいぶ後手なんだよね。
対悪魔用の結界とか解除薬やらの開発もまだまだ発展途上。効果の継続やら費用の関係やらと欠点も満載なのが痛いところ。ほんとーに悪魔って厄介ですね!
「そんな悪魔なのだけれど、翼が生えていたのよね?」
「そうなんです! なんか背中のあたりからバッチリ生えていて、しかも鳥みたいな羽毛が生えた翼だったんです」
「羽毛がある翼、ねぇ……」
おや? お母様が少し困惑というか難しい顔になったわ。
「もしかして、この翼があるのって」
「えぇ、私達も知らない形態になるのよ」
「うげぇ……」
お母様たちが知らないって、なんかすっごく嫌な予感がしてきたんですけどー。
「復習になってしまうのだけれど、悪魔の進化は通常こうなっているのよ」
そう言ってお母様が魔道具を取り出し、ポンッと映像を出したわ。
そしてそこには悪魔の進化みたいなのが書かれていて、最終形態もバッチリ書かれているね。
「このように悪魔という存在は進化していってもデーモン系統と同じで羽毛の無い翼、コウモリなどと同じ翼ね。これが生えてくるはずなのよ」
「となると、羽毛があるのって」
「謎、になるわねぇ」
知らない形態だもの、確かに謎だよね。
「もしかして、悪魔以外になってるとか?」
「ん~、ユキちゃんの報告を見る限り、悪魔化しているのは間違いなさそうなのよ」
そう言ってお母様が画面を切り替え、わたしの報告した内容と、わたしとメイの体を調べた結果などをずらーっと表示してくれたわ。
そして、そこにはバッチリと悪魔特有のヤバい力とかの影響が観測できたって書いてあるわけで。
「となるとやっぱり?」
「えぇ、悪魔の進化が増えた、もしくは本当の進化がこれという事になるわねぇ」
「うっわぁ……すっごく嫌な予感がしちゃいます」
「通常の悪魔化した存在でも不明点が多いものねぇ」
「ですけど、今回はお嬢様がその翼の生えた悪魔を鹵獲してくださったので、多少は解析できそうですね」
「そうねぇ。幸いなことにあれはどう扱っても心が痛まない存在だし」
おっと? お母様がその発言ってことは、つまり相当えぐい解析しちゃうって事ですね? さすがお母様、やるときはやっちゃいます。
まぁお母様ってわたし以上に好き嫌いハッキリだから当然ですね。
むしろ、ここで解析はするけど優しく対応しちゃいますとかってなったら、それはそれでかなーり嫌だけど。お母様があんなジジイを好くとか、断固拒否だもの!
とりあえず翼の生えた悪魔は分析するしかないという結論になったけど、対悪魔用の準備とかはもっとしっかりしなきゃいけないって結論になった。未知の形態が増えたんだもの、確かにそうだよね。
そんな真面目っぽい話がひと段落したら
「はいっ! おねーちゃんのママに質問!」
「あらあら、なにかしら?」
メイが手を上げてお母様に質問のようだけど、はて? なんの事だろ?
「おねーちゃんってあの魔晶精霊衣使うと相当エロくなるんだけど、その状態でもエッチなことってできるの?」
「ぶはっ!?」
「だって魔晶精霊衣を顕現したおねーちゃんを見たとき、あたしでも結構抑えが利かないくらいムラッとしちゃいそうだったからね! 聞きたくなっちゃうよね!」
ちょ、この子、マジでなんつー質問してるのよ!?
ほら、お母様とシズクさんも「あらあら」って顔しちゃってるよ!
「えーっと、一応できるわよ」
「お母様!?」
「でも、今はよした方が良いわねぇ」
「そーなの?」
「えぇ、今のユキちゃんだと魔晶精霊衣の力の上昇分を制御するのに手いっぱいで、加減の制御が難しいのよ」
お母様がハッキリ言ってくれてるけど、ほんとそうなんだよなぁ。
しっかも魔晶精霊衣、こないだ練習した時よりも能力の上昇量がメキメキ上がっていたから、おそらく繰り返せば繰り返すほど体が慣れていって上昇率がぐんぐん上がっちゃいそうなんだよねぇ。
そのせいか、加減調整がどんどん置いてけぼりになっちゃう。
「あー、それだから危険って事なんだね!」
「そういう事になるわねぇ」
「なっとく!」
うんうんって納得してるようだけど、ちょっと待って?
「えーっと、わたしの気のせいかな? お母様、えっちぃ事は止めなさいって発言してない気がするんですけど?」
「えぇ止めていないわねぇ」
「ちょ!? それ何でですか!?」
「あらあら、ユキちゃんの方が慌てちゃって、かわいい子ねぇ」
いやいや、お母様はニコニコしてるけど普通にこれは慌てて当然でしょうが!?
「そうねぇ、結論から言ってしまうと」
「言ってしまうと?」
「成人前は軽い触れ合い程度になるというのは分かり切っているのと、背中を押しておかないとユキちゃんは何千年も現状維持にしちゃいそうだから、今からどんどん進めておきたいってところかしらねぇ」
「あー……えーっと……うん、そうかもです」
わたし、そっち方面への抵抗はちょっと弱いのもあるし……。
「なのでメイちゃん、ユキちゃんに対してどんどん押していった方が良いわよ~」
「わかったー!」
「いやいやちょっと……。ねーねーシズクさん」
話がどんどん過激な感じになりそうなので、ここはいつも通りに給仕しているシズクさんに
「申し訳ありません」
「へ?」
「私もサユリ様同様、お嬢様の交友関係はより活発にしたいと思っていますので」
「ちょっとぉ!?」
どうやらこの話題だと、わたしには味方がいなかったようで……。
えっちぃ話題、怖いです。
えっちぃ事レベルはだいぶ低い狐娘




