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338話 少し、キレちゃいました

 さーてと


「それじゃメイ、もう一回行こうか」

「うん!」


 朱雀の状態がまだ続いてるので、ガンガン押していくよー。


「くっ、このままでは……何か、何か策は!」

「何か考えてるようだけど、遅すぎると思うんだよねぇ」

「なぁっ!?」


 ジジイがボソッと呟いてる間に、わたしは後ろ側、メイは前側に接近。

 あとは月華と桜華をそれぞれ横に構えて、腰のあたりを目標に~


「ずばっとー」

「斬っちゃいます!」


 切り抜ける形に、横にズバッと一閃!

 これで見事に真っ二つ……にならないのかい!?


「ぐはっ!? こ、この狐どもがぁぁぁぁぁ!!!」

「ちょっと嘘でしょ!? たしかにバッサリと斬ったはずなのに、なんか耐えてるんですけど!?」

「ふかーい切り口ができただけとか、意味わかんないよ!」


 真一文字にバッサリなる予定だったのになんか耐えてるんだもの、ちょっと想定外よ。

 ただ、斬撃を回避できたってわけではないようで、腰のあたりから血がドバドバ―と出ているわ。

 う~む、これは本当に謎です。


「あの方に頂いた御神体を破壊するなど、ふざけるなよ!」

「あの方? それと、御神体?」


 ジジイがキレかかっているからか、なんか重要そうなことを言ってきましたよ。

 あの方ってのは仮面の奴とか、お父様の兄弟とかぬかしてるのとか、はたまた全然知らない奴の可能性があるので謎だけど、御神体の方はなんとなーくわかるわ。

 おそらく、致命傷となる傷を肩代わりする特殊な魔道具か何かって事だね。ダメージ自体肩代わりするだったら、さっきの攻撃とかも無効化されてたはずだけど、そうでないって事は恐らく致命傷のみ。

 そして、効果はたぶん1回きりだね。破壊された~とか言ってるし。





「ディアム殿! そいつは無視し、我を手伝え!」

「手伝えって、無茶な!?」


 ジジイの余裕は完全に無くなったのか糞男に助けを求めてるけど、無理だねぇ。

 だって


「良いよ駄物! 糞男を死に物狂いで相手し続けなさい!」

「だからオレは駄物ではないと!」

「反論できるって事は、余裕って事だよね! 期待して良いって事だよね!」

「メイ君まで何を!? ま、まぁ、できなくはないがな!」

「ちょろーい!」


 うん、すっごくチョロイです。

 メイがちょーっとだけ期待しているとか言っちゃったら、もうやる気満々状態で、さっきよりもキレが良く糞男を抑えにいってるんだもの。


「この狐どもが! 殺意だけでなく、手段も汚いぞ!」

「いや、突然そんなこと言われましても? そもそも正々堂々の御膳試合とかでもないし?」


 手段に綺麗も汚いもないわけで、悪魔なんて倒せばいいんです!

 とゆーか、援護してくるものを封じることのどこが汚いんですか? ってちょっと反論したくなっちゃうわ。援護を封じるとかよくある作戦の一つなはずだもの。


 それと殺意がどーのも言ってるけど、敵を排除するなら当たり前だと思うんですけどねぇ。

 殺しちゃダメって状況でもギリギリを攻めるわけだし、仮に殺しちゃってもすぐに蘇生すればいいので問題無いです! まぁ蘇生はできるかできないかの判定条件がいくつかあるので、蘇生を使わないで済むって状況の方が良いんだけど。


「まぁいいや。それじゃメイ、さらにもう一回行くよー」

「今度こそバッサリだね!」

「くそっ! こうなってはもう続けられん。ディアム殿! 撤退するぞ!」

「な、なんだって!? だが!」

「現状を考えろ! ここまでは完全に追い込まれ、我でも打開は難しいぞ!」


 おっと、ジジイがだいぶイライラした感じに大声で糞男に話してるけど、勝ち目無さそうなので逃げるってわけですかぁ。


「まったく、わたしたちがはいそーですかって感じに見逃すわけないでしょうが」

「それはどうかな! 召喚、鬼顕衆!」


 そうジジイが右手をばっと掲げたけど、召喚って何を? 鬼の集団か何かって事かしら?

 なんて思ってたら、魔法陣みたいなのがばばばばばーっと無数に現れ、そこからのっそりと人影が浮かんできたわ。


「これが我の手に入れし眷属よ!」

「やれやれ、ご説明どーも。しっかし……ふむ、鬼族がざっと30体ってところか」

「数は多いけど弱そうだね!」

「たしか……お?」


 弱そうだなぁって思っていた鬼の集団が、なんとも嫌な感じのモヤモヤーと纏いだしたわ。

 これってまさか


「悪魔化した鬼の集団ってこと!?」

「はーっはっはっは! 甘く見ていたようだなぁ!」

「いや、甘く見るとかでなく、なんで悪魔化したのがそんなにいるんですかって方に驚いてるんですけど」


 悪魔の量産祭りとか、ほんと止めてください。

 しっかもそれを召喚って形で呼び出すとか、厄介だし脅威だしって思っちゃうわ。


「なぁどうするんだ」

「あっ、もどってきたんだ!」

「そりゃあの様子だ、オレも危機感を持つぞ」


 駄物もあのモヤモヤがヤバそうなのを察してか、糞男の相手を中断して合流してきたけど、確かに危機感持つわね。

 だって悪魔化している鬼ども、うめき声とか悲鳴っぽいのを上げているんだもの。かなーり不気味で気持ち悪いです。


「ん~、ジジイほど強くはなさそうだし、一気に範囲攻撃で消すかなぁ」

「安全第一だね!」

「安全って、それで良いのか? 捕虜にして情報とるとかしないのか?」

「確かに捕虜にした方が良い気はするんだけど、ここでジジイと糞男を逃す方が問題ありな気がするのよ。なので、思い切って殲滅です!」


 ちゃきっと月華を構えてっと。

 一応範囲広すぎて傭兵帝国の奴らを巻き込んだってならないよう、範囲と威力を調整した術式にしておこうかしら。


「おっと、攻撃はよした方が良いぞ!」

「あらあら、そんな意味深なこと言って、逃げる時間を稼ごうって事かな?」

「ふっ、ならばよく見るんだな! 我の眷属がどのような存在なのかを!」


 と、なんかジジイが明らかーな時間稼ぎを言い出してるけど、そんなの無視しましょう。

 だけど一応目標を絞るため、ちょっと分析用の術式をサクッと起動し……は? え? まて?


「おねーちゃん?」

「な、なんかすごく怒ってないか?」

「あーいかんいかん、顔に出ちゃってたか」


 分析結果を見た瞬間、だいぶ嫌悪感が出ちゃったからなぁ。


「残念だけどあいつら、ただ悪魔化した鬼族じゃないわ」

「どういうこと?」

「意識や思考を操作し、強制的に悪魔化され半強制状態で強引に動かされている、普通の鬼族だわ」

「それって」

「おそらく、どこかの集落をまるごと占領し、自分たちの戦力増強の意図だけで強制悪魔化するっていう、最低の手順ふんでるわ」


 わたし自身は善人とかじゃないけど、こういう胸糞悪いのはかなり腹が立ちます。

 しかもちゃんと分析したせいか、うめき声が結構悲痛な叫びばかりなのを察しちゃって、さらに腹が立ってくる。

 よく見ると子供や妊婦の鬼族まで居るので、ちょっともう、マジでキレちゃいそうになってきたんですけど!


「では、我の眷属と十分戯れていると良いわ! 逝け! 我に従いし地獄の鬼どもよ!」

「あのジジイ、本当に腐ってるわ。完全に生贄って感じに突撃させる状態だし」


 だって、ジジイの言葉を受けてさらにうめき声とか叫びをあげ、モヤモヤまで増加させてるんだもの。


「……作戦、変えるわ。メイと駄物はあの鬼族の意識を刈り取るまでやって」

「それって殺さないってこと?」

「うん。意識が残っている状態で使役しているって事は、逆に意識がないと操作できないって状態だろうからね」

「分かったが、お前はどうする気だ」

「そんなの決まってるわ。ジジイをぶったおす!」


 月華をジジイの方に受け、魔力と精霊力をドカッと上げる。

 本当は糞男の方も倒したいけど、おそらく無理ね。ジジイと糞男が転移で既に逃げようとしているから、阻止できるか怪しいもの。





「それじゃぁいくよ!」


 タンッと駆け、ジジイめがけて突進!

 それを阻もうと悪魔化した鬼どもが出てくるけど、ひょいっとかわしながらドンドン突進! だって今、割とキレ状態なのもあって加減できるか怪しいんだもの、かわすしかできません!


「お、お前ら! その狐を何としても止めろ!」


 ジジイが驚きながらそう叫んでるけど、もしかして、わたしがきっちり召喚された鬼どもの対応してから突っ込んでくるって思ってたんですかね?

 だとしたら……バカだね!


「頭を潰せば終わるっての、よくあるでしょうがぁぁぁぁ!!!!」

「ま、まてっ!?」

「待たない! 月華、麒麟!」


 一気に接近し、あえて正面から~


「月華、神雷開放!」


 雷を纏いながら、最初に付けた二重のバツ印に合わせて再度切り込む!

 今度は回避も絶対させないよう、より深く切り込み、そしてより速く切り払う!

 なにより、時間ってあんがい結構経っているもので、今のわたしは完全にジジイを上回っている状態。それなのに回避できるなら、堂々と回避してみなさいって状態よ!


「ぬっがぁ!?」

「それが最後の言葉ってわけね」


 切り払った瞬間、ドッゴーンと凄い雷の爆発が起きジジイは丸焦げ……どころか完全にバッサリ。バツ印に合わせてなので4分割ってところかしら。

 やれやれ、ちょーっとキレ気味だったからか、だいぶ力のごり押し方法で締めちゃったわ。あまり綺麗な勝ち方とは言えないなぁ。

 しかもこれ、あとで情報とるために再生させる予定は一応あるけど……完全に治るかしら?

時間経過でジジイを完全に上回ったのは、だいたい突撃する前後くらいです

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