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334/363

334話 増えちゃうものなんです

少し長いです

 悪魔が天使化という意味わかんない状態だけど、悪魔のヤバい力が増してるのははっきりわかるわ。

 悪魔用の対策してるってのに、ゾワゾワって感じがほんと強い。


「さて、とりあえず実力見せるべきか」

「うわっ、すっごい上から目線」


 なんかドヤった顔しながらそんなこと言ってきたけど、これは強くなったので有頂天になってるとかかしら?


「ずいぶんと余裕な顔してるようだが、いつまで続くかな!」


 え? わたし、そんな余裕な顔してたかな?

 なんて思ってたら、悪魔男が両手に魔力か悪魔の力を集めて、そのまま「うぉぉぉぉぉぉぉ」とかって気合い入れ出したけど、これはアレかな? 剣を召喚するとかっていうのかな?


「これがぁ! 天使の剣だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 そう叫びながら両手をあげると、そこにニョキッと剣が2本現れたわ。

 見た目は白と黒の両刃な騎士剣で、物質として存在してるみたいね。となると、魔力とかを集めて凝縮した特殊な剣ではなく、術装みたいにどこかに宿ったり保管している剣を呼び出したって事か。


「いくぞ!」

「来なくていいです」


 嫌悪感も出てるのでついそんな返事をしちゃったけど、そんなのお構いなしに切りつけてきたわ。

 でもだいじょーぶ。わたしの展開した結界ならばその程度の攻撃は


「ほう? 思った以上にやるようだな」

「なんでそこまで上から目線なんですかね?」


 切りつけてきたけどバチーンって感じに見事に防いだわ。

 結界が揺らぐとかヒビが入るなどは一切なく完璧に防げたので、悪魔の力はヤバいけど戦闘面に関しては脅威じゃないかな? ……このままの強さだった場合はだけど。


「だが! 天使の力を舐めすぎてるようだな!」

「舐めるって、まーたそんなドヤリ顔になって」

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「しかも叫んでうるさいです」


 どうやら力の限界ではなかったようで、どんどん素早く、そして威力のある攻撃となって何度も切りつけてきたけど、それよりも嫌って感情が強くてつい余計なこと口走っちゃうわ。

 わたし、そんなツッコミキャラじゃないんだけどなぁ。


 って、これはちょっと


「やばいかも」

「なんか揺らぎだしたよ!?」

「だね。いやぁこれはこれは、まさか攻撃力がここまで上がってくるとは」


 1分も経たないくらいに、攻撃を受けている結界が少しグワングワンしてきて、このままだといずれヒビが入って割れちゃうなってのが分かるわ。メイが驚くのも当然です。


「う~む、これはもう傭兵帝国の人が居るからとか関係なく、全力で行くしかないかな」

「確かにすっごい強そうだよね。あと気持ちが悪い!」

「悪魔相手はどうしてもねぇ。戦うとなるとこの対悪魔3点セットの外で戦うだからもっとヤバいし」


 普通の人と違い、わたし達半精霊だと悪魔による汚染がかなーり強く出るのもあるのでかなりヤバいわけで。


「メイは戦えそう?」

「うー……正直言って厳しい。力封印状態なのもあるんだけど、気持ち悪さがとてつもなくやばい感じなんだよ」

「だよねぇ。となると、わたし一人で行くしかやっぱないね」

「え!? でもおねーちゃんだって気持ち悪いんじゃ?」

「そりゃねぇ。悪魔の汚染ってはわたし達にとって毒だから、それなりに気持ち悪いんだよね。でも」

「でも?」

「毒ってことは、免疫が付けば耐えられるのです!」


 ドヤァ!

 あ、メイがちょっとキョトンとしてるわ。でもわたし間違ったこと言ってないんだよ?


「えっとね、わたしって以前もっとヤバい悪魔と戦って、かなーり汚染されたことあるの」

「もっとって、え? 汚染って、ちょっと?」

「あの時はほんとヤバかったなぁ……。で、その汚染を受けたときに、うまいこと免疫ができてね。完全耐性って程じゃないんだけど、結構耐えられるようになったんだ!」


 またまたドヤァ!

 本当は完全耐性が良いんだけど、なかなか鍛えることは出来ないからまだまだなんだよねぇ。悪魔との戦闘を重ねていけば、いずれ完全耐性になるくらい免疫が強くなる気はするけど。


「ごめん、おねーちゃんの言ってる意味、ちょっとわかんない」

「え!?」

「そもそも特殊な力に対する耐性って、そんな簡単にできないよ……」

「うそん!?」


 メイが少し呆れながら見てきたけど、そうなの?

 いやまて、たしか免疫や耐性うんぬんの事をお母様に伝えたら、そのお母様まで少し苦笑いしてた記憶がちょっとあるわ。

 もしかして対悪魔の免疫、普通の風邪の予防みたいにサクッとできないものなの?





「ま、まぁそういうわけなので、わたしは大丈夫なんだ」

「ちょっと腑に落ちないんだけどー」

「まぁまぁ」


 メイが少しぶーたれたけど、それはそれで。


「このような状況で、ずいぶんと余裕だなぁ!」

「あー、まぁね」


 悪魔男がニヤケながらそんなこと言ってきたけど、そもそも違うんだよねぇ。

 真面目に戦うってのは確かにあるけど、決死の覚悟で戦うとか、余裕がない状態で四苦八苦だと余計な隙が出てきちゃうもの。

 なので、心に余裕を持って戦いましょー。特にわたしの場合、いつも通りのちょっとポワポワした感じの方が良い結果になるのです。


「とゆーわけで、ちょっとがんばりましょー」

「でもおねーちゃん」

「おっとメイさんさ、わたしが弱いのを気にしてるようね?」

「だって今のアイツ、封印状態のあたしよりも強くなってるんだよ!」

「うげ、そんなにか……。ちょっとそれは予想外」


 わたしのぱっと見の分析力よりもメイの分析力のが高いけど、そのメイがそんなこと言うとはね。

 たしかに今のわたしって天衣が使えない状態だから、メイとしては力の差が有りすぎて無理でしょってちょっと思っちゃったわけだね。


「まぁだいじょーぶだいじょーぶ」

「おねーちゃん!?」


 メイに手を振りながら、さくっと残存するヒトガタを全て操作。

 さてと


「それじゃ反撃開始ってやつかな~」

「なにを……ぬぅ!?」

「あら残念」


 攻撃する前に気付かれたようで、悪魔男が一瞬で防御態勢になったわ。

 切り付け終わった瞬間に、ヒトガタを全て周囲に出現させ、そのまま魔力や精霊力を纏ってドッカーンと体当たりさせたのに、剣を盾にする形で防御されちゃったわ。

 しかもドドドって連続して体当たりさせたのに防御しきるとか、これはほんとーに今のメイの状態よりも強そうね。


 そんな事を考えつつも、結界から少し離せたのでトコトコ歩いて結界の外に。

 うわっ、結界の外だと嫌な感じがさらにゾワゾワっと来たわ。予想はしていたけど、だいぶ嫌な感じです。


「ずいぶんと卑怯な手を使うのだな」

「卑怯、ねぇ」


 睨みながらそんなこと言われたけど、戦闘で卑怯もなにもって思っちゃうけど、まぁ言わないでおこう。


「だが、こうしてワタシの前に出てきたという事は、覚悟ができたようだな!」

「覚悟ねぇ。そんな大層な物でもないんだけど」


 話しながら術札をサクッと取り出し、術式を書いてっと。


「別に怯えていたとかじゃないんだけどねぇ」

「ほう? だがバリアを張って隠れていたようなものじゃぁないか!」

「そこが違うんだよなぁ。単純に気持ち悪いので、さっさと帰ってくれないかなって思っていただけなんだよね」


 気持ち悪いのはほんと勘弁なのです。特にメイは悪魔の力に対する免疫無いから、わたしよりもすっごく気持ち悪くなっちゃってたしね。


「まぁ帰ってくれる様子無いので、追い払うことにしました!」

「追い払う? ははっ、このワタシを、弱い獣風情のキミがか!」

「そういうことよ~」


 思いっきり笑われてるけど、どうでもいいです。

 だって


「わたしの方が強いもの。術式展開、顕現せよ、魔晶精霊衣!」


 術札を掲げてサクッと起動!

 いつも使っている魔衣や精霊衣同様、光に包まれて衣装が変化。

 でもいつもとちょっと違うのは、魔力と精霊力の両方でできた光。そう、これは対悪魔用にお母様から教えてもらった、魔衣と精霊衣の合体みたいな新しい衣なのです! なので両方の力をまとっちゃうのです!


「っと、こんなところだね」


 術式起動後、あっという間に顕現完了。権限に時間がかかるとかはダメダメだものね。


「な、なんだそれ」

「ん? 見たままですけど」


 少し驚いてるようだけど、特に気にしないで少し体を確認っと。

 うん、さっきまではアルネイアにいたのでドレス姿だったけど、うちで着ている巫女の姿になってるね。

 そう、この魔晶精霊衣は何故か巫女服限定なのだ! たぶんお母様の趣味が入ってるんだろうなぁ、とは思ってるけど。

 だって巫女服だけでなく、わたしの身長くらいある着物をマントのようにはおり、なおかつ衣装のところどころに魔石と精霊石が混じった状態の鈴が付与されてるもの。可愛いけど結構派手というか強そうな感じ?


「お、おねーちゃん!」

「なぁに~?」

「姿よりもしっぽ、しっぽが!」

「しっぽが~?」

「9本になってるんだよ!?」

「なってるね~」


 メイが驚いて大声出してるけど、そう、この状態だと尻尾が9本になっちゃうのだ! 5本だったのに一気に4本も増えちゃいました!


「えっとね、この4本は魔力と精霊力でできた尻尾なんだ」

「それって」

「うん、今の状態だと魔力と精霊力高すぎて、余剰分が尻尾としてニョキッと顕現しちゃうんだ」

「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 おっと、さらにメイが驚いてるわ。

 でもまぁなっとく。


「わたしってね、ちょっと器用すぎるのよ」

「器用なのは知ってるけど」

「そのせいでね、魔衣の時は魔石だけを、精霊の時は精霊石だけを使う状態にいつの間にやらなっちゃってたんだ」

「え? おねーちゃん、それって」

「そう、どんな戦闘時でも無意識に自己鍛錬して、実際の力の半分くらいしか出せない状態になっていたのだ!」


 ドヤァ! いや、ドヤれないなこれは。

 うん、メイも少し呆れたような顔になってる。まぁそりゃそうだよね。


 魔衣も精霊衣も、本来どっちかの力だけを使うって物じゃ無い。どちらかの力が上がりやすいとかそんなようなもの。

 だけど、精霊神衣を使ったあたりからかな? わたしはどちらか一方しか使わず、使っていない方は力を抑え込むって感じに自己鍛錬みたいなことをしていたわけで。

 わたしも無意識にやっていたから自覚がなかったけど、こればかりはさすがにお母様も分からなかったようで、少し驚いてたなぁ。


「でもこの魔晶精霊衣はちゃーんと両方使う状態なので、これが本来のわたしの力って感じになるかな」

「本来の力だと尻尾が増えるって……おねーちゃん、もしかして」

「どうかした~?」

「な、なんでもないよ!」


 メイが少しワタワタしたけど、何なんだろ?

 まぁ悪い感情とかでなく、むしろ好ましい感情からのようだから大丈夫っぽいけど。


「とゆーわけで、戦い、はじめよっか」


 悪魔男を見てにっこりと。

 なんかこのタイミングだと悪魔の笑いっぽいけど、わたしは悪魔じゃないよ!

尻尾が9本でモフモフアップ!

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