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333話 厄介な敵の登場はちょっと嫌です

 わたしはヒトガタを4体、メイはオーブを4個展開し、いつでも攻撃できますよーって状態にする。


「やってきたら」

「容赦なく最初からドゴーンと最大火力で攻撃して倒すんだね!」

「うん。倒せなくても、どの程度の強さかの判断基準にもなるから無駄じゃないしね」


 普通の敵が来るでなく、何とも嫌な感じがするのだからね。しかもわたしのヒトガタを倒してるので少し慎重に。

 いっそのこと月華と精霊神衣を顕現させて、超火力でドカーンしちゃおうかなぁ。やり過ぎ感がすっごい出る気はするけど。


 そんな事も考えてたら、ついにやってきたわね。

 気配が強くなり、わたしとメイがじーっと見ていた場所が魔力か何かの影響で、モワモワっと歪みだしてきたわ。


 なので!


「今だよ!」

「わかったよおねーちゃん!」


 ヒトガタとオーブをそれぞれ移動させ、そのモヤモヤから人が出てくる直前に


「全力で」

「いっちゃうよ!」


 ヒトガタとオーブからいろんな属性の乗った魔力の球をドカドカドカーっと連射! 見えてから攻撃とかしません、おもいっきり先行攻撃しちゃいます!

 だけどうまくいかないものね……。


「ちょっとぉ、なんなのよあれ!」

「防御される可能性はあったけど、まさか骸骨とはね……」


 そう、ドガドカドカーって攻撃したまでは良かったけど、着弾前に同じような魔力の球とかをドバドバ―って撃ち返してきいたせいで、残念ながら対消滅されてしまったわ。

 しかも気味悪い感じの骸骨が宙に10個浮かんで、その骸骨がこっちと同じような攻撃をしてくるんだもの。

 それにしてもこの感じ……そういう事か。





 そんな対消滅合戦をしていたら、カツカツって足音立てながらゆっくりと向かってきたわ。ずいぶんと大物っぷりな入場。


「警告も無しにいきなり攻撃とか、ずいぶん野蛮だな」


 そう少しイラっとした感じに文句を言いながらも平然と来ましたね。まぁ警告なしにいきなり攻撃とか確かにそういう反応にもなるけど、それでも攻撃した方が良いってわたしとメイは察したからね。

 とゆーかこいつ


「お前、いつぞやの時にミツキを狙っていた糞男か」

「糞男、だと? ワタシの名はディアムだ! そういうオマエは、ワタシのミツキをたぶらかしている獣風情ではないか!」

「たぶらかしてるって、またわけわかんないことを」


 完全に自分の世界に入ってますね、この糞男。


「どーいうことなの?」

「あー、えっと、簡単に言うと、ミツキたちが召喚される前の世界で同じクラスにいた男で、ミツキを狙っていた糞野郎だよ」

「つまり敵だね!」

「完全にね」


 メイに軽く説明して再度思ったけど、ほんとーに敵だわ。名前は憶えていないけど、ともかく大っ嫌いってのはバッチリはっきり覚えてる。

 しかも以前とは違い悪魔の力が相当増しているとか、敵以外の言葉が出てきません。


「まぁいい。本来は戦況の確認をするだけだったが、幸運なことにワタシの敵を倒すことができるのだからなぁ!!!」

「戦況の確認って、この騒動まで悪魔絡みかいな」


 つまり、あの世界の奴らが勝手に攻めてきたではなく、こっち側にいる悪魔どもと協力して侵略しようとしてたって事になるわけで。

 これは厄介な敵が一緒になったので倒しやすいと考えるべきか、より面倒になったと考えるべきか。

 まぁどちらにせよ倒すんだけど!


「とりあえず、魔力をもっと盛った状態で攻撃するよ」

「りょうかいだよ!」


 ヒトガタとオーブがむんって感じにちょっと魔力を帯びたら、そこからさらなる魔力弾の連射連射。


「その程度でワタシを倒せるなどと思わない事だな!!!」


 そう糞男が叫んだあたりから、より激しい撃ち合いが始まったけど……ちょっとマズいわね。

 糞男の悪魔化が相当なのか、骸骨の性能がちょっと高すぎるわ。ヒトガタとオーブは攻撃方法や狙っている場所を悟らせないよう四方八方に飛び回って魔力弾をドカドカドカーって撃ってるのに、一切のズレが無く見事に合わせて来てる。

 しかも火力まで向こうの方が上なのか、ちょっと相殺しきれなかった残りが周囲に飛び散りだしてもいる。


「意味わかんないんだけど!」

「はっはっは! そっちの獣風情は相当焦っているようだな!」

「むっかー!」

「ちょっとメイ、落ち着いて?」

「だって!」

「この火力は悪魔化の影響だよ。厄介なことに、悪魔化すると各種性能が思いっきり上がるの。しかもわたしたち半精霊への特効持ちでね」


 メイが少しワタワタしたので軽く教えたけど、なるほど、どうやら悪魔と戦うのは初めてなわけね。

 悪魔相手の場合、余裕そうな相手でも何故か苦戦とかなっちゃうから、経験していないとどうしてもそうなっちゃうね。


 とはいえ、この糞男がここまで強いとは思ってもみなかったわ。

 だって今回、わたしも成長しているのでヒトガタもかなーり強くなっているのと同等以上のメイだって居るので、多少強い悪魔程度なら余裕で倒せるはずだったもの。

 だけど実際は拮抗状態、しかも以前楽々に倒せた糞男が拮抗状態ですとか、想定外過ぎだわ。





 う~む、このままだと撃ち合い合戦が延々と続きそうだし、しょうがない。


「メイ、術装を使うよ」

「え!? だっておねーちゃん、術装は」

「うん、ほんとは使いたくなかったんだけどね」


 メイが驚いちゃったけど、確かにそうなんだよなぁ。

 ここに来る前にいろいろ作戦とかを決めてきたけど、術装はよっぽどでない限りは使わないって決めてきた。

 その理由は単純で、傭兵帝国側に術装を見られたくないから。

 術装の顕現を見たらどういう下心だしてくるか分からないし、類似した装備を作り出すヒントになったりしたら嫌だものね。


「残念だけど、ヒトガタとオーブじゃどうしようもないからね」

「むー、あたしも封印状態のせいで、これ以上魔力や精霊力を上げられない状態だし、しょうがないのかー」

「しょうがない状態なんだよねぇ……」


 ほんと、しょうがないのです。

 わたしも天衣が顕現できる状態ならごり押せたんだけど、まだ使えない状態だからなぁ。残念です。


「何か策を練っているようだが、ワタシがそれをさせると思うか!」

「じゃぁ邪魔される前にやるだけよ!」

「甘いな!」


 うげ!?

 なんかギンッて感じに睨んできたのと同時くらいに、すっごい嫌な感じがゾワゾワってきたわ。


「ワタシが得た力があれば、オマエらのような獣風情など敵にはならない事を証明してやる!」


 そう叫ぶと、糞男の体がぶわーって光り、悪魔のやっばい力がもわーってあふれてきたわ。

 これは何かを顕現させる気かしら? だったらそれをつぶして


「な、なにこれ……」

「メイ!?」


 メイがガクッて地面に手をつき、使役していたオーブも制御できずにパリーンって全部割れてしまったわ。

 これはもしかして、悪魔の力に負けだしてるってこと!?


「すっごい気持ちわるいぃ」

「はっはっは! ざまぁないな獣風情!」


 そんなメイを嘲笑うように糞男がニヤニヤしながらもどんどんモワモワ―って出してきて、うん、これは対処しないとまずいわ。

 術札を3枚取り出して


「術式展開! 破邪の結界、退魔の社、治癒の泉の対悪魔用3点セット!」


 シュパパッとわたしとメイを包むように術式を発動。破邪の結界で防御をし、退魔の社で悪魔の力を押しのけ、治癒の泉で回復という、悪魔の汚染に対する作戦よー。

 とゆーかあれね、ちょっと想定外だったけど、どうやら対悪魔戦を経験していないメイにとって、この悪魔の力はかなーりヤバいって事だね。わたしも結構気持ち悪くなるけど、まだ耐えられるわ。


 さてさて、防御してるだけじゃだめだし、さらにヒトガタを増やして


「残念だったな!」


 そう糞男が叫ぶと、なぜか吐き出していたモワモワも含めて一瞬悪魔の力が消え、さらに急にピカ―って光って……はい?


「これがワタシの手に入れし力、天使化だぁぁぁ!!!」


 えーっと、ピカーっ光ったときに周囲を粒子化する光線でも出したのか、周りの建物とかも無くなりがらーんとして、何とも戦いやすい空間になりましたね?

 じゃなくって!


「は、はねぇ!?」

「鳥人になったよおねーちゃん!?」


 そう、奴の背中には巨大な銀色の翼が生え、着けていた衣装も白色でなんかの聖騎士っぽいのに変わって、意味がわかりません!

 とゆーか悪魔が天使ってどういう事なんですか!?

ディアムの職業は召喚勇者から悪魔化して天使化という変わりっぷり

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