332話 お仕事はあっさり終わりますよー
少し長いです
さてさてこんがりと焼いている間に、メイと駄物の方を確認しておきましょう。
危険な状態とかにはなっていないとは思うけど。
まずはメイの方を……あらまぁ。
「ほんとーに雑魚だね!」
「だ、だずげ」
「おっと喋る気力があるってことは、まだまだいけるね!」
「の、のぉぉぉぉぉ!?!?!?」
メイが合計4個の水晶、あれがエレメントオーブっていうのかな? それを展開して攻撃してるけど……結構えぐいわね。
えぐるように度かドカドカってオーブが体当たりして敵を空中に浮かせたと思ったら、こんどは魔力でできた弾をババババって撃って更に打ち上げ、最後にオーブが敵のさらに上空に移動して巨大な魔力のハンマーみたいなのを形成してバチーンと叩き落してるわ。
死なない程度には抑えてるようだけど、少しでも反応したらまた攻撃バンバンって状態で、かなーり徹底してるわ。
まぁ敵相手なので容赦しないのは当然なので、わたしも決して止めないけどね!
「ざーこざーこ!」
うん、圧倒し過ぎて完全に挑発状態だわ。笑いながら攻撃しちゃってるもの。
まぁ力の差が有りすぎるし、わたしでもそうなっちゃうだろうなぁ。えぐい攻撃もしちゃうかもしれないね。
メイの方は大丈夫、次は駄物の方だけど……ほー。
「その程度の魔法、オレに効くかよ!」
「くっ、このモンスターが! いいかげん沈みなさいよ!」
そう言って魔法使いが炎の矢みたいなのをドババーって撃ってるけど、駄物が『ふんっ!』って声を出しながら、どんどん殴って撃ち落としてるわ。
予想はしていたけどガーディアンと違い、あの魔法使いとの戦闘は駄物でも楽々行けるみたいね。
それと少し見ていた感じ、駄物のあの装備はガーディアンの持つ機械特攻が効く範囲の装備で、魔法使いが持つ魔物特効の影響を受けてないって事になるね。
ふ~む、ちょっと気になってきたわね。
見た感じは魔道具の一種みたいなのに機械装備、どういう構造になってるのかしら?
バラバラに分解して解析したいな~、同じもの作ってみたいな~。どうにかして奪えないかな?
「どうした、この程度か?」
「このモンスターめぇ、なんでここまで強いのよ!」
「ならば、オレの反撃開始だな!」
「く、くるなぁぁぁぁ!?!?!?」
「諦めろ! オレは女であろうと敵は容赦しない!」
駄物がダンッて床を蹴って突撃し、魔法使いに急接近したらそのままガシッと掴む。あれだともう女の体に抱き着いた変態ですね!
そんなセクハラ攻撃だけど、そのまま力を込めてギシギシと魔法使いを圧迫して……って、セクハラ継続かい!
そのまま投げ飛ばすとかでなく鯖折りっぽいの継続とか、いやらしいねぇ。
さてと、二人の方も大丈夫なのでこっち……はこのままで良いか。
こんがり焼けたようで、結構焦げ焦げな状態でぶっ倒れてるわ。白目向いて泡も拭いてるところを見ると、完全に精神が焼かれたな。
ここから反撃とかはなさそうだけど念のためヒトガタを待機させ、わたしはこの先のお仕事をしましょう。
この先のお仕事、それはガーディアンを止めること。
展開していたヒトガタのおかげでこの敷地内の構造は大体把握でき、ガーディアンの制御装置がある部屋も把握できた。
ただなぁ、ここまで侵入されることを想定していなかったのか、ここから少し奥の部屋に防犯装置もなく配置されてる状態なのがなんともね。楽々行けるから良いんだけど、ダメダメな戦術ですね。
まぁいいや。
ポーチから魔道具修復に使う特殊布を取り出し、手に持っていた獄炎の斬鎌をその布でくるくるっと巻いてっと。
ちゃんとした修復は帰ってからするけど、わたしが使った分の損傷も多少はあるから応急処置です。応急処置しなくても大丈夫だろうけど、念のためやっておきたいのです。
それにしてもわたし、なんか前世の感情とか空耳とでもいうか、おじいさんとのやり取りをけっこう思い浮かんでたとか、ちょっと変な感じだったわ。
多重人格とか前世の魂が別にあるとかじゃないのに、何とも変なのだなぁ。
変な症状とかが出たら嫌だし、このことは帰ったらお母様に相談してみよーっと。
っと、これでよしっと。
う~ん、ぐるぐる巻きになったせいで、白い大きな鎌っぽいおもちゃみたいになっちゃったね。この状態でも攻撃はできたりするけど。
そんな獄炎の斬鎌はポーチの中にしまってと。使わない武器を持ち歩くのはちょっと違うもんね。
さてさて、それじゃ制御装置の場所に行きましょう。
まずはヒトガタを使い、わたしに近寄ってきそうなガーディアンはどんどん倒してっと。無駄な戦闘は避けちゃいます。
1分くらいかな? ある程度倒したのでトコトコと。
う~む、周囲の部屋とかを見える範囲で確認してるけど、特におもしろそうなものは無いわね。破壊されたガーディアンと壊れた屋敷の設備ばかりだもの。
たしかに機械科学はこっちの方が進んでるようだけど、それがわたしにとって興味ある物かというとそうでもないからなぁ。魔道具でも同じの作れるよね? って物ばかりだからなおさら興味沸かないわ。
そんな状態で歩くこと数分、制御装置のある部屋にとうちゃーく。
部屋に中央にはドーンとでっかい水晶みたいな球体が台座に乗って配置されている。機械っぽくないけど、これがガーディアンの制御装置。まぁ機械の塊よりかは見た目綺麗でいいけど。
ではではサクッと停止とかしましょう。
球体に近寄り、ポンと手を乗せてっと。うん、わたしがガーディアンに対する権限とかがちゃんとあるので、目の前に指示とかを出す巨大な画面が現れたわ。
しっかしこの制御装置でも禁止等が無く簡単に扱えるとか、わたしに付与されている権限ってどこまですごいものなのかな? 前世の記憶だともっと小さな簡易画面だけだったのに、今出ているのは詳細どころか機密情報も出ているトンデモナイ状態のだよ。
まぁいいや、ともかくガーディアンへの指示画面を表示し、攻撃とかなっているのをいったんすべて待機に変更っと。
うん、変更したとたん、今まで周囲で鳴っていた戦闘音が小さくなり、どんどん消えて言ってるわ。情報伝達能力とか速すぎですね。
おっと、そんな関心は置いといて、次はガーディアンを自壊させるように命令してっと。少しでも動ける機体は全部自壊よー。
よしよし、今度はドロドロっていう金属が解けるような音がしだしたわ。これでもう戦闘は完全に終了ですね。
本当は破壊されたガーディアンの部品とかも消してしまいたいのだけど、さすがにそこまではできないわね。ガーディアンの情報は徹底的に消したかったけど、残念です。
さてと、画面上に残機無しの表示が出たので、これにて作戦終了っと。
制御画面を終了させ、今度は制御装置を台座からヒョイっと取り外し、そのままポーチに収納っと。戦利品だからね、ちゃんと持ち帰るのです。
ほかに何かめぼしい物は~……無いね。ぐるーっと部屋を見渡したけど、別世界の物とか珍しい物とかは一切ないわ。ぽこじゃが置いてあったらそれはそれで問題だけど、全くないのは残念です。
ではでは帰りましょー。来た通路をテクテク戻ってと。
おーおーガーディアンが自壊したからか、至る所に流体金属の水溜まりができちゃってるね。これが毒性のある金属だったら、最後に広域汚染しちゃうぜーとかなってたな。
念のためヒトガタを使い毒性とかを確認してっと……うん、大丈夫だね。幸運なことに残ったのは毒性のない特殊な流体金属。しかも成分を見た限り、1時間もすれば完全に消えてしまう物だね。まぁガーディアンの証拠を隠滅するために使用してそうだけど。
そんな確認をしながら戻りっと。
「戻りましたよーっと」
「あっ、かえってきた!」
戻ると、メイがブンブンって手を大きく振って、その足元には……すごいコブだらけの人っぽい塊が落ちてるわね。
「それ、生きてるの?」
「生きてるよ! 死んだけどすぐに生き返らせたから!」
「おいおい……」
完全におもちゃ扱いしてましたね? まぁわたしも勢い余ってやっちゃいそうだけど。
「それで駄物の方……は?」
「あー、やっぱおねーちゃんもそうなるよねぇ。すっごい呆れ顔になったよ」
「だって、その、はい?」
メイが苦笑いしてるけど、そう、目線の先には駄物と魔法使いが居るわけだけど、どういうわけか駄物に寄り添う感じになっていて、駄物も女の肩に手をまわしているという、お前ら何やってるの状態。いやほんとーに何やってるの?
「なっ、別に良いだろ!」
「ま、まぁ、個人の恋愛事は自由だとは思うけど、ねぇ……」
「おかしいよね!」
「かなーりおかしいね」
「う、うるさいな!」
なんですか? 命のやり取りをしたら友情が芽生えるみたいに、愛情も芽生えたんですか?
まったく、こっちは苦労して……はいないけど、仕事をきっちりしてきたってのに、ふざけた奴です。
「はぁ、とりえずわたしが倒した黒焦げ男も含めた3匹は連れて帰るとして、まずは傭兵帝国の」
殿下というやつに少し話をって思ったら、なんか急にゾワゾワって寒気が!
「なんかヤバい感じだよ!」
「メイも感じた? となると……えっ!?」
「おねーちゃん?」
「ちょっと嘘でしょ……」
こんな状況、マジですか……。
「展開していたヒトガタのうち、3体が一瞬で倒されたわ……」
「あのヒトガタを!?」
「うん。どうやらガーディアンだけじゃすまなそうね……」
そりゃ全開状態のヒトガタじゃないけど、それでも結構強い状態なのに3体を一瞬で倒すとか、ヤバいな。
ゾワゾワってなったのは、おそらくヒトガタを倒すために何らかの力を発揮し、その余波がこっちまで飛んできたって事か。
「ちょーっと真面目にならないとだめかもしれないわ」
「無視して帰っちゃうとかは?」
「たぶん無理。わたしのヒトガタを倒したって事は、明確にこっちを倒しに来てるって事だから、追いかけてきそうだわ」
ガーディアンを停止させた後、展開中のヒトガタは光学迷彩などを使って隠れる状態にし、周囲をふよふよ漂うように移動しながら残存の敵が居ないか確認していた。
そんなヒトガタを見つけるなり倒すとか、完全に敵だよね。
「それに、ここに居る他の奴を置いていくのはまた問題なのがね」
「めんどいね!」
「本当にねぇ。まぁしょうがない、わたしとメイで迎え撃つよー」
「待て! オレも」
「駄物はまぁ、その、他の人守るようにしてなさい」
駄物も参加しようと声をあげたけど即却下。
だってヒトガタ倒せる相手だよ? 今の駄物だと邪魔にしか絶対にならないわ。
「そーだよそーだよ。あたしとおねーちゃんがいちゃつくんだから、お前はおとなしくしてればいいんだよ!」
「いやいやメイさんや、それをバシッというのは」
「でも事実だしー?」
「まぁ、うん、そうなるねぇ」
うん、ゾワゾワが気になるけど、それはそれです。ちょ-っと真面目にはなるけど、イチャイチャは別なのです。
基本はやっぱりいちゃつきたい狐姉妹




