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331話 この鎌は良い物です

少し長いです

 さてさて見た感じ3匹とも勇者だし、厄介な特攻もあるだろうなぁ。

 となると~


「メイはあの侍っぽい男を、駄物はあの魔法使いっぽい女の相手かな」

「あのゴミの相手だね!」

「おいおい、何なら3人ともオレが相手をしても」

「うっさいだまれ! おねーちゃんの指示に刃向かうな!」

「なっ!?」


 あらあらまぁまぁ、メイがちょーっとキレましたね。

 ここまで来るまでもずーっと邪魔だったし、さすがにもういい加減にしろって感情が爆発したわけだねぇ。その気持ち、すっごいわかるわ。


「えーっと、とりあえず駄物は従いなさい、メイもおちつこーね? 3匹まとめて相手をするとか、万が一の危ない場面もあるかもだし」

「しょうがないなー」

「ったく、面倒な奴だ」


 ……うん、不安だけどちゃーんと言ったので大丈夫でしょう? 大丈夫にしてください。





 それじゃ担当が決まったところで、さくっと……あっ、そうだそうだ。

 周囲に展開しているヒトガタのうち、8体に指示を出してここら一帯を取り囲むようにしてっと。


「なにしてるのー?」

「えとね、安全策をとろうかなって」

「安全策?」

「うん。実際に見た方が早いかな」


 そう言った後、パチンと指を鳴らして囲んだヒトガタに術式を発動するように指示を出してっと。

 うん、指示を出した直後に空間全体が一瞬光り、想定通りの術が発動したわ。さすがわたし、完璧!


「なになに、これ!?」

「これはね、厄介な勇者ども専用に作った術式なの」

「厄介なの?」

「厄介なんだよ~。実はガーディアンの特攻能力って、勇者がもっている特攻能力を付与したものなの」

「只人以外に強くなるとかのだっけ? たしかそれって転生者限定の特殊能力とかなんとかって聞いたよ!」

「うん。その能力をね、さくっと封じちゃったの!」

「え? 封じるって、そんな事できるの!?」

「できちゃいました!」


 えっへん!

 本当はガーディアンの方も封じたいんだけど、自己修復機能が強いのか無理っぽいんだよねぇ。

 逆に勇者はそんな修復能力なんて無いので、さくっと封じることができちゃうのだ。効果の方も、以前捕まえた勇者のおかげでバッチリと確認できてたしね!


「なので~、装備しているガーディアンの防具とかには要注意だけど、おそらくそっちは機械特攻になっているだろうから、たぶん大丈夫かな」

「ほへー」

「これなら負けることまず無いから大丈夫だと思うんだけど」

「たしかに! それにしてもおねーちゃんって、こんな事までできちゃうのかぁ」


 おっと、メイが尊敬っぽい眼差しをしてきましたね。ちょっと照れちゃうわ。

 しっかしこの勇者ども、わたしがこんな事してるのに全然襲ってこないとか、お間抜けすぎですね。まぁさっきふっとばした勇者の傍に駆けよって回復してるようだけど、わたしなら回復と同時に牽制するなぁ。回復中って無防備になりやすいしね。


 まぁいいや


「それじゃいっくよー」


 2体のヒトガタを指揮し、固まってる3匹をばらけさせるように衝撃波をあててっと。


「ぬぉ!?」

「むぐぅ!?」

「うきゃぁ!?」


 ……緊張感ない感じの声をあげながら耐えることも出来ずに吹っ飛んだな。

 コイツら、本当に戦闘とかを経験してきた勇者なのかしら? 今回初参加の初心者じゃないの? って考えちゃうくらい、何ともダメダメだわ。

 とはいえそのおかげか簡単に分断できたので、わたし達はそれぞれにあたってっと。


「くっ、どうやらオマエは魔術師という事か!」

「魔術師って、いやそんなの聞かれましても?」


 2体のヒトガタを戻してから少し近づいていったらそんなこと言われたけど、だから何なんですかね?


「ならばプランを変える! 覚醒せよマジックキラー!」


 鎌を杖代わりにして立ち上がるなりそんなことを叫んだけど、ほほう?

 奴の体に呪文みたいな赤い文字が浮かび上がったと思ったら、その色が一瞬で青くなったわ。どうやら何かしらの能力を起動、もしくは変化させたみたいね。まぁ名前からして魔術師に対する特攻能力とかだとは思うけど。


「くらえ! マインドブレイク、インパクトォォォォォォ!!!」


 そう叫びながら今度はしゅばっと飛び上がり、そのまま鎌を振り下ろす感じに突っ込んできたけど……アホですか?

 魔力を纏った斬撃っぽいけど、遅すぎるし捻った動きでもないし、回避も余裕どころか簡単に潰せるんですけど。


 というわけで、回避せずにサクッと潰しちゃいましょう。またまた指をパチンと鳴らし、ヒトガタに攻撃の指示を出してっと。

 するとヒトガタの2体が一瞬で奴を挟むようにどうし、そのまま魔力を込めて突撃!


「ぬおぉぉぉぉぉ!?」


 うん、簡単に挟まれて潰されてるわ。一応殺さないように威力を抑えてるけど、本当に雑魚だなぁ……。

 特攻能力封じたからか、それともこいつが雑魚すぎるのか、一方的になっちゃうわ。


「ま、魔物特効とマインドキラーがあるのに、どういう事だ!?」

「え? お前って特効能力の状態、認識できないの?」

「なにを言って、ぬぐぉぉぉぉ!?」


 ちょっとポカーンとしちゃったけど、なんていうかそんな馬鹿なって思っちゃったわ。

 普通は能力って発動したら自覚症状みたいなのあると思うんだけど、そういうの無いとかどういう事なんですかね? 特攻能力は現在完全に封じてるから、普通は能力落ちたとかの判断もできるはずなのに。

 う~ん、勇者の特攻能力ってますます謎で奇怪なものに思えてきちゃったわ。これはもうコイツらを使ってじっくり調べるようにお願いした方がよさそうだわ。

 レイジが特効能力持っていればそんな事しなくてもすぐわかったとは思うけど、レイジには無いんだよねぇ。まぁ無い方が好印象なんだけど!


「まぁいいや。それじゃ最初にっと」


 ヒトガタの圧縮を止め、1体のヒトガタから魔力でできた鎖をじゃららっと出し、そのまま奴をぐるぐる巻きに。


「き、キサマァ!?」

「いちいちうっさいなぁ」


 威勢が良いというかとりあえず叫ぶだけというか、そんな印象だわ。


「これでもう動けないと思うんだけど」

「舐めるなぁ!!!」

「叫びだけはほんとーに衰えない事で。とりあえずソレ、回収するわ」

「な、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 止めろとか言ってるけど、そんなのお構いなし。もう1体のヒトガタを使い、奴ががっしり掴んでいる獄炎の斬鎌を掴み取り、強引にひったくる!

 ヒトガタの力に当然勝てる事もできないようで、メキメキとかボキボキっていうちょっと嫌な音を立てながらも回収。回収したらヒトガタがわたしの前に持ってきたので、それを受け取ってと。

 うん、前世の記憶にある通りの獄炎の斬鎌ですね。だからかな、ちょっと前世のアレやコレを思い出しちゃうなぁ。


 だけど


「お前、どんだけ酷い扱いしてたのよ。表面には傷がいっぱいだし魔石部分にはヒビも入ってるし、おまけに呪われてるじゃない」

「かえしやがれ!」

「手をバタバタさせて、そんなに取られたくなかったのかしら」


 子供がおもちゃを取り上げられたみたいに、手をバタバタさせてるわ。


「大事な物ならもっと使い方を調べなさいよ」

「キサマに何が分かる!」

「ん~、少なくともお前よりかはバッチリとかな」


 そう言いながら、獄炎の斬鎌を片手でくるくるっと回し、そのまま構えっと。

 やっぱね、恨みが晴らせるとは思っていないけど、この獄炎の斬鎌を使ってぶっ飛ばしてやりたいのよね。

 とはいえ普通に使ったら獄炎の斬鎌がわたしの魔力に侵食され、振るっただけであっけなく壊れちゃうので調整は慎重にっと。術装以外の武器が使えないのはこういう時も厄介です。


 でもなぁ、なんとなく


『坊主は儂の弟子の様なものだからのぅ。儂にしか使えない獄炎の斬鎌であろうとも、容易に使えるのではないかの』


 って、おじいさんが言ってるような気がしちゃうんだよね。

 それに


『壊れる? それは無いのぉ。以前言ったが、獄炎の斬鎌は装備者の魔力を限度無く纏える特殊な魔道具じゃ。坊主が儂以上の魔力を持ったとしても大丈夫じゃよ』


 とも言われてる気がしちゃう。

 なので、慎重にだけど思いっきりやってみましょー。


 獄炎の斬鎌に魔力を流し、魔石を活性化させてっと。

 お? 術装並みにすんなりと魔力が入っていき、その魔力が増幅された状態で鎌の全体を纏いだしたね。

 それに魔石部分はもちろん、鎌全体も歪んだり軋んだりもしない。これならいけるわ。


「な、なんなんだよそれは!?」

「あーこの状態知らないって事は、お前、獄炎の斬鎌をおじいさんと戦って手に入れたのではなく、汚い手を使って奪ったな」


 鎌を覆っていた魔力が変化し、まるで炎のように揺らめきだした状態、これが獄炎の斬鎌の戦闘形態。この魔力の炎を使って敵を倒すのです。

 そもそも獄炎の斬鎌は武器ではなく魔道具の扱い、そのまま斬撃する物じゃ無いです。


「くそっ、この拘束が無ければ」

「いいよ」

「なにを、ぬわっ!?」


 ヒトガタに指示をし、拘束を解除っと。


「さぁ、かかってきなさい」

「舐めるなよモンスターが! マジックキラー再始動だぁぁぁぁぁぁ!!!」


 さっきと同じ呪文みたいな模様が現れた後、そのまますぐに殴りかかるように突っ込んできたわ。ほんとーに策も何も無いわねぇ。

 まぁいいや、サクッと終わらせましょう。


 獄炎の斬鎌を両手で持ち、正面バンッと構えてっと。


『よいか坊主、獄炎の斬鎌が扱う魔力はその名が成す通り地獄の炎じゃ。地獄の炎ともなれば』

「肉体だけなく精神と能力をも焼き尽くす! 我が敵の力を焼き尽くせ! 獄炎の斬鎌!」


 わたしの言葉に反応し、魔石部分がギラッと光ると同時に鎌を覆っている炎がブワッと膨れ上がり、炎の波となり敵を飲み込みだす。


「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」


 飲み込まれるや否や、防御も何もできないようで思いっきり叫び出したわね。

 それもそのはず、獄炎の斬鎌の炎は地獄の炎。とんでもない激痛が体を襲うだけでなく、防御方法だけでなく我慢をどうしたらいいのって感じに精神と能力も焼くからね。相当キツイと思うなぁ。


「まっ、敵には容赦無しなので、ガンガン焼いちゃうけどね~」


 慈悲とかは一切しないのです! だってわたし、勇者じゃ無いもの!

軽い補足

 一応慎重に魔力を流してるので、獄炎の斬鎌は壊れません

 慎重でなく思いっきりだと壊れます

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