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330話 少し急いでいきますよー

 またまた予定外って感じだけど、少し急ぎ足で進んでっと。

 しっかし


「あぁ……殿下、どうかご無事であってください……」


 と、願望を兵士の女が何度も口走っているんだけど。

 そこまで気にするなら、ほんとーになんで作戦への参加、しかも先行を許可したんですかねぇ。

 先行したって事は相当強い人なんでしょ? ってわたしは考えるけど、そういうのじゃないのだとしたらほんとーに謎だわ。


「ねぇおねーちゃん」

「な~に?」

「どーしてヒトガタで倒しちゃわないの? ヒトガタで倒しちゃえば急がなくても良いでしょ?」

「あぁそれねぇ……」


 メイが不思議そうな顔してきて聞いてきたけど、確かにそう思っちゃうよね。

 ここまでヒトガタでガーディアンをばったばったと倒してきたんだもの、先の方にいるのも倒しちゃえばーって思うよね。


「えとね、今ヒトガタに倒させてるのはガーディアンに限定してるの」

「誤射防止のためー?」

「そそ。なので、ガーディアン以外を倒すのは無理なんだよ。先に居るのもガーディアンでなく、ガーディアンを装備した人だから無理なんだ」

「ガーディアンを装備?」

「うん。ゴーレムとかを武器防具に変形させて装備するのと同じね。そのせいで先に居るのはガーディアン以外として判断しちゃってるから、ヒトガタでサクッと倒すができないのよ」


 ガーディアンの装備部分だけ破壊もできるけど、今回はガーディアンを倒すってのに限定しちゃったからなぁ。

 細かい設定とか臨機応変な対応もできなくはないんだけど……。


「くだらんな」

「はい?」

「要するにお前は、敵の指定も変えることができない欠陥兵器を使っていたって事だろ? この状況下においてそのような判断をするなど、滑稽だな!」

「……お前、おねーちゃんに対してふざけた事を」

「あーメイ、ちょとおちつこーね?」


 駄物の言葉でメイがキレそうなのでなだめましょー。とりあえずなでなで。

 まぁ倒す設定をガーディアンに限定したのは理由があってからだけど、その理由言ってないからなぁ。


 倒す対象をガーディアンに限定したのはごく単純、いつも通りに敵を倒せの設定だと傭兵帝国の奴らまで倒しちゃうから。どーにもこーにも、傭兵帝国の奴らってわたしの中では敵という認識しか出ないので、敵を倒せだとガーディアンもろともぶったおすになっちゃうんだよねぇ。

 そういった理由があるわけだけど、そんな事をここで言ったら完全に傭兵帝国の奴らへの敵対心となってすっごく面倒になりそうだもの。なので反撃などせず黙っていましょー。

 まぁこれが自動殲滅でなくちゃんと操作して倒すだったらどうにでもなるんだけど、それはそれで面倒だしねぇ。ついうっかりっぽい感じに傭兵帝国の奴らも倒しちゃうって考えるのを抑えないとダメだし!





 少し急いだこともあり、あっという間に殿下とか言われてた奴の近くまで来た。

 それと同時に、ドカーンとかズバーンとかバシューンと言った戦闘音も結構ひびくようになったわ。ガッツリ戦闘しているみたいねぇ。


「殿下! 今お助けします!」

「ちょっ!? そんな急いでも」


 兵士が飛び出しそうになったので止めようとしたら、ドッゴーンっていうすっごい音が急にしたわ。いったいなに?

 音がしたのは前方なのでよーく見て……おや?


「く、くそっ、これほどとは」

「ずいぶんと粘ってくれたなぁ。だが、ここまでのようだな!」


 そう語り合ってる奴らが居たわ。

 何人かは壁に埋まってたり倒れてるのに対し、ガーディアンに類似した手足と巨大な鎌を持った奴が上から目線で居るわ。

 あれってつまり


「殿下ぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「あーやっぱそゆことですか」


 女兵士が大声出しながら飛び出したけど、なるほどあれが傭兵帝国の。

 う~ん、このまま放っておけば止め刺されて終わりなんだけど、どうしようかなぁ。助けないとダメっていう理由も


「光栄に思え! 我が〝獄炎の斬鎌〟の新たな贄となるのだからな!」


 そう叫びながら鎌を振り下ろしていったけど


「術式展開、破邪の結界」


 一瞬で間に割り込み、結界を貼って攻撃をばっちり防御っと。

 うん、体がつい動いちゃった。メイも〝えっ!?〟って顔してるわ。


「誰だお前は!」

「狐……き、金色の尻尾、だと?」

「まぁ両方ともそういう反応になるよね。とりあえず……お前、その鎌をどこで手に入れた」

「なっ、何だこの威圧感は!?」


 ちょっと睨みながら魔力をぶつけたら、結構びびってるようね。

 それとチラッと見まわすと、傭兵帝国とかの兵士が10人くらい倒れてる、死んでいるのも居るな。ガーディアンの破片も結構あるので、それなりに戦闘していたそうね。


 あとはあの世界の兵士、こいつもたぶん勇者だろうな。

 鎌を持っているのは騎士っぽい外見をしたオッサンで、その後ろには刀を持った侍っぽいオッサンと、つえを持った魔女風なオバサンが居るな。

 3人の後ろにはガーディアンを制御するための巨大な水晶がある。あれは破壊したら駄目ね。


 しっかし獄炎の斬鎌かぁ。

 う~ん……なんだろ、イライラがちょっと出てきて


「さっさと答えろ!」


 そう叫ぶと同時に結界の状態を変化させ、思いっきりぶっ飛ばしちゃったわ。


「ぐふっ、なんて馬力だ。コイツ、ただのガキではないな!?」

「そんなことはいい! どこで手に入れた!」

「くっ、この距離でも圧を感じるとは……まさかお前、深緑の森鬼の生き残りか!?」

「ここで深緑の森鬼が出てくるか……はぁ、やっぱそういう事かぁ……」


 イライラがすごかったけど、深緑の森鬼という一言で、なんかもう、すごく悲しくなってきたわ。

 はぁ……、わたしが思ってたより前世って忘れていない、そして切れないものね。





 前世のあの世界で仲間だった人、お世話になった人、守るべき人は結構いた。深緑の森鬼という鬼の一族も仲間にいたし、教わる事も結構あった。

 その鬼族の中で、獄炎の斬鎌という鎌型の魔道具を使うおじいさんが居た。

 おじいさんは武力だけでなく知力も秀でていたこともあり、あの世界に召喚された私の師匠みたいな存在だったなぁ。お世話にもすごくなっていたし、戦場で獄炎の斬鎌をふるって敵を倒している光景もよく見ていたな。


 だけど今、おじいさんが持っていた獄炎の斬鎌を勇者が持ち、深緑の森鬼という単語まで出てきたてことは、つまりそういう事なんだよなぁ。

 しかも獄炎の斬鎌を血塗られた兵器のように使うとか、こいつはどうにも許せなくなってくる。獄炎の斬鎌という名前はすごいけど、そんな武器じゃない。

 そしてそういう認識が出てきたら、再度イライラの感情がブワッと出てきて……あーっもう! すっごい不安定!

 これは前世の私の感情が主なので、今世のわたしには関係ないって言っても良いはずなのに、どうやらそうはならないみたいでちょっと厄介なんですが!


「ちょっとおねーちゃん! いきなり飛び出さないでよ!」


 メイがしゅたっと傍に飛んできたわ。

 そのおかげかな? なんか一気に普段通りの感情になったわ。


「あー、うん、ごめん」

「でもなんだろ? さっきのおねーちゃん、なんか違う感じがすごかったよ!」

「うげぇ、まじかぁ……」


 おっと? 飛んでくるなりそんなことを言い出してきたけど、たしかにそうだねぇ。昔からあるちょっと冷酷っぽい感情が出ている状態と似た状態にもなっちゃってたわ。

 いかんなぁ、その状態にはならないよーにってお母様に何度も言われてるのに。気をつけていても想定外のとこで出ちゃうとか、困っちゃいます。


「それで、敵は3匹って事なんだね!」

「そうなるね。ただ聞きたいことがあるから、殺しちゃダメかな」

「それは大変なんだよ!」

「ほんとにね~」


 見た感じ、あの世界の勇者の域を超えてない感じだから、わたし達にとっては雑魚っぽいね。


「殿下、大丈夫ですか!」

「お、お前たち、どうやって……。まさか敵を倒して」

「残念ですが殿下、我らの戦力では困難で……。ここへ来ることができたのは、そちらに居るレグラスの」

「金狐……その娘か……。ははっ、敵国の女王の娘に助けられるとは、な」


 わたしとメイの後ろで傭兵帝国の奴らが話してるけど、うん、会話に割り込まない方が良いですね。

 これが好きな子とかだったら好感度稼ぎとかしちゃいたいけど、そういうのじゃないもの。


「3人、つまり1対1で倒せばいいわけだな」

「なに駄物、あなたも戦う気なの?」

「なめるなよ。周囲のロボと違い、アイツラはそこまで強くないだろ」

「あら、そこまで分かるのね」


 駄物が言う通り、ガーディアンに比べたらこの勇者はまだまだ。まぁガーディアンと同じだとしても雑魚なんですけどね!

 とはいえガーディアンに駄物は苦戦してた気がするし、一番弱いのをやってもらいますか。

今回の勇者も雑魚判定

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