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329話 妹より凄いのかも?

 当初の予定とだい~ぶ違ってきちゃったけど、ともかくヒトガタでガーディアンをばかばか倒して進みましょー。

 ただなぁ……


「な、なんて幼女だ……我々が苦戦していた敵をこうも素早く倒すなど」

「しかも大量にだぞ……信じられん。幼いのに、どこにそんな力が」

「こ、これがレグラスの狐の力というわけか……。このまま成長したらどうなってしまうんだ」


 と、結果的に助けられた傭兵どもがそんな事を口走ってるわけで。やっぱそうなるよなぁ、ヒトガタがガーディアンを攻撃一発でどんどん倒していってるから。

 ただね……なんで幼いというのを全員言ってるんですか! 強調してるんですか!!

 ちょっと身長が低くて童顔っぽいだけなのに、失礼しちゃうわ。


 そんな傭兵どもはほっといて、メイの方はヒトガタに夢中なようで。

 気になったようで先ほど術式を記載したヒトガタを渡したけど、すっごいじっくり見てるわ。


「ずいぶんとじーっくりに見てるねぇ」

「だってこれ、普通じゃないんだよ!」

「普通じゃないって?」

「起動してから動作するまですっごい洗練されてるし、無駄も一切無いし、乗っ取りとかの対策もすっごいんだよ!」

「あーそのあたりね、なるほどなるほど」


 メイの指摘も納得。

 ヒトガタに使う術式は、基本部分とか安全装置とかは、お母様たちがすっごい昔から練りに練った術式だからねぇ。これ以上ないってくらいの完成度です。

 なので性能はもちろんのこと、消費する魔力と精霊力もすっごい少ないのだからなぁ。


「まぁ性能とかが良すぎて、門外不出みたいなものなんだけどね」

「たしかに! でもこれ、使い手をだいぶ限定してるよね。あたしなら動かせるけど、動かせないって人が多そうだよ」

「そこも安全策の一つだね。もしもヒトガタを盗まれちゃっても、そのまま利用されるとか解析されないようにするって対策がバッチリあるから」


 対象外の奴が使うと、逆にソイツを破壊するとか侵食して操るって機能もあるけど、そこの説明はやめておこう。

 メイの事だから、それ言っちゃうと実験しようとか言いそうだもん。まぁわたしでも言いそうだけどー。


「でもこれ、動作周りとかの式がすっごい多いよね。なんか無駄っぽいのも結構あるんだけど」

「あーそれはわたしが追加した式だね」

「そーなの?」

「うん。わたしの好みもあるんだけど、もっと人形っぽいって言うかな? 親しみがわくようなのにしたいんだよね」


 ただ動くだけの物ってなんか好きじゃないもんね。愛着とかもわかないもの。


「なるほどね! だけど、この状態でおねーちゃんは50体も使役してるって事なんだよね?」

「そうなるねぇ。がんばれば1億くらいまでは行けるけど」

「え? 1億って……あの1億!?」

「え、えっと、うん、1億体ではあるんだけど……って、メイ? なんかすっごい驚いてるけど、だいじょーぶ?」


 ポカーンというか驚き過ぎというか、そんな表情してるわ。


「もしかしておねーちゃん、あたしよりも圧倒的にすごいんじゃ……」

「まっさかぁ。とゆーかメイだってちょっと訓練すれば、すぐにそのくらいはできると思うんだけど」

「むりむり! ちょっとの訓練とかじゃ、ぜーったいに無理だよ! そもそもこれ、1体動かすのもすぐにはできそうもないんだよ!」

「えー? うっそだぁ」

「うそじゃないんだよ! ほんとなんだよ!」


 おっと、メイがプンプンって感じだけど、ほんとにそうなのかなぁ?

 だってわたし、式を追加する前のヒトガタなら1歳ごろには使えてたし、今の追加した式がもりだくさんのヒトガタも2歳くらい、1億体も6歳ごろにはできてたんだけどなぁ。

 そういえば最大使役数、最近確認してないわ。今なら10億くらい行けるようになったかな? 今度試してみよーっと。


「うーん、おねーちゃんのスペックがよくわかんなくなってきたよ」

「そうなの?」

「だって可愛さだけでなく、技術面もあたしが思ってた以上なんだもん。ここまでくると、実は戦闘面もすごいんじゃないのー?」

「そんなことはないよー……たぶん」

「たぶんって!?」

「たぶんはたぶんだよ~、うふふ」


 真実はどうなんだろね~。





 そんな話もしながらどんどん進んできたけど、結構戦闘痕が激しくなってきたな。建物の入り口あたりから傭兵とガーディアンの残骸とがこんもり状態、すさまじいわね。

 そして残骸だけでなく、戦ってるのもかなり多くなってきたわ。

 そのせいで、ヒトガタが戦闘に割り込んで倒す場面も多くなってきて、さらーにわたしへの視線とかが増えちゃう状態になってるわけなんだけど。


「これ、ぜーったいに後で面倒なことになるよなぁ」

「いっそのこと、一緒に滅ぼせば楽だよ!」

「そうなんだけど、それは無理だって言ってるよね? それができる状態だったら、そもそも遠隔から範囲攻撃でドバーンとやっちゃってるよ」

「面倒だね!」

「本当にねぇ」


 敵としか認識していない存在を助けるというか、配慮していかないとっていうすっごい面倒な状態だからなぁ。

 幸いなのはヒトガタでガーディアンの殲滅が楽々できてるからまだ良いんだけど。


「しっかしこれ、ちょっと厄介かも」

「なにがー?」

「えっとね、建物の中に入ってきたけど、生産工場っぽくないでしょ」

「たしかに! 生産工場っぽいのは無いけど、カタパルトっぽいのはあるね!」

「うん、生産工場でなくガーディアンの発着場って感じだよね」


 カタパルト使ってガーディアンが発進! とかやってるのかは分からないけど、工場って感じはしないんだよね。


「じゃぁどこかで作ってきたのを持って来てるの?」

「んーん、ここで作ってるよ」

「え? だって」

「えとね、ガーディアンの作り方って2種類あるの。一つは機械人形みたいに部品を作って組み立ててって方法ね」

「ロボットだね!」

「だね。ただ、もう一つの方法が少し厄介で、簡単に言うとお菓子のたい焼きの作り方みたいに、液体状の金属を鉄板で挟んでポンって感じに作っていく方法なの。鋳造方式っぽい作り方かな?」


 基幹部分だけ用意しておき他の部品、それこそケーブルやネジの1本まで液体金属を固めて作っていく方法。

 製作時間が短いのもそうだけど、施設や人員がだいぶ削減できるんだったかな。


「この方法だとドンドン量産できる状態だから、ガーディアンを全部倒して安全ですって状態にはなかなかできないのよ」

「となると、ずっと戦闘しっぱなしってこと?」

「かなぁ。う~ん、さすがに続き過ぎると、わたしもヒトガタ操作疲れちゃうんだけどなぁ」


 ヒトガタを維持するための負荷は思いっきり小さいのだけれど、傭兵帝国の奴らを避けたり助けたりしていると、なんか、こう、精神的に疲れちゃう。

 慣れない事をするって大変だねぇ。


「いっそこと敵を無視して……あら?」

「どーしたの?」

「どうやらここの親玉、そろそろだわ。結構浅い所に居たなぁ」


 ガーディアンから送られてくる情報で把握できたけど、ほんと結構浅いわね。

 となると、制御とかするのが前方でガーディアンを射出してるのが後方って事かしら。


「殿下は、殿下は無事なのですか!」

「うわっと、急につかまないで」

「そーだよ! ゴミはおねーちゃんに触れるなよ!」


 後ろからついてきた女兵士ガクッと肩をつかんできたけど、すっごい必至って感じだなぁ。相当大切な人物ってことなんだろうね。

 とりあえずメイが本当に殴りそうな感じなので、ちょっと腕に抱き着いたりして納めましょう。抱き抱きっと。


「とりあえずメイ、少し落ちつ……あれ?」

「むふー、おねーちゃん、これはつまり」

「ちょ、ちょっとまとーか? わたし、そういうつもりじゃ」

「まったまたぁ。あたしとたっぷりいちゃつきたいって事だよね!」

「そ、そういう気持ちは無いとは言えないけど、今はね、場所がね? 状況がね?」

「むふー」

「ちょっと!? 聞いてくれてる!?」


 さりげなくわたしの尻尾さわさわしだして、完全にわたし優先になってるよね!?

 全部まとめてぶっ飛ばせばいいのにって考えが強いからか、戦闘とかどうでもいいのでいちゃつきましょうって状態に切り替わってるよ……。


「と、とりあえず、ヒトガタの情報からだと現在戦闘中っぽいから、サクッといくよー」

「あたしはいちゃつきたいです!」

「そ、それはまぁ気持ちはわかるけど、あとでね?」

「しょうがないなー」


 やれやれ、

 それにしても、う~ん……なんとなくだけど、これってメイが居ないでわたし一人の方が楽々だった気がちょっとだけしてきたなぁ。

 とはいえわたしも効率よりメイを優先ってしたくなるから、メイは来ちゃダメとかは無いんだけどねぇ。

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