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324話 ちょちょいのちょいっと準備

 いきなり白銀級とか想定外すぎるのでブーブー言いたいところだけど、はてさて。


「それで、どうして白銀級なの?」

『そうですよねぇ、私も本当は白金級にしたかったのですけど』

「ちょ!?」

『さすがにユキさんは青年期前ですので、今回は白銀級止まりとなっています。ですが以前お伝えしたように、ユキさんの評価は既に白金級にも達していますので』

「それってつまり、わたしが青年期になったら……」

『自動的にランクアップになりますね!』

「やっぱりかぁ……」


 フローラさんが満面の笑みで答えてくれたけど、わたしは自分の評価を再認識してちょっと項垂れちゃうよ。

 やっぱりやり過ぎたよなぁ、登録したての頃のわたし。

 あの時はちょうどお母様の誕生日の近くだったので、せっかくならすっごい良い物をあげたいって考えからダンジョン通いまくって素材やら資金あらを貯めに貯めてたからなぁ。自重全然しなかった記憶もあるわ……。


『それで金級でなく白銀級とした理由ですが、簡単に言ってしまえば保険のためです』

「保険のため?」

『今回ユキさんが向かうのは敵国です。そのため戦闘によって周囲へ被害を起こした場合、その保証や解決への道のりが少々難しくなってしまいます』

「あー、お前敵国だから意図的にやったんだろ、みたいなことを言われる事もあるわけだね」

『その通りです。そういった対応はもちろん冒険者ギルドで行ってはいますが、級によって私達が庇える範囲が変わっているのです。その範囲ですが金級ですと高位の者、神官や次官などですね。そういった方を殺めた場合は私達も庇うことができないのです』

「とゆーことは、白銀級だとソレが大丈夫になるってこと?」

『そうなります。今回の敵がガーディアンを送り込んだ世界の方だけでしたら、今まで通りの銀級や念のための金級でも問題が無いのですけどねぇ』


 フローラさんも少しやれやれって顔してるけど、確かにそうね。

 転移してくる場所が傭兵帝国の傍ではあるけど、送り込むのに傭兵帝国が絡んでいないなら問題はおきない。まぁ不法入国やら侵略やらって問題は出てくるだろうけど。

 だけど傭兵敵国が絡んでいた場合、敵だけでなく傭兵敵国の奴らも容赦なくぶったおす必要が出てくるわけで。

 そうなると完全な宣戦布告とか侵略開始とかになっちゃう可能性が高いから、冒険者ギルドが中間に入ってその辺りをうまいこと納め、傭兵帝国との開戦ですって状況にならないよう調整してくれる、と。

 そしてその調整とか保護できる権限とかが、金級ではなく白銀級以上でないとダメですってのに繋がるわけね。


 やれやれ、傭兵帝国が関係なければここまでなら無かったろうに。

 ほんとーにやれやれだよ。





 その後も白銀級の特典や注意事項とかを聞いてたけど、なるほどねぇ。


「つまり、今回ぶったおしに行けるのはわたしだけって事だね」

『そうなりますね。申し訳ありませんが、ユキさんの昇級以外はさすがに通らないのです』

「こういうとこでもわたしだけ特別感出してるなぁ……」


 まぁよく考えなくてもそうだけど、今日からみんな白銀級ですなんてどう考えてもないわけで。

 わたし並にドカッと稼いでいたらあるかもしれないけど、さすがにそこまでやっていないだろうし、やっていてもサクッとランク上げちゃいますなんてのは無いだろうなぁ。

 そもそもなぁ、なんだかんだでうちと冒険者ギルドってズブズブなところもあるから、わたしだけの特例ってのができちゃってると思うし……。


『仮に白銀級になったとしても、アリサちゃんとノエルちゃんが同行するのは難しいわねぇ』

「それってうちのメイドさんだからですか?」

『そうよ~。それだけうちはレグラスという大国の中で最も影響力のある家系という事なのだけれどねぇ』

「たしかに。とゆーか王家以上な気もしますけど」


 絶対にありえない事だけど、もしもうちと王家が争うになった場合、おそらく住民はうちについちゃうだろうなぁってのもちょっとわかっちゃう。

 それだけうちってすごい家なんだよなぁ……ともひしひしと。


「でもわたしだけかぁ。う~ん……」


 わたし一人が殴り込みをかけるってこと自体は特に思うところはないんだけど、ガーディアンと傭兵帝国が関係してくるんだよなぁ。

 戦力面の不安はさっきのガーディアン見る限り問題無いとは思うけど、それでもなんとなーく不安が出ちゃう。


「ねーねー、それってあたしも行っちゃダメなの?」

「あー、えっと、どうなんですか?」

『えーっと、メイさんはこちらの冒険者ではないので、冒険者ギルドとしての保証や保護などはできませんが、同時に止める理由はありませんね』

『あとは国の関係かしら? メイちゃんの国との交友はあるのだけれど、今はまだ同盟国とかにはなっていないわねぇ。別世界扱いもあるわけだし』

「「となると?」」

『行っても問題無い、になるかしら』


 思わずメイと口を揃えて聞いちゃったけど、なるほどなるほど。

 たしかにメイの立場ってわたしの身内ではあるけれど、属しているのは別世界みたいなところだからねぇ。こっち側の国問題とか政治問題とは無関係の立場ですって言いやすいわけだね。文句言ったらその辺りを強めに出して抑え込むとかもしそうだけど……。


『でもメイちゃんとコレットちゃんの二人も行くだと問題かもしれないわねぇ』

「それってメイの国が侵略とかしようとしてきたって話になりやすくなっちゃうとかですか?」

『そうなのよ。難癖付けてくるところはそういうのが多いのよねぇ。あの国もそういった傾向だし』

「めんどーな国だなぁ。いっそガーディアンの攻撃って事で滅ぼし……はダメですよね?」

『その気持ちはわかるけれど、やったらダメよ?』

「は~い」


 傭兵帝国はね、滅ぼしたいってみんな思っちゃうとこだからね。

 ここらで葬り去りたい気持ちもあるんだけど、我慢我慢。





 お母様とフローラさんと色々確認し、やって大丈夫とダメな線引きがしっかりできたので、さくっとぶったおしに行きましょー。


「それじゃこっちの指揮はアリサに任せて、コレットちゃんとイーコとネーコはその補助。エレン達とカイル達はアリサの指揮のもと、色々と撃破したり助けまわったりすると」

「その間にあたしとおねーちゃんが乗り込むわけだね!」

「そゆこと」


 メイがずいぶんとやる気ではあるけど、アリサ達も問題無い感じね。

 まぁあのうっさい駄物はギャーギャーなんか叫んだりもしてるけど、聞く気が無いので無視です。有用な事だったら聞くけど、そうじゃないっぽいし。


 さーてと、それじゃ転移門を起動してみますか。

 ガーディアンの制御画面を表示し、そこからちょちょいのちょいっと機能を選択していきっと。


「どーしたのコレット? おねーちゃんの操作にポケーっとしてるけど」

「いやぁ正直言って、姉姫サマってヤバいですね!」

「うん、それは良い意味でのヤバいだね!」

「もっちろんですよー。だってですね、簡単に画面操作しているようにみえますけど、よく見るとガーディアンの機器を直接操作できるように各種コードを随時書き換えてるようですよ。この技術は本当に凄いですよ」

「おー、さすがおねーちゃん!」


 うん、メイとコレットちゃんが絶賛しているけど、そこまですごい事じゃないですよ?

 頭の中でサクッとコード解析してちょちょいっと書き換えてをやってるだけですよ? なので、誰でもできるよ!


「お嬢様、たぶんその考えはないと思いますよ……」

「うそん!? とゆーか考えが読まれてるんだけど!?」


 うちのメイド、すさまじいです。

 っと、そんなこと言ってるうちに完成っと。あとは起動して……よっし。

 ぺかーっとガーディアンの装置が光ったのち、機能を連結させた個人用の転移門がすぐそばにしっかりと起動したわ。

 さすがわたし、完璧です。


「いいですか姫サマ、姉姫サマのやったこと、普通は無理ですからね。ガーディアンの転移機能を解析して個人用の転移門に接続、しかも一発で起動とか無理ですからね」

「やっぱそうだよねー。おねーちゃんだからできるんだよねー」

「間違いないですね!」


 ……まてまてそこの二人。そんなわたしが超すごい天才みたいな扱いしてるけど、そんなことないんだよ?

 まぁこのガーディアンの装置やら技術が何故かすんなり把握できちゃったから、苦労せずにサクッとできたってのはあるかもだけど。


「まーそれはともかく、この転移門はしばらく起動したままにしておくから、何かあったらこの転移門を経由して連絡してきて。傭兵帝国側への通信って、今の状態だとみんなの魔道具は通信不可地域になってると思うから。だけど転移門経由なら問題なくできるはずだよ」


 ちゃーんと魔導部の通信を転移門を経由してできるよう、通信関係の装置も取り付けたからね。

 こういう細かいところも重要です。


「通信も確保したとか、私のお嬢様は本当にどこまですごいのでしょうか……」

「えー? 装置つけて認証して起動させるだけなので、かなり簡単なのになぁ。まぁいいや。それじゃメイ、行くよー」

「うん!」

「ずいぶんとノリノリだなぁ……一応言っておくと、腕に抱き着かなくても良いんだよ?」


 返事するなりガシッときたからね。

 転移関係を考えたのかもしれないけど、一緒でなく順番に入っても大丈夫なよう転移門は調整してあるんだけどなぁ。


「そこは気分!」

「気分じゃしょうがないかぁ」


 うん、しょうがないです。そもそも嫌じゃないしね。


「それじゃ後の事は頼んだよー」

「お任せください」

「ばったばったと倒しておきますわー」

「俺もまぁそれなりに頑張っておくさ」


 アリサ、エレン、カイルの返事をうけながら転移門に突入っと。

 さーてさて、転移門の先はどんな状況になっていることやら。

次話あたりから少し戦闘が増えるかもです

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