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318話 楽しい会話じゃないのは嫌です!

少し長いです

 それにしても、ずいぶんとキレるというか態度悪くなったなぁ。

 まぁ名前覚えていないわたしのせいなのはあるんだろうけど、それにしてもヤバいと思うんだけど。


 だって


「婚約者であるメイの親族だからそれなりに敬意を払うつもりだったが、成長不足どころか知能も低いとはな。敬意など払う気にならんな」


 ってボソッと言っちゃうんだもん、ヤバ過ぎだよ。

 それでキレるようなわたしじゃないんだけど、わたしじゃなくてアリサがね、今にも「潰しますね」ってニッコリしながら言いそうなんだよねぇ。それを察してくださいと。


 それはさておき、そんな愚痴言ってるくらいなのにまだ居るのはなんでだろ? 何か用事でもあるのかしら。

 わたしだったら興味なくなったらさっさと離れちゃうんだけど。興味ない場所にずっととか苦痛だし。

 ん~、とりあえず聞いてみますか。


「それで、どういった用なんですか?」

「おっと、そうだったな。予想と違い過ぎて目的を忘れていたな」

「はーそうですか」


 いちいち煽る感じだなぁ。

 とりあえずアリサ、術装を顕現させようとするのは止めようね? 顕現させること自体かなーり問題ありになっちゃうからね。


「なに、将来身内になる者への挨拶が主だったのだが、それは済んだ。そこで次だが……それだ」


 将来身内ってとこや、この対応で挨拶終わりとかどういう事ですか? ってツッコみたいけどそれはひとまず置いておいて、バシーンとイーコとネーコを指差したね。興味でもあったのかな?


「そのロボットについてだが、まず聞きたい」

「はぁ質問ですか。そういうのは他の人もまとめてやっちゃいたいんですけど」

「そこは身内となる者のよしみとして受けろ」


 おっと、すごいこと言ってるよコイツ、しかも上から目線だし。

 ここまでくるとなんていうか、久々に会った感じが出てきちゃうね、とんでもなくわたしが嫌いになる要素満載の存在ってのに。


「なぜそのような低性能なロボットを展示しているんだ?」

「へー、低性能ですかー」


 うん、嫌いになる要素満載だなぁって割と流してはいたけど、さすがにちょっとイラっとしてきた。

 わたし、自分自身がどうこう言われるのは流せるけど、自分が丹精込めて作ったのを調べもせず一方的に非難するとか、結構イライラしちゃうんだよね。物作りの職人魂みたいなのが出ちゃうのかも。


「人の形をとらしているのに、なぜそこまで小さくする」

「小さいって、まぁ身長はわたしよりも低くはしていますけど」

「携行する武器であれば小さい事のメリットも確かにあるが、ロボットが小さいなどデメリットしかないだろ」


 ドバーンって言い切ったけど、なんでそう言い切れるんですかねぇ。

 そもそも人形を二足歩行で動かすばあい、重量配分や骨格の強度なんかを色々と計算し、それに見合った動力炉や各種関節を用意しないといけない。

 これが小型であれば自然と重さも軽減できるから、出力を抑えた動力炉でも賄えるとか、骨格とかの強度も上げすぎないで済むって利点がある。


 そもそも使い方によっては大型とか邪魔と考える場面も多いので、利点が無いってことは無いんだよね。

 ただ、単純な壁役が欲しいって場合は大型の方が当然利点あるけど。


「作業効率や人と同サイズの装備が使えるというメリットだけでなく、こちらにあるヴァルキュリアなどをベースとする方が性能も品質も担保できるだろ」

「えー、まー、そーですね」


 ドヤァって感じに言い切ってきてるけど、それ、全然利点になりません。


 まず作業効率だけど、術式や魔法を使えるようにしているので落ちるってことは無い。むしろ普通の機械人形よりもバリバリ動けちゃうし活躍できちゃう。

 まぁわたしの趣味全開で動作周りがかなーり大量で複雑にはなってるけど、それでも効率は落ちないようがんばった! おもいっきりがんばった!


 次に人と同じ大きさの装備とか、そんなの人形に合わせた装備を作っているので問題ありません。

 それに体よりもドデカイ武器だろうが軽々と使いこなせるよう、各種機能をてんこ盛りにしてます。自分の体よりもドデカイ武器が使えない仕様とか、そんな事するわけないじゃん。


 最後にヴァルキュリアを基準にとか言ってるけど、そもそもわたし、ヴァルキュリアは参考に見ただけで技術面とか一切使ってません。

 使っているのはうちの国に昔からある古代エルフの技術と、医療関係で使っていた魔道具や機械なんかの技術を混ぜ混ぜして使ってます。

 なによりヴァルキュリアよりも歴史があり優れた技術ばかりを混ぜ混ぜしてるので、性能も品質もかなーり高くできてます。各種試験もヴァルキュリア用の試験よりも厳しい内容でやったもん。


 と、思いっきり反論できるけど、それをコイツにわざわざ言うのは面倒だし嫌なので、適当に流しましょー。





 さて、反論できるなぁってかる~く考えてるのとは対照的に、ドヤァって感じにその後も利点がどうたらこーたら言ってきてるけど、どうでもいいわ。

 言ってる内容は確かに正しい部分もあるけれど、それはあくまで一般的な話。わたしの作ったイーコとネーコには一切あてはまりません。

 これが仲良い感じに質疑応答していたら、おそらくイーコとネーコの性能に納得し、利点がどーたらこーたらとかの話にはならないと思うんだけどねぇ。仲良くとかは無理だけど!


「それでだ、ここまで説明して分かってくれるなら良いが」

「あー、えーっと」


 なんか話が終わったようだけど、うん、どうでもいいって思っちゃったせいで全然聞いてませんでした!

 むしろアリサがイラっとしすぎて暴走しないよう、抱きついたりほっぺフニフニしたりしてました! こういうちょっとした優先度も大事だもんね。


「やはり駄目か。本当に知能も低い馬鹿のようだなぁ」

「まーそーですねー」

「ならば仕方あるまい、オレが考案し改良したロボットとの模擬戦をし、どこまでオレが正しいかを教えてやろうじゃないか」

「へ? 模擬戦を?」


 なんでそうなるの? って感じにキョトンとしちゃうわ。

 う~ん、聞いていなかった内容に、イーコとネーコと戦わせたらどうなるとかって言ってたのかしら?

 それとも単純に、わたしが作った物を完膚なきまでに破壊し、自分の方が優れているんだっていうのを見せつけたいとかかな?


「拒否するとか言うなよ? なにより優れたロボットの展示会だ、他の来客も興味あるだろうしな」

「そうきたか……う~む……」


 くるっとアリサの方を向き、そのままギューッと抱きついてから少し考えっと。はふぅ、やっぱ良い抱き心地です。

 っと、それはともかく、この半分脅しみたいな感じの案だけど、こっちに拒否する大きな理由ってないんだよなぁ。しかもこの展示って模擬戦用の場所が設けられてるくらいだし。

 だけど面倒だし、配布した資料とかにも虚偽書いてるのがバレちゃう結果になりそうなんだよなぁ。


 虚偽、それはイーコとネーコの性能はヴァルキュリアとほぼ同等くらいですって書いてあること。

 だけど実際は同等どころか圧倒しちゃってるわけで。アリサの5割目指したけど、実はその5割がヴァルキュリアを圧倒していたわけで。まぁヴァルキュリアが弱いんじゃない、アリサが強すぎたんだってことでもあるんだけど。


 でもまぁ虚偽を何とか隠せば、これは顧客大量確保の機会なんだよね。

 そもそも今回の機械人形はわたし個人でやる商店じゃない、レグラス主導でやる大きな商売になるだろうから、宣伝がどばーっとできるのはアリと言えばアリなんだよねぇ。

 宣伝のおかげでお客たーくさんになれば、その結果がうちの国への貢献に繋がって万々歳ってなるし。


 となると、受けるかぁ。

 嫌だなーとか面倒だなーって気はしちゃうけど、良い機会なのは確かだし。


「ねーねーアリサ、この提案だけど」

「受けますか?」

「そうしようかなぁと。利点は結構あるし」

「わかりました。それでは残念ですけど、この場であの駄物を処分するのは控えておきますね」

「駄物って、まーたすごい名称だこと」


 ニコニコしながらわたしの頭を撫でてくれるけど、アリサも相当嫌ってるみたいね。

 まぁわたしに対する対応から、そうなるのも当然かもだけど。





「とゆーわけで、しょうがないので受けますよ」

「当然だろうな」

「コイツ、なんでいちいち上から目線になるのかね……」


 しかもドヤァって感じにふんぞってるし、何とも嫌な感じだわ。


「で、さっきからいろいろ言ってはきてますけど、そっちの機械人形はどれなんですか?」

「おっと、そういえば説明していなかったな。では説明してやろう」

「ほんっと、いちいちイラっとする言い方」

「これがオレの用意した新型近衛ロボ、グランディウスツヴァイだ!」


 バーンと言ってるけど、どっかで聞いたような名前だなぁ。たぶん「グラディウス」って名前をもじった機体の2代目って意味なんだろうけど。

 まぁそれはさておき、どらど


 ドガッシャーン!


 うわっ、何かを壊したり割ったりするようなすっごい音したと思ったら、目の前にドスドスドスーンと3体の機械人形が落ちてきたわ。


「ずいぶんと派手な登場させましたね?」

「ち、違う!?」

「はい?」

「コイツらはオレの」


 って、なんか慌てるように言いだしたと思ったら、目の前の3体がガチャガチャガチャンって感じに腕を変形させて、なんか角ばった棒のようなものになったわ。

 う~ん、これはなんとなくやば


「お嬢様!?」

「ちょっ!? いきなり発砲してきたよ!?」


 腕からビームなようなのをドババーンって撃ってきたよ!? おいおい、ここで模擬戦って事ですか?

 とっさの事だったけど、アリサがわたしをかばう様に前に立ち、その前をイーコとネーコが立ち、搭載した盾形の防御壁と後方も守る結界を展開したのでビームは完全に無効化できたけど。


「ど、どういうことですか!?」

「私の、私の腕がぁぁぁぁぁ」

「お、おい! しっかりしろ! 息をしろ! してくれ!」


 と、周囲にいた人は結構な被害を受けたようで。一瞬で地獄絵図っぽい感じだわ。

 いかんなぁ、イーコとネーコが守る判定ってわたし基準になってるから、周囲の人も守るって判断できてなかったわ。

 これがさっきの説明の場にいた人たちなら守る判断はしたと思うけど、今の奴らはなぁ……。わたしの嫌いな人たちばかりだから、イーコとネーコも無視する判断になってしまったわ。

 売る時にはその辺りもちゃんと守るようにしないと、いろいろと問題になっちゃいそうね。


「とりあえずイーコ、ネーコ、結界の範囲を拡大して他の人も守ってあげて」


 サクッと指示をし、周りの人も一応助けましょう。だってビームの連射がいったん止まったと思ったら、少し間をおいてから再度撃つを繰り返してくるもの。さすがにこのまま放置はちょっとできなさそうだしね。

 まぁ無視したいって気持ちもあるけど、さすがにこの状況で無視するような悪女じゃないですので。

 あとは治療とかだけど……そこは各自でがんばって!


「で、まだビーム撃ってきてるんだけど、止めてくれません?」

「だから違うと言ってるだろ!」

「はい?」

「こいつらはオレのグランディウスじゃない!」

「はい~?」


 向こうも魔道具かな? なんか結界みたいなのを発生して防いでるようだけど、トンデモナイ発言してるよね。

 よく見ると、向こうの周囲にはビームによって穴ぼこだらけや溶けてる機械人形が2体あるけど、それがってことかな? とっさの防御とかできなかったみたいだけど。


「それじゃえっと、これは何?」

「オレが知るかよ! くそっ、どうなってるんだ」


 冗談……とかじゃ無いみたいね。

 しかもよーく耳を澄ますと、どうやら他にも落ちて来てるようで悲鳴っぽい声が結構増えて来てる。


「う~ん、なんとも厄介な状況になってきたわ」

「どうしますか?」

「そうだなぁ……とりあえず1体鹵獲して、誰が作ったのか調べてみるかなぁ」

「鹵獲、ですか?」

「うん。もちろん他のはぶっ飛ばすけど、情報収集は必要だからね」


 犯人探しをする余裕はないかもだけど、それでも調べておいた方が良いだろうしね。

 しっかし面倒なことになってきちゃったなぁ……。

嫌いな人であっても仲良くしようというのは避ける狐娘

なお、この話の最後あたりで315話あたりの時間になります

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